S原:今回は2本立て!
Y木:これ、両方ともショボいので有名やな。
(えびボクサーのあらすじ)
場末のパブで働く元ボクサー・ビルは、マンネリ化した毎日から抜け出そうと日々何かを探していた。そんなある日、友人からカマキリえびの存在を聞かされ、人間対えびのボクシングを思いつく。
(いかレスラーのあらすじ)
かつて無敵を誇った超日本プロレスのレスラー・貫一は病のため引退。死を宣告された彼は修行の末「いかレスラー」となってリングに復帰。宿敵「たこレスラー」、そして謎の「しゃこボクサー」も出現し、リングはシーフード・バトルと化した!
Y木:なんかどっちも面白くなさそう(苦笑)
S原:うん、その通り。でもしいていうなら、「えびボクサー」のほうが面白い…かな。
Y木:へえ、そうなんや。
S原:まあ、どっちもどっちなんやけどな。「えびボクサー」のほうが、ちょっとだけ深い…かな。
Y木:ほんまかいな。
S原:ちょっとだけな。「えびボクサー」はイギリス製やねん。アメリカの能天気な雰囲気でなくて、どこか暗めやねん。主人公もその周りも、いまの生活に苛立ちがあって、どこかで打破したいと思ってる。そういう奴らが、えびボクサーで人生の一発逆転を狙う。
Y木:ほう。なんで、えびがボクシングするの?
S原:「カンガルーだってボクシングをしてるからエビでも出来る!」という理由らしい。2メートルくらいのでっかいエビを捕まえて、それに無理矢理ボクシンググローブをつけるという(笑)
Y木:くだらんなー(苦笑)それでどうなるの?
S原:なんとかテレビ番組で使ってもらおうとドタバタする。テレビで有名になってお金儲けを狙うのよ。最後はテレビの生番組でエビ(というかエビの周り)が大暴れする…結局、大儲けはできない。『夢が破れて人生の哀愁を感じる』という風になればええねんけど、出来が良くないから、ただ単に失敗するという感じになってます。
Y木:見どころはやっぱり、エビの着ぐるみ?
S原:そうやな。上手くできてると言えなくはないけど、まあエビはエビやわ(笑)
Y木:そりゃそうや。で、「いかレスラー」のほうは?
S原:これはなー。ザ・着ぐるみって感じでなー。仮面ライダーの怪人みたいな。
Y木:あー納得。
S原:目がクリクリと動くところはかわいいんやけどな。初めからチープな映画を目指してるから、これを観て怒る人もおらんと思うけど、面白いかと言われるとなー…だって河崎実監督やし(笑)
Y木:あー、チープな映画を撮らせたら日本一という噂の人。
S原:うん。「飛び出せ!全裸学園」(1995)とか「日本以外全部沈没」(2006)とかそんなんばっかり。嫌いじゃないけど(微笑)でも、いかレスラーの正体は、本物のレスラーの西村修(当時・新日本プロレス)やから、贔屓目にみてあげたいんやけどな。さすがにいまは現役引退してるけど。
Y木:どんな人?いや、プロレスなんか興味ないけどな、どうせ話すんやろ?
S原:うん(笑)西村修は地味やけど、真面目で渋い選手やったな。実はこの人、癌になって手術後に復帰した苦労人やねん。でもちょっと変わった人でな。インタビューでも延々と長話をしてしまう。とくに病気を克服してからは、「気」とか「心技体」とかそういう話が多いねん。
Y木:そうなんや。でも癌の手術してプロレスラーとして復帰ってすごいやん。
S原:うん。でも、『長州力のせいで癌になった』と力説してた。仲が悪いから(笑)
Y木:なんやねん、それ。子供か。
S原:本人は真剣に力説してたけどな(笑)まあ、映画の話に戻ると、正直に言ってどうってことのない映画かな。でも、これはこれでいいんやろうな。
Y木:ストーリーは、あってないようなもん?
S原:うん。とにかくイカの着ぐるみが、のんびりと恋愛したり、プロレスしたり、買い物したり…それ以上は言いようがないです(笑)
Y木:2本まとめてみた感想は?
S原:うーん、やっぱり普通の映画ファンは、とくに観なくてもええんじゃないか、と(苦笑)やっぱり「Z級映画」「珍作映画」が好きな人向けやろうな。
Y木:まあ、そうやろうなあ。
S原:ということで、みなさん。この世に存在しなくても誰も困らない映画ですが、この映画たちがあっても困りませんよ!回転すし屋で、ついつい小休止としてエビやイカを頼んでしまう人、そんな人はマストバイ…かな?