あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

まだまだ知らない日本映画を10本発掘!「カミナリ走ル夏」(2003)の巻

カミナリ走ル夏 [DVD]

S原:今回はこれですよ。

Y木:また誰も知らない映画を見つけて…

(あらすじ)

甲子園出場の夢に挫折し、やる気なくバッティングセンターで働いていた青年が、孤独な少女との出会いから青春をとりもどそうと奔走する姿を描いた青春映画。出演は塚本高史伴杏里ほか。

 

S原:これはですねえ、変わった映画やった。

Y木:青春映画とちゃうの?

S原:一応そうやねん。でも、正直に言って、失敗作やと思う。

Y木:それは残念。

S原:ところがなー、なんともいえん個性があるねん。完成度は低いけど、どこか不思議な印象に残る…そんな映画やった。

Y木:へえ。俳優がええの?

S原:うん。主演は塚本高史やねんけど、世間的にどういう評価をうけてるかは知りません。でも、なかなか良かった。やる気がないバイト(バッティングセンター)の雰囲気とか、何に対しても心動かない(動かさないようにしている)若者の感じが良く出てる。なによりも表情と立ち姿が良い。やる気がないのに、眼だけはギラギラしている危ない感じで、アンバランスな印象が残るねん。

Y木:へえ。

S原:共演は、伴杏里と言う女優。高校生役やけど、こっちも良く頑張ってたと思う。

Y木:ストーリーは上を読んでもわからんな。

S原:バイトでやる気なく働いている主人公が、あるときにバッティングセンターの客でヤクザ(?)をバットで殴ってしまう。

Y木:ヤクザは死ぬの?

S原:たぶん死んでる。その勢いのまま、車(セドリック)を盗んで逃亡する。そのときに、一緒についてきてしまうのが、女子高生(伴杏里)やねん。

Y木:恋人…じゃないんやろ?

S原:うん。たまたまそこに居合わせただけの女子高生。なんとなく勢いでついていく。なぜ、主人公と逃走することになるのか理由をハッキリとさせないまま話は進んでいく。

Y木:昔、ニューシネマとかあったやん。自滅と言うか破滅に向かっていく青春みたいな感じ?

S原:それを狙ったのかどうかはわからん。この前半、意味なく逃走する場面はなかなか良いと思う。ただ逃げてからが退屈になる。

Y木:目的がないまま放浪する感じ?

S原:そうやなあ。一応、主人公は元高校野球選手やったみたいで、挫折を経験していまは心を閉ざしている。ひょんなことから女子高生と逃亡することで心の変化が生まれていく、と思ったけど、全然そんな感じじゃなくて、どんよりとしたムードのまま話が進む…

Y木:それ、ダラダラしてるだけちゃうの?

S原:あーその表現がぴったりかも。ダラダラした雰囲気のまま、最後までいきます。編集とか一部凝っているところもあるんやけど、どうにも「上手い」という感じじゃない。でも役者の良さは堪能できる。塚本高史以外では、少しだけ出てくる千原浩史もなかなか良いで。主人公の元チームメイトで、女子高生に塚本のことを話す場面が印象的やねん。千原曰く、塚本はピッチャーで、県予選の決勝戦、つまり甲子園出場一歩手間での大事な場面でカーブを投げた(それで甲子園に行けなかった)ことをいまだに引きずってる、と。

Y木:なるほど。

S原:千原は、いまは八百屋で働いてる。訪ねてきた主人公を軽蔑するような、一方で心配するような表情でな。こんな演技ができるんやと感心したわ。

Y木:へえ。映画はどうなるの?

S原:ラスト近く、ガス欠になった車を乗り捨てて、主人公はバットを持って走り出す。そこにロックが流れる。フラッシュバックする決勝戦の場面。塚本は大声で叫びながら走る。たぶん監督は、この場面を撮りたかったんやと思うけど、うーん…あんまり良くないかな。

Y木:でも、主人公が走り出すって、どこにも行くところないやろ。

S原:地元千葉の野球場に向かう。そこで、車の持ち主であるヤクザ2人に追いつかれる。女子高生はヤクザに捕まってしまう。

Y木:それで?

