あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「RUN3」(2009年)の巻

RUN3 [DVD]

 

S原:今回はこちらですよ。

Y木:また、だれも知らんような映画をみつけてきて…

 

(あらすじ)

普通のサラリーマン風間(渡辺大)は、バッティングセンターで出会った尾形(風間トオル)に勝負を持ちかけられる。帰り際、尾形の忘れ物に気づき後を追いかけると、暗闇に浮かび上がる二人組の男と倒れた尾形の姿が。慌てて逃げ出し交番に駆け込むが、追っ手に阻まれ夜の街へ逃げ惑うはめに。元彼女の小夜(山本博子)まで拉致され、あての無い暗闇を彷徨う風間。なぜ追われているのか?理由を知るため尾形が待ち合わせをしていた京子(青田典子)と連絡を取るが…風間と小夜を待ち受ける運命とは?!

 

S原:この映画はですねえ……全然面白くないです。

Y木:そうやろうな。

S原:以上。おしまいです。

Y木:おいおい、もうちょっと話してくれよ。

S原:いやー参ったなあ……(ため息)

Y木:下手な映画ってこと?

S原:いや、下手ではない…かな。

Y木:物語や設定が破綻している?

S原:いや、破綻はしていない…と思う。

Y木:じゃあストーリーはわかるのね?

S原:一応…わかる。

Y木:登場人物たちの行動もわかるのね?

S原:だいたい…わかる。

Y木:ラストもちゃんと終わるのね?

S原:とりあえずは…終わる。

Y木:でも、おもろないのね?(笑)

S原:イエース、ザッツライト!!なんかもう、ほんまにおもろないとしか言いようがねんって!

Y木:サスペンス、ミステリー系なんやろ?

S原:一応、そうなんやけどな。主人公(渡辺大)は、普通のサラリーマンなんやけど、バッティングセンターで出会った男(風間トオル)に賭けを持ちかけられるねん。どっちがホームランを打てるか勝負しようとか、そんな賭けやったかな。

Y木:なんかミステリーゾーンの出だしみたいやん。

S原:でも、その賭け自体には意味がないねん。

Y木:なんやねん、それ。

S原:勝負がつき、帰ろうとした主人公は、男が置き忘れた紙袋に気づく。あわてて主人公は男を追いかけるけど、男は怪しげな2人組の男にいきなり銃で撃たれてしまうのを目撃してしまうねん。主人公は、紙袋をもったまま怖くなって逃げるねん。2人組の男たちはもちろん主人公(というか紙袋)を追いかける、というのが出だしです。

Y木:ベタやけど、普通の展開やん。

S原:ここからが変やねん。主人公はすぐに警察(交番)に行く。でも、そこにも追跡してきた男がやってきて、あっという間に警察官を殺してしまうねん。

Y木:えー。

S原:それがいつのまにか、主人公が警官を殺した容疑になって、大ニュースになるねん。それも、すぐに実名報道で指名手配やねん(苦笑)主人公は夜の街を逃げつづける…果たして真相は…?そんな展開で、それはええねんけども、なんで警察がすぐに『主人公が警官殺しの犯人だ!』と決めつけるのか、よくわからんねん。

Y木:うん?

S原:映画では「主人公が追いかけられる事態」に対して、観客が納得する説明というか必然性がないから、主人公がいくら必死の形相で逃げても「いやいや、あんた、悪いことしてないんやから、落ち着いて警察に事情を話せばええやん?そうやろ、な?」と不思議に思うだけねん。

Y木:えーそれって致命的じゃない?

S原:そう思う。ハリウッドでも邦画でもこんなストーリーはいっぱいあるやん。でも大抵、「無実の罪ではめられて」「逃げながら真相を探る」という感じやろ?それに「説明をしようとしても聞いてくれない」「どんどん主人公に不利な状況になっていく」というのが、ハラハラドキドキの要素やん。要するに、この映画の主人公は、ほんまに偶然にまきこまれるだけやから、逃げる必要なんてないねん。

Y木:主人公は、事件とは別に警官に聞かれたら困るような隠し事があるんとちゃうの?

S原:いや、べつにない。

Y木:発作的に警察を撃ってしまうとか?

S原:いや、そんなことせえへん。

Y木:昔に犯罪歴があって、警察に偏見があるとか?

