あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「殺人蜂 キラー・ビー」(2005)の巻

殺人蜂 キラー・ビー

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S原:今回は日本映画では珍しい昆虫パニックホラー!

Y木:へえ。

 

(あらすじ)

同じ地域で活動するガールスカウトの有志で行われる、毎年恒例の夏のキャンプ。リーダーの美和、百合子、淳子、真由美、由香、友子、晃子の7人に“スキップ”(活動に協力する大人)を務める百合子の父・真壁で構成されたチームが、閉鎖されたスキー場に現れる。夏の間は、絶好の貸切キャンプ地となるのだ。さっそくメンバー達は薪拾いや水汲みなど、キャンプファイアーの準備に取りかかる。薬草を探しに出掛けた晃子は、満開となって咲き誇るヤナギランの花を見つける。茂みを掻き分け、花に近づいていく。その時、虫の羽の音がして、晃子の耳元を何かがかすめた。それは殺傷力のある毒を持つ恐怖の蜂だった!

 

Y木:虫が襲ってくる映画って一時期流行ったよな。「スウォーム」(1978)とか。

S原:あれ、内容はイマイチやけどサントラがかっこええねんで。ジェリー・ゴールドスミスね。でも、いまでも細々と虫や動物が襲ってくる映画は作られてるから、それなりに需要があるんやろうな。

Y木:まあ、気持ち悪さと怖さがあってホラーとしては作りやすいんやろ。で、この映画はどうやったの?

S原:……………(微笑)

Y木:そういうことか。

S原:普段、B級映画とか観ていない人っておるやん?

Y木:おるな。

S原:小室圭さんとか。

Y木:おまえ、小室圭さんに恨みでもあるんか。

S原:例えば、そういう免疫のない人にやな。「B級映画ってどんなのですか?」って聞かれるとするやん?

Y木:聞かれへんけどな。

S原:そうしたときに、カバンからこのDVD取りだして、プレゼントしたらええと思う。

Y木:そんな機会のために普段からカバンにいれておくんかい。面倒やな。

 

日本映画 殺人蜂 に対する画像結果

 

S原:なんというか、この映画は本当にチープやねん。もちろんお金がないのが一番の原因やと思うけど、全然作り手に創意工夫を感じないのがちょっとなあ。

Y木:そのまんまってことか。

S原:そうそう。ほんまに上のあらすじだけやねん。それも、蜂に襲われる ⇒ 死ぬ ⇒ 生き残った女子たちが逃げる ⇒ そのなかの一人が蜂に襲われる ⇒ 死ぬ ⇒ 生き残った女子たちが逃げる ⇒ そのなかの一人が蜂に襲われる……の無限ループやねん。

Y木:なんとなく想像がつくなあ。というか、蜂の大群が襲ってくるんやろ?

S原:そういう場面は少ない。基本は一匹です。

Y木:え、一匹? それに刺されて死ぬんか。特別な毒素を持った蜂とか、そういう感じ?

S原:途中で集中力が切れたから説明があったかもしれんけど、たぶん普通の蜂やと思う。たしかに刺されたら死ぬこともあると思うけど、「即死」という設定ならもう少し説得力が欲しいです。

 

 

S原:あとは女子たちのオツムがなあ。

Y木:それはしゃーないやろ。

S原:こういう映画を観てるといろんな疑問がわくやん。それに上手く応えないと、「突っ込みポイント」になってしまうやろ。

Y木:疑問って例えば?

S原:例えば「なぜ、蜂がしつこく人間を襲うのか」「なぜ逃げても追いかけてくるのか」「なぜ全員が即死なのか」「なぜ女子たちは蜂から逃げる方法を考えないのか?」「うまく逃げる方法(蜂の動きを逆手にとる方法)はないのか?」「なぜ蜂に刺されないように、上着を着るとか肌を隠さないのか」「どこに行って何をすれば助かるのか」。こういうのがハッキリしないまま逃げ回るだけで、単調な演出やからすぐに飽きてしまう。

 

 

Y木:要するに下手なんやな。

S原:下手と言うかなんというか……ちょっとどう表現したらええかわからんけどな。蜂がチープなCGとか音声が良くないとかは、ぼくは平気やねん。そういうところに予算がかけられへんのは痛いほど分かるから。でも、この映画の企画を考えたときに、同じジャンルの映画を観てないんちゃうかなあ。ちゃんと長所短所を確認して、自分たちの映画作りに生かせばええのに……(ため息)

Y木:今回は厳しいな。

S原:スタッフキャストには申し訳ないけど、これを面白く感じる人は、ほぼいないと思う。昆虫パニックで怖さを出すのは難しいし、日本で蜂が襲ってくる映画を作った気概は称えます。でも、気概だけでは……。ということで、よほどのマニアのみ観てください!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「武勇伝」の巻

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S原:今回はアクション!というよりもケンカ!

