あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

便乗映画特集!トム・クルーズじゃない「宇宙戦争2008」(2005)の巻

宇宙戦争2008 [DVD]

S原:今回はトム・クルーズは出てこない宇宙戦争

Y木:「宇宙戦争2008」というタイトルの映画を2021年に観る空しさよ…

(あらすじ)

20XX年、地球はカルクー星人の攻撃にさらされていた。UFO編隊の猛威の前に、人類はエイリアンの軍門に降る。カルクー人の要求は800万人の生贄。伝染病に苦しむカルクー人は、血清となる地球人の血液を必要としていた。抽選で選ばれた犠牲者たちは、次々とUFOの母船に収容されてゆく。娘を連れ去られたチェイス博士は奪還を決意。レジスタンスと手を結び、ある計画に着手するが…。

 

S原:これ、たぶんテレビ映画やと思う。宇宙人が地球を襲ってくる理由が、人間の血液(血清)を採取するためで、宇宙人の名前は「カルクー人」(笑)すごくセンスのある設定やろ。

Y木:カルクー人て…(遠い目)

S原:もちろん、パッケージのような場面はなくて、田舎の方でチマチマ戦っているだけ。さえない大人たちが、なんとなくサバイバルゲームをしている映画やった(笑)

Y木:あーいつものパターンね。

S原:ちょっと面白いのは、カルーク人は病気で地球人の血液で治るから、地球人に血液を差し出せと脅す。地球人たちは800万人をチョイスして宇宙人に差し出す。ちなみにアメリカのノルマは80万人らしい(笑)大統領は「ノルマをこなさないと、怒られちゃうゾ!ガンバ!」と懸命にがんばります。

Y木:島耕作か。

S原:やがて主人公の娘が(採血対象者として)選ばれてしまう。主人公は娘を助けに行く。「娘のため父親が悪戦苦闘するゾ!ファイト!」という米国人が大好きな物話やな。

Y木:どうせ主人公はマッチョで、単身乗り込むんやろ?

S原:全然マッチョじゃないで。今回の主人公はしょぼいオッサンで、レジスタンスというかゲリラたちに助けてもらってた(笑)でも、途中にででくる秘密武器が面白くてな。段ボールで作ったハリボテのでっかい三角形のレーザービーム砲で、これで何でも溶かしてしまうという設定らしい。みんなは、「すげえ武器だぜ!」「これで勝ちだぜ!」「地球人をなめんじゃねえ!」と、盛り上がる。

Y木:あー、そのレーザーでカルーク人を一網打尽!ってわけやな。

S原:いや、そのあとレーザー砲は使わずに普通に拳銃で撃って殺してた。

Y木:頼むから使ってくれよ、レーザー砲。

S原:あと面白いのは、カルーク人の設定でな。地球人と全く外見が一緒やねん。

Y木:B級映画でよくある「擬態」やな。

S原:いや、ほんまにそっくりなだけやったわ。もう「擬態」とか「変身」とか設定も面倒やったんやろな。普通に英語もしゃべって地球人と言い合いしてるし。唯一地球人と違うのはですねえ、カルーク人は眉毛が白い!(笑)

Y木:うわー……

S原:あとは、ほっぺたに丸い銀色の瓶のふたがくっついている(笑)ほっぺたの瓶のふたで、宇宙人かどうか見分けるという。

Y木:高校の学園祭のコスプレでも、もうちょっとマシちゃうの?

S原:まあな。今思えば、「宇宙からのメッセージ」(1977)のガバナス人は失笑されてたけど、この映画を観るとあれはあれでよかったと理解できたわ。

Y木:ガバナス人て…(遠い目)

S原:しかも、ほっぺたの瓶のふたは通信機になってる(笑)さすがに宇宙人は、スマホ要らずで便利な世界に住んでるわ。

Y木:嫌やなあ…ほっぺたにミニ携帯が付いてるなんて。

S原:あと、驚いたのが「ロッキー」(1976)のアポロ(カール・ウェザース)がでてるねん。あのアポロやで?おれたちのブラザー、頼むから仕事を選んでくれよ~。

Y木:誰がブラザーや。どうでもええくせに。

S原:まあ、大したことない映画やったけど、いかにもB級な感じのしょぼいVFXや物語が、ええ味をだしてるねん。あと、これ、実はユニバーサル映画やねん。いつかUSJにも、この映画のアトラクションが出来るんやろうな。白い眉毛で、みんな瓶のふたをほっぺたにつけてパレードしたりな。

Y木:せえへんわ。

S原:というわけで、大したことない映画でしたが、お好きな人はどうぞ~!

便乗映画特集!ルトガー・ハウアーじゃない「ヒッチャー2004」(1998)の巻

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S原:さあ、今回はこれ!