S原:主人公がヤクザをバットで殴る。

Y木:えー、なんかひどいな。

S原:うん。ヤクザも血だらけになりながら「おれ、なんか悪いことした?」って(笑)

Y木:それはそうや(笑)

S原:つぎはラストシーン。女子高生からボールをもらった主人公がはじめて笑顔を見せて、野球場に向かって走っていくところで、おしまい。

Y木:なんか地味な映画やな。

S原:なんとも不思議な映画やった。もっと上手く「苛立ち」が表現出来ていれば、これは良い映画になったかもしれん。まあ結果論になってしまうねんけど、それくらい可能性を感じたわ。惜しいよ。

Y木:ほんまかいな。

S原:さあ、みなさん。普通にみれば「変な映画」「面白くない映画」ですが、鑑賞後にザラついた印象が残るタイプの映画です。完成度には目をつぶって、ぜひトライしてくださいませ!

まだまだ知らない日本映画を10本発掘!「フルメタル極道」(1997)の巻

フルメタル極道 [DVD]

S原:今回はこれ。

Y木:どひゃー、なんやこれ。

(あらすじ)

一念発起して憧れの極道の世界に入った平凡な男・鋼は、組の謀略によって殺されてしまう。しかし、彼は奇天烈な博士の手によってサイボーグとして甦り…。

 

S原:こういうDVDって、よくレンタル店のすみっこに置いてるやろ。学生時代にレンタル店で働いてた時に「こんなん、だれが借りるねん?」と思ってたけど、世の中よく出来たもので毎回こういう映画を借りに来る人がいた(笑)

Y木:やっぱり固定ファンはおるんやろな。これは、うじきつよし主演か。ちょっと驚いたわ。

S原:音楽ファンには、「子供ばんど」やな。当時、友達に好きなヤツがいて、CD借りたけどピンとこなかったなー。

Y木:おれもそうやった(笑)あとは「カルトQ」の司会やな。

S原:いやー、まさにこの作品がカルトやと思う。ただ、レアなだけで価値があるかと言われると返事が出来ない…(苦笑)

Y木:でも、これはSF風で一応新しさを出そうとしてるやん。

S原:うん。全体のノリはいかにも「Vシネマ」。まあ、SFと言ってもお金もかけられないし、ロボットといっても肉襦袢(ロボットの柄のタイツ)を着てるだけやし(苦笑)

Y木:少々雑でも面白ければOKみたいなノリやな。

S原:基本的にはそう。勢いとグロといえばええんかな、ロボットになって刀をもってヤクザを殺しまくるとか、血糊がブシャー!とか、そういう味付けを楽しむ作品やと思う。

Y木:いやー、こういうファンには悪いけど、おれは昔からこういうのが苦手でなー。たけしの映画でさえ観てないくらい。

S原:北野武作品とはさすがに同列には語られへんと思うけどな(苦笑)でもまあ興味がない人には一緒かもな。

Y木:予算がないのを逆手にとって、勢いとかノリでスピード感で勝負する姿勢は認めたいけど、こういう映画ってやっぱりチープさが出てしまうやろ?そこがちょっとな…

S原:「悪ノリ」みたいなのを楽しめばええんやけどな。

Y木:それはやっぱりマニアというか好事家の世界のような気がする。これってストーリーは単純やろ。ヤクザがロボットで改造されるというだけやろ?

S原:そうそう。殺されたヤクザが、ロボットになって復讐するだけ。改造するのは、マッドサイエンティスト田口トモロヲ

Y木:あ!田口トモロヲか。ちょっと観てみたいかも(笑)

S原:メチャクチャやったで(笑)まあ田口トモロヲに限らず、みんな怪演って感じやったけどな。大杉漣とか北村一輝のファンは観ても損はないと思う。それよりも、この映画では、かなりエゲつないレイプシーンがあるねん。エログロで味付けはええねんけど、個人的にはあそこまでせなあかんのか、と疑問に思うなあ。

Y木:へえ、そんな過激なんや。

S原:ほとんど鬼畜AV。死体をレイプするし…ああいうのはちょっとな。あとは画質が悪いねん。画質レベルを求める作品じゃないと言えばそうなんやけど、ざらざらの画質では余計に安っぽく見えてしまう。ここはもったいないと思う。

Y木:あーわかるような気がする。

S原:切られた首が空を飛んでいくとか、胴体が真っ二つになるとか漫画チックなアクションは面白いし、下ネタ(改造されたときに、チ〇ポがデカくなったとか)もアリやと思う。けど、なんか全体的にテンポと言うか切れ味が悪くて、イマイチのれなかった。