Y木:ケンカの映画なんや。

(あらすじ)

歌舞伎町でバーを経む吾郎はケンカ沙汰の絶えない日々を送っていた。ある日、彼につきまとう少女アヤが元ボクサー、龍平と出会ったことで大事件に巻き込まれる。龍平もまた吾郎と同じく、闘いに飢えた男だったのだ。

 

S原:これ、プロレスショップで見つけたんやけどな。

Y木:ええ年して、どこに行ってるねん。

S原:「この映画、面白かったですか?」って店長に聞いたら、「いやあ」って苦笑いしてた。

Y木:ふーん。で、実際に観てどうやったの?

S原:メチャクチャやった。

Y木:まあ、出来は悪いやろうな。

S原:いや作品としてはまあまあやと思う。この映画ではメチャクチャなのは、キャラクター。とにかく、すぐにケンカする。

Y木:そりゃ、そういう映画やん。ケンカの場面が見どころなんやから。

S原:限度があるって!(笑) 主人公は2人(魔裟斗澤田謙也)。とにかく、この2人の格闘の場面を撮りたかったみたいで、ことあるごとにケンカになる。女性にからんだ男をやっつけるのはまだ分かるけど、繁華街でチンピラと遭遇するだけで顔面を殴り、自分の店(バー)の前で話しているだけのヤングたちを蹴り飛ばし、タバコをすてただけの中国人を追いかけて殴りまくる。それも普通のケンカじゃなくて、もう半殺しやんねん。たぶん何人か死んでると思う。

Y木:それは……(苦笑)

S原:もう狂犬やで、狂犬!(笑) 魔裟斗澤田謙也も格闘シーンはさすがやけど、やっぱりそこに至る過程をみせてほしい。一応、映画なんやから。

Y木:なるほど。

 

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S原:2人とも演技が上手いわけじゃないからセリフを減らして「沈黙」の場面を多くすればいいのになあ。立っているだけで異様な迫力はあるねん。なので「静かに動かない場面」をいれれば、もっと格闘の場面が生きるはず。

Y木:ずっとケンカしてるわけちゃうやろ。

S原:ずっとケンカしてるねんって!(笑) Vシネマでも、普通は我慢する⇒キレる⇒アクションシーン という流れやん? この映画の登場人物たちは、まったく我慢しない。

Y木:気が狂っているという設定なんちゃうの?

S原:あーそうかも。「我慢できない」「モラルがない」という設定かもな。でもなあ。だったら普通の人物をだして「おい、そこまで痛めつけるようなことじゃねえだろ」とか「なんでもかんでも、他人に嚙みつくなよ」とかセリフを言わせればええやん。

Y木:なんかダサいセリフやけど、まあええわ。で、話は?

S原:話は薄味です。舞台は新宿。魔裟斗は元格闘家。で、かつて喧嘩で相手を死なせ、刑務所に入っていたらしい。そういう男がふらりと現れて、意味なくケンカをはじめます。一方、澤田謙也は新宿で小さなバーを経営しています。これも、ことあるごとにケンカをしています。同時に、訳アリっぽいサラリーマン(近藤芳正)がフラフラしている様子がでてきます。家に帰ろうとしなかったり、ビクビクしたり。

Y木:あー、あとで主人公たちと絡むんやな。

S原:いや、最後まで関係なかった。

Y木:なんやねん、それ。

S原:ほんまになあ。なんの意味があったんやろ……(冬の海をみる) 

 

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S原:で、キャッチで小遣い稼ぎをしているヤングな女性(アヤ)と魔裟斗が出会う。暇なので、新宿をウロウロします。で、また適当にケンカします。ひょんなことから、中国マフィアが覚せい剤の取引する現場にでくわす。また、そこでも魔裟斗が訳も分からず大暴れします。その間に、アヤがなんとなく覚せい剤を盗んでしまって……という感じです。

Y木:あかんやろ、なんとなく覚せい剤を盗んだら(苦笑) 最後は2人がバトルしておしまい?