Y木:うわー、タイトルからして終わってるぞ。

(あらすじ)

別居中の男(チャーリー)が、気分転換に車でリノに向け出発する。途中、車が故障して立ち往生している男を同乗させてやるが、彼は自分で人殺しである事を、告白する。 怖くなったチャーリーは、男を置き去りにして立ち去るが・・・。

 

S原:昔、映画を好きになったころ、「ヒッチャー」(1986)を観て、「うわ、これはおもろいなあ」と思ったのよ。

Y木:ルトガー・ハウアーが追いかけてくるやつやろ。今思えば、いかにも80年代なんやけどたしかに面白かった。

S原:ルトガー・ハウアーはええよなあ。あのクセのある感じがたまらん。「ブレード・ランナー」(1982)は超有名やし、「ナイトホークス」(1981)「レディホーク」(1985)と通好みの映画も出てる。何気なく珍作SF「サルート・オブ・ジャガー」(1989)なんかに主演しているのも親近感湧くよな。マッドマックスみたいな荒野で、楽しそうに鎖鎌をビュンビュンふりまわすねんで(笑)

Y木:本人は触れられたくない過去やろ。そっとしておいてあげて。

S原:今回は、その名も「ヒッチャー2004」。もちろんルトガー・ハウアーはでていません。バッタもんというか亜流というか。

Y木:それでどうやった?

S原:いやあ、なんとも言えん映画やった。

Y木:いつも通りのB級か。

S原:出来が悪いとかじゃなくて…えーとですねえ、ヒッチャーの面白さって、『どこにでもいるような普通の人間が、たまたまヒッチハイクを拾ったばかりに怖い目にあう』『こっちは悪いことしてないのに、エライめにあう』というところやろ?

Y木:そやな。

S原:この映画の主人公は、まず『どこにでもいるような普通の人間』じゃないねん。

Y木:ん?

S原:主人公は、中年男性でちょっとお金を持ってそうやねん。妻とは不仲で別居中。でも、まだ妻に未練がある。なんで妻が出て行ったのか説明はない。

Y木:べつに、どこにでもいるオッサンやん。

S原:ところが、かなり癖のある人物でな。休暇をとって、旅行先(リオ)に行くねんけど、ギャンブルがやめられないみたい。それもギャンブルのドキドキが好きとかじゃなくて、単に楽して金儲けをしたいだけ。欲望丸出し(笑)

Y木:えー、なにそれ。

S原:運転中も妻に未練たらたらで、何回も留守番電話に「いるんだろ?」「頼むからでてくれ」「声が聴きたい」「別れたくない」と泣き言を言うねん。

Y木:ま、それだけ奥さんのことが好きってことやろ?

S原:いーえ、違います。だって、立ち寄ったバーで女性を口説いてすぐにチョメチョメしてたもん。

Y木:おいおい。

S原:そのくせチョメチョメした後、女性からお金を要求されたら、「金を払うなんて聞いてないぞ!」「ちょっと高いだろ!」って怒るねん。

Y木:えー性格悪いなあ。

S原:やろ?こういう癖のあるやつが主人公。そいつが、ヒッチハイクの若い男を拾うことになる。

Y木:あーここから怖い体験するわけやな。若い男が変質者というのが分かってきて…という展開やろ?

S原:いいや、べつに若い男はそんなにおかしくないねん。

Y木:なんやねん、それ。じゃあ、べつに怖がることないやん。

S原:一応、若い男が「いま、人を殺してきたんだ」とか言うから、だんだん主人公は気味悪くなる。でも、気味が悪くなる原因ってそれだけやで?別に拳銃をちらつかせる、とかもないし、基本は会話してるだけ(笑)「人を殺した」って言うのも冗談かもしれんし、主人公は普通に接してたらええんとちゃうの?そう思わん?

Y木:おれに聞かれてもしらんがな。

S原:この主人公は、なぜか不自然なまでに恐怖を感じる。観客が理解できないまま、勝手に興奮して、結局若い男を置き去りにして車で逃げ去る。しかも置き去りにするときに「ファーーック!おまえみたいな奴は、一生そこにいろ!」と叫ぶ。べつに主人公には迷惑をかけてないのに(笑)

Y木:ひどいな。

S原:しかも、若い男が大事にしていた荷物を、車から放り出して「ざまーみろ!」。

Y木:最低なやつやん。

S原:最低やで。こんな主人公に感情移入できません。

Y木:それで、そのあとに逆恨みした若い男がストーカーみたいに追いかけてくるんやろ?それが見せ場とちゃうの?