Y木:おまえは、こういうのは好きそうやけどな。

S原:何故かはわからん…でも、これは個人的な好み以外の何物でもない。実際、「これ、最高や!」とホメてる人もいるしな。

Y木:たしかに人を選ぶタイプの映画やろうな。

S原:さあ、みなさん。なにかと賛否を呼ぶ三池崇志監督ですが、勢いだけはあります。「まともな映画」が好きな人はスルーしてください。絶対に家族で観てはいけませんよ。低予算の映画が好きな人にはおススメです!うじきさーん、これに懲りずにまたB級映画に出て下さーい!

まだまだ知らない日本映画を10本発掘!「ゾンビ自衛隊」(2005)の巻

ゾンビ自衛隊 [DVD]

S原:今回は「ゾンビ自衛隊」!

Y木:もうタイトルで終わってるよなあ…

 (あらすじ)

ある日、富士の樹海UFOが墜落する。その影響からか、富士の樹海周辺では奇怪な現象が続出する。そこで演習中の陸上自衛隊一個小隊が行方不明者の遺体捜索をしていたところ、突如死体がゾンビと化して襲ってくる。また、時を同じくしてヤクザが1人の人間を殺し、埋めようとしていると死体がゾンビと化して襲ってくる。さらにはグラビアアイドルも撮影をしていると突如ゾンビが現れ、スタッフの何人かは襲われてゾンビと化す。一個小隊、ヤクザ、グラビアアイドルらは町へ逃げ延びるが、そこでもゾンビが次々と出現して襲ってくる。

 

S原:いやー、懐かしかったー!

Y木:なんやねん、いきなり。

S原:だって、学生時代に散々観た自主映画そのものやもん(笑)

Y木:あーそういうことね。

S原:これ、パッケージみて「あ、面白そう」と思って観る人おるんやろか?いやいやー、おらんよ、そんな奴。

Y木:1人で勝手に話すなよ。まあB級映画ってわかったうえで、レンタルとかする人が大半やろな。「バカバカしくて笑える」というノリでしょ。

S原:その期待は裏切らない出来やで(笑)予想通りのZ級やし、特撮はチープやし、演技も何もあったもんやない。製作費としては最低レベルとちゃうかな。

Y木:結局、おもろいの?

S原:うーん、頑張りを認めたいけど、まあ面白くはないな。

Y木:やっぱり。

S原:でも主演女優は良かったで。

Y木:だれ?

S原:驚くなかれ、なんと!あの渡瀬美遊ですよ!

Y木:誰やねん。別に驚かへんわ。

S原:まあ、これが代表作やねんけどな。

Y木:もう女優としてキャリアが終わってるがな。

S原:でもこの女優はいい雰囲気やった。ツンとした表情がすごく良いしな。あともうひとり、みひろという女優がでてるねんけどな。やたらと太ももとかパンツをみせるねん。

Y木:セクシー担当やな。

S原:あとで調べたらAV女優やった。

Y木:なんでもありか。

S原:あとは隊長が、大矢剛功やねん。

Y木:だれ?

S原:みなさんご存じの、いぶし銀のプロレスラーやがな!

Y木:知るか、そんなやつ!

S原:いやー、大矢さんには試合後の売店で話しかけたことあるけど、ええ人やった。あのときにSWSに参加したのが果たしてよかったのか、評価が分かれるところやな…あなたはどう思う?

Y木:どうでもええわ。それで、この大矢って人は俳優もしてるんやな。

S原:まあ、信じられないくらい台詞を噛んでたけどな(笑)

Y木:なんやねん。

S原:水野晴郎や、ガッツ石松も真っ青の棒読み&棒立ち&カミカミ&無表情。こんなに硬い演技もなかなかお目にかかれないレベルやで、ほんま。

Y木:なんか聞いてると、ほめてるように聞こえるから不思議やな。俳優たちのレベルはええとして、要するにゾンビが襲ってくる典型的な映画なんやろ?

S原:そうそう。一応、自衛隊員VSゾンビ軍団なんやけど、とりたてて工夫もないし、ありきたりやったな。

Y木:でも、こういう映画ってそんなんばっかりやん。

S原:そうなんやけど、低予算でも工夫すればええのに、と思うなあ。せっかく自衛隊員がゾンビと戦うという設定やのに、とくに生かされていない。

Y木:例えば、自衛隊ならでは知識や技術でゾンビをやっつけるとか?