S原:一応、そうなるけど短かった。なので、2人の戦いが見たい人には物足りないんちゃうかな。ただ、それぞれの格闘の場面はさすがにすごい。そこだけみると面白いねんけどな。まあ、ちょっと残念やった。さっき言ったけど、こういう映画は、「静」と「動」を意識すれば、良くなるというのが、ぼくの持論やねん。あと、主人公2人の演技が下手すぎる(とくに魔裟斗)とか言っている人もおるけど、ぼくはそんなに気にならなかった。プロの役者でも変な奴はおるからな。もちろん、上手くないしセリフを言うのに精一杯なんやけど。

Y木:言わんとすることは分かる。ただ、このパッケージでは観る人を選ぶやろうな。

S原:さあ、みなさん。この映画は格闘場面さえ良ければOKという人にはおススメです。魔裟斗澤田謙也の魅力も十分です。意外にVシネマっぽくもないので、あれ系を期待すると厳しいかも、です。ストレスの多い世の中ですが、この主人公たちみたいにすぐに喧嘩せずに映画でもみてリフレッシュしてくださいませ~!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「誰が心にも龍は眠る」(2005年)の巻

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S原:今回はこちら。意味深なタイトルです。

Y木:ほう。

(あらすじ)

幼い頃、湖で溺れたショックで記憶を失くしたテルミ。幼馴染みのユキオと共に、溺れた原因を調べ始めた彼女は、湖にまつわる不思議な伝説を知る。やがて、その伝説とテルミの過去との関係が明らかになる。

 

S原:これは、主役の女性を麻宮美果が演じています。その主人公の幼馴染が中田裕二。この人は、ロックバンド椿屋四重奏のボーカリストらしい。

Y木:悪いけど知らん。

S原:僕も知らんかった。ファンの人には申し訳ない。2010年解散して2023年に再結成したようです。

Y木:そういうファン向けの映画ではないやろ?

S原:違います。ちゃんと「役者」として扱われてます。演技も自然体でよかったで。主役(麻宮美果)もなかなか良かった。監督・脚本は堀江慶という人で、製作総指揮の喜多一郎から「今回はホラーを撮りませんか」と言われて、この作品を手掛けたみたい。

Y木:へえ。で、観た後の感想は?

S原:普通に面白かったで。ただ、ホラーかと言われるとどうなんやろ。

Y木:怖くない?

S原:うーん。というか「怖さ」を強調していないような気がする。個人的には、ミステリー/サスペンスの方がしっくりきます。主人公は記憶喪失の時期(小学生の頃)があるねん。それは、地元の湖(昇龍湖)で溺れたのが原因です。解説では、「それまでの記憶の一切を失ってしまった」と書いてるけど、このへんは観ていてはっきり分からなかった。

Y木:なんで溺れたの? 事故?

S原:はじめは理由はわからないけど、後半になって真相がわかってきます。自分が記憶喪失になった真相と昇龍湖にまつわる謎(伝説)がだんだんと分かっていく……という話です。

Y木:謎解きがメインか。

 


S原:そうです。そんな主人公を助けるのが幼馴染(中田裕二)で優しい男やねん。調べていくうちに、怪しげなおじさん(西岡徳馬)が絡んできます。そのおじさんは「昇龍湖で多く事故が起きているが、死亡事例はない」と話します。実は、その湖は……

Y木:実は?

