S原:今回は、こちら!ごまかしタイトルの映画!
Y木:いやもう、なんかコメントできないレベルやわ。
(あらすじ)
“死の島”と恐れられる場所に残されたビデオテープから構成された衝撃作解禁。TV放映不可能!セルバージョン発売禁止!レンタルDVDのみで明かされる、その戦慄とは?新ジャンル、ドキュタッチ・ホラー。
S原:いやー、いきなりの先制パンチでもう大笑いしたで。思わず巻き戻して確認したら9回もタイトルを叫んでた。もう、これだけで買ってよかったと確信した(笑)あの「ゾンビ・アイランド・マサカー」(1984)の予告編を思い出したわ。
Y木:あー昔、おまえに無理やり見せられたなー。あれもひっどい映画やった。それで、この映画はどうやったの?
S原:いやー期待通りの最低ランクの出来やった。
Y木:当然そうやろうな。今回は、驚かへん。というかちょっとワクワクする(笑)
S原:要するに「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)以降に簡単に作られるようになった亜流の1本なんやけどな。手持ちカメラで撮影してたら、怖い目にあうという。
Y木:あー「食人族」(1980)な。
S原:相変わらずあなたの基準は、そこなのね。
Y木:それで、どんな内容なん?
S原:この映画では、驚くなかれ。なんとタイトルのあとに、あらすじがでる(笑)
Y木:それは…斬新やな(笑)
S原:しかもすごく単純で、普通に観て入ればわかるストーリーやのに。親切すぎてこっちが戸惑う(笑)さて、映画が始まると、テレビ番組?のロケで、2人の女性タレントがレポーターをしています。ひとりは田中麗奈を薄めた感じ、もうひとりは仲間由紀恵を薄味にした感じです。さらに、もうひとり太った男性ディレクターと男性カメラマン(声だけ)がでてきます。ディレクターは、かなりドンくさい奴で、本番の撮影しているあいだにつまみ食いしたりして、薄味の田中麗奈にビンタされます。
Y木:ビンタ…なんやよくわからんけど、まあええわ。
S原:いろんな場所をレポートをします。大根を食べたりします。とくに何も起こらない、薄味女性2名が延々と撮影しています。たまに薄味の田中麗奈がディレクターを「なにやってんだよ、デブ!」とキックしたりします。旅館で温泉のレポートもあります。11PMでおなじみのうさぎちゃんです。
Y木:ポロリ?
S原:ポロリはありませぬ。でも、温泉で雑談している場面は無駄に長いです。女性の胸元をズームアップしようとして、ピンぼけになります(笑)
Y木:ひさびさにピンボケの映画をみつけたな(笑)
S原:温泉の撮影のあとに、ディレクターを「このデブ、うっとおしいんだよ!」と服のまま温泉に突き落とされます。しかも3回も。キャーキャー言ってすごく楽しそうですが、観ているほうは楽しくないです。
Y木:というか話がすすまへんねんけど。
S原:そのあとは旅館で夕食です。夕食のレポートをしていると、女将がやってきます。女将は、変なお肉(たぶん人肉)を特別にだしてくれます。薄味の2人が「おめーが食えよ、デブなんだから」と無理やりデブに食わせます。そうこうしていううちに女将は「近くに無人島(音無島)がありますが、行ってはダメですよ」「いいですか、くれぐれも行ってはダメですよ」と言います。
Y木:それ、押すなよ押すなよのダチョウ倶楽部やがな。
S原:はい。ダチョウ倶楽部と同じで、もちろん無人島に行きます。
Y木:それで?
S原:そこでものんびりと島のレポートを続けます。晩ご飯がないから、大根を食べたします。ちなみにこの「サイレン島」は60分しかないのですが、この時点で何も起こらないまま、40分くらいたっています。
Y木:うわ、だるー…
S原:結局、無人島なのになぜか島の住民がいて、いきなり襲ってきます。ついでにデブの指を食いちぎったりします。いったん逃げますが、結局デブは捕まります。そして、夜になりキャンプファイアーの準備を始めます。デブを取り囲むひとは3~4人。キャンプファイアーの前でデブをSM器具に縛り付けてます。なぜか日本なのに、昔のマンガでよくある「アフリカの未開の部族」みたいな声をだしてます。「アチー!」「熱いって!」と悶えるデブ。そんなデブを見つめる島の男たち。そして、いよいよ始まる人肉パーティー!デブに牛乳やポン酢をかけて味を調えます!
Y木:うそつけ。
S原:いや、ほんまやねんって!でも遠くから隠しカメラで映しているという設定なので、ほとんど何をしているか分からんけどな。
Y木:なんやねん。女性たちはどうしてるの?
S原:遠くでデブを見ながら「あー食べられちゃう」とか「熱そー」という分かりやすいコメントのあとに、薄味の仲間由紀恵が「あいつは足手まといだから、置いていこうよ」と提案します。「それもアリだよな…」と薄味の田中麗奈とカメラマン(男性)も同意します。
Y木:ひどいなあ。
S原:そして、ナイスな作戦をたてます。
Y木:作戦?
S原:その名も『デブだから、食べるのに時間がかかる。そのあいだに逃げよう』作戦。
Y木:デブだからって…ん?ちょっと待て。この時点で逃げると決めるんかいな。もっと早く逃げろよ。
S原:やがて、人肉喰いのやつらに見つかって、追いかけられます。「はあ…はあ…」「怖い…」といいいながら真っ黒な画面が続きます。真っ暗でなにもみえませぬ。薄味の仲間由紀恵が急にゾンビになって襲ってきますが、薄味の田中麗奈に逆襲されて、死にます。
Y木:安易な演出やなあ。
S原:そして、朝になりました。薄味の田中麗奈とカメラマンがなぜか銃で撃たれて、カメラがバタンと倒れる!おしまい。
Y木:やっぱり、「食人族」やがな!(爆笑)
S原:これ、単純な映画の出来だけで言うと、たぶん最低ランクやと思う。それはええねんけど、なんかちゃうねん。「愛すべきバカ映画」ではないねんなー。最初のタイトル連呼で期待値が上がったけど、結局はただの出来の悪い映画やったわ。
Y木:そうかー。残念。なかなか「悪夢の銀河鉄道」(1984)みたいな、『出来が悪いけど、愛すべき映画』はなかなか出会えないよな。
S原:そうやな。まだまだ、理想の映画探しの旅は続くでござるよ…
Y木:まあゴールしても、その場所には「空しさ」しかないけどな。
S原:さあさあ、みなさま。この映画はスゴイで出来です。たぶん、Z級映画好きにはストライクです。世の中の99パーセント以上は、一生出会わない珍作ですが、タイトルコールだけは唯一無二です。ぜひご賞味あれ!