S原:うん。でも主人公の性格が悪いから若い男が追っかけてきても、全然怖くない。むしろ若い男を応援してしまう(笑)

Y木:それってわざとちゃうの?変化球というか。

S原:そうなんかなー。でも、なんか変やねん。というか下手やねん(笑)

Y木:最後はどうなるの?

S原:どんでん返しがある。偶然ヒッチハイクで出会った男は、実は別居中の妻(と愛人)が頼んだ殺し屋やったのよ。夫(主人公)の保険金狙いだとわかる。

Y木:それで主人公どうするの?

S原:SMに目覚めます。

Y木:は?

S原:ほんまやねんって。殺し屋に向かってニヤニヤしながら「おまえに暴力を振るわれて、かえって気持ちよかった」「いままで、こういう暴力は避けていた」とか納得の表情で長々と話す。「むしろ感謝するよ、ふふふ」。

Y木:ふふふ、じゃねえ。じゃあ、主人公と殺し屋は仲良くなるんか?

S原:いや、そのあとに主人公が急にキレる(笑)「おれは死なないぞ!」「かわりに、おまえが死ね!!」って怒って、若い男を殺す。しかも可燃性の液体をかけて体ごと燃やす!

Y木:ムチャクチャやがな。

S原:自分の身分証明書を死体(殺し屋)のポケットに入れて、自分は死んだことにする。今後は別人になりすまして生きるのです。

Y木:適当な設定やなあ。

S原:さらに、これで勢いづいた主人公は、ついでに妻と愛人も殺す!

Y木:どうやって?

S原:小包で時限爆弾を送りつける!妻と愛人を家ごと爆破!(笑)

Y木:郵送で爆弾!なんかスゴイな。

S原:最後は、カジノで女性とイチャイチャして、「今晩、チョメチョメするかい?」とニヤリとしておしまい。

Y木:なんか……ちょっと面白いような気がするぞ。

S原:いや面白くないよ、こんな映画。演出に切れ味があったら、もっと良くなったと思うけど、まあ珍妙な映画やったわ。

Y木:あー結局はダメなのね。

S原:さあ、みなさん。いつものB級映画とは一味違うような気がしますが、たぶんそれは錯覚でしょう。感情移入できない主人公、しょぼいストーカー、とってつけたようなどんでん返しの3点セット。これはもうマストバイするしかないでしょう!

便乗映画特集!アイ・アム・レジェンドでなくて「ラスト・レジェンド」(2008)の巻

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S原:今回の便乗映画はこちら!

Y木:また、こんな映画か。

(あらすじ)

新種天然痘ウィルスによるバイオ・テロが発生し、わずか3週間で人類は滅亡した。荒廃した世界とミュータントと化した感染者の群れのなか、たった1人免疫を持っていたライオネル・バーニーは非情な戦闘マシーンとなってミュータントを虐殺して地球浄化を目指す。メアリー・シェリー原作のSFの古典「最後の人間」を現代的解釈で映画化したSF・サバイバル・アクション大作。

 

S原:これは、ウィル・スミスの「アイ・アム・レジェンド」(2007)そのものやった。ところが、別の原作がちゃんとある。「フランケンシュタイン」で有名なメアリー・シェリー原作のSFの古典「最後の人間」という小説らしい。

Y木:へえ。

S原:でもまあ、そんな情報がどうでもよくなるくらいに、ヒドイ出来やったけどな(笑)

Y木:やっぱり。

S原:物語って起承転結があるやろ。いまだに定石として使われるのは、やっぱりそれが一種の完成形やからやと思うねん。ブルースのコード進行も定型やけど、かっこいい曲はいっぱいある。あれと一緒やな。

Y木:この映画でも起承転結で作られてるわけ?

S原:いや、まったく逆。なんと、この映画では起承転結の「起」しかない。

Y木:えー。

S原:ほんまやねんって。百歩譲って、起→承、までやな。要するに、人類の99.9%が死んでしまう殺人ウイルスが蔓延する。主人公は、抗体があるので感染しない。主人公は町を放浪する。周りはゾンビだらけで、襲ってくる。話は、これだけやねん。

Y木:それは設定を説明してるだけやん。

S原:うん。しかもこれ121分もある。長かったわー(苦笑)最後まで観た自分をほめてあげたい。

Y木:有森裕子か。DVDのジャケットを観ても、ダメ映画臭さが、爆発してるけどな。

S原:あーそうそう言い忘れてた。このジャケットにでてくる男は出てきません。

Y木:また、そんな詐欺か。また、主役じゃなくちょっと出てくる脇役なんやろ?

