あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「稲妻ルーシー」(2004年)の巻

稲妻ルーシー [DVD]

 

S原:今回はこれです。

Y木:また、こんな変な映画を見つけてきて…(ため息)

 

(あらすじ)

ルーシーはしっかり者の妹・アンに、度を越したイタズラを仕掛けては怒られている。そんな折、ルーシーはスカウトのフランキーに道で声をかけられる。しかし、交番に駆け込んで「ストーカーに狙われている!」と訴え、フランキーは逮捕されてしまう。しかしタレントになることに興味津々の彼女は、フランキーの名刺を頼りにタレント事務所を訪ねて自分を売り込むが、相手にされない・・・

 

S原:まえに「ロスト・マイウェイ」っていう映画を取り上げたのを覚えてる?

Y木:あーアレックス・コックス風の変な映画やったけ?

S原:そうそう。あれは「ワラ番長シリーズ」のなかの1本やったんやけど、これもそのシリーズの1本やねん。ちなみにあと1本は「独立少女紅蓮隊」ね。

Y木:知らんわ、そんな映画。

S原:いつか「独立少女紅蓮隊」も観たいと思ってるんやけどな(笑)世の中の大半の人は、3本とも知らん映画やろうな…いつも言うけど、マイナーなのは全然ええねん。面白かったら、なんでもええやろ?

Y木:そうやけど、この映画はおもろかった?

S原:いや全然面白なかった。

Y木:あかんやないか。

S原:まず、いかにもな感じのアニメと音楽でオープニング。このへんまではええねんけど、ストーリーらしいストーリーがないねん。ストーリーよりも、主人公のキャラクターでぐいぐい引っ張っていくタイプの映画やねん。

Y木:なるほど。

S原:主人公は佐藤仁美が演じるルーシー。最初の場面では、自分の下着と妹の下着に自分の名前をマジックで書く。理由は「間違わないように」。たぶん、ここはクスリと笑う場面です。

Y木:笑えんな。

S原:このルーシーは、クールと言うか無表情と言うか、淡々としていて、とにかく弾けないねん。

Y木:ぶっとんだ感じのキャラじゃないの?

S原:たぶんそういうのを目指したと思うんやけど珍妙な感じがするだけやった(笑)

Y木:うーん、それはきついな。要するにスラップスティック・コメディ風の映画を目指してるんやろ?

S原:そうそう。でも、とくにドタバタせえへんしな。それに、どことなく佐藤仁美がやや暗い影があるねん。

Y木:あかんやろ、そんな主人公は。

S原:ルーシーは「棒読みのセリフ」やねん。これはわざとやと思うねんけど、この演出も果たして良かったのかどうか…

Y木:あんまりええ所がない映画みたいやな。

S原:そうやな。インディーズと言うか、こういう映画は応援したい気持ちはあるんやけどな。ちょっとこれはな…

Y木:結局、どんな話?

S原:ルーシーは、ひょんなことから女優のオーディションを受けるねん。

Y木:女優になりたいの?スターになって、お金儲けが目的?

S原:うーん、お金が欲しいという場面はあるけど、なんかよく分らんなー。まあオーディションを受けるねんけど、ほかの女優志望も応募してきてるやろ?そういう女性を邪魔するねん。緊張している女性に落ち着く薬やからと毒薬を渡す(泡を吹いて卒倒する)とか、車いすの女性(これも女優志望)を、オーディションに参加できないように遠方に連れて行って放置するとか。

Y木:なんか陰険やな。

S原:映画の中盤では、ルーシーは公衆電話を使う。長電話やから、外で待っていた人たちとルーシーが口喧嘩になって、ルーシーは毒霧を吐くねん。電話を待っていた人たちに、ブシャーと色付きの霧がかかる…

Y木:毒霧…ちょっとなあ…

S原:いや毒霧吹きもここぞ!という場面で使用したら面白かったと思うけどな。

Y木:おもろいないよ、毒霧ネタなんか。

S原:最後は、さっき出てきた車いすの女性をピストルをもって追いかけまわすねん。

Y木:車いすの女性を……ブラックジョーク風のネタなんやろか?

S原:そうなんかもな。でもブラックなネタというよりも、変な女性が笑えない悪戯をするだけ(苦笑)

Y木:ピストルで追いかけまわすって、悪戯の域を超えてるがな。

S原:いよいよラストです。ルーシーはピストルで車いすの女性を狙います。突然、女性は立ち上がって、お互いピストルで撃ち合います。でも全然あたりません。のんびりムードで、ゆっくりと並行して歩きながら、ピストルを撃ち合う2人…夕暮れに銃声だけが響く…

Y木:意味が分からんけど。

S原:だれにもわからんよ、たぶん。でも、ここはクスっと笑う場面なんやろうな、とはわかるで。

Y木:居心地が悪いなー。

S原:何度も言うけど、この映画ではルーシーと言うぶっ飛んだキャラクターを楽しむ映画やと思うねん。でも、ぶっ飛び具合が中途半端で、ただの「ちょっと迷惑な女」もしくは「自分勝手なだけの女」に見えてしまう(苦笑)

Y木:ちょっと辛いなあ。

S原:DVDには特典映像で舞台挨拶が収録されてるんやけど、監督が「変なキャラばかりでるので、そこを楽しんでください」「勢いだけで撮りました」とか言ってるから、そういう面白さを狙ったんやろうな。だけど、こういう映画は「勢い」だけでは失敗するねん。勢いを生かすような技術というんかな、作話術というか、そういうものが要ると思うんやけどな。

Y木:えーそうかー。この映画では失敗したけど、勢いだけでも面白い映画は作れるやん。

S原:そうなんやけど、それには「才能」とか「センス」が要ると思うねん。そういう監督なら、勢いだけでも面白い作品が出来ると思う。でも、たいていの人はそうじゃないから、ちゃんと作らないとな。それに、ほんとに勢いだけで押すならもっと佐藤仁美を魅力的に撮らないといかんって。あんなキャラクターでは感情移入も出来ないし、ストーリーもぶっ飛ばないわ。

Y木:要するにダメ映画ってこと?

S原:その通り、この映画、残念ながら失敗作でござる!

Y木:なんか断言されるとちょっとかわいそうな気がする…

S原:さあみなさん、佐藤仁美のファンならゲットしてください。あとは「変な映画」が好きな人もぜひどうぞ。いやー、世の中には変な映画があるなあ…