S原:さあ、今回はこれですよ。
Y木:おお、なんか意味深なジャケットやな。
(あらすじ)
婚約して幸せの絶頂期にいるアレックスとニカ。休暇でグルジアの景観が美しいコーカサス山脈に、地元の山岳ガイドのダトを雇い、トレッキングに出かける。そこで起こった一つの過ちから、アレックスとニカは、お互いについて、そして自分自身について、今まで知らなかった一面を知る。ダトの存在もあり、男女3人に微妙な影が落とされる・・・。
S原:いや参ったなあ。
Y木:なにが?
S原:これ、ほんまに面白くないねん。
Y木:いまさらかい。おまえの選ぶ映画って、大体そうやん。
S原:まあな。でも、これはなあ…かなり前に「ジェリー」(2002)って映画を紹介したやろ?マット・デイモン主演のやつ。
Y木:あー、延々とワンシーンワンカットが続く映画。おまえがボロクソにつっこんでいたことだけ覚えてるわ(笑)
S原:あれに似てるねん。セリフを少なくして、とにかく雄大な自然が映る。
Y木:それで?
S原:それだけ。
Y木:おいおい、もうちょっと何かあるやろ?
S原:いやいやー、この映画に関してはほんまに何もない。その点も「ジェリー」にそっくり(笑)世界ふしぎ発見のロケみたいな景色のなかを、主人公カップルとガイド(男)がひたすら歩く。いつもB級ならではの説明台詞に飽きてるから、説明がないのは気持ちええねんけど、いくらなんでも淡々としすぎやって(苦笑)まあ、登山とかトレッキングに興味がある人にはええかもしれん。でもなー…
Y木:ひとつの過ちが起こる…と、上のあらすじには書いてるけど?
S原:大したことないよ、あんなもん。途中で地元の漁師と出会ってもめるねん。それでカップルの男は、とっさに女性の陰に隠れてしまう。女性はいつまでもそれを根に持ってて、心の中で不満をため込んでいく。
Y木:そりゃ男もダサいけどな。なんか粘着質な女性やな。
S原:ほんまやで。そりゃショックやけど、しつこいねん。いつまでもウジウジと…なんか観ててだんだん腹が立ってくるねん。「おい、給料が少ないことをバカにするな。安物のDVDしか買ってないんやから、文句は言わんとってくれよ。洗濯とアイロンだって、ぼくが担当やがな」って言い返したくなるで。
Y木:それはおまえの家やろ!
S原:いや、ほんまにこの女性はしつこいねん。何回も反芻して、内なる怒りをため込んでるからな。
Y木:男を許したらへんの?
S原:許さへん。でも怒りを直接ぶつけない。だから男も困った顔をする。なんか微妙な雰囲気なまま歩くシーンが続く。
Y木:それから?
S原:夜中になって、カップルの男のほうが寝た後で、女性がガイドとこっそりとチューする。
Y木:えー、自分だってあかんやん。それで三角関係みたいになるの?
S原:いやならんかった。翌朝にテントをたたむ。それがラストシーン。
Y木:なんか、すっげえシュールやな。
S原:ほんまにこの域まで行けば、駄作・珍作を超えてるような気がする。でも面白くはない(苦笑)この映画で感動する人もいると思うけど、ぼくには理解できへんかった。ゆったり時間が流れるとかいうレベルじゃなくて…なんといえばいいのか…
Y木:監督の自己満足なんやろ?
S原:いや、それならそれで楽しめるやろ。とにかくすべてに中途半端なくせに、わかりにくくてダルイ。それに、突っ込みにくい(笑)
Y木:突っ込まれるために、映画を作ってないやろ。
S原:さあ、みなさん。三度の飯よりも山岳風景が好きな人にはおススメです。景色はキレイですが、それだけです。これは映画ではなく、山の絵葉書をカメラで写していると思ってくださーい!