あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「スーパーノヴァ」(2000)の巻

スーパーノヴァ [DVD]

S原:今回は、タイトルをみただけで「しょぼいなあ…」と思わず言ってしまうようなこの映画ですよ!

Y木:しょぼいなあ…

(あらすじ)

宇宙を飛行する緊急救助船が銀河の彼方から発信されたSOSをキャッチした。救助に赴いた一行だが、発信源は生命の存在しないはずの廃棄惑星と判明する。そこで収容された青年カールは密かに謎の"9次元エネルギー"を船内に持ち込んでいた。それは、人類の想像を超える宇宙の恐怖の幕開けだった――!

 

S原:これ、実は訳あり映画なんだとか。

Y木:訳あり?

S原:SFマニアの間では有名らしい。アマゾンによると、「ハリウッドの重鎮フランシス・F・コッポラやウォルター・ヒルらが製作に加わるも、完成を断念せざるを得なかった究極の問題作」らしい。

Y木:それは、ダメ映画のフラグがたってるなあ(笑)

S原:「監督“トーマス・リー”は、監督がもはや特定できないがための偽名クレジットである」とのこと。

Y木:アラン・スミシー方式やな。やっぱりダメ映画やん。こういうゴタゴタがあって、面白かったためしがないからなあ。で、どうやったの?

S原:変な映画やった……

Y木:まあ、そうなるわな。

S原:凝ってるとも言えるんやけどな。まずVFXというのか特撮は結構よかった。なんというかSF的な設定と演出が嚙み合っていないというか。たぶん製作者は苦労して、つじつまを合わせるだけで精一杯やったんとちゃうかな。

Y木:一応、つじつまは合ってるんや。

S原:微妙やけどな(苦笑)。あらすじは上の通り。ある星から謎の救命信号をキャッチする。そこは距離が離れているので、次元ジャンプ(ワープ?)をしないといけない。久しぶりのジャンプで、ある船員(おじいさん)の具合がおかしくなるけど、顔からびよーんと何かが出ている。なんとか助けようとする間に、宇宙船はコントロールを失い小惑星にぶつかる可能性があるとコンピューターが警告する。おじいさんも助けないといけないし、衝突も避けないといけない。でも、2つの危機ともいつのまにか解決している。まずそこが良く分からない。

Y木:たしかに、よくわからんな。

S原:そのあと、まるで危機がなかったかのように、チェスしたり、梨のブランデーの説明があったり普通に生活する場面が続く。

Y木:梨のブランデー……要る?

S原:で、さっきのトラブルで宇宙船がやばいことになっているとコンピューターに言われる。『トラブルで燃料を失った。あらためて充電するけど、そのあいだにどこかの惑星に衝突する可能性がある。充電完了と軌道変更のタイミングはギリギリで、11分間しか余裕がないのです』という説明がある。簡単に言うとかなりヤバイ状況で、失敗したら全員死ぬらしい。「おいおいちょっと待てよ」とキムタクみたいに船員たちが突っ込んでいるあいだに、小型の宇宙船がやってきます。最初にキャッチした遭難信号を発した船だと思って、回収をします。ところが、まったく関係のない男でした。訳を知っているらしい女性乗組員が、「じつは……」という感じで意味深に説明しますが、これまたよく分からない。このあたりから観ている人は置いてけぼりになります。

Y木:で、どうなるの?

S原:救出された男はしばらく眠っています。でも、すぐに目が覚めて全裸でウロウロして、さっそく女性乗組員に自分のチョメチョメをみせつけます。「わお!」と驚く女性乗組員。

Y木:ラブコメか。

S原:船長は、救出された男に改めて説明を求めます。「自分は置き去りにされた」と言いますが、船長はなにか隠しているのでは?と疑います。そのあいだに、救出された男は、他の女性乗組員に「眼がキレイだね」とか声をかけて、自分のチョメチョメをみせようとします(実際はみせない)。とにかく、この男は女好きでな。隙あらばチョメチョメのムードにもっていこうとします。「おれのことどう思う?」とか「おれのチョメチョメをみたいんだろ?」とか「ムフ♡」とか。

Y木:あだち充か。

S原:さて、ある技術者が、脱出してきた男が乗っていた小型宇宙船を調べると、なにかピカピカした物体をみつけます。そうです!これが、あの「9次元エネルギー」ですよ、あなた!

