S原:さあ、今回はマニア垂涎のこれ!
Y木:マニアもスルーしてるやろ、これ。
(あらすじ)
吹雪の飛行場に、7人の乗客と女性パイロットが取り残された。そこに護送中の殺人犯が2人のガードとともに到着し、乗客の間に緊張が走る!パイロットは飛行機を飛ばそうとするが、通信手段すらすべてダウンし、さらに恐怖の事実が明らかになってゆく。なんと乗客の何名かが人間の姿をした別の生物だったのだ…。
S原:この映画はですねえ、なんと、あのショーン・S・カニンガム監督ですよ!
Y木:だれ?
S原:あの「13日の金曜日」(1980)の超有名監督やがな!
Y木:あー、あの人。「13日の金曜日」だけの人やん。
S原:いやいや、ちゃんと「ザ・デプス」(1989)も監督してますよ。
Y木:しょぼいB級深海ホラーやがな。
S原:主演はこちら!なんと、あのブルース・キャンベルですよ、あなた!
Y木:だれ?
S原:あの「死霊のはらわた」(1983)の主演の人やがな!
Y木:「あの」「あの」って、うっとおしいなあ(苦笑)ブルース・キャンベルか。思い出した。サム・ライミの友達っていうだけで、映画主演した人やろ(笑)
S原:イエース!でも「マニアック・コップ」(1988)も捨てがたいよな。
Y木:知るか、そんな映画。それにしても、マニア受けするかどうかはともかくとして、このジャケットはダサいなー。なんとかならんのか。
S原:これはこれで味がある……いや、ないかな(笑)これはテレビ映画やねんけどな。いかにもな低予算やけど、内容は結構ええ雰囲気やねん。
Y木:ほんまかいな。
S原:殺人犯を護送中の警官が、風と雪で身動きが取れなくなって、田舎の小さな空港に立ち寄る。もちろん殺人犯も連れていく。空港には、数人の客もいてやっぱり雪で立ち往生している。やがて、人間の姿をして宇宙人が紛れ込んでいることがわかって…というお話です。
Y木:単純やな。
S原:こういう映画は単純でよいと思う。ちょっと単純すぎるけど(笑)でも、宇宙人の姿をなかなかみせないのは良いアイデアやで。人間が演技すれば、宇宙人の着ぐるみや特撮部分を作る予算の節約できるもんな(笑)
Y木:それはええねんけど、なんで宇宙人が紛れ込んでるってわかるの?
S原:だって、すぐに「おれは宇宙からやってきたんだぞ!」って自己紹介するもん。
Y木:なにそれ?
S原:ほんまやねんって。あと「銃なんか撃っても効かないからな!」って怖い顔をする(笑)
Y木:なんかオツムの弱い宇宙人みたいやな(笑)宇宙人が襲ってくる理由は?
S原:あーそれは劇中でも登場人物が質問してた。そしたら、宇宙人がイライラして「おまえたちがキライだからだー!」って叫ぶ。
Y木:子供か。
S原:この宇宙人はよくしゃべるから、目的とか行動がすごくわかりやすい。「この地球を征服しにきたのだー!」(笑)
Y木:おいおい、田舎の空港を襲ってるだけやろ。
S原:それも説明する。「これは予行演習なのだぞー」って。笑わないであげて。この宇宙人は本気なんやから(笑)あと手荷物検査のX線装置で、人間に化けていないかどうかチェックしたりする。ひとりずつ、コイツじゃないか?それてもコイツか…って感じで。
Y木:そりゃ「遊星からの物体X」(1982)やがな。
S原:あのままやった(笑)ま、そんな映画やった。でも結構楽しめたで。
Y木:結局、楽しんでるんかい。
S原:まずテンポがわりと良い。確かに低予算やけど、場所が限定してるからそんなに気にならない。なんといっても、人間の顔から宇宙人に瞬間変身する特撮に味がある。これはほんまやで。
Y木:味のある特撮かあ。チープなのと紙一重やな。
S原:うん。良く考えたら設定とか展開とかメチャクチャなんやけどな。まあ、正月に日本酒とか呑みながら観るのにはピッタリやで。
Y木:正月にこんな映画観るか。その年の運気が落ちるわ。
S原:さあ、みなさん。普通は絶対スルーするでしょうが、ちょっと待ってください。これは期待せずに観たら意外とイケます。今後も再評価されない映画だと思いますが、あなたの大切なライブラリーに加えて下さい。さあ次の正月のためにマストバイですよ!