S原:今回は、隕石が落ちてきます!
Y木:うわー…しょーもなさそう。
(あらすじ)
巨大流星群と核の脅威を描いたディザスターパニック。宇宙ステーション“ヒペリオン”に流星群が衝突し、現場にいた宇宙飛行士12人が死亡する事故が発生。さらに軌道から外れたヒペリオンは、核燃料を搭載したまま地球目掛けて落下し始める…
Y木:こういう映画って、ほんまにたくさんあるよなー。
S原:そうやねん、みなさん、レンタル店に行ったらぜひこういう隕石が落ちてるくる系の映画をチェックしてください。みなさんが想像しているよりも、数多くの作品が置いてますので。
Y木:しかも、どれもこれも似たようなパッケージで。
S原:ほとんど伝統芸能のような様式美です。しかも、すごいのは内容までほとんど一緒という(笑)
Y木:でも、このジャケットすごくないか。だって、地球に穴があいてるやん。
S原:もちろん、こんなシーンはないけどな。
Y木:やっぱり。
S原:というか、隕石も落ちてこないよ。
Y木:えー…
S原:内容を少し話すと、流星群が宇宙ステーションにぶつかるねん。流星群は南カリフォルニア、ロサンゼルスに降り始めるねん。
Y木:NASAは?
S原:普通ならNASAが事前に探知できるはずやねんけど、何者かがNASAのコンピューターに侵入してデータを改ざんしていたらしい。だから気づかなかったってわけね。
Y木:なんか軽いなー…
S原:その後、なんと!宇宙ステーション自体が軌道から外れて地球に落下する恐れがでてきます。しかも、ああ、なんということでしょう。宇宙ステーションには核燃料が搭載されているのです!このままでは大量の放射性物質が地球に落下してしまうのでありますぞ!
Y木:なんかなー。
S原:アメリカの国防総省は、弾道ミサイルで宇宙ステーションを爆破することを提案します。果たしてどうなるのでしょうか?
Y木:どうでもええわ。
S原:いやー緊張感のあるストーリーやわー。
Y木:めちゃくちゃ陳腐やないか。
S原:ちなみに、この作品は黙示録2009シリーズとして、「隕石群襲来」「合衆国炎上」「急襲強酸性雨」という3本の中の1本ですよ、あなた!
Y木:なんやねんそれ。どれもショボそうな映画ばっかり集めて…
S原:ちなみに販売元は、あの日活です。
Y木:こんなもん発売するなよ。こんなことをするから倒産するねん。
S原:一応、倒産後に再生したんやけどな。このシリーズで起死回生の逆転パンチを放つつもりやったんやろうな。
Y木:本気でそんな起死回生を狙ってるなら、また倒産するで。まあ日活の話はええとして、隕石は降ってこないの?タイトルに偽りあり、とちゃうの?
S原:ええねん、ええねん。こういう映画は、タイトル、内容、パッケージ、予告編、紹介文、すべてにおいて嘘偽りで固めた虚構の世界のものやねん。
Y木:いや映画として設定が虚構とかはええけど、宣伝とかウソじゃあかんやろって。
S原:まあ、今回は嘘とは言い切れないかな。ちょっと微妙やで。
Y木:微妙?
S原:だって、大きな隕石は落ちてこないけど、流星群とか宇宙ステーションの破片は落ちるからね。
Y木:じゃあタイトルは「流星群襲来」とか「宇宙ステーション墜落」でええやろ。
S原:甘いです。そんなんでは地球に穴はあきませぬ。
Y木:だから、どっちにせよ地球に穴が空くシーンはないんやろって。
S原:そういう問題じゃない。
Y木:そういう問題や!
S原:まあ、地球に穴はあかへんけど、田舎の農場でボヤになったり結構大変やねん。
Y木:田舎でボヤ…地味すぎる…
S原:もう面倒くさいから、ネタあかしするわ。さっきも言ったけど、流星群が落ちてくる情報を隠していた真犯人は国防省やねん。
Y木:国防省?なんで?
S原:流星群が落ちてくるのをぎりぎりまで黙っておく。直前になって「大統領、国防省にお任せください。わが軍はミサイルで撃墜させてみせます」と言えるやろ?要するに「今後の国防費のUPのため」やねん。
Y木:なんかまわりくどいなー。というか失敗したら、自分たちもアウトやん。
S原:うん。それこそ地球に穴が空いて、みんなアウトやで(笑)
Y木:なんか中学生が書いた小説みたい…
S原:まあいろいろあってマスコミに真相(国防省の悪戯)を漏らすとか、裏切った職員を拷問するとか、どこかでみたようなエピソードを挟みつつ、いよいよ宇宙ステーションが落ちてきます!
Y木:国防省が撃墜するんやろ?
S原:できません。
Y木:えー…
S原:少し破壊できますが、結局はロサンゼルスに落ちて、大惨事になります。
Y木:それでおしまい?
S原:おしまいです。
Y木:はー(ため息)
S原:ラストはすごいで。街はめちゃくちゃ。息も絶え絶えに苦しんでいる人たちの画面にナレーションが被ります。『たしかに被害にあった場所はかわいそうだった…でもほかの人は助かったから、大丈夫だ…なんとかなるだろう…』
Y木:おいおい…
S原:しかも『放射能は漏れなかった…きっと大丈夫だったんだろう…』というナレーションで、おしまい。
Y木:きっと大丈夫って…
S原:そういう映画やったな。
Y木:めちゃくちゃ適当やん。「なんとかなるだろう…」っていうナレーションで終わってええんか?
S原:あ!いま思ったけど、まるで日活の社員の気持ちかも?
Y木:あー、それで日活は販売したんか。納得やわ。
S原:さあ、みなさん。猛烈に眠気が襲ってくる映画です。隕石落下映画なのに、なぜか隕石が落ちてきません。人類の危機なのに、のんびりと会話劇を楽しむ対応の映画になってます。特に心に残らない印象が薄い映画ですが、マストバイ!…する必要はありませんが、日活は応援してあげてくださーい!
Y木:……おまえ、応援する気ないやろ?