Y木:9次元エネルギーか。それは、結局なんやねん?

S原:わかりません。

Y木:おいおい。

S原:「これを持って帰れば、大金持ちだぜ!」とか「宇宙に捨てたほうがいいぞ!」とか「宇宙人の大人の玩具じゃないのか?」とか、中学生みたいな会話が続きます。やがて、このピカピカを触ったら、すごいことになるという話になります。

Y木:なんで?

S原:わかりません。

Y木:だから説明しろって。

S原:ほんまにわからへんねんって!で、9次元エネルギーは、体が若返るらしいということが分かる

Y木:若返るって?

S原:腕立て伏せが出来るようになるねん。

Y木:うそつけ。

S原:ほんまやねんって。腕立て伏せをして「すごい!」と感心する場面があるねんって。あと、手からビームがでてたわ。

Y木:ビーム……

S原:もう面倒やから省略します。結局、「9次元エネルギー」が「全宇宙が消滅する」くらいのパワーを持っている(らしい)ねん。いろいろ説明してくれるけど、全然わからんかった。要するに「すごい」ってことやな。

Y木:一応、大人なんやから中学生みたいな表現やめろ。

S原:すごいとしかいいようがないねんって。だって宇宙を消して再創造するくらいの物体やで?でも、映画を観ていると全然すごいようにみえません。

Y木:ふーん。

S原:どういえばええんやろ。とにかく登場人物がどういう人間なのか、なにを目的に行動しているのかが、ぼんやりと霞がかかったようにわかりにくい。というか誰が主役なのか、最後まで観ても分からんかった。一応、船長が主人公やと思うけど……そのくせ、無駄なヌードシーンがあるという(苦笑)やたらと、チョメチョメが好きなカップルもでてくるしな。宇宙船のコンピューターに「あの2人はずっとチョメチョメをしていますねえ」と告げ口されるくらいやから。

Y木:よくわからん。

S原:別にお互いに愛し合う設定はええけど、わざわざ描写する必要もないやろ?べつに観ているこっちも「うわ!ヌードや~!」って興奮するわけでもないし。「おやび~ん!」とか。

Y木:それは「やる気まんまん」やろ。で、ラストは?

S原:宇宙船のコンピューターと人間が禅問答をしたり、9次元エネルギーでパワーアップした男がうろうろしてセクハラしたりしているうちに、喧嘩がはじまります。宇宙の滅亡をかけた殴り合いがはじまります。気分は、「私立極道高校」ですよ!「表にでろい!」

Y木:宮下あきらか。というか宇宙やから表に出られへんがな。

S原:まあ、ドタバタしてるうちに、ピカーと光って宇宙はセーフ!船長たちも脱出してセーフ!思わず口ずさんでしまうわ。ドタバタしている変な映画さ~♪

Y木:RCサクセションか。というか、今回は例えが80年代やな。

S原:これ、特典映像で未公開場面が13もあるねん。

Y木:やっぱり製作過程で迷走したんやろうな。

S原:そういうことやろうな。別のエンディングも収録されていて、こっちは宇宙も地球も救えないことを示唆して終わる。こっちを採用してると、かなり印象は変わったはず。もしかすると、「カルトSF」になったかも……いやいや、一緒ですなあ、旦那。

Y木:自分で突っ込むなよ。

S原:というわけで、みなさん。よほどのSFマニア以外にはおススメ出来ません。ちょっと変わった映画好きなら楽しめるかも、ですが、うーんやっぱり変な映画です。どうしても観たい!という人のみレンタル、プリーズ!

Y木:…というかレンタル店にも置いてないんちゃう、こんな映画。