S原:内緒です。ここから先は言いにくい。ただ、クライマックスの場面はなかなか凄かった。

Y木:それも内緒か? 「凄かった」と言われても、どんな場面か説明しないとわからんぞ。

S原:うーん、そうやな。ここだけ説明するのを許してほしい。クライマックスは、街の人々がゆっくりと湖に向かいます。中田裕二は声をかけるが、誰も反応せずゆっくりと歩き続ける。湖につきます。そこから、次々と湖に入っていきます。ある人は、桟橋からドボンと飛び込み、ある人は湖に入っても歩くのを止めない……たくさんの人たちが湖にすいこまれていく……

Y木:おお、気持ち悪いな。

S原:ここが静かで異様な雰囲気でな。お金がたっぷりと使えたら、すごい場面になったかも、と思うわ。なんというか、無表情な人々が静かに湖に入っていくのがすごいねん。ここはエキストラも撮影も大変やったと思う。

Y木:へえ。

S原:ただ、全体の印象としてはやや薄いかな。きちんと作られている分、かえって大人しい印象になったかも。

Y木:あー無茶苦茶やけど、印象に残るタイプの映画じゃないんやな。

S原:そうそう。あと、謎解きの部分が意外にストレートやったかな。変なキャラクターや思わせぶりなエピソードもあるけど、最後はわりとまともに終わった。

Y木:ちゃんと出来てるなら十分やろ。いつもツッコミ前提で観るから、性格が歪んでしまったんとちゃうの?

S原:申し訳ない。でも、素直に感想を言ってるんやけどな。こうやってレビューを書くよりも作る人の方が偉いと思う。実際に作るのはすごく苦労するやろうしな。というわけで、みなさん。これは独特の雰囲気をもった作品です。椿屋四重奏のファンはもう観ているかもしれませんが、それ以外の人も機会があればぜひどうぞ!

 

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まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「悪魔ハンティング」(2013)の巻

悪魔ハンティング

S原:今回はホラーですよ。

Y木:うわー……なんやねん、これ。

(あらすじ)

霊によって起こる現象は6つあり、それぞれの段階によって霊の力の大きさは変化するという。人知を超えた世界に導かれ生贄となった者を救うため、すべてを委ねられた男が立ち上がる。

(DVD裏面の解説)

偶然訪れた心霊スポット。身体の重みを感じた瞬間から次々と起こる異常現象。この世のものとは思えない状況の連発に周囲の人間たちの精神はみるみるうちに崩壊していく。果たして生き残るのは一体誰か?

 

Y木:これ、自主映画?

S原:よくわからん。ネットで調べても情報がほとんど出てこない。出てくるのは「ひどい」「面白くない」「ダメ」といったレビューばかり(苦笑)

Y木:あーやっぱり出来はひどいんやな。

S原:作った人には申し訳ないんやけど、ちょっと褒めようがないです。ただ自主映画なら、よく頑張ったと言いたい……いやー言いにくいなあ。

Y木:要するに面白くないんやろ。

S原:結論から言うと、イエスです。ホラーが撮りたいという気持ち(だけ)は伝わるねんけどな。監督の製作者も脚本担当も、他の映画を参考にしてないんとちゃうかな。

Y木:いや、ホラー映画を観てホラーを撮りたくなったんやろ。

S原:そうなんかな。なんというか、「そのまま」やねん。いかにもな出だし、いかにもな展開、いかにもなメーキャップ。それがストレートに表現されて稚拙やから、普通に観ている人は失笑してしまうという。

Y木:ありきたりなんやな。

S原:そうそう。いつも言うけど、お金がないのは分かってるねん。撮影日数も短くて、実際作るのは大変やったと思う。でも、「いかにも」「普通」の切り口でいくと、本当にお金をかけて上手く撮る必要があるやろ。低予算でチャレンジするねんから、もっと「切り口」を考えて欲しかった。

Y木:いままでに誰もしていない角度から作るとか?

S原:そうそう。「ブレアウィッチプロジェクト」なんか、アイデア賞やん。「食人族」もそうやん。「カランバ」なんかビビったやろ?

 

カランバ 映画

 

Y木:「カランバ」っておまえ、どんな映画を例えに出してるねん。

S原:斬新なアイデアでなくてもええから、もっとこだわりをみせてほしかった。

Y木:大体わかったけど。これは、どういう話?

S原:雑誌の女性編集者の2人(先輩と後輩)がいます。後輩が撮影した写真が使い物にならないので、改めて撮影に行きます。そのへんの街角ですが、心霊スポットだったらしく、先輩に悪霊が乗り移られます。あっという間に顔にブツブツが出来て、後輩は近くにクリニックに連れていきます。そこは整形外科です。

Y木:整形外科……なぜ?

