あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「THE ROBO TRIBE ロボ一族」(2004年)「ペットおやじ」(2005年)の巻

THE ROBO TRIBE ロボ一族 [DVD]

ペットおやじ [DVD]

 

S原:今回はこの2本立て!

Y木:うわ、超マイナーな匂いがプンプンするぞ…

 

(ロボ一族のあらすじ)

最新CGを用いてロボと人間のピュアな愛を描いた痛快アクションラブコメディ。時の権力者たちに化学兵器として利用されながら生き残ってきたロボ一族のミコは、自分の正体を恋人に明かせず別れを告げる。そんな中、何者かの魔の手がミコに忍び寄る。 

 

(ペットおやじのあらすじ)

人がペットとして飼われる一風変わった世界に生きる中年男の悲喜こもごもを描いた哀愁ドラマ。ある日、ひとりの中年男が家庭を捨てて家を飛び出し、拾われた家庭でペットとして飼われることに。やがて、彼を取り巻く一家の環境に変化が現われ始める。

 

Y木:これは、なんかすごそうやな…

S原:ぼくも中古屋さんでみつけたときに、買おうかどうかかなり悩んだんやけど、このブログのネタ集めと自分に言い聞かせて結局買ってしまった…そして家に帰ったら、うちの奥さんに見つかって「なんでこんなしょーもないDVDを買うんよ!」「鶏肉も安いムネ肉ばっかり買ってるのに!」って怒られた(ため息)

Y木:そりゃ、奥さんが正解や。

S原:まあな。それにしても、この2本はなあ…自主映画というのか…監督もスタッフ、キャストもほとんど同じなんやけど、かなり違う作風やったな。

Y木:監督はだれ?

S原:マキノトクシローという人。

Y木:知らん。

S原:ぼくも知らんかった。というか、この監督を知ってる人は相当なマニアちゃうやろか。

Y木:やろうな。でも映画が面白ければマイナーでもメジャーでも別にええやん。まず「ロボ一族」からいこか。どうやった?

S原:よくいえばシンプル、悪く言うと稚拙…かな。

Y木:やっぱりかー。

S原:もとは舞台とか自作の小説なんかなあ。ネットで調べてもほとんど情報がでてこないからわからん(苦笑)全体的にセリフもすごく硬いし、演出も無骨といえばいいのか…

Y木:不自然ってこと?

S原:そうやな。演出がぎこちないというか。設定はシンプルで面白いし、主人公の女子高生(深谷愛)も結構ええ味やねん。ロボット役と言っても、パフォーマンスで、ロボットの動きをするだけ。そこが面白いともいえるし、全体的にチープ感が漂っているともいえる。

Y木:そりゃ低予算やから。

S原:いや予算の関係じゃなくて、演出とか作風やと思うわ。だって、もう一本の「ペットおやじ」も低予算やけどチープな感じはしないから。それはええとして、ちょっとずつ、コメディとしてのお笑いポイントも外れてるのが残念やねん。

Y木:例えば?

S原:男性型ロボ(兄弟)の乳首からビームがでるとか、仕事中にバッテリーがきれてカクカクな動きになるとか、眼から光線が出るとか…

Y木:それは…とくに笑えないかも…

S原:ええシーンもあるねんで。主人公は恋をしてるねんけど、ロボットやから彼氏との今後の付き合いが上手くいかないってことが分かっている。でも恋愛感情は止められない。彼氏の前で「わたしは普通とは違うんです」と、ポロリと泣くシーンなんか、なかなか良い味やねん。でも、この場面はもっとよくなるはずやから、ちょっともったいない。

Y木:でもロボットってことを、周りに人にバレるんとちゃうの?

S原:いや、普段は生身の人間のふりをしているからバレない。でもたまにロボット風の動きになるから、バレそうになる。でもとくにハラハラドキドキせんかったな。

Y木:なんやねん。じゃあロボットである意味はないやん。ロボットならでは、の場面はないの?

S原:あるで。ロボットは力が強いから、女子高生でもケンカが強い(笑)パチンコも勝つし、麻雀も強いねん。

Y木:麻雀…つっこむポイントなんやろか。

S原:わからん(笑)一応、映画としては女子高校生と彼氏のラブストーリーが軸になってるねんけど、さっきも言ったけどあんまり上手くない。というか、女子高生の彼氏って、もう大人やねん(苦笑)あかんやろ、モラルとして…

Y木:さすがにエッチなシーンはないんやろ?

S原:ない。でも彼氏がおっぱいを触ったら、銀色の乳房カップが取れるとか、太ももに見とれているとコンセントがでてるという場面はあるで。

Y木:うーん、なんだかなあ…

S原:低予算と言う意味では、これよりも低予算な映画はあると思うねん。でも、これだけ演出が安っぽい映画は珍しいかもしれない。

Y木:学生映画のノリ?

S原:そうやな。学生の自主映画って、勢いとかぶっとんだ部分があるやん。そういう部分を抜いて、水で薄めたような不思議な映画やった…

Y木:ラストは?

S原:結局、変なグループ(ゲリラ?)に追いかけられた主人公が、なにもかもが嫌になって、やけくそで赤いロケットに変身します。

Y木:え?