S原:いや、いたってマジメな青年。

Y木:なんやねん、それ。

S原:だから、珍作なんやって!いやー、ほんまに警察の対応も疑問だらけでな。捜査する刑事たちも『主人公が逃走するのにはひょっとしたら理由(事情)があるんじゃないか?』とか一切疑わないねん。大体、交番の中って防犯カメラがあるやろ?それを観れば、主人公が犯人じゃないってわかるやん(苦笑)

Y木:まあな。

S原:刑事はなかなか主人公を捕まえられないから、上司に向かって「だいたい、犯人の考えてることなんてわかるわけないでしょ!」と逆切れしたり、パトカーに乗りながら「くそー!おれがあいつを捕まえてやるー!」って感じで捜し続ける。

Y木:キャッツアイか。

S原:なんか頭がよくないというか、単純というか、ただひたすらパトカーを何台も出動させて、夜の街を大騒ぎして主人公を走って追いかけるだけ。こんなんで作品が面白くなるわけがない…

Y木:主人公を追いかけるやつらは、どんな感じ?

S原:警察同様、どんくさい奴らばっかり(笑)やたらと銃を出すし、顔もかくさずに登場するし…だいたい、主人公が乗っているタクシーに向かって発砲するんねんで。タクシー運転手は関係ないから、こんなことしたら余計に警察に追われるし、(重要で秘密らしい)紙袋を主人公から取り戻されへんやん。やることにまったく説得力がない(笑)

Y木:ひたすら追いかけられるだけ?追いかけている奴らとの接点もなし?

S原:紙袋に携帯電話がはいっていてな。そこに犯人からの連絡が入るねん。『おとなしく紙袋を渡せ』とか『こっちの言うことを聞かないと、恋人を殺す』とか『〇〇へむかえ』とか指示される。それはええねんけど、その声が、音声を変える機械(ボイスチェンジャー)で聞こえてくるねん。これが、誘拐コントとか、昔の刑事ドラマで使われてた音声変換とまったく同じ(苦笑)

Y木:学生の自主映画みたいな、わかりやすさやな。ところで、主人公が持っている紙袋は?ミステリーの要素は?謎解きとかあるんやろ?

S原:さっきも言ったけど、紙袋に携帯電話とか入っていてこれが犯人たちとの通話手段なんやけど、どうもこの携帯の中に「データ」が入ってるみたい。でも、なんかそれもよくわからん…(苦笑)殺された男の恋人だったらしい女性(青田典子)と(殺された男が持っていた)携帯で話すけど、いまいちかみ合わへんねん。主人公は「なぜ追われてるのか?」「追ってきている組織は何なのか?」としつこく聞くねんけど、そんなもん昔の恋人に聞いてもわかるわけないやろ?(笑)案の定「知りません。警察に相談したらどうですか?」と言われてしまう。

Y木:あたりまえやがな。

S原:まあそのときに、1つだけわかったことがあるねん。要するに、殺された男はジャーナリストで「やばいネタ」をもってたらしい。それが原因で殺されたんじゃないか?、ということやな。携帯の中の「データ」は、そのネタってことらしい。

Y木:あーやばいネタ、というと政治家のスキャンダルとか、そういうネタね?

S原:いや、とくに最後まで説明はなかった。

Y木:なんやねん、それ。

S原:ここは説明的でもええから、どんどん謎解きをしてもらわないとな。

Y木:なんか良いところがないなあ。

S原:たぶん、それなりに金はかけてるねん。ちゃんと夜の東京のいろんな場所でロケしてるし、警官もパトカーもたくさん使っている。これを観たら、もっと低予算で苦労している映画監督たちが怒るで。この映画は60分強しかないねん。でも長く感じた…(ため息)しかも、ネット上でも感想やレビューは見つけられなかったけど、ひょっとしてこの映画の感想を書いているのは、この広い世の中で僕ら2人だけやろか?

Y木:かもな(失笑)

S原:最後はなんか早朝のどこか(お台場?)で犯人たちと対峙するけど、結局撃たれて死んでしまう。でも、大丈夫です。その前に恋人に秘密(今回の事件の真相がはいったデータ)を転送しておいたから、ね♡

Y木:なんやねん、そのラスト。

S原:こんなん、どんでん返しとも言えない……いやー参ったなあ。ほんまに褒めることろがなくて申し訳ないですが、みなさん、レンタル落ちワゴンセールコーナーでみつけても、スルーしてくださいませ…

Y木:世の中にはいろんな映画があるねんなあ…(遠い目)

S原:ほんまになあ…(遠い目)