S原:そうそう。いくらでも面白くなりそうやん。でもそういうのは全くない。自衛隊員なのに現場で右往左往するだけ(笑)よく思うねんけど、こういう映画って「へえ、意外とおもろいやん!」とか「おお、このシーンはええなあ」とか思わせないとあかんタイプの映画やろ。

Y木:さあな、そこまでみんな期待してないんとちゃう?印象的なシーンはないの?

S原:とくにないなあ…あーそうそう。主人公(渡瀬美遊)は、女性自衛官なんやけど、ラストのほうで実はアンドロイドやと判明するねん。

Y木:それもなんだかなあ…

S原:奥歯を噛んだら、アンドロイドのパワーがでるという設定がナイスやろ?それで、ゾンビと戦っているうちに片腕がなくなって、日本刀で戦ったりするねんけどな。それはええねんけど、片腕の場面では、お腹で(腕を)隠しているのがバレバレ(苦笑)もうちょっと工夫してほしかったな。

Y木:だから、そういう映画なんでしょ。

S原:うーん、というわけでみなさん。ちょっぴり残念な出来ですが、渡瀬美遊のかっこよさと、大矢剛功の柔軟性のない演技は必見です。あなたの視野がぐっと広がること間違いなし!俳優志望の皆さんもぜひ参考にして下さーい!

まだまだ知らない日本映画を10本発掘!「ソウル・オブ・ロック」(2012年)の巻

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S原:今回はこちら!

Y木:お。バンドの話かー。 

 (あらすじ)

売れないロックバンド“バーミヤンズ”のメンバー三人は、お互いが全然違う性格なのに、ロックへの熱い想いだけは一緒だ。ボーカルのレイカ有末麻祐子)は仕切り屋でいつも場の中心、行き過ぎの強引さが明るくバンドを引っ張っている。作曲とドラムスを担当するザキ(君嶋麻耶)はマイペースの変わり者、低い知性の持主ながら妙に冷静だったりする傍観者。タク(牧田哲也)は作詞とギターを担当する情熱家、熱い思いがいつだって空回りする思い込みの激しいへなちょこ野郎だ。そんな三人が居酒屋でだべり、スタジオで喧嘩し、ライバルを罵倒しながら、ロックへの愛と未来への夢を確かめ合っていく。

 

S原:これはひどいわ…

Y木:そうなんや。

S原:だって、音楽の映画ちゃうもん。

Y木:え、ちゃうの?バンドの話やろ?

S原:登場人物が、バンドメンバーというだけで、とくに音楽にまつわるシーンはないねん。

Y木:じゃあ、どんな映画?

S原:居酒屋で延々とダラダラしてるだけの映画。

Y木:……うそやろ?

S原:ほんまやねんって!ほんまに、グダグダ話しているだけの映画やねん。

Y木:バンドの将来とか、今後の希望を話したりするんやろ?

S原:まあ、そういう話も少しするけどな。バーミアンズというバンドを組んでるねんけど、なんか行き詰っててイマイチな感じやねん。

Y木:音楽の才能とかセンスは?

S原:ない。

Y木:演奏は上手くないの?

S原:演奏シーンはないから、わからん。

Y木:でも、有名になるっていう夢はあるんやろ?

S原:とくにないみたい。

Y木:曲を作っていくという葛藤とかは?

S原:別にない。

Y木:あーわかった。バンド内で恋愛をしたりすんやな?

S原:いや、なかった。

Y木:あーあれか!俳優たちが可愛く・カッコよく撮れてるとか?

S原:いや、とくに小汚い俳優たちやったな。

Y木:せめて、セクシーシーンはあるやろ?

S原:ありません。

Y木:じゃあ、何があるねん!

S原:だから大半は雑談なんやって!

Y木:ほんまかいな。

S原:信じられへんと思うけどな。これは、ほんまやねんって。

Y木:そりゃ、ひどいな…

S原:……

Y木:……

S原:……

Y木:いや、なんで無言?おかしいやろ!もっと話すことあるやろ?

S原:話すこと?……そんなものは、ないのさ……(遠い目)

Y木:おいおい、じゃあこの映画を取り上げるなって!

S原:だって、ワゴンセールで売ってたんだもん!