S原:いーえ、脇役でもでません。主演は、さえない小太りの男です。正々堂々とした立派な詐欺です。ここまでくると「あー、不味い!」と言い切った青汁のCMみたいな清々しさを感じるよな。

Y木:あれは健康食品。詐欺とはちゃうやろ。

S原:それにしても、感心したのは、こんな映画でも、他の人はちゃんとレビューを書いてることやな(笑)そして、みんなが突っ込むのはCGのチープさやな。

Y木:まあ…予算がないからな。

S原:ぼくはOKやったけどな。他のZ級映画でも、大抵CGはチャチやから、それは耐えれるねん。

Y木:もう耐性が出来てるんや(苦笑)

S原:中途半端に出来が良いよりもいっそ覚悟が決まるで。

Y木:人生に不必要な覚悟やけどな。ストーリーは、ほんまに生き残った男がさまようだけの映画?

S原:うん。まわりはゾンビみたいになっているから、主人公は殺しまくる。この世界を浄化してやる!って。

Y木:なんか、それってどうなんやろ。

S原:頭の悪そうな白人のメタボ男が、自分勝手に暴れてるだけ。かってに金持ちの大邸宅に入って、「一度、これがやりたかったぜ」と、ふかふかのベッドでゴロゴロする。

Y木:幼稚か。まあ要するに、ゾンビとの戦いを延々と描くわけやな。

S原:うん。でも、感染者の設定もブレブレやねん。はじめはゾンビが襲ってくるだけやったのに、そのうち普通にしゃべるゾンビもでてくる。主人公と会話するねんで(笑)それから、「感染してもほとんど人間」という奴らもでてくる。

Y木:ただの病気やん。

S原:そんな世界なので、なんとか感染者たちは、自分たちで必死でルールを作り生き延びようとする。小さなコミューンみたいなところで、地味に暮らしてます。そこに主人公が勝手に乗り込んできて、「おれこそが正義!」「おれだけが生き延びればいい!」「やつらは殺して地球をクリーンにする!」と、とにかく勝手に感染者たちを殺しまくる。感染者が命乞いしても、問答無用で射殺!

Y木:ひどいな。

S原:しかも、感染者たちを殺した後に、壁にプレーで落書きをします。「悪魔参上!」(笑)

Y木:昔の不良か。

S原:おまけに食糧不足のはずやのに、映画の最後までメタボのまま。だって金持ちの冷蔵庫から高級食材を盗んで食べてるから。高級ウイスキーを飲んで酔っ払って、高級車にのって「イエーイ!」「最高だぜ~!」「盗んだバイクで走りだす~♪」

Y木:尾崎豊か。

S原:ものすごい自分勝手で、ハッキリ言って感情移入なんかできません。いろいろあって、主人公は死んだと思っていた妻を見つけます。妻はすでに感染者です。ゾンビ化はしておらず、意識はしっかりとしています。主人公は「一緒に生きよう」と説得します。

Y木:妻は?

S原:「いやよ。散々、私たちの仲間(感染者)を殺したくせに!」ってディスられます。痛いところを突かれた主人公は逆ギレします。

Y木:ほんまに最悪なヤツやな。

S原:いろいろあって、最後は主人公は感染者たちと戦います。これがまた銃撃戦が長い。しかも、緊迫感ないから中年がサバイバルゲームをしてるだけにみえる。

Y木:ラストは?

S原:えーと、どんなんやったかな。たしか、自己反省して「ちょっとやりすぎたかもしれない」「あいつらだって生きているんだ」「(こういう残虐行為をしている)おれこそが悪魔なんだ」みたいなモノローグが流れる。

Y木:えー、いまさら?

S原:うん。でも反省したようにみせかけて、また高級車にのって「ヒャッホー!」って走り去っておしまい。

Y木:なんか、いちいち逆なでするよな。

S原:さあ、みなさま。これ以上は言うことがありません。「アイ・アム・オメガ」のほうが少しだけ良い出来のような気もしますが、まあ別に我々の人生には影響しませんよ。そういうことで、明日からもよろしく!

Y木:今回はすごい投げやりやなあ…

便乗映画特集!アイ・アム・レジェンドじゃなくて「アイ・アム・オメガ」(2007)の巻

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S原:今回は、「アイ・アム・レジェンド」の便乗映画!

