Y木:うわー面白くなさそう…
S原:実は、これは…
(あらすじ)
“死神”と呼ばれる極道、生垣幸太郎は組の存続を賭けた大きなヤクの取引に手をかける。取引時刻まであと数時間と迫った時、彼の前に宇宙人と名乗る人物が現われる。果たして何者なのか、そして取引は無事成功するのか・・・
S原:これ、映画としてはひどくないねん。ちょっと惜しい感じやな。
Y木:いやー、悪いけど、おれ絶対にこれはレンタルで選ばへんわ。
S原:あなたは日本映画を観ない人やから。それに、確かによくわからんジャケットやしな(笑)ぼくも期待せずに観始めたんやけど、これがなかなかの出来やねん。
Y木:おもろいんや?
S原:いや、そう言われるとちょっと返答に困るけど…(笑)でも最後まで飽きずに観れる。話は単純やねん。主人公は、哀川翔。死神という名で恐れられるヤクザ役。まあお得意のパターンやな。哀川翔は、重要な取り引きのためにシャブを運んでいる。それを刑事がこっそりと尾行している。哀川翔は、その途中で奇妙な人物、板尾創路と出会う。会話がかみ合わないようなピントがずれているような不思議な感じの小汚いおじさんで、本人は「宇宙人」だと言う。
Y木:コント風やな。
S原:うん。大阪弁で阪神タイガースの帽子に紙袋を持ってるねん(笑)
Y木:あーいかにも、やなー。そういうSFってあるやん。
S原:いやー、SF風味は全然ないよ。ま、傷ついても牛乳をかけると治る設定くらいかな。
Y木:なんやねん、それ。
S原:でも、テレポーテーションをしたり、いろんなことが起きて、哀川翔は宇宙人だと信じる。哀川翔の妻は、有坂来瞳(実はこっそりと浮気をしている)やけど、妻は全く信じない、というかバカにしている。こういう感じで、ドタバタが繰り広げられるわけやな。
Y木:なるほど。オフビートなコメディか。
S原:そうそう。あとは、幼馴染が警官(酒井敏也)やねん。こいつと哀川翔が子供のころに、宇宙人(板尾)に『地球を滅亡させてください』とお願いをしてたのよ。板尾は、律儀に地球に戻ってきて、願い事をかなえようとするわけ。
Y木:願い事って、地球滅亡?あかんやん。
S原:哀川翔も、「おれはヤクザだが、地球にはいろんな人がたくさんいる。そいつらを俺の一存で死なせることは出来ない」と悩む。ところが、大事なシャブを失くしてしまって、組長から殺されるかもしれないという状況になる。そうすると「まあ、どうせなら、いっそ地球が破壊されてもええかな。どうせ、おれも殺されるしなー」と翻意する。
Y木:自分勝手なヤツやな。
S原:地球が破滅する話やのに、なんとなくのんびりと右往左往している状況を描いてます。ゆるめのコメディの雰囲気で、いろんなキャラクターがドタバタしているうちに、話が複雑に絡み合っていくという面白みを狙ったんやろな。
Y木:それって面白くなりそうやけど、かなり上手に作らんとあかん気がするな。監督の力量が問われる、というか。
S原:そうやな。監督は多胡由章という人。残念ながら、このへんはあまり上手くないかな。例えば、SABU監督とかガイ・リッチー監督はそのへんはすごく上手いねん。彼らの映画やと、伏線を上手に張って、後半に一気に回収するカタルシスがあるねんけど、そこまでではなかった。
Y木:で、板尾はほんまに宇宙人?
S原:宇宙人です。
Y木:結局、地球はどうなるの?
S原:あっさりと破壊されます。
Y木:それからどうなるの?
S原:それで、おしまいです。
Y木:まあ、地球が破壊されたら話は終わるか(苦笑)
S原:地球が破壊されたあとに流れる曲がええねん。あの「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングテーマやで。
Y木:あー、「やつらの足音のバラード」!
S原:あれはええ曲やろ。スガシカオが唄っているんやけど、ひしびさに映画のエンディングをじっくりと聞いたわ(笑)結論を言うと、これは板尾創路、哀川翔のファンなら絶対に楽しめると思う。2人の長所がでているから。脇役で良かったのは有坂来瞳。彼女は、以前にこのブログでホリエモン製作「電話の恋人」(2004)を紹介したことある、というかボロクソに言ったけど、あれよりも断然こっちのほうが良い。こういう役のほうがイキイキしてるし、絶対に合っていると思うけどなー。というか、あの「電話の恋人」の出来がひどすぎるという話もあるけど(笑)
Y木:なんにせよ、おまえにコメントされてもあんまり嬉しくないやろうな…有坂来瞳という人も「ほっといてって!」「もうこのブログで取り上げんといてって!」って突っ込んでるで、たぶん。。
S原:有坂さん、すいません。さあ、みなさま。珍妙な映画ですが、なんとも不思議な味わいはあります。決して傑作ではありませんが、地球なんて破滅してしまえ!と日々ストレスを抱えながら生きている人にとっては、息抜きになるでしょう。地球が破滅してしまう前に、というかこの世にネット配信だけになってしまって、中古DVD店がなくなってしまう前に、このDVDをゲットですよ~!