Y木:もん!じゃねえ。

S原:いやあ、昔、SNSで自分たちの飲み会を生中継でUPしたりする奴らがおるって聞いたことあるんやけどな。

Y木:あー、そんなことをしてる奴らがおったらしいな。いまでもおるんか知らんけど。

S原:あれと一緒やな。他人が居酒屋で雑談しているのを、そのまま映像にしましたという映画(笑)

Y木:きついなあ。せめて、スタジオで練習するとかはあるやろ?

S原:あったかなー…あーそうそう、腕立て伏せとか腹筋してたかな。バンドをするには体力が要るんだっていう話になって、運動してた。

Y木:腕立て伏せ…

S原:なんか、毎回解散するとか再結成するとか話をしてたかな。でも、どうでもええよ、べつに。

Y木:そんなん言ったら、話は終わるがな。というか、そういうのを狙ったんやろ。グダグダな若者の雰囲気を描く、みたいな。

S原:いや、もう話は終わりにしよう。これ以上話すことはありません。以上!

Y木:今回の紹介は、ひどすぎるぞ…

S原:みなさん、珍作中の珍作ですが、チャレンジをしたいは、ぜひどうぞ!ぼくならタダでも要りませんねえ。

Y木:いや、おまえは喜んで買ったんやろって!

まだまだ知らない日本映画を10本発掘!「ガッツ伝説 愛しのピットブル」(2006年)の巻

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Y木:……なにこれ?

S原:まだまだ知られざる日本映画を紹介するシリーズですよ!

(あらすじ)

強烈なキャラクターで人気のガッツ石松が主演を務める人情ドラマ。東京近郊のとある町の商店街。ひとりでペットショップを営む元ボクサーの森田石松は、ある日10年前に亡くした妻と娘を思わせる母娘・かな子と美雨に出会い交流を深めていくが・・・ 

 

S原:前に「知られていない日本映画20本」という特集をしたのを覚えてるやろ?

Y木:あー、みんな興味がなくてソッポをむかれた、あのしょぼい企画なー。

S原:しょぼいって言うんじゃない。でもマイナーな日本映画は、みんな本当に興味がないんやと痛感したで(苦笑)

Y木:また懲りずに、その企画をするんやな。で、この映画は?

S原:いやー、この映画はですねえ……ズバリ!面白くないです!

Y木:そうやろな。

S原:なんちゅうんかな。せっかくのガッツ石松やから、もっとメチャクチャにしないとな。

Y木:メチャクチャって?

S原:そもそも、誰もガッツ石松なんかに演技とか求めてないやろ?

Y木:まあな。

S原:でも、この映画ではちゃんと演技してるねん。セリフもまともやしな。

Y木:それでええやん。

S原:ちゃうねん、ちゃうねん!ガッツ石松が普通の演技をしたら、ただのおもろない映画やんか!

Y木:……ひどいな、おまえ。

S原:映画全体が破壊されるくらいの個性の持ち主やのに、普通の役をさせて普通の演出で撮ってるねんで。一体全体この監督や製作者は何を考えてるんや?

Y木:なにも考えてないんやろ。

S原:そうなんかなー。なんかせっかくに癖のあるラム肉やのに、臭みを全部消して、鳥の胸肉みたいにして料理をだされてもな。そんなんやったら初めから鶏肉を食うっちゅーねん。こっちはラム肉を食べたいねんって!

Y木:ラム肉でも鳥肉でもどっちでもええわ。それで、この映画はストーリーはあるの?

S原:あるよ、一応。ガッツ石松はやもめ暮らしやねん。ペットショップを経営してるねんけど、ある日、母娘と出会う。ガッツはいつしか母親(麻生祐未)に、ほのかな恋心を抱く。商店街では、祭りのためにグラビアアイドルを呼ぶとか伝統の太鼓行事をするとか話し合っている。商店街の娘を助けるために、ガッツ石松はチンピラ相手に大暴れする。母娘はいろいろあって、町を静かに去っていく…こんな話やな。

Y木:なんか、イマイチやな。

S原:イマイチやで。麻生祐未はすごく綺麗やねんで。たぶんガッツ石松の「淡い恋」を描きたかったんやろうけど、そんなん誰が興味ある?

Y木:じゃあ、おまえも観るなよ。

S原:ひょっとしたら、おもろいかもしれんやん!