Y木:パッケージがダサすぎる…

 (あらすじ)

絶滅の危機に瀕した世界で、数少ない生存者のひとりである男が地球を救うべく闘う姿を描いたアクション。謎のウィルスが蔓延し、多くの人間が異形と化した地球。家族を失ったレンチャードは、ある生存者からのSOSを受け、救い出そうと立ち上がるが…。

 

S原:ぼく、世界にたった一人で残される設定の映画が、大好物やねん。

Y木:あーおまえ、好きそうやなあ。

S原:かなり観ているけど、意外とアタリが少なくてな、ちょっと残念やな。

Y木:今回もバッタもん映画やな。

S原:というか、「アイ・アム・レジェンド」(2007)と原作は同じ(リチャード・マシスン)やから、他の便乗映画とはちょっと違うかな。ぼくは「アイ・アム・レジェンド」は、そんなに感心しなかったから、あれよりも出来が良いかもしれん。

Y木:えーそれは言い過ぎやろ。

S原:うん、言いすぎた(笑)でも、悪くない。色調を抑えて終末感をだそうと工夫しているし、無人の荒廃した雰囲気もよくでていると思う。ただ、いかんせん製作費が……(笑)

Y木:チープなんや。

S原:ゾンビメイクも頑張ってるし、無人の風景も工夫して撮っている。だけど、残念ながらハリウッド大作みたいには撮れないから。例えば、大都会にひとりぼっちで歩く姿を超ロングで撮るとかは出来ない。そこは可哀そうかも。

Y木:なるほどな。

S原:でも、この映画では他のB級映画とちょっと一味違うねん。

Y木:へえ。どこが一味違うの?

S原:いわゆる「説明」が、ほとんどないねん。

Y木:ほー、映画の設定とかの説明がないってこと?

S原:そうそう。B級映画では、とくに説明的なセリフが多かったりするやろ?

Y木:そのわりに説得力がないけどな。

S原:モテない男が、ペラペラと中身のない話をするのと一緒やな。

Y木:それ、おまえのことやん。

S原:そうかあ…だからモテないのかあ…(遠い目)いやいや、それはええねん。この映画では、なぜ街がこんな荒廃しているのか?なぜゾンビがいるのか?なぜ主人公だけ生き残っているのか?そもそも主人公は、なにをしようとしているのか?すべて省略してます。無駄なものをバッサリと切り落とたるで~という潔い姿勢やな。

Y木:あー、そういうの好きかも。意外と面白そう。

S原:それが長所。なんやけど同時に短所にもなっている。

Y木:そうなんや。

S原:やっぱり観ていて説明不足に感じたりするし、あっさりしすぎているというのか淡々とすすんで、なんとなく話が進んで、なんとなく話が終わってしまう。え、もう終わり?って感じでジ・エンド。映画作りはやっぱり難しいと思ったで。

Y木:淡泊なんや。生き残ってしまった人間の悲哀はないのね。

S原:まったくない(笑)さっきも言ったけど説明をしないのはええとして、ところどころ「ん?」と思う点もあるねん。たとえば、主人公が男性2人組(元軍人?)と会うねんけど、ひさしぶりの人類との出会いやから驚いたり喜んだりするはずやろ?だけど、なぜかいきなりケンカする。たしかに男性2人組は悪役というか嫌な奴らなんやけどな。数少ない人間同士やから協力すればええのに(笑)

Y木:それはいえる。

S原:その一方で、ある日、見知らぬ女性からのテレビ電話がかかってくるねんけどな。このときは、主人公はイスから転げ落ちるくらい驚く(笑)どうもリアルさと漫画チックな面白さのバランスが上手くいってなくて、ちょっと居心地が悪いまま話が進んでいく。この女性は、犬顔なんやけどな。個人的には、猫顔のほうが好きやな。

Y木:知らんがな。犬顔でも猫顔でもええわ。

S原:ちょっと面白いのは、 至近距離から銃をうつとゾンビの返り血を浴びるやろ?どうもそれがヤバいという設定で、ゾンビを撃った後、一生懸命に顔や体を拭くねん(笑)

Y木:リアルというよりも、なんか地味やなあ。

S原:なんだかんだあって、LAにいる女性を助けに行くことになる。

Y木:なんで助けに行くの?

S原:この女性は、特殊体質でウィルスに対する抗体を持っているらしい。この女性からワクチンを作ることが出来る、というわけやな。

Y木:未来の人類のために!やな。

S原:いや、主人公は何も考えてない。たぶん、相手が女性やから助けに行ったんとちゃうかな。下心丸出しの助やな。

Y木:最低やん。

S原:それで目的地のLAには時限爆弾が仕掛けられているねん。タイムリミットのあいだに女性を救出するのが間に合うのかどうか?もちろん間に合って、女性と熱いキッスをしておしまい。これから、たった2人で終末世界をどうやって生き延びるのか?という不安を全く感じさせずに、ハッピーエンド!もちろん、ワクチンの伏線なんかでてきませぬ!

Y木:なんかなあ…まあ、それはええとして、なんでLAに時限爆弾が仕掛けられてるの? 

S原:このへんも説明がないからよくわからんけど、主人公がしかけてる。たぶんゾンビの巣窟になっているから、爆弾で一網打尽にやっつけるということちゃうかな。

Y木:なんか強引な設定やな。

S原:でも面白かったで。あとは監督の好きなエッセンスに、自分の好みが合うかどうかとちゃうかな?

