S原:さあ今回は、ほとんどレビューがないこの映画!
Y木:レビュー、というか世の中で何人が観たんや…
(あらすじ)
様々な事情を抱えた高校生によって結成された国家認定不良撲滅更生隊・ヤンキーポリス。迅雷高校に潜入した彼らは、生徒が次々と姿を消していく事件の真相に迫るが…。
S原:開巻、女子高生が同級生5~6人にいじめられている場面から始まります。いままで執拗にいじめられているようです。突然、いじめられていた女子高生が逆襲して、いじめっ子集団をボコボコにします。両親(金持ち)からも理解されず、女子高生は何もかもが嫌になってビルの屋上から飛び降りようとします。そこへ不良の格好をしたオジサンがやってきます。「おれたちのチームに、はいらねえか?」
Y木:ジャンプみたいやな。
S原:そうそうまさに少年ジャンプの世界やな。要するに、訳あり(というかケンカが強い)高校生(?)を集めて、グループを作ってるねん。その名も、「国家認定不良撲滅更生隊」!
Y木:今の時代に、不良撲滅って…
S原:ちゃんと日本政府が公式に認めています。ユニフォームがすごい。深紅色や青色、黄色の男子の制服、地方都市のスナック店員のような女子の制服。ぼくが推測するに、あの「ディック・トレーシー」(1990)にオマージュを捧げています!アメコミです!
Y木:ちゃうやろ。
S原:さて、別の場面では、チンピラと言うかヤクザと言うかそんなんがでてきて、よくわからない会話をします。ガッツ石松がでてきますが、ちゃんとセリフが言えててホッとします。
Y木:なんでホッとするねん。
S原:次の場面。更生隊は、迅雷高校に潜入します。高校に到着するなり、更生隊はすぐに「ひゃっほー!」「楽しい学校じゃねえか!」「おれとタイマンしようぜ!」と叫んで、大暴れします。
Y木:なんか頭が悪いなあ。潜入の目的は?
S原:わかりません。
Y木:……(無言)
S原:更生隊のメンバーが「この学校を調べると、いろいろと裏があるんすよねー」「証拠が欲しいので、裏で動いて欲しんすよねー」という感じのセリフがあるから、たぶんこの高校を調べに来たのでしょう。でもそんな調査は無関係のまま、ひたすらケンカが繰り広げられます。教師もケンカ好きで、一緒に盛り上がっています。
Y木:おいおい、授業は?
S原:「ケンカ」です。
Y木:……(無言)
S原:これ、ほんまやねんって。教師が「不良たるもの、武器を使えないといけないのです!」とか説教する。
Y木:それ、宮下あきらやがな。
S原:「魁!!男塾」みたいに工夫があれば楽しめますが、こっちはそのままケンカするだけです。あーせめて「竹林剣相撲」(ちくりんけんずもう)のオマジューとかみせてほしかった…
Y木:あー土俵の周りで竹が剣になっているやつなー。しょーもなかったなー。
S原:えー最高やん。まあ男塾と一緒で、登場人物たちがみんな高校生でなく30歳前後の大人にみえますが、たぶんこちらの目が悪いせいでしょう。セリフもすごいです。「こいつ、むかついてよ~(ムカムカ)」「女が男にかなうわけないだろーが(ケッ!)」「いずれ、おまえとは決着をつけるつもりだからな(キリ!)」スタッフもキャストもタイムスリップして、今の時代に迷い込んでしまったんでしょうね。気分は「特攻の拓(ぶっこみのたく)」!
Y木:(ため息)……それで?
S原:学校では、いよいよ実戦です。
Y木:実戦?
S原:山中に連れていかれます。そして、笑えないほど不自然なリーゼントの教師が登場します。「ここ(山中)には、ワル中のワルがいる」「ゴールは向こう側だ」そして、これ以上ないくらい、かっちょよく生徒たちに言い放ちます。「(ゴールに)辿り着いて、ワルになれ~!」
Y木:…どうコメントしたらええんや。
S原:そうです。次の場面では、更生隊の1人がガッツ石松に会いに行きます。会話の内容はまったく理解できませんが、更生隊はガッツ石松が悪い、と問い詰めます。捕まえる、という話になります。ガッツ石松の部下(ヤクザの幹部)が怒ります。ところが、ここでスゴイことがおきます。なんと更生隊とガッツ石松が一緒に、部下を責め立てるのです。
Y木:…は?
S原:じつは、この部下は悪いことをしていて、それをガッツ石丸も更生隊も見抜いていたのでした。怒られた部下はしょぼんとします。そこへBGMで甘いトランペットが流れて、センチメンタルなムードに……
Y木:頭がおかしい奴が演出してるんか?なあ?
S原:さて場面は戻ります。山中で、ケンカ合戦です。殴ったり蹴ったり、香港風アクションになったり、ビーバップハイスクール風になったり、パンクラス(格闘技)になったり、銃で撃ったり。
Y木:はー?銃??
S原:全然、設定が統一されないまま物語はすすみます。
Y木:最後は?
S原:なぜか更生隊同士が戦います。赤色の男と黒色の男が戦います。横で、80年代風ファッションの女子2人も戦います。近くの建物には大人たちがいて、その戦いをニヤニヤしながら眺めています。そのとき、バギューン!女子1人が撃たれます!それを見て、大笑いする大人たち。更生隊たちが言います。「くっそ~!」「悔やしいぜ~!」
Y木:あー、『ゲーム』に参加させられてたってことかー。ありがちやなー。
S原:ハッキリと言ってはいけません。まあ、そういう映画やったわ。このあと、学校の教師が黒幕だというどんでん返し(?)があるねん。更生隊たちが、教師を追いつめる場面がまたスゴい。全員で、教師を囲んで「シャキーン!」と決めポーズ!戦隊ものです!しびれる~!
Y木:もう支離滅裂やん。
S原:最後は、今後も更生隊がチームとしてやっていく、という雰囲気のラストでおしまい。もちろん、ラストショットは、もう一度「シャキーン!」と戦隊ポーズ!いや~、パート2が楽しみダナ~!
Y木:うそつけ。
S原:さあ、みなさん。ちょっと褒めようがない映画ですが、一応ちゃんと撮れています。DVD特典のメイキングを観ると、キャストの人たちは普段良い人なのがわかってホッとしますよ。絶妙なバランスのヘタウマな歌をBGMに、楽しそうに撮影している姿を観ると、これはこれでOKなのだとわかりますよ。なんと言っても世の中は平和が一番。あなたの子供がビーバップハイスクールに影響されて不良になったときのために、ぜひご覧くださーい。