S原:ここは、レビューでみんなつっこんでます。ベッドに寝ている先輩が暴れます。顔面は真っ黒で、口からオエ~と緑色の液体を吐きます。

Y木:それ、エクソシストやがな。

S原:クリニックの医師(整形外科の医師)が言います。「WHOを呼んで!」

Y木:WHO? 世界保健機構やったけ。なんで?

S原:理由はありません。そして、すぐにWHOから2人の男性が来ます。若い男で島耕作の部下みたいな感じです。

Y木:よくわからん例えはええから、話を先に進めてくれ。

S原:で、WHOの男性は言います。「これは……悪霊に取り憑かれています」「霊界事案です!」

Y木:霊界案件?

S原:WHOのマニュアルで、そういう事案があるんやろうな。で、マニュアルに従って、悪魔ハンターがのっそりと登場します。悪魔ハンターは、ニトリで売っているカーテンを体に巻き付けています。そして、悪霊にとりつかれた女性をみて、説明します。「これは、悪霊にとりつかれてます」

Y木:わかってるわ。はよ除霊せえよ。

S原:すぐに除霊はせずに、悪霊の説明を始めます。6種類あるらしくてな。第3種は~とか、第4種は~、と延々と説明します。

Y木:だから除霊せえって。

S原:「助けてください」という後輩に、キメキメの顔で言います。「わたしは……そのために来た!」

Y木:だから早く除霊せえって!

S原:やっと除霊が始まります。変な呪文を言いますが、すぐに「はあ、はあ」と疲れます。「わたしの力では無理だ……」

Y木:なにしにきてん、もう。

 

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S原:そして、再度WHOに電話して、ゾンビを車に乗せてどこかに運びます。車が発進して、クリニックのスタッフは深々とその車に向かってお辞儀をします。

Y木:そりゃ、患者が亡くなったときのお見送りやがな。

S原:車の中で、悪魔ハンターは後輩に悪霊とはなにか?を説明しますが、いつの間にか人間の欲望を批判したりしています。「魔界や魔物の存在を公表しても信じない」「それは人間が愚かだからだ」とブツブツ言います。

Y木:なにを愚痴ってるねん。

 

 

S原:面倒なので、話を飛ばしますが、山の中で先輩ゾンビがウロウロします。悪霊ハンターは、日本刀をもって追いかけます。やっつけます。でも後輩もゾンビになってしまいました。悪霊ハンターは、ついでに後輩もやっつけます。なにもやっていないような気もしますが、「おれは、やったぜ……」という感じでかっちょ良く歩く後ろ姿で、ジ・エンド。

Y木:なんか、よくわからん。

S原:というわけで、みなさん。この映画をおススメするのは2種類のタイプのみです。①ゾンビが出ればOKなゾンビマニア ②ダメな映画(演技、演出含む)をあえて観たい人 のみ! というわけで、ちょっと残念な映画でした~!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「剃り残した夏」(2009)の巻

 

剃り残した夏

S原:今回は、ゴールデンボンバーの映画!

Y木:「女々しくて」の?

 

(あらすじ)
僕の名前は鬼龍院翔、高校三年生。高校生活最後の夏がいよいよ本格的に始まろうとしている。高校生活最後の夏に友人と共に出掛けた海で、鬼龍院少年は胸が熱く焼けるような出会いをしてしまった。しかし、神様は思いもよらぬ試練を彼らに与えたのであった。次第に歯車は少しづつ歪みはじめ、彼らは引き返せない道へと足を踏み入れてしまう…。
真夏の太陽のように情熱的に縺れ合う、男と、男と、男と、男の物語

 

S原:これは、完全にファン向け。脚本、監督、主演、編集全てゴールデンボンバーです。 (鬼龍院翔が脚本。喜矢武豊が監督など)

Y木:へえ、製作までしてるんか。どうなん?

S原:最低やった。

Y木:おいおい。

S原:ほんまに最低としか言いようがないねんって。さすがにファンでも厳しいと思うけど。

 

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Y木:ボーイズラブ(BL)風?