Y木:エッセンスって?

S原:カンフーやな。

Y木:カンフーって(苦笑)

S原:主人公は、ゾンビをヌンチャクやらまわし蹴りでやっつける。途中で、主人公が「もう怒ったど!」って感じで、シャキーン!とヌンチャクをだす。この場面が、すごく嬉しそう(笑)

Y木:あー、こういうのが撮りたかったんやろうな。

S原:もう中学生魂まるだし。だいたい男子中学生は、ゾンビ、カンフー、女性のシャワーシーンが、昔からの大好物トップ3やからな。

Y木:ちゃうわ。

S原:さーみなさま。頑張れば、もう少し面白くなりそうな映画ですが、まあまあの出来です。地球最後の1人になったときの予習もしておいてください。地球が滅亡する前に、見つけたらすぐにゲットですよ~!

便乗映画特集!ミラ・ジョヴォヴィッチは出てこない「バイオハザード3077」(2007)の巻

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S原:さあ、今回は「バイオハザード」に便乗した「バイオハザード3077」!

Y木:3077年の話か?未来すぎて、誰も興味ないやろ。

(あらすじ)

モノマネが得意なおちゃめな主人公・オーロラは、ある日仕事を失ってしまう。そんな彼女のもとに、ある日かつての同僚からアンドロイド護衛のために惑星行きの宇宙船に搭乗してくれという依頼が舞い込んでくる。しかし、その宇宙船に乗っていたのは数体のアンドロイドと、遺伝子操作に失敗したゾンビ化した人間だけだった…。

 

S原:これは……ほんまにひどい出来やった。しかも、ぼくは2回も観たんやで。

Y木:ヒマなんかい。

S原:ちゃうねんって。1回見ただけでは理解できないねんって(苦笑)ところで、昔のテレビ番組を放映するときに両端に黒い帯があるやん。いまのテレビサイズとは違うから、そうなるんやけど、この映画でもバッチリ両端に黒帯付きやねん。いまどき、こんな映画ってある?2007年の映画やで。

Y木:知らんがな。

S原:この映画はなあ…なんというか観ていると、眼がチカチカするねん。

Y木:画面が変ってこと?

S原:それもあるけど、変な色彩設計というか、すごくアンバランスな色使いでな。赤とかオレンジが主やねんけど、どうも深みもないねんなあ。場面ごとに霧がかかったみたいな白い画面になったり、暗くてよく見えなかったりして、鑑賞後にすごく疲れる。

Y木:要するに低予算でショボいんやろ。だから、こういう映画を観るのをやめろって。

S原:嗚呼、裏切られるのを分かっていてもついつい買ってしまう。そして、家に帰ってパッケージをみながら「これって意外な拾い物かも?」「ひょっとしたら、お得な買い物かも?」とニヤニヤ内容を想像して、実際に観たらガッカリする……これが繰り返される無間地獄よ…前世で良いことをしなかった業(カルマ)やろか?

Y木:知らんわ。はよ映画の内容を話してくれ。

S原:まず、パッケージの赤い髪の女性が主人公。主人公は仕事(OL?)をしています。どうやら、モノマネが得意らしく、職場で同僚に「いつものアレやってよ~」「そうそうモノマネをやってよ~」と頼まれます。調子に乗って、上司のモノマネをしたら、後ろの上司がいてクビになります。これがオープニング。

Y木:なんちゅう人の心をつかまないオープニングや。

S原:そんな主人公に、新しい仕事の依頼が来ます。それは、ある「女性」を目的地(別の星)に宇宙船で連れていくので護衛をしてくれ、との依頼です。その「女性」は、なぜか生卵型のアミアミを頭にのせてるねん。

Y木:なんやねん、生卵って。

S原:宇宙船に乗ります。倉庫に連れていかれます。生卵似の女性は「私はロボットなので、倉庫で十分なのよ」と言いますが、どんな意味があるのかよくわかりません。主人公はヒマです。宇宙船内を散歩していると、なぜか自分そっくりのダッチワイフ(裸♡)を見つけます。

Y木:なんで自分とそっくりなダッチワイフを宇宙船で見つけるねん。

S原:これ、ほんまやねんって。

Y木:百歩譲って、どうせ「クローン」という設定やろ?

