あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

麻雀映画 第6局!「雀魔アカギ」(1997)の巻

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S原:今回は「アカギ」!

Y木:漫画が原作やな。

あらすじ)

刑事の安岡は伝説の代打ち“アカギ”の偽者を仕立て上げ、川田組組長に売り込む。しかし、彼の正体を疑う川田は賭博麻雀の場に向けて密かに本物の赤木を探し始める。

 

S原:これはなかなか面白かった。

Y木:へえ。

S原:要するに漫画をそのまま映像にしています。原作は福本伸行の「アカギ」。これはパート2みたい。

Y木:マンガそのままってこと?

S原:原作は、少ししか読んでないけど、福本伸行の面白さって登場人物がどんな窮地に陥っているかがわかりやすいことやと思うねん。「カイジ」なんかもそうやけど、絶体絶命の状態から、さあどうやって切り抜ける?みたいな。

Y木:読者を同じ気持ちにさせてドキドキさせるタイプの作品やな。

S原:話が上手いから、絵が上手くなくてもグイグイ読めるやろ。喫茶店で読みだしたら止まらへんもんな(笑)で、この映画もすごくわかりやすい。というのは、主人公(アカギ)以外のキャラの心の声が全部聞こえるから。おまけにゲームがどんな状態になっているのかナレーションも入る丁寧さ。いやー麻雀を知らない人でも楽しめるんとちゃうかな。

Y木:ほう。上のあらすじでは、最初は「ニセのアカギ」が出るんやな。

S原:そうそう。記憶力抜群の男なんやけど、ヤクザ組長(中尾彬)は偽物と分かっていて代打ちをさせます。ところが、相手の古田新太が驚異の強さでニセアカギはやられます。古田新太が怪演でな。マンガっぽいしVシネマっぽいし演劇っぽいし、なかなか不気味やったわ。

Y木:途中で本物のアカギが登場するってこと?

S原:そうです。そのまえに小さなエピソードがあるけど省略します。本物のアカギは柏原崇が演じています。結局、本物は偽物と途中で代打ちを交代します。すでに、ものすごい大差で負けていて、あと少ししか勝負が出来ません。このままでは大金がなくなります。さあ、その状態から大逆転が出来るか?という面白さやな。

Y木:なるほど。もちろん逆転できるんやろ?

S原:出来ます。麻雀をしている間にも延々と古田新太のモノローグがあって、勝負の行方がわかりやすく展開して、最後は大逆転で主人公が勝ちます。

Y木:そりゃそうやろうな。たいていの麻雀漫画はそうやろうし。

S原:この映画ではここからがちょっと面白い。最後の大勝負が終わってから、柏原崇は「どうやって相手の心理をよんだか」「なぜ勝てたのか」を丁寧に説明します。このへんは「むこうぶち」シリーズとは違うかな。

Y木:ほう。ラストは?

S原:ラストがちょっと面白いねん。大勝負の後に古田新太は、ヤクザに指を落とされる。「いつか、おまえを倒してやるー!」と絶叫します。主人公はそれを聞きながら、どこかへ去っていく……普通はそれでおしまいなんやけど、この映画では主人公はわざわざ戻ってきます。

Y木:え、なんで?

S原:主人公は真顔で「いつか、なんてことを言わずに、いまから麻雀をしよう」と言います。

Y木:いまから?また麻雀するの?

S原:主人公は言います。「ただし、つぎは(負けたら)手首を切り落とせ」

Y木:うげー……

S原:さすがの組長(中尾彬)も呆れてしまう。なんというか単純に麻雀に強いとかじゃなくて、ギャンブル(賭け事)に異様に執着してる設定やねん。要するにギャンブルによって、モラルとか普通の感覚がゆがんでしまってるんやろうな。たぶん漫画ではここがキモやと思うんやけど、この映像作品ではあまり上手く表現できていなかったように思う。柏原崇の演技がどうこうではなくて、やっぱり実写にすると生々しいんかもな。

Y木:なるほど。

S原:さあみなさん。これはマンガ/映像作品のなかではよく出来た部類だと思います。柏原崇ファン、古田新太ファンならマストバイでしょう。中尾彬寺田農も良いです。製作費をかけずに(節約をして)、ここまで面白くした製作陣は立派です。製作費で苦労している映画/映像関係者は多いと思いますが、こんな風に作ってほしい。特定映像ではリラックスした柏原崇もたっぷりみれます(やっぱりイケメンです)。レンタル店でみつけたら、一度ご賞味あれ~。