S原:今回は、久しぶりにこの手の映画ですよ!
Y木:またこんなんか……
(あらすじ)
宇宙人の原発制圧により人類滅亡が秒読みに迫るパニックSFアクション。外宇宙から発進したUFOが地球に向けて飛行を続けていた。そんな時、何者かによりグロズヌイの基地が制圧され、隣接する原子力発電所も同時に被害に遭ってしまった!
S原:いやはや好きな人には、たまらんジャケットですな、ダンナ。
Y木:どうせ、こんな壮大なシーンは、ないんやろ?
S原:正解でござる!ちいさな限定された場所(核施設のセット)で、ウロウロするだけの演劇みたいな感じやった(笑)ストーリーも上のあらすじ以上でも以下でもないです。
Y木:この手の映画って、いつもこんな感じの大げさなジャケットやろ。中身はショボいのにポスターだけは超大作みたいな。ある種、詐欺やと思うけどな。
S原:いや、詐欺じゃなくてアートですよアート!
Y木:どこかアートやねん。まあえええわ。それでこの映画はどうやった?
S原:は?
Y木:感想や。感想をおしえてくれっちゅうの。
S原:え、何を言ってんの?こんな映画、おもろいわけないやん。
Y木:開き直るなっちゅーの!
S原:でも、この映画は全体的にていねいに作られてるねん。この種の低予算映画のなかでは、「優等生」といってもいいと思う。
Y木:へえ。ちょっとはええところもあるんや。
S原:でもなー。最大の欠点があるねんなー。
Y木:欠点って、演出とか特撮?
S原:いやいや、演出も特撮もチープやけど、ギリギリ及第点やと思う。
Y木:じゃあええやん。どこが欠点?
S原:主演男優がなあ…………村上春樹に似てるねん。
Y木:えー……(絶句)
S原:ほんまやで。
Y木:あんな覇気のない「とっちゃん坊や」みたいな奴?
S原:ひどいな、あなた。ファンに怒られるで。いやーこの俳優は、オリヴィエ・グラナーという人なんやけどな。ちゃんとアクションも出来る人みたいやねん。むだに訓練シーン(目隠しで銃を撃つ練習)とかあるから、アクションを売りにしたかったんやろうな。
Y木:わかるけどな。
S原:映画では「どう?かっこええでしょ?」「そろそろドルフ・ラングレンも飽きたでしょ?」「さあ、次のアクションスターはオリヴィエで決まりさ!」という演出されてるねん。
Y木:ふーん、それでええやん。
S原:いやいやいや、村上春樹やで?いくら春樹が、かっこよく決めポーズしてもなー。激しい銃撃シーンでも、「おいおい、あんた小説家やろ」「しょせんジャズ喫茶の親父やん」と突っ込んでしまうねんなー。
Y木:おまえこそ、ファンに怒られるで。それにしても、そんなに似てるんかいな?
S原:いや、よく見るとそうでもない(笑)でも、なんか「脳内変換」してしまうねんなー。
Y木:そりゃ、おまえが悪いんやないか。
S原:テヘッ!
Y木:きもいわ。それで、エイリアンの造形とかはどうなん?VFXとかは?
S原:まあまあかな。でも、透明になったり他の人間に擬態できる宇宙人で、そこはちょっと面白かったで。でも攻撃がしょぼい。みんなで宇宙人に向かって銃を撃つだけ。バカの一つ覚えみたいに、延々と銃を撃つ(笑)
Y木:あかんやん。
S原:まあこういうところが、イマイチみんなの心をつかめない理由やろうな。
Y木:もう、企画段階でどうやってもみんなの心をつかめないと思うけどな。
S原:さあ、みなさん。村上春樹が銃を撃ちます!飛び蹴りします!エイリアンにパンチします!もう村上小説に飽きた人は、ぜひこの映画を観てください!春樹の新しい魅力を感じますよ!
Y木:感じへんわ。
S原:あ。これから村上作品を映画化するときは、このオリヴィエ・グラナーを主演にしてください。「海辺のカフカ」とかどうですかー?
Y木:あれは少年が主人公やっちゅーねん。というか、こんな奴を主役にせーへんわ。陰気臭い小説が、B級アクションになるやないか!
S原:はー…
Y木:なんやねん。
S原:やれやれ。
Y木:それが言いたかっただけやろ!