
S原:今回から、しばらくこういう系の映画について話します。まずはじめは、もちろんキューブシリーズの正当な続編ではないこちら!
Y木:「ザ」がついているところが、胡散臭い……
(あらすじ)
目覚めると、謎の立方体。女は手足を縛られ、首には何か埋めこまれたようなふくらみ。ポケットの中には、“1月11日 8:30”と書かれたマッチと、見知らぬ小さな鍵。空間内には、自分を映し出すテレビモニターとベッドだけが置かれ、大きな壁掛けのデジタル時計がカウントダウンを始めている。脱出しようにも、出口は塞がれ、悲鳴も誰にも届かない。「一体誰が、何のために?時計がゼロになった時、一体何が起きるのか…」
S原:これは、ひさしぶりに堂々とした嘘つき映画やった。
Y木:あータイトルと内容が全く違うやつな。
S原:そうそう。ネットのレビューをみると「これはキューブとは関係ない」「騙された」「いいかげんいしろ」と怒ってる人がおるねんけどな。
Y木:おるよな、そういう人。
S原:これパッケージみて正当な続編と思うか? というかB級臭さ満載やん。
Y木:ま、お前みたいなこんなんばっかり観ているわけじゃないからな。なんとなくレンタルしたらガッカリしたんやろって。
S原:こういうのを選ばないセンスを磨くために、もう一度ワゴンセールコーナーに行くことをおススメするわ。
Y木:どうでもええわ。はよ映画の話をせえよ。
S原:これはなー。まあタイトル詐欺、パッケージ詐欺はええねん。わりと経験して免疫もついてるしな(笑)
Y木:人間に必要のない免疫やけどな。
![立方体の恐怖! 映画「ザ・キューブ ファイナルトラップ」をご紹介! - RENOTE [リノート]](https://renote.net/files/blobs/proxy/eyJfcmFpbHMiOnsibWVzc2FnZSI6IkJBaHBBalZ4IiwiZXhwIjpudWxsLCJwdXIiOiJibG9iX2lkIn19--a8b97b7e79460010522b019c21047bbea5e29284/hqdefault.jpg)
S原:ただ、ここに書いている内容がなあ……
Y木:パッケージ書かれている文字か。「目覚めると、謎の立方体」って書いてるよな。
S原:えーと、まず主人公は目覚めません。どこから連れてこられます。
Y木:はあ、立方体は?
S原:普通の部屋です。
Y木:ふーん。「タイムリミットは24時間」は?
S原:タイムリミットはありません。24時間は関係ないです。
Y木:へえ。「解かなければ、死」は?
S原:解かなくても死にません。
Y木:はあ。
S原:というか、タイトルにある「キューブ」も出てこないし、「ファイナル」でもなかったし、「トラップ」もありません。ここまで堂々とウソをついている映画(というかDVD販売会社)は、ある意味かっちょいいです。
Y木:かっこ悪いわ。ホラーっぽいんちゃうの?
S原:いいえ、ホラーでもないです。というかこの映画は誰も死にません。人類に優しい映画でした。
Y木:あーそうなんや。
S原:あのな。
Y木:なに?
S原:ぼくは、なんでこんなDVDを買ったんやろ?
Y木:知らんがな。自分の過去を思い出せよ。
S原:最初は、主人公(エミリー)が変な部屋にバーンって連れてこられます。手足を拘束されています。ガシャーンと鍵をかけられて監禁されるところから始まります。部屋には監視カメラがあります。壁には大きなデジタル時計があって、チクタクチクタクとカウントダウンされています。
Y木:まずはそこからスタートやな。
S原:主人公はわけがわかりません。いろいろと探すとドアの隙間に「1月11日午後8時30分」と書かれたマッチと、小さな鍵がでてきます。主人公の首の後ろには大きなコブ(傷?)がついています。
Y木:一応ミステリーっぽいな。
S原:監禁した奴らがやってきます。変なお面をかぶっています。お面のおじさんは言います。「1月11日のことを話せ」

