S原:今回はこちらです!
Y木:お、トップガンの劣化版映画か。
(あらすじ)
人類が姿を消した地球を舞台に描かれるSFサスペンス。下された超極秘任務を遂行するため、操縦するF/A-18戦闘機を目的地へと飛ばすパイロット・ロングホールとマウス。しかし、その任務には人類を破滅へと導く恐ろしい内容が秘められていた・・・
S原:この映画はですねえ、久々に大当たりですよ!
Y木:おお。
S原:なんと、まったく面白くありません。
Y木:なんやねん。
S原:本当につまらないです!
Y木:そうなんか。
S原:つまんなかったよおおお!(涙)
Y木:しつこいわ!
S原:いやー、これは「正統派ダメ映画」やなあ。周回遅れで楽しむことも出来ん。あの珍作「悪夢の銀河鉄道」のチャーミングさを見習えよって言いたいわ。
Y木:いや、あれを見習ってもどうせ駄作になるがな。
S原:まあな。でもなあー、この映画はなー(ため息)
Y木:だから、どんな具合にダメかを教えてくれよ。あ、いや話したくなければもうええで。
S原:えーとですね、パッケージをみるとかっちょいい戦闘機アクションの映画と思うでしょうが、違います。
Y木:B級映画あるあるやな(苦笑)
S原:一応、2機のジェット機がでてくるねん。なんとなく、あの問題作「198X年」を想起させるねんな。
Y木:だれも覚えてない映画を例えにするなって。
S原:特撮はショボいんやけど、一応空を飛んでいることはわかる。ちゃんとピントも合ってるし、俳優の口とセリフもずれてなかったわ。
Y木:どんなレベルで映画を観てるねん。自主映画か。
S原:ふたりはいろいろと会話するねんけど、どれもどうでもいい会話やねん。これは伏線でもないのね。
Y木:うーん。
S原:そして別の場面。女性が歩いている。ガスマスクをつけてるねん。まわりは終末感漂う荒れ地。「北斗の拳」のシンが作った街みたいになっています。
Y木:いちいち例えが古いねん。
S原:映画は、少し時間がさかのぼる。地球の温暖化を防ぐために、ある企業が太陽光を反射させようという作戦をしてみるねん。
Y木:え、なんて?
S原:太陽光を反射、です。
Y木:それが温暖化対策?
S原:そして失敗するねん。
Y木:そりゃ失敗するやろ。
S原:それどころか、逆効果で温暖化がすすんでしまうんやな。
Y木:えー最悪やん…
S原:世界中から怒られるねん。
Y木:そりゃ怒られるやろ。
S原:温暖化対策を提案した企業、とくに重役夫妻は焦るわけ。「まるで、おれたちのせいじゃん」って。
Y木:いや、おまえたちのせいやろ!
S原:そして、2機のジェット機がまたギューンって飛びます。なんと、核ミサイルを落とす命令を受けていたのよ。この世界をいったん破壊して、一部の人たちだけ生き残ろうという作戦やったのです。
Y木:頭が痛くなってきた…
S原:そして、いま温暖化対策の失敗で地球は荒廃…そんな土地で、それでもガスマスクの女性は生きていくでしょう。おしまい。
Y木:おしまいって…
S原:あ、言い忘れてたけど、その女性はわりとガッチリとしてたで。
Y木:ふーん。
S原:デビュー当時のダイナマイト関西を思い出したわ。
Y木:誰やねん、それ。
S原:ウソじゃねえ!ほんまにこんな映画やねんでええええ!