S原:ロケットの胴体に丸くくりぬいた部分があって、顔だけでてます。

Y木:ここは笑うところなんやろうな…

S原:そのまま空にロケットが飛んでいく。彼氏もロケットになって追いかけます。2台のロケットは、やがて宇宙に飛び出す。そして、おしまい。

Y木:よくわからん…

S原:なんというか全く知らない俳優たちが、変な言い回しでセリフを言って、たまにロボット演技をする。それ以上のものがないから、余計に物足りなくなる…そんな映画やった。DVDにはメイキング特典もあって、、和気あいあいと撮影してるんやけどな。

Y木:やっぱり学生映画のノリやないか。

S原:どうも出演者たちは、プロ俳優じゃない人もおるみたい。あと途中で、すごく立派な屋敷でロケしてて、「すげえ屋敷やなあ」と感心してたら、「ナイスリフォーム」という雑誌をだしている会社が出資してた。ロケ地を提供してもらったのね(笑)

Y木:わかりやすいなー。もう1本の「ペットおやじ」は?

S原:ぼくは、こっちのほうが良かった。ストーリーのリズムも良いしな。

Y木:オッサンをペットとして「飼う」ってこと?

S原:そうやねん。この映画では、オジサンが室内犬みたいに「ペット」として飼われたり、売買されたりする設定やねん。

Y木:これは…コメディ?

S原:うーんコメディなんやけど、大笑いする感じではないかな。ちなみにDVDのジャケットには『ちょっぴりふざけたタイトルですが、真面目で哀愁たっぷりの作品になりました』と書いてある。

Y木:「真面目で哀愁たっぷりの作品」になってたの?

S原:いや、なってなかった…(笑)でも、そんなに悪くないと思ったで。

Y木:ペットショップでオッサンが売られてるんやな?

S原:その通り。ペットショップの端でオジサンが並んでるねん。そこで、4~5人のオジサンが「ワン!」「アウ!」とか鳴いて、お客さんに買ってもらおうとするねん。値札の横に「本当はシャイです」「当店では渋さナンバー1」とかPOPがはってある(笑)

Y木:いくらするの?

S原:12万から70万円くらい。

Y木:高いなあ。いや安いんかな…というか人身売買やがな!(笑)

S原:そうやな。

Y木:設定は、なかなかシュールやなあ。筒井康隆の小説みたい。

S原:主人公は、ある家族(夫婦と小学生の娘)に買われていく。ジョンと名付けられて一緒に暮らしていく、という話やな。

Y木:ちょっとフランス映画みたいやん。

S原:フランス映画のコメディみたいになってると、「大化け」してたかもれん。でも、なんかあと一歩でいろんなものを逃してる感じがして惜しいねん。

Y木:それこそ、予算の関係もあるんじゃないの?

S原:うーん、2本とももちろん低予算やけど、完成度と予算が多いか少ないかは比例しないと思うけどな。だって、フジテレビとかジャニーズの映画って、予算はかけてるけど、完成度の低い映画ばっかりやん。

Y木:比較対象が違うような気がするけどな。ペットとして住む家でも、「ワン」とか返事して犬みたいな生活するの?

S原:いや、ふつうに人間として生活する。口を利けないわけでじゃないねん。ふつうのオジサンが、ただ大人しくしているという感じかな。家では、「ペット」やから黙ってるってことやな。

Y木:じゃあ、ただのオッサンと一緒に住むだけ?

S原:そうやねん。だから、一緒にご飯を食べたり、公園で遊んだりする。あーそうそう、「野良おやじ」もおってな。

Y木:野良おやじ?

S原:サラリーマンとか嫌になったオジサンが公園とかにたむろしてる。

Y木:ホームレスやないか。

S原:この世界では「野良おやじ」やねん(笑)主人公のペットおやじは、家では食器洗いとかするから家政婦みたいな部分もあるし、旦那から(妻を女性としてみていると)嫉妬を受けて、怒られたりする。

Y木:なんか昔の奴隷みたい。やっぱり人身売買や。

S原:それも暗喩としてあると思うで。

Y木:おお、じゃあ「ロボ一族」よりも意味深な映画やん。

S原:「無理して深読みしたらそうみえなくもない」というレベルやけどな(笑)いろいろあって、ペットおやじが主人の前で路上でギター1本で歌う。タイトルは「青春のゆくえ」。渋い歌声ですが、急にミュージックビデオみたいになって違和感ありまくりです。

Y木:どこかに、この曲を挿入したかったんやろうな(笑)

S原:最後のほうで、主人がサラ金からお金を借りてることがわかってな。それがきっかけで家計が苦しくなって、結局主人公(ペットおやじ)は捨てられてしまうねん。

Y木:捨てる?

S原:山の中に置いてけぼりにされる。それでおしまい。

Y木:かわいそうに。

S原:姥捨て山のイメージもあるけど、あまり陰湿にならないように撮ってた。そこはよかったけどな。

Y木:かなり変わった映画みたいやな。

S原:そうやな。さあみなさん、2本とも変な映画です。でもメジャー作品にはないような、ちょっと一風変わった映画を観たい人、監督の個性がにじみ出ている映画を観たい人にはおススメです。チープな感じの映画が嫌な人は、通り過ぎてください。変な刺激のある映画なのは間違いありませんので、同じ毎日で疲れたあなたにピッタリですよ!でも、観たからと言ってリフレッシュとかはならないと思いますので気をつけてくださーい!

Y木:うーん、今回はかなり微妙やなあ…