あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「Mr.タスク」(2014年)の巻

Mr.タスク [レンタル落ち]

S原:今回は、セイウチに改造されちゃう映画を紹介します。
Y木:うわー…嫌やなあ…

(あらすじ)
ポッドキャストを運営するウォレス・ブライトン(ジャスティン・ロング)は、取材でカナダを訪れる。とあるバーに立ち寄ったとき、航海の話を聞いて欲しいという元船乗りの老人がいることを知り、彼の家を訪ねることに。老人はハワード・ハウ(マイケル・パークス)と名乗り、手厚いもてなしを受けるウォレス。ハワードが体験した壮絶な航海の話を聞きながら紅茶に手を伸ばすが、それには睡眠薬が含まれていて、たちまち気を失ってしまう。目が覚めると車椅子に縛り付けられており、さらには足の感覚がなく、パニックになるウォレス。そこでハワードは「これから君はセイウチになるんだ。“Mr.タスク(キバさん)"」と告げる・・・

S原:実はぼくは、こういう映画は初体験やったのよ。
Y木:へえ、好きそうやのに。
S原:少し前から、こういうタイプの映画ってレンタル屋さんに置いてるやん。体の一部を武器にする「武器人間」(2013)「兵器人間」(2013)、ウサギに改造される「バニーザキラー」(2015)、極め付きは「ムカデ人間」(2009)やろうな。人間をムカデみたいにつなぎ合わせるんやけど、シリーズ化されてるくらい人気がある。予告編でもはっきりと写せないくらいの気持ち悪さみたい(笑)
Y木:ワゴンコーナーにありそうやのに、おまえがスルーするなんて(笑)
S原:いやー気持ち悪くて、ちょっとなあ…(苦笑)ムカデ嫌いやし。でも「ムカデ人間」なんかは、マニアの間では、すでにカルト作として有名になってるみたい。ぼくとしてはセイウチが精いっぱいやわ。
Y木:セイウチも気持ち悪いやん。
S原:うん、気持ち悪かった。でも、そういう気持ち悪さを体験する映画やから、一応。
Y木:映画そのものはどうやった?
S原:それが意外としっかりと作ってて、ちょっと驚いたわ。なんというか、丁寧な作りというか。
Y木:へー、こういうB級映画としては珍しいんとちゃうの?
S原:うん、そう思う。ただ難しいのは、『丁寧に撮っている=ややテンポが遅い』という風になってしまっているのが残念やねん。1シーン1シーンきちんと撮ってるし自然なんやけど、どうしても会話の場面が長くなってこの手の映画には必要のない「生真面目さ」みたいな雰囲気が漂うねんな。
Y木:あー、勢いみたいなものがないってこと?
S原:そうやな。でも自分でもワガママやと思うわ。
Y木:わがまま?
S原:だって普段はワゴン映画に対して、「雑な作りやわー」とか「もっと丁寧に撮れよー」とか突っ込んでるくせに、いざ丁寧な作りのワゴン映画をみると「勢いがないわー」「なんか生真面目でおもろないわー」と突っ込むという(笑)
Y木:たしかに自分勝手やなー。これ、ストーリーは単純なんやろ?
S原:うん、単純。少しストーリーを話すと、主人公(ウォレス)は、ネットラジオのDJやねん。友人と2人で番組を作ってるねんけど、この手にありがちな話やけど、過激でSNSで話題になりそうなネタを探してるねん。あるときに、「KILL BILL」のマネをして真剣(日本刀)を振り回して、(事故で)自分の足を切り落とした少年の動画を、2人で大笑いしながら紹介する。「こいつバカだぜ~」って感じで。
Y木:悪趣味やなあ。
S原:そうやねん。ネットラジオで「こいつに会いに行こうぜ!」って盛り上がって、ウォレスがカナダに会いに行くねん。ところが、その少年はネットで晒しものになったから自殺してたのよ。
Y木:うわー…かわいそうに。
S原:普通は「かわいそう」と思って反省するんやけど、主人公はガッカリする。だって、ネットラジオのネタが無くなったから。
Y木:なんか最低な奴ちゃう?
S原:うん。主人公は、たまたま入ったバーのトイレで奇妙な張り紙をみつける。老人が「いままでの人生で、いろんな経験をしてきた」というようなことが書いてあって、興味がわいて会いに行く。もちろんネットラジオのネタのためやで。立派な屋敷で、老人は丁寧な対応をしてくれるねん。紅茶をのんでるといつのまにか眠ってしまって…
Y木:あとはお約束やな。セイウチに改造される、と(笑)でもなんでセイウチ?
S原:なんか、この老人がはじめて心の交流をしたのがセイウチらしい。
Y木:知らんがな。心の交流はええけど、なんで他人の体を改造せなあかんねん。
S原:その理由は良く分からん(笑)そうこうしているうちに、心配した恋人とネットラジオの相方DJがカナダまで探しに来る。カナダで私立探偵を雇って探すねんけど、この探偵役がなんとジョニー・デップ
Y木:えー!なんでこんな映画に出るの?
S原:わからん…ちなみに、相方のDJ役はハーレイ・ジョエル・オスメント。あの「シックス・センス」(1999)とか「A.I.」(2001)の子役ね。当時ファンだった人は、いまの姿をみないでほしい。悲しくなるから(笑)
Y木:なんで有名な人たちが出演してるんやろか。ヒットすると考えたんやろか。
S原:やっぱり本人たちも好きなんちゃう?(笑)内容に話を戻すと、老人は気が狂ってるねんけど主人公の改造だけは律義に実行する(笑)主人公は、舌を抜かれて話は出来ない。両方の腕を脇腹に縫い付けられて、セイウチスタイルになってる。口には牙まであるねんで。
Y木:牙?
S原:主人公の大腿骨で作った牙やねん。そのために、両足を切断してます。
Y木:うげー、ほんまに悪趣味…
S原:そのあと、主人公に「ほら、生の魚を食べるんだ!」と強制したり、プールで泳ぎの練習をさせたりするねん。自分もセイウチの着ぐるみをきて、主人公とプールで戦うねん。お互いに必死です!
Y木:意味が分からん。
S原:やがて、私立探偵と恋人と友人がついに主人公を見つけると、ジャーン!セイウチ人間が老人を殺すところでした…
Y木:イヤな映画やなー…そこで終わり?
S原:1年後、主人公は動物の保護施設にいます。セイウチとなった主人公に恋人は会いに来ます。そして、主人公は涙を流して、おしまい。
Y木:うわー、最後までイヤな映画やな。
S原:一応、軽いどんでん返し的なものもあるけど、あとはご自分でお確かめくださいませ。
Y木:いやーこのブログをみて、この映画を観ようと思う人がどれくらいおるんやろか。
S原:さーみなさま。簡単に言うと、狂っている老人と人体改造の気持ち悪さを観る映画です。たぶんテレビ放映も出来ないと思うので、そういうのが好きな人にはおススメですよ!でもセイウチが苦手な人はトラウマになるので、見ちゃダメ!
Y木:それにしても…世の中にはいろんな映画があるなあ…
S原:ほんまにな。世の中は広いで…(苦笑)