あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「ねじりん棒」(2004年)の巻

ねじりん棒 [レンタル落ち]

Y木:ねじりん棒?雑巾?

S原:それは「あしたのジョー」。こっちは、散髪屋のクルクルまらわるカラフルな棒のことやな。

 

(あらすじ)

散髪のためとある理髪店に入った新米タクシードライバーの井村。おしゃべり好きな店主と話が弾み、思わずとっておきの自慢話を始めてしまう。それは数日前の真夜中のこと。ホテルの前で若い女・美咲を乗せた井村。男に殴られ逃げてきたという女は、部屋に財布を置き忘れたことに気づき、仕方なく井村は彼女の自宅まで乗せる。ところが自宅に着いてみると、あるはずの現金は、旅行中の夫が持って行ってしまったとのこと。すると美咲は突然、“あたしとタクシー代と、どっちがほしい?”と井村を誘惑し始めるのだったが…。

 

S原:この映画は、結論から言うと、なかなか面白かった。

Y木:正直に言うと、ジャケットみるとイマイチ感があるけど…(苦笑)

S原:そうやねん。この映画(DVD)はジャケットでかなり損してる。もっと良いデザインにすればこの映画はもっと知られてたかも、と思うけどなあ。

Y木:上のあらすじを読むと、話術というか落語みたいな感じやけど?

S原:落語…でもないかな。でも、理髪店で客と店主が話しているだけの映画やから、登場人物も場面も少ない。今回は、それが功を奏したと思う。

Y木:へえ、そうなんや。

S原:主役は、タクシー運転手の斎藤歩。彼を誘惑するのは夏生ゆうな。理髪師役は、石橋蓮司。ほかに脇役で、角替和枝ベンガル島田久作。登場人物はこのほぼ6人。結果として、斎藤歩と夏生ゆうなの2人を芸達者たちがサポートする感じで、すごく安心して観れるようになったと思う。

Y木:タクシー運転手がドタバタに巻き込まれるっていう話?

S原:そうそう。些細なことがどんどんおかしなことになっていく、というパターンやな。もう少しぶっとんだ方向に行くかと思ったけど、意外とそうでもなかった。でも、斎藤歩と夏生ゆうなの2人は、かなり良かったな。斎藤はトラブルに巻き込まれていく情けない顔がよく似合っているし、夏生も話の流れでどっちにでも転がるような役に存在感を与えていたと思う。

Y木:ヌードもあるみたいやな。

S原:あるよ。やたらと激しいわけじゃないけど、意味のないヌードじゃないし、よく頑張ったと思う。

Y木:なんで上から目線?(笑)

S原:いやー、女優が脱いで頑張っていると応援したくなるねんなー(笑)とにかく、2人は良い組み合わせやった。

Y木:おまえ、このマイナー日本映画特集では、やたらとキャスティングのことを言うなあ。

S原:いや、今回かなりの数を観て、つくづく思ったんやけど、やっぱりキャスティングは大事やで。

Y木:あたりまえやがな。

S原:そうなんやけど。あ、これはまた総括の巻で話をするわ。

Y木:えー、また総括するの?もうえええで。そうでなくても20本もあるのに…

S原:まあまあ。楽しみにしている人もおるんやから。

Y木:おらんわ。まあそれはええとして、この映画は、結局どういう話なん?

S原:理髪店で、自分が経験したちょっとお色気含みの不思議な話をする。はじめは、あまり乗り気でなかった主人公も、理髪師とどんどん盛り上がって話が続いていく。あまりに非現実的になっていくので、本当かどうか理髪店の店主や客に疑われるねん。

Y木:非現実って?

S原:上のあらすじのあとに、主人公の話が続いていくねん。女性の愛人が家に来たり、女性とベッドイン寸前になったり、タクシーをレッカー車で持っていかれたり、女性がSM嬢のように豹変して主人公を責めたり…という風に話が脱線していくねん。

Y木:散髪しながら、それを話すわけやな。ちょっとフランス映画っぽいかな。

S原:あ、すこしそういう要素もあるかもな。

Y木:(DVDの裏をみて)「抱腹絶倒!大人のブラック・コメディ」と書かれているで?

S原:うーん。ブラックコメディとまでは言えんかな。たとえばコーエン兄弟とか、話がどんどんメチャクチャになっていくブラックな展開とかが上手いやん?

Y木:あー「ビッグ・リボウスキ」(1998)とか好きやなあ。

S原:あのニコラス・ケイジが変態役でボウリングするやつな(笑)あと「ファーゴ」(1996)とか上手かったやろ。あそこまで、ウェルメイドなのはさすがに難しいと思うけど、もう少しああいう感じが出ればなあ…と惜しい気持ちはあるで。

Y木:弾けていないというか、こじんまりとしている感じ?

S原:どこまで弾けるのか難しいと思う。このへんで小さくまとまったほうが、逆に「佳品」みたいな雰囲気も出るし……うーん、自分で言っておきながらなかなか難しいな(苦笑)

Y木:ふーん。監督は、どういう映画を目指したんやろ?

S原:たぶん、観ていてクスッと笑えて、地味でも印象に残る、そんな映画を目指したんとちゃうかな。白黒画面を使ったり凝った部分もあるしテンポも結構良いし、最後まで飽きずに観れるのは間違いないです。

Y木:それやったら、(映画としては)十分やん。

S原:そう思う。撮影日数も制作費もなかったやろうし、よく頑張って仕上げたと思うで。

Y木:だから、なんで上から目線?(苦笑)

S原:テレビドラマみたいという突っ込みをする人もおると思うけど、こういう映画もありやと思う。

Y木:ラストは?

S原:これは言いたくないなー。

Y木:えー、そうなん?

S原:いつもなら、ネタバレおかまいなしに話すけどな。このブログを読んだ人に機会があれば観てほしいので、お楽しみにしておきます。

Y木:まあええけど、今回のトークで観たいと思う人が、果たしてどれくらいおるのか…?

S原:上手く紹介できなくて申し訳ない(笑)言い訳するわけとちゃねんけど、ちょっと話しにくいタイプの映画なのは間違いないねん。

Y木:観ないとわからんってことか。

S原:イエース!さあ、みなさん。地味な映画ですが、あらすじと役者をのんびりと味わうタイプの映画です。斎藤歩と夏生ゆうなのファンは観て損はないでしょう。ちょっといつもと雰囲気の違う映画を楽しみたい人も、マストバイですよ!