S原:説明はありません。そのあと、このダッチワイフの伏線(?)は、なかったことでストーリーはすすみます。

Y木:…ひどいな。

S原:なんとなく話がすすんでいくうちに、宇宙船に警報がなります。「バイオハザードです!危険です!」と説明してくれるわかりやすい警報です。なぜかロボ(レオタードの女性)が、でてきます。主人公に向かって「ニューロゾンビが来るから逃げるのよ」といきなりアドバイスされます。主人公は逃げますが、ニューロゾンビにすぐに出会います。主人公は、ゾンビに向かって叫びます。「ロボット法に従いなさい!」

Y木:ロボット法?相手はゾンビちゃうの?

S原:そして、「なぜ人間を襲うの?」「わたしは地球人なのよー!」と怒ります。そのとき、主人公の目がぴかーと光ります。と同時に、護衛するはずの女性が、ニューロゾンビをやっつけます。

Y木:…意味わからんねんけど?

S原:レオタード女性軍団と、 生卵女性がよくわからない会話をします(2回観ても理解できなかった)。そのあと、なぜか半裸の熟女と半裸のおじさんのキャットファイト場面が挿入されます。これに意味はありません。先に言いますが、これはほんまです。

Y木:……(無言)

S原:次の場面へ。金色のレオタードの女性が寝そべっています。主人公にむかって説明をします。アルタイルがどうとか、自分の種族が絶滅したとか、この星はもっと自然があったとか、どうでもいい話のあとに、やっとすこしだけ大事な話をします。曰く、主人公は『ブラッドマスク』と呼ばれる、希少な種族である、と。なんと、主人公はモノマネが上手いOLではなく、他人の擬態が出来る伝説の種族なのでした。

Y木:えー、そんな貴重な能力をいままでモノマネに使ってたんか…?

S原:はい。才能の無駄遣いです。そのあとも、生卵女がよくわからない説明を続けているあいだに、コードがビヨーンって伸びて主人公の首に巻き付き、主人公は気を失います。目を覚ました主人公の首に噛み跡がついています(なぜか、3つの穴)それを見た生卵女はニヤリ…なんと、生卵女は「吸血鬼」だったのです。吸血鬼の仲間である黒人も登場します。「おれが、さきに嚙みつきたかったのに!」と怒ります。そのあと、しばらく口喧嘩が続きます。それをぼーっと聞いている主人公。

Y木:口喧嘩…

S原:この黒人はすごく健康的です。毎朝、海岸を走ったあと、朝食は野菜ジュースさ!というタイプです。肌もテカってます。いろいろあって、生卵女と健康黒人(吸血鬼コンビ)が、主人公のモノマネ(擬態)を利用して、要人(大使)を暗殺しようとすることがわかります。「主人公に、擬態をしろ!」「われわれに従え!」と迫りますが、主人公は「そんなことはイヤよ」と断ります。主人公にはそんなことをする理由はありませんので。

Y木:そりゃそうやろ。

S原:吸血鬼は、主人公に噛みついたから自分の仲間になると思ってたのに、ガッカリします。なぜか、主人公には「噛みつき効果」はなかったようです(その理由の説明はなし)。さて、主人公は逃げます。いつのまにか、岩だらけの砂の惑星にいます。しばらく歩きます。そして、オジサンが途中で意味なく登場します。職場にいたら、絶対に仕事を頼みたくないタイプの冴えないおじさんです。冴えないおじさんは、主人公にこの宇宙にナゾや惑星の歴史を語りますが、面倒なので省略します。

Y木:もっと省略してくれてもええで。

S原:このあたりから、主人公は黒いレオタード姿です。ちょっとふっくらしたキャッツアイに変身です。オジサンは、キャッツアイ姿をチラチラみます。レオタードが気になります。おじさんは下心が見え隠れします。内海刑事です。

Y木:だれが内海刑事や。

S原:そのあと変なロボットが出てきて、主人公を襲いますが、1分くらいでどこかにいきます。

Y木:…その場面、要る?

S原:下心満載のエッチなオジサンとは一緒にいたくないので別れます。今度は、栄養不足気味の白人(おじさん)がでてきます。栄養不足おじさんは、生卵女と健康黒人が計画している要人暗殺を阻止しようと説得します。主人公の、擬態能力を生かして大使を殺すふりをする(大使はロボットと事前にすり替えて置く)、そのあいだに、生卵女と健康黒人を捕まえる、というよくわからない作戦を決行します。

Y木:ショボい作戦やなあ…

S原:あっさりと作戦は成功します。生卵女と健康黒人がケンカしているあいだに、主人公が操縦室の変なボタンを適当に押してしまい、宇宙船は墜落します。

Y木:ごめん、全然ついていけないんやけど…

S原:だれもついていけないまま、まだ話がすすみます。墜落した場所は、荒野の惑星。健康黒人と主人公の最後の戦いです。緊張感ないまま、ほのぼのムードで戦います。なんとなく主人公は勝ちます。主人公は、まるで超大作SFのラストのように、かっこよく空を眺めるのであった…おしまい。

Y木:……これ、ちょっとひどすぎやろ?