Y木:おもろないわ!

S原:ああ、せっかくのガッツ石松がなあー。

Y木:なんやねん、べつにファンちゃうやろ。

S原:はあ……空しい……(ため息)

Y木:こっちのセリフや!

S原:というわけでみなさん、ガッツ石松が動いているのを見るだけで大満足という人以外にはおススメできません。ガッツさーん、セリフなんかどうでもいいので、もっと変な映画にでてくださーい。

Y木:怒られるぞ、おまえ。

「アポカリプス・トゥモロー」(2014)の巻

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Y木:またこんな映画か…

S原:さあ、もう観なくても内容がわかってしまう映画を紹介しますよ。

(あらすじ)

古代マヤ文明の預言に残された未曽有の危機に立ち向かう人々の姿を描くパニック。考古学者・マーティンが発見したゾディアックの石盤。そこに記された12の災厄が実際に地球を襲い始める。マーティンは何とか石盤の謎を解こうとするが…。

 

S原:結論から言うと、これはダメ。面白くなかったわ。

Y木:観んでもわかるがな。

S原:まあそうなんやけど、これ星座の映画やねん。たとえば、フジテレビとかで朝の情報番組で「今日のラッキー星座は、みずがめ座!」とか聞いて、「やったネ♡今日は、あのカレからデートのお誘いがあるかな?」とかワクワクするような女子っておるやん?

Y木:おらんわ。

S原:まあ、そういう女子向けの映画なんやろうな。要するに星座の話やねん。ある考古学者が、ペルーの廃炭鉱でゾディアック(十二宮図)の石盤を発見するのがオープニング。本筋が始まると、ポリダイナミックス社という会社の女性が主人公(おじさん)を訪ねます。さきほどのペルーの石盤の謎を解明してほしい、と依頼されます。そして息子を連れてペルーに行きます。石盤をみつけます。そして主人公は驚きます。真剣な表情です。「これはすごいものだ」「コレはなにかを暗示しているんだ」と言います。そして、意味なくかっこよくつぶやきます「待てよ…これは…終末預言だ!」主人公は真剣ですが、観客にはいっさい説明がないので、置いてけぼりです。

Y木:はじめから観客を放置か…

S原:さらに言います「これは…マシーンなんだ!」

Y木:マシーン?
S原:ゴゴゴゴ!とジョジョの効果音みたいに動き出す石盤。パカッ!と穴があいて、奇妙な石(ストーン)がでてきます。そのとき地震が発生します。津波も発生します。設定はペルーの山奥ですが、なぜか津波です。逃げてる場面は省略されて、いきなり場面が変わって、ポリダイナミックス社の施設(?)です。そこで主人公は隕石の画像をみて、「みてみろ!これはしし座そっくりじゃないか!」と鬼の首をとったように叫びます。

Y木:しし座にそっくりやったら、なんやねん

S原:「さっきの津波はきっと予言じゃないのか?」「あの石盤は予兆じゃないのか?」と勝手に妄想します。何度も言いますが、観客に説明がないのでわかりません。そうこうしているうちに、政府の偉い人(国防総省?軍?)がやってきます。主人公は、政府の偉い人に対しても熱弁します。「これはカウントダウンだ!」「やばいぞ!」「危険が迫っている!」そして「星座だ!いま世界各地で起きている災害と星座が関係してるんだ!」と勝手に妄想します。

Y木:…それで?

S原:政府の偉いひとは相手にしません。でも、ペルーから持ち帰ったストーンを欲しがります。

Y木:ストーンに秘密があるってことか?

S原:わかりません。たぶん映画の中で説明してたように思いますが、ちょうどトイレに行ってたので、分かりません。

Y木:おまえなー…

S原:なんだかんだあって、太陽に接近している惑星二ビルが関係している、と主人公は妄想します。一方、政府の偉いさんは、パワーを確認するため(?)ストーンでいろいろと実験します。ストーンから、びゅーんて光がでます。空に向かって光の柱がでます。主人公はいいます。「星座はあと9つ残ってるんだぞ」「人類は滅亡してしまうぞ!」「あのストーンを奪うんだ」と言って、本当にストーンを泥棒します。立派な万引きです。窃盗です。前科一犯です。