Y木:なんでキレてるねん。「ブラックエンジェルス」の松田みたいなっとるがな。
S原:いやー参ったなあ、この映画は…まあ出来が悪いとかB級は、別にええねん。こっちだって、そういう心構えをして観るから。
Y木:心構えしてたら、駄作でも耐えれるはずやろ。
S原:ちゃんねんなー。素人はこれやからなー。
Y木:おまえも素人や。
S原:わかりやすくたとえ話をしよか。
Y木:聞きたくないけど、一応聞くわ。
S原:例えば、あなたはお腹がすきました。なんか古くてボロいカレー屋さんがあります。看板をみているうちに、なんとなくカレーが食べたい気分になってきました。「ま、あんまり美味しくないんやろな…」と思いながら店にはいります。
Y木:うん。
S原:あなたは店のメニューをみて驚きます。カレーは載っていません。それどころか焼きサバ定食しか載っていないのです。でも、店内にカレーの臭いはします。「あれ?カレーはないんかな?」と疑問に思いますが、やっぱり焼きサバしかありません。それで、「まあ、ボクも変な店やと分かって入店したからな。まあええわ」と思って、『すいませーん。焼きサバ定食くださーい』って注文したら…
Y木:注文したら?
S原:マスターがでてききます。そして、静かな口調で『きみね、焼きサバを作るにはね、ガスを使いますよね?』と言われます。マスターは大真面目です。『あなた、そういうエネルギーがどのように供給されているか知っていますか?100年後も同じと思いますか?そんな問題意識もないのに、焼きサバ定食を注文できるのですか?』とか延々と説教されます。挙句に『そもそもあなた、本当に焼きサバ定食を食べるつもりがあるのですか?』と言われてしまいます。たしかにカレーを食べつもりなので、そういわれると、あなたは言い返されません。
Y木:うわー…
S原:ところが、すぐにマスターは優しく微笑んで『でも、君にこんなことを言っても仕方がないですね。この店に入ったのも、何かの縁。これをお食べなさい』と言って、ごっつい硬い黒焦げのパンを渡されます。
Y木:黒焦げのパン…
S原:あなたは、仕方ないから食べます。お腹がすいているから、とりあえずは食べてしまいます。それで会計すると『焼きサバ定食800円でございます』と言われます。
Y木:ちゃんと焼きサバ定食の料金をとられるんや…
S原:あなたは、それで思わず『あのー、焼きサバ定食が出なかったんですけど…なんか黒いパンでしたけど?』って言います。でもマスターはきっぱりと『でも、あなたは、そのパンを食べましたよね?』と言われてしまします。
Y木:まあ、食べたけどさ…
S原:思わずあなたは「確かに食べた。しかも、わりに悪くない味だったような気がしてきたぞ」と思い直します。やがて『ごちそうさまでした』とか言って、支払ってしまいます。マスターがにっこり笑って『またおいで。未来の地球について一緒に考えようよ』と語ります。
Y木:いやな感じやなあ…
S原:まあ、そういうイメージの映画やな。ちょっとは、わかった?
Y木:全然わからんわ!
S原:まあ、カレー屋のマスターにいつのまにか洗脳されるか、もうええわって店をでてしまうか。
Y木:店を出ていったらええやないか。カレーが食べたいのに焼きサバ定食しかない店なんやろ。しかも最終的には黒焦げのパンを食べさせられてるやないか。
S原:でも、店内にほんのりとカレーの香りはするねんで。それは気になるやろ?
Y木:ならんわ。
S原:それで、思わず翌日もそのカレー屋さんに行ってしまったりな。「ひょっとしたら、今日はカレーがあるかな?」とか淡い期待を抱いて。
Y木:まんまと、その店主の仕掛けた罠にはまっているやないか。
S原:ま、そういうことやな。
Y木:どういうことやねん。
S原:まーあれや、かっちょいい戦闘機がでるねんでー、ごっついアクションやねんでー、と思ってたら、なんかものすごいピント外れの環境問題を聞かされる映画やった、ってことやねん。
Y木:そういう説明しろよ。なんやねん、さっきの長いカレー屋の話は。あ。やっとわかったわ。カレーの匂いって、この映画のパッケージのことか。
S原:さあ、ジョット機に興味のない人、地球が滅亡しても平気な人、つじつまのあわない映画が好きな人、テーマがあいまいですごく完成度の低い映画が大好きな人、そしてカレー屋さんでカレーを食べなくても平気な人は、マストバイですよ!
Y木:今回はひどすぎるやろ…