S原:BL風ではなく、そのまんまです。ゴールデンボンバー(金爆)の4人(鬼龍院翔喜矢武豊歌広場淳樽美酒研二)がほぼ出ずっぱりです。役名もそのまんまの親切設計です。

Y木:ファンは喜ぶんかな。

S原:どうなんかなー。主人公は鬼龍院翔です。その 友人(歌広場淳)が愚痴っているところからスタートします。 歌広場の恋人(樽美酒研二)が浮気したから別れた。でも本当はまだ愛していると泣いています。鬼龍院翔は慰めて、気分転換に海に行こうと誘います。翔は海で溺れてしまい。ライフセーバー(喜屋武豊)に助けてもらう(人工呼吸)。それ以来、翔は自分の唇を奪った翔はライフセーバーのことを忘れられない。一方、樽美酒が淳とよりを戻そうとして……と話はこれだけやねん。

 

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Y木:ということは、メンバー4人の2人ずつのBLカップルの話ってこと?

S原:そうです。

Y木:うわー……いや、むしろファンはそういうのにキャッキャッ言うんか。

S原:ゴールデンボンバーのファンのレビューを読むと「ライブでやってるコントみたいな感じ」と書かれていたから、こういうノリなんやろな。というか、ライブにコントが挿入されるっていうのも面白いけど。

Y木:ま、あのバンドのライブといっても、ファンは演奏を聴くわけではないからな(笑)

 

きゃんり@キャンバに帰還٩( ᐖ )و on X: "剃り夏写メり過ぎてこんな時間に┗(^o^ )┓ 剃り残した夏はほんとに全腐女子に見て欲しい!たくさんの夢が詰まってるよ∩*´・ω・∩  ✡。:* #全腐女子に捧ぐ #剃り残した夏 #だるうぱ #ゴールデンボンバー http://t.co/11fRBCy7hT" / X

 

S原:BLは全然気にならないけど、映画は出来は気になる。これ、わざとアフレコにしてるねん。

Y木:ほう。

S原:たぶん安物のカメラ(家庭用?)で撮影してるから画面も粗いし、効果音もちゃんと入っていない。そこに、棒読み(わざと?)のセリフが被さる。しかも、なぜか全編字幕付き。わかりやすいけどな。

 

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Y木:字幕付きか。そのへんもネタなんちゃうの?

S原:わからん。結局、メンバー同士の下手な演技(これもわざと?)での恋愛話を、シュールな笑いと楽しめるかどうか。

Y木:大体わかった。おまえはダメやったんやな。

S原:メンバーの魅力を感じるまではいかんかった。内輪のノリといってしまえばそうやけど、これは一応世の中に流通しているもんやからな(苦笑) まああれよ、高校の文化祭で作る自主映画って感じ。

Y木:ボロカスやな。

S原:ゴールデンボンバーのファンの方、申し訳ない。でも、もうちょっと、ちゃんと作って欲しかった。この映画を観てゴールデンボンバーに興味を持ってもらわないとあかんと思うねんけどな。

Y木:それはちゃうって。完全にファン向きで、他にファンを増やす意図はないんやって。

S原:そうかなー。なんかちょっと残念やったわ。というわけで、レアなのは間違いないですが、カルトとも呼びにくいです。10年後には、いったい何人がこの映画を覚えてるんでしょうか? というわけで、ワゴンコーナーでみつけても(ファン以外は)スルーしてくださいませ~!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「百地三太夫の逆襲」(2013)の巻

S原:今回は忍者映画!

Y木:また変な映画をみつけて……

(あらすじ)

織田信長が伊賀攻めを行った伊賀天正の乱から数十年後、乱のさなかに死んだとされた百地丹波百地三太夫)は、弟子の石川五右衛門らを連れて山奥で生き延びていた。時は豊臣秀吉の治世となり、百地は伊賀攻めに加担した秀吉を討とうとするが、天下の大泥棒として名をあげていた五右衛門は、百地の首を差し出し、秀吉の家臣になろうと企んでいた。

 

S原:この映画は、一言でいうと「気の毒な映画」やった。

Y木:いきなり上から目線かい。

S原:やりたいことはわかるねんけどな……(微笑)

 

 

Y木:低予算ってことやろ。

S原:そうそう。基本的には、こういう「お金がかかっていない映画」を応援したいねんけどな。でも時代劇はやっぱりお金がかかるやん。ロケも時代に合わせないといけないし、衣装も特別に用意しないといけないし、時代劇用の演技(セリフなど)が要るやん。

Y木:まあな。

S原:おまけに、この映画は忍者アクションが加わる。これは難しいって。

Y木:なるほどな。

S原:さっき言ったような要素に、説得力を持たそうと思うとそれなりにお金がかかる。衣装やセットがちゃんとして、はじめて「あ、これは時代劇なんやな」「戦国時代の忍者の話なんやな」と思って、ストーリーやキャラクターに集中できるわけやん?