S原:主人公は思い出せない。そもそも今は1月3日では?という疑問がわきますが、変のお面のおじさんは「いいから、1月11日のことを話すっちゃ!」とキレます。お面おじさんが出て行った後に、主人公はまたウロウロしたりどういう状況か相手が何を目的としているか考えます。
Y木:ほう。
S原:こういう出だしなんやけどな。普通は、1月11日に何かが起きていて主人公がカギになっている、という展開やと思うやろ?
Y木:そうやな。
S原:でも、この映画は一味違う。お面のおじさん(他のお面もいます)がやってきて、主人公はいじめられたりします。そして言います。「1月11日のことを話せって言ってるっちゃ!」
Y木:またそれか。
S原:でも主人公は思い出せません。またおじさんは言います。「いいかげんいしろっぺ」「早く1月11日のことを話すズラよ!」
Y木:いや主人公は覚えてないんやろ。
S原:そうです。だから主人公は困ります。

Y木:で、どうなるの?
S原:部屋にはテレビがあって、ニュースが突然流れます。主人公の上司(コブ教授)が死んだことがわかります。主人公は大学の薬学研究の助手ね。ひょんなことから、隣に誰かいることが分かります。床面5㎝くらいが空いていて同僚のアマンダがいることがわかります。彼女も監禁されているようです。
Y木:うん、まあミステリーの典型的な展開やな。そこからどうなるの?
S原:どうもなりません。
Y木:え?
S原:どうもならないの! このままグダグダを繰り返しておしまいなの!
Y木:なんでキレてるねん。
S原:一応、最後にネタバレがあるねんけどな。最後までは同じことの繰り返しやった。手に入れたヒントが役に立たなくて、全然すすまない謎解きゲームみたいな感じね。
Y木:いやなゲームやな。
S原:最後はある意味禁じ手やと思うなあ。こういうオチならどんなミステリーも作れてしまう……
Y木:どんなオチ?
S原:えー言ってもええんかな?
Y木:ええやろ、どうせこんな映画を観たいと思う人は少ないと思うで。
S原:DVD販売会社の人は怒らない?
Y木:別に怒らんやろ。適当なウソのストーリーをパッケージに並べてるくらいやし。
S原:蓮見重彦も怒らない?
Y木:一生、このブログは読まないから大丈夫や。
S原:じゃあ言います。結局は、主人公は病気やねん。記憶が30分しかもたない病気。
Y木:記憶障害?
S原:そうです。研究所の事故でそういう病気になってしまったというオチね。
Y木:えーそんなオチ? それってあかんやろ。
S原:あかんよ。
Y木:覆面のおじさんは誰よ?
S原:あーあのおじさんね。覆面を取る場面は面白いよ。いよいよ覆面を外す。おじさんの顔が映る。「……あんた、だれ?」みたいな(笑)
Y木:ひどいな。伏線とかあったんちゃうの?
S原:あったかもしれんけど、気付かんかった。覆面おじさんは、主人公の主治医なんやけどな。そんなもん、観ている方も初対面やっちゅーねん。もったいぶって、ニヤリとするなよ。
Y木:ちょっと待て。主人公は監禁されてたんやろ? なんで? おかしいやろ。患者の人権無視やん。
S原:いいえ、これも治療です。「いままでいろんな治療をしたがダメだった」「これは荒療治なんだ」「メンゴ」
Y木:最悪やな。どんな医者やねん。
S原:しかも監禁までして怖い思いをさせたのに、効果なしという(笑)

Y木:今回はイマイチやな。いや「今回も」やな。
S原:さあ読者の皆さん。これはよくわからない映画でしたが、まあ変化球と思って楽しんで……いや楽しめません(苦笑) あとから考えたら矛盾だらけですが、そんなことはノープロブレムなんでしょうね。それこそ観た後、30分したら忘れてしまう感じでした~!