あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「クロコダイルの涙」(1998年)の巻

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S原:今回はこちらです。吸血鬼の映画ですよ。

Y木:吸血鬼かー。

 

(あらすじ)  

自分を愛してくれる女性の血を飲まないと生きられない体の持ち主である、青年医師スティーヴン。しかし、彼が女性の血を吸いあげるとき、彼女たちはみな憎しみの目を向け、彼を落胆させてしまう。そんなある日、彼は不思議な女性アンと出会い、心ひかれていくのだが…。

 

S原:これは、いわゆる古風なドラキュラものではなくて、現代に隠れて生きる吸血鬼、というよりもヴァンパイアと言ったほうがええかな。一見、普通のイケメンが実は…ってことやな。

Y木:なんか、どこかで聞いた感じがするなあ。

S原:たしかに、深夜のアニメにありそうやけどな。この映画ではホラーテイストではなくて、静かな雰囲気を味わうラブストーリーって感じやねん。本で言うと、あらすじでグイグイ引っ張る小説ではなくて、文体を味わう小説という感じかな。

Y木:要するにストーリー展開はわかっているけど、映像とかキャストとかをみる映画ってことやな。主人公は、普通に生きてる人なん?

S原:職業は医師で普通に目立たないように生活してる。太陽の光も大丈夫やし、十字架も平気みたい。ところが、じつは女性の血を吸わないと生きていけない体質(種族?)であるというわけ。

Y木:血を吸われた女性は、同じよう吸血鬼になるの?

S原:ならへん。ここが従来のヴァンパイアものと違うところかな。血を吸われた女性は、失血でそのまま死んでしまう。だからジュード・ロウは殺人鬼でもあるわけやな。

Y木:片っ端から、女性の血を吸う感じ?

S原:女性ならだれでもええわけじゃなくて、「自分のことを愛した女性」の血でないとあかんという設定やねん。だから、次から次への女性を誘惑して、血を吸うというわけ。

Y木:なんかホストみたいやな。

S原:たしかに、ホストもヴァンパイアも同じかも…(笑)ジュード・ロウは、自分がイケメンなのを利用して次から次へと女性と付き合って、自分に恋愛感情をもたせるわけやな。

Y木:ブサイクな男やったら、すぐに死んでるってことか(笑)

S原:そうそう。この映画の最大の売りは「かっこいい男優がセクシーなバンパイアになる」ってことやろうな。まえにトム・クルーズも演じてたし。

Y木:なんか製作者側の女性に受けようとする媚びた意図がまるみえで、ちょっとなあ。

S原:それでも、世の女性たちは観ちゃうのよ。だって、このころのジュード・ロウはほんまに格好良かったから。「キャー!私の血も吸ってー♡」って思うわけやな(笑)

Y木:なんか、ちゃうような気がするけどな。

S原:まあ、いまのジュード・ロウは出歯亀みたいになっちゃったから、世界中に女性ファンは1人もいなくなったけどな。

Y木:出歯亀って。

S原:ちなみにジュード・ロウは、実生活でも大の女好きやねん。なんか女性なら誰でも良くて「欧米映画界の羽賀研二」というニックネームらしいわ。

Y木:おかしいやろ、そのニックネーム。なんで羽賀研二が世界基準になっているねん。芸能ネタはええから、この映画の話をしてくれ。

S原:あるとき、ジュード・ロウはいつものように女性の血を吸って、女性の死体を海に捨てる。ところが、ひょんなことから死体が見つかって、刑事がジュード・ロウを怪しむねん。死ぬ前まで恋人同士やったこともバレる。と同じ頃に、本気で愛してしまう女性が現れて…というストーリーやね。

Y木:たしかに女性受けしそうな展開やな。

S原:この頃のジュード・ロウは、明るいハンサムガイって感じじゃなくて、どこか屈折したような表情や役柄が得意やったから、ヴァンパイア役にピッタリと思う。でも、この映画ではジュード・ロウよりも、ヒロイン(エレナ・レーヴェンソン)が良くてな。

Y木:キレイで妖艶ってこと?

S原:逆にどこまでも「人間」って感じやねん。ジュード・ロウに翻弄されるけど、どこにでもいる女性のままなところが良いねん。最後は、彼がヴァンパイアであることに気付くんやけど、そこで逃げるしな。ベタな映画なら「あなたと一緒にいたいから自分の血を吸ってちょうだい!」となるやろ?

Y木:そうかー?おまえの妄想する設定って、なんか古臭いよなあ。

S原:自分では素直に話しているだけやけど(苦笑)このエレナ・レーヴェンソンという女優は、初めて見たけど、不思議な雰囲気の人でなあ。すごい顔が変わるねん。

Y木:顔が変わる?

S原:まず、すごく表情が変わる。あと角度によって顔の雰囲気が変わる。この映画の陰の主役は、エレナ・レーヴェンソンやと思う。ぼくが男やから、という理由かもしれんけども…

Y木:観てないからなんとも言えないけど、要するに主演2人をみる映画ってことなんやな。まあでも、よく考えたら現代に生きている吸血男性が、ふつうの女性恋におちたら最後は破滅しかないわな…

S原:いや、意外と共存できるかもよ(笑)

Y木:無理やがな。

S原:あ、ええこと思いついたで。すこしずつ飲ませてあげたら?

Y木:え?

S原:ちょっとずつ、女性がジュード・ロウに血をやったらどう?少しやったら女性側も貧血になる程度やろうし、女性も生き延びれるやん。指先から、チューチュー吸ってもらったら?

Y木:なんかやらしいな。理屈はあってるけど、絵的にはカッコよくないなあ。

S原:あ、ほかにも思いついたで。男性でもええのんとちゃうの?

Y木:え?

S原:ジュード・ロウを愛した男性もおるやろ?人の性向は自由やがな。男性でも女性でも血は一緒やろ、おんなじ人間の血液なんやから。

Y木:うーん、男性の血…男性の首筋に噛みつくのか…なんか抵抗あるなあ。いや、おれが噛みつくわけちゃうから、べつにええか(笑)まーそれにしても、自分を振り向かせておいて、あとで女性を傷つける(血を吸う)ちゅうのはなー、あかんやろ。

S原:あーあれちゃう?玉置浩二が、愛する石原真理子にプロレス技をかけてたんと一緒ちゃう?

Y木:ありゃただのDVやろ。

S原:でも、「いまでも…真理子を…愛してる」って言ってたで。

Y木:もうええって、その話は。おまえが思ってるほど、みんな盛り上がってないねんって。

S原:えー、そうなん…(しょぼん顔)

Y木:もうええから、最後の締めの言葉を言ってくれ。

S原:さーみなさん。今回の映画はジュード・ロウの立ち姿をみる映画です。ラブストーリーとしてもバンパイアものとしても、やや中途半端な出来ですが、妖しい雰囲気は充満しています。というか、それしかないです。さあ、首筋に愛する人の噛んだ後を残したい人は、マストバイですよ!