Y木:これは時代劇やろ。

S原:いや、これは「時代劇っぽいなにか」やな。

Y木:ひどいな。

S原:悪く言うつもりはないです。よく頑張ったと言いたい場面もある。何度も言うけど、やりたいことは分かる。でもなあ……メジャー作品と比べるのは酷やけど、製作費がないと、どうしても「学芸会」っぽくみえるのよ。これが精いっぱいなんかな。

Y木:大体わかった。本編の話をしてくれ。

S原:時は戦国。百地三太夫という凄腕の忍者がいます。弟子に、石川五右衛門がいます。百地は、石川に「秀吉を討て」と命じます。ところが、五右衛門は、反対に百地の首をとって秀吉に差し出して、秀吉の正式な家臣になろうとしていました。

Y木:ほう。

S原:一方、くノ一の2人(円と彩)が山奥で忍者になる修行(というか運動)をしています。そのヤングな女子2人は、ミニスカートで網タイツです。いわゆる「くノ一コスプレ」です。ここで、正直に言っておきましょう。

Y木:うん?

S原:くノ一コスプレは。

Y木:はあ。

S原:僕は嫌いじゃないです。

Y木:キモイから、話をすすめてくれる?

 

 

S原:で、突然、くノ一の1人(吉沢明歩)が温泉に入る場面が挿入されます。ちゃんと、ヌードが映っています。

Y木:温泉か。その場面も撮りたかったんやろうな。

S原:そうこうしているうちに、五右衛門の一味(泥棒5人衆)と忍者グループを率いる服部半蔵の一味(烏組3人衆)とくノ一人組の3つどもえの戦いになって……という感じです。

Y木:忍者アクションがメインやろ。そのへんはどうなん?

S原:やっぱり厳しいです。いろいろと人間関係に凝ってるねんけど、チープさばかりに目がいって集中できない。あとは、演技がな……(苦笑)

Y木:演技がどうこうという映画じゃないやろ。

S原:そうやな。脇役の俳優たちは普通やねんけど、肝心の主役2人(浜田翔子吉沢明歩)は、かなりきつい。でも、衣装が似合ってるから許しちゃう♡

Y木:ほんまにキモイから、やめてくれ。

 

 

S原:あ、思い出した。面白い場面があるねん。烏軍団の1人と誰かが戦うねんけどな。川で2人に向き合って、斬りあうねんけど、それがゆっくりやねん。

Y木:ゆっくり?

S原:たぶん、マトリックスみたいな感じのバトルを撮りたかったんやろうけどな。ほんまに、役者はゆっくりと動いて、シャキーン!とか効果音がはいるだけ。ここは斬新やった(笑)

Y木:まあ、今回はダメってことやな。

S原:ダメなことはないで。「そういう映画」と割り切れば楽しめると思う。

Y木:「そういう映画」をわざわざ観る人は少ないやろうなあ。

S原:さあみなさん、ダメダメと言うことはありませんが、いったい何人の人がこの映画を観たのでしょうか? 好事家にしかおススメできませんが、くノ一コスプレに萌える人はアリでしょう。しかし、いろんな映画がありますなあ。というわけで、次回もお楽しみに~!

まだまだあります!(たぶん)知られざる日本映画を12本観る!「旋風(かぜ)の用心棒」(2003)の巻

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S原:さあ、今回は黒澤明の「用心棒」をモチーフにしたこの映画!

Y木:へえ、「用心棒」か。

 

(あらすじ)

とある荒涼とした港町。そこでは原子力発電所の建設を巡り、賛成派と反対派が激しく対立していた。その町に流れ着いた正体不明の若い男、谺丈二は、利権争いに巻き込まれる。しかし彼はある人物の消息を探っていたのだった。

 

S原:これ、アニメ作品が先です。タイトルも同じ「旋風(かぜ)の用心棒」ね。結構、評判が良いみたい。それで、「次は実写化を!」っていう流れちやうかな。

Y木:ふーん。

 

旋風の用心棒:画像/壁紙[アニメ]

 

S原:でも、この実写映画は、ほとんどレビューがないねん。

Y木:超マイナー作品ってことか。

S原:たぶん。マイナーでもメジャーでも面白ければええねんけどな。ただ、レビューが少ないのも妙に納得してしまうという。

Y木:うん?

