あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

便乗映画特集!バーチャルでもウォーズでもない「バーチャル・ウォーズ」(2010)の巻

バーチャル・ウォーズ [DVD]

S原:今回のパクリタイトルの映画は、これ!

Y木:というか、タイトルはそのままやん…

(あらすじ)

ジェニファー・ライアンは、闘病中の親の医療費を稼ぐために、政府が管理する児童施設のスタッフ募集に応募し採用される。施設を管理しているのはアリエルというAI。しかし、アリエルの管理システムが何者かに侵入されコントロールされてしまった。ジェニー達に襲いかかる魔の手。ハイテクアングラ施設は修羅場と化してしまうのだった…。

 

S原:あなた、POVって知ってる?

Y木:あー最近流行っているやつやろ。カメラとかで撮った画像がそのまま映画になってるやつな。

S原:そうそう。ドキュメントタッチで効果を狙っての演出やと思うけど、どうしても手ブレ(視点の揺れ)があるやろ。リアルと言えばリアルなんやけど、ぼくは酔うねんなあ。どうも苦手やねん。修学旅行のバスの後部座席みたいな。

Y木:子供か。

S原:「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999)を映画館で観たときは、本気で吐きそうになったで(苦笑)どうも三半規管が弱いんやろうな。

Y木:この映画はPOVなんや。

S原:うん。登場人物がかけた特殊なメガネがそのまま映画の映像になってます。でも複数いるから、ちゃんとカット割りみたいになっていて一つの視点で話がすすむ映画よりは、かなり観やすい。

Y木:出来はどうやった?やっぱりダメやったんやろ。

S原:結論から言うと普通くらいの出来かな。でもPOVというだけで、とくに話に目新しさはないから単純と言えば単純やねん。舞台はたぶん近未来のロス。アメリカは、すでにいろんな分野で中国やインドに追い越されたという設定です。未来のために、優秀な子供たちを隔離して「教育」を行っている施設があって、そこに主人公たち3人がやってきます。ARグラスと呼ばれる特殊なメガネをかけると、いろいろな情報が得られます。子供たちも私語もせず、特殊なメガネをかけて仮想空間で一心不乱に勉強をしています。

Y木:主人公たちは何しに来たの?教師?

S原:この施設の監視などが仕事です。この施設にはアリエルという人工知能がいて、それがすべてを監理しています。やがて緊急事態が発生。何者かによって施設がハッキングされてしまったようです。さあ主人公たちはどうするのか?人工管理された無垢な子供たちの運命は?…というお話。

Y木:なるほど。結構、面白くなりそうな要素はあるな。

S原:うん。特殊なメガネをかけたら、目の前に地図が出たり暗闇になっても映像が浮かび上がったり、そういう特撮はありがちやけど面白い。でも淡々と進むから意外とサスペンスが盛り上がらない。なんというんかな、こういう映画って主人公たちがどんどん追いつめられるところが見せ場やん。

Y木:そうやな。追いつめられてどう危機を乗り越えるか?とかやろ。

S原:そのへんが淡泊すぎてちょっとなあ。印象に残らない場面ばっかりというか…(苦笑)子供たちが無機質でもっと気味悪い存在のほうがいいと思うけど、あんまりやりすぎると単純なホラーになるから、それはしたくなかったんやろうな。

Y木:なるほど。

S原:これは、ラストになっても完全に謎は解明されない。このあたりも、余韻が残る雰囲気を狙ったんやろうな。

Y木:それは成功してるの?

S原:人によって評価が割れるやろうけど、ぼくはそんなに…というのが本音かな。映画全体の雰囲気としては悪くないと思うけど、さっきも言ったけどぼくはPOVが苦手やから。この演出が好きな人には、楽しめるかもな。

Y木:どっちにせよ、スティーブン・キング原作の「バーチャル・ウォーズ」(1992)とは無関係なんやな。

S原:まったく関係ありません。というか、あれも珍作やねんって!当時、映画館で観た自分が信じられない(笑)

Y木:珍作に便乗した映画か。それはきついな。

S原:さーみなさん。POVという演出がプラスとなった場面もあれば、マイナスとなった場面もある映画ですが、パクリタイトル映画のわりにはまずまずでしょう。最後のどんでん返しがとってつけたようなオチですが、それもまた愛嬌ですよ。さあ、バーチャルな未来に向かって、一緒にレッツゴー!