Y木:万引き…

S原:そうこうしているうちに、星座にちなんだ災害が起きます。火山の噴火は「牡羊座」の形です。

Y木:星座の形の噴火…

S原:とくに調査をしたり研究をしていませんが、主人公は突然「わかったぞ!」と納得します。曰く「惑星ニビルは、どんどん太陽に近づいている!」「だから破壊力は増していくんだ!」そして、次はてんびん座の災害が起きます。カミナリ雲です。「ほらみろ!当たっただろ!やったー!」と主人公は大喜びです。

Y木:あかんやろ、喜んだら。

S原:ほかにも竜巻とかいろいろと起きます。映画の中盤から(製作者にとっても。観客にとっても)星座は、どうでもよくなっていきます。さらに省略しますが、いて座に関係した「光の矢」が地球にせまってきます。ストーンをマシーンにセットすると、バリアというかATフィールド発動!そして、我らが地球はセーフ!やったね♡

Y木:……(無言)

S原:最後は、もちろんお約束、生き残った主人公が女性と接吻します。息子が、それをみて「おれだって、接吻したかったのに。パパだけずるい!」といじけて、おしまい

Y木:変なラストやな。

S原:さあみなさま。とにかく全編に薄味で主人公が勝手に妄想するだけの映画でしたが、こういうのが好きな人は楽しめるでしょう。いや、今回はさすがに無理かな…(苦笑)とにかく、鑑賞中は睡魔に襲われるような出来なのでおすすめはしません。全然印象に残らないような、こういうB級映画が一番困るんですよねえ…というわけで、今日も星座占いをチェックして、がんばりましょう!ちなみに、うちの妻曰く「フジテレビの星占いは全然あたらない」とのことです。みんな、気を付けてね♡

Y木:おまえの嫁さん、星占いのチェックをしてるんか。すごいな…

「L.I.N.X」(2000)の巻

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Y木:しょぼいパッケージにしょぼいタイトル。これ、どう考えても売る気ないやろ。

S原:今回は、極端にレビューが少ないこの映画ですよ!

(あらすじ)

時間を自由自在に操ることができる“時間移動装置”を巡るSFファンタジーアメリカ政府が発見した3つの地球外物体。それは歴史を作り変えるほどの力を秘めた“時間移動装置”だった。その存在に脅威を感じた政府は、3つの装置を別々に保管するが…。

 

S原:これ、上のあらすじがそのまま映画の冒頭に流れるねん。もう少し細かく言うと、時間移動が出来る3つの装置のうち、すでに2つは盗まれるねん。それで、最後の1つを破壊することになる。

Y木:なんで破壊?いきなり意味わからんねんけど。

S原:大丈夫、最後まで観てもわからんから(笑)まあ、全体的なトーンは、80年代とかのSFやな。「スペース・インベーダー」(1986)とか「エクストロ」(1983)とか、あの雰囲気。

Y木:あー、好きな人にはたまらんテイストやな。

S原:うん。主人公は男子高校生。友人もいます。演じている2人は、どうみても20代後半の大人です。老けた高校生です。昔のエロ本て、おばさんがセーラー服をきたりしてたやろ?あれやな。

Y木:あったなー、そんなエロ本。いま思い出したけど、おばさんがセーラー服を着て野球拳してるエロ本をみんなでみたわ…(虚無笑)

S原:さて映画は、なかなかしょぼい場面からスタートします。隣の家にいたずら(遠くからノックをする手作り装置) をする主人公と友人。バレて隣の小太りなおじさんに追いかけられます。昔のマンガみたいに、右手を突き出して「こら~」「待て~」とスクーターで追いかけるおじさん(本当)。車で逃げる老けた高校生。おじさんはカーブを曲がり切れず、激突死。

Y木:いきなりえげつないな。

S原:そのあと、老けた高校生2人がなぜか「死んだらあの世があるのか?」という大霊界問答をはじめます。

Y木:大霊界問答…

S原:主人公と友人が、ひょんなことから最後の時間移動装置を拾います。すぐにバレて、悪い奴ら(政府の人間?)に追いかけられます。しかも、悪い奴らは、主人公の友人に出会ったとたんに問答無用で射殺!