S原:なんとなくレビューがしにくいねん。出来が悪いとかじゃなくて、どうも話しにくいというか印象が薄いというか。

Y木:はあ、なるほど。

 

旋風(かぜ)の用心棒 ポスター画像

 

S原:モチーフは黒澤監督の「用心棒」。九州の港町で、原発を誘致しようとする街の有力者(田野倉)がいます。反原発組織の「イエロープラネット」の主催の村岡という女性もいます。そこへブラリと現れる男(丈二)、これが主人公です。

Y木:2つの組織をつぶしてしまうんやな。

S原:基本的にはそう。単純な話のはずなんやけど、どうも吞み込みにくい。黒澤版では、三船敏郎が2つのやくざ組織に近づいて、手玉に取るところがハラハラドキドキやったやん。しかも、のらりくらりとしながら実は凄腕で頭も切れるから、最後の対決とかしびれるやろ?

Y木:あー広い大通りを真正面から、向き合って歩く場面やろ。あそこはええよな。

 

映画評】用心棒(1961)黒澤明監督特集10 | Flourella blog

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S原:シャーッ!シャーッ!とシンバルが鳴って、ワクワクするやろ。でも、ああいう「美味しい場面」がないねん。

Y木:黒澤と比べたら可哀そうやろ。

S原:黒澤の演出よりも劣るという話ではなくて、監督や製作者たちがやりたいことがハッキリしないのが歯がゆいのよ。「用心棒」をベースにして現代に置き換えてるから、もっと自分たちなりの「ここをみてくれ!」「これがやりたい!」というのを観たかったなあ。あ、映画としては決して下手とか失敗作ではないよ。ちゃんと演出も演技もしているし、ロケにも力が入っている。主人公役は、 新人の仲村靖秀。大抜擢やと思うけど、顔つきや表情が良いと思う。ほかにも、川原亜矢子伊崎充則かとうかずこ大和田伸也、村田雄浩といったベテランが脇を固めています。でもなあ……

Y木:具体的には、どういうところが不満なん?

 

旋風(かぜ)の用心棒:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画

 

S原:まず、人間関係がわかるようで分からない。原発推進派、反対派の女リーダーと弟、妻を拉致された夫、ラーメン店の女店主(主人公を助ける)とその子供、主人公にまとわりつく刑事、その他がでてくるねんけどな。みんな、それぞれの思惑で動く。だけど、どういう気持ちでなにを求めているのか曖昧にしているねん。もちろん演出なんやけど、観ている方は感情移入しにくい。「私怨」でも「経済効果」でも「賄賂(金儲け」でも目的はなんでもええねんど……

Y木:ふーん。主人公が立ち向かう「悪役」がいないってこと?

S原:一応、おるんやけど。うーん、そうやな。主人公はどういう目的でこの街に来たのかは、後半にならないと分からない。なので、余計に主人公以外のキャラや人間関係をすっきりさせてほしかった。観客にとっては、主人公が凄腕なのかどうかもよくわからんしな。黒澤版では、飯屋(呑み屋)の親父に、三船が話を聞くやろ。この町がどんな場所なのかとか、ヤクザ組織の対立とか。反対に、三船は自分の意図を呑み屋の親父に説明したりするやん。それが、観客にわかりやすくて、三船の次の行動の背景が理解できるねん。

Y木:結局、説明不足ってことちゃうの?

S原:そうなんやけど……ただ、映画オタクは「説明台詞」をバカにする傾向があるやろ。

Y木:ああ、そうやな。

S原:たぶん、監督(川原圭敬)は、わざとらしい説明をしたくなかったんやと思う。でも、今回はそれが感情移入できない原因になったのかも……

Y木:なかなか、映画作りも難しいな。

S原:というわけで、みなさん。決して悪くないですが普通に観て面白いとまで言えないのが残念です。おそらく製作費が少ない中でキャストもスタッフも良く完成させたと思いますし、異色作なのは間違いありませんので、ご興味ある人はぜひご覧あれ~。