Y木:これも、いきなりやな。

S原:命からがら逃げる主人公。農家の倉庫ににげて、装置(木片におもちゃのダイヤがはめこまれたもの)を触ります。触るたびにピカー!と緑色に光ります。何回も緑色の光で遊んでいるうちに、悪い奴らが追いつきます。主人公は、悪い奴らに緑色のビームを発射。あーら不思議、時間が数分間(5分くらい)戻っています。

Y木:あー時間移動装置やからな。

S原:でも、主人公(の意識)だけはなぜか時間が戻らない。だから、悪い奴だけが5分前からやり直し。そのあいだに主人公は隠れたりできる、というわけやな。悪い奴は「おれは、すでに2つの装置を持っている」「その移動装置を使えば、世界を支配できる」「おれは世界を支配したい」「だから、その装置をくれ」「おれは楽をして生きたい」と説明します。

Y木:本音まるだしやん。なんちゅう頭の悪い悪役や。

S原:また主人公が時間をさかのぼって、今度は主人公は悪いやつらの研究所(軍事基地?)に行きます。

Y木:なんで?

S原:その説明はありません。たぶん主人公は残りの2つの装置を探しているんだと思います。悪い奴らが3つ揃えたら大変なことにナルゾ!そのまえに、おれが3つゲットしなきゃ!ってことやろうな。

Y木:いやいや主人公が3つゲットしても、しゃあないんとちゃうの?

S原:その説明もありません。主人公は研究所でいろんな人にパンチを食らったり、パンチをしたりします。ルチオ・フルチみたいに絵の具の血がドバーってでます。 さあ、いよいよ2つの装置を保管している場所に着きました。3つはパズルになっているようです。主人公が持っている最後の一つを組み合わせれば、いったいどんな現象が起きるのでしょうか?あー、ドキドキしますねえ。

Y木:せえへんわ。

S原:あ。ちなみに、3つの装置は、木製の知育パズルそっくりです多角形の木片をいろいろと組み合わせます。主人公はオツムが弱いので、組み合すことが出来ません。そうこうしているうちに、悪い奴らに追いつかれます。

Y木:そりゃそうやろ。

S原:追いつかれるたびに、ピカーと装置を使って時間を戻る主人公。時間を戻して何回もパズルにチャレンジ。さあ、時間とパズルの勝負だゾ!

Y木:…時間を支配する装置やのに…もうちょっと有意義なことに使ったら?

S原:何回やってもパズルの答えがわかりません。ふと、目の前の壁を見ると、ジャーン!パズルの組み合わせ図形がポスターとして掲示されてました!

Y木:うそつけ。

S原:ほんまやんねん!ほんまに、こんなシーンがあるねんって!

Y木:はー(ため息)

S原:そして3つを組み合わせます。パズルが完成です!その途端、画面がピカーと真っ白に!

Y木:ピカー!が好きやな。

S原:主人公は、真っ白な部屋にいます。そこに、母親がでてきます。大霊界です!

Y木:おいおい、時間が巻き戻るという装置ちゃうんかいな。

S原:ハッと気づくと、かなり時間がもどっています。主人公の友人が死ぬ前です。友人が生きていることがうれしくて、立小便をしている友人の後ろから抱きつく主人公…

Y木:おい、勘違いされるぞ。

S原:そして、また大霊界について2人で話し合います。

Y木:意味わからん。

S原:最後は、主人公が3つの装置を夜空に向かって投げます。空中でピカー!光って、3つの装置は、それぞれ3方向に飛んでいく。ドラゴンボールそっくりですが、100均のパズルが捨てられていると思うだけで、だれも拾わないでしょう。主人公はつぶやきます。「今回のことで、命が大事だと気付いた」「ほんとうに大事なんだ…」おいまい。

Y木:命が大事って…いまさら?

S原:いやー、これも変な映画やった。低予算なのは仕方ないけど、どことなく薄味やしな。というか、やっぱり演出と説明が下手でよくわからんねんなあ。まあ監督が大霊界に興味があるってことだけはわかったわ。

Y木:ほんまに、おもろなさそうな映画やな。いつものことやけど…(苦笑)

S原:さあ、100均ショップで売っている木製の組み合わせパズルが好きな人にはたまらない映画ですよ。みなさん、「時間が巻き戻ったらええのになあ」と思いながら仕事をしているでしょ?ミー・トゥーですよ。ミー・トゥー!だれかが、3つの装置を手に入れて時間が戻ってしまう前に、さあこのDVDをゲットしてください。

Y木:時間が巻き戻ったら、ゲットしたこともなかったことになるんとちゃうの?

S原:…え?