S原:うん。とにかく意味不明な展開の連続で、ひさびさに映画でトリップしそうになった(笑)

Y木:ダメな映画すぎて、面白いってレベルとちゃうの?

S原:いやー、そうでもないのが残念。やっぱり意味がわからなすぎて観ている人がついていけないやろうな。とにかく、レベルとしては、そのへんのダメな映画とは一線を画している…ような気がする。

Y木:もうどうでもええけどな。

S原:さあ、みなさん。友達に「あのさ、ショボい映画ってあるやん」「あー、低予算というかB級、みたいな?」「そうそう、なんかそういう映画を観たい気分やねん」「あー、OK。じゃあ、これがピッタリだと思うよ」そんな会話のあとに、そっと差し出すDVDが欲しいのなら、ぜひこれを選んでください。なかなかの珍品です。勇気のある人は、ぜひチャレンジを~!

便乗映画特集!スター・トレックじゃなくて「スペース・トレック」(2009)の巻

スペース・トレック [DVD]

S原:さあ、ミスター・スポックはでてこないバッタもん映画はこちら!

Y木:商魂たくましいよな、ほんま。

(あらすじ)

宇宙戦闘艦を舞台に繰り広げられる一大スペクタクル巨編。はるか未来。人類は地球同盟を離れて謀反を起こしたクローン軍との戦争を終え、再び宇宙最果ての地を目指す旅を始めた。タナー艦長率いるクルーの中には、和解したクローン軍将校の姿もあった。奇妙な機体トラブル、オデッセイへの攻撃、地球に酷似した惑星からの救難信号…。艦長とオデッセイのクルーは、宇宙空間で起こる様々なトラブルにどう立ち向かっていくのか!?

 

S原:まず、ナレーションでストーリー説明があります。人類が宇宙に行く1960年代から、未来(2100年頃?)に宇宙に進出してもめ事が起きる話、だいたい5分くらいナレーションが続きます

Y木:長いなあ。

S原:それが終わったら、どこかの空き地でおじさんとおじさんが、ゆっくりとケンカをしてます。

Y木:シュールな出だしやな。

S原:あの「ゼイリブ」(1988)を思い出します。

Y木:もう「ゼイリブはええ。ケンカの場面のたびに引き合いに出すのはやめろって。

S原:そのあと、喧嘩をしていた2人は宇宙船の船員です。そのうち、1人はクローン人間だと判明しますが、まあどうでもいいです。そして、本部(?)のショボいセット(基地?)に呼ばれて、「ケンカはやめろ」「地球を目指せ」という命令がでます。なぜ地球を目指すのか理由は分かりませんが、とりあえず2人は犬猿の仲のまま、宇宙船に乗りことになります。ものすごい大きな宇宙船のようにみえますが、乗組員は、7名(そのうち、クローン人間が2名)です。徹底した効率化が人身削減を達成しています。

Y木:うそつけ。制作費がないだけやろ。

S原:やがて、宇宙船の機体の故障がおきます。このまま放置しておくと宇宙船が運航できなくなります。

Y木:おお、一大事やんか。原因は?

S原:ボルトが1本落ちてるだけでした。

Y木:ボルトが1本…

S原:しかも、なぜか首輪で「機械の修理セット」をぶら下げている乗組員のおかげで、ボルトは修理できます。船長は、ニヤリと笑って「しっかりと、ネジは絞めておけよ」と的確なアドバイスをします。

Y木:…いや、たしかにアドバイスは的確なんやけどな。

S原:つぎに敵機からの攻撃があります。どうもクローンのようです。クローンと人類の戦争は終わっているのですが、納得のいかないクローンが攻撃してきたのです。

Y木:どうするの?

S原:主人公の宇宙船に乗っているクローンが「やめるんだ」と説得したら、勝手に自爆します。無駄死にです。

Y木:あー、そうなんや…

S原:つぎに、救命信号(?)のあった惑星に立ち寄ります。そこには変な赤い塔があります。赤い塔は、「自分が崇高な存在であり、人類の行いをフォローしてきた。おまえたちが生きてるのは私のおかげだ」と恩を着せます。突然、そういわれても…と困った顔をする乗組員たち。

Y木:そりゃそうやろ。

S原:そして、赤い塔は女性の乗組員にむかって突然ビーム!なんということでしょう。女性の乗組員の宇宙服が、原始人ルックに変更されます。

Y木:原始人ルック?

S原:フリントストーンみたいなワンピース、というか「ほのぼのレイク」の原始人家族のお母さんの衣装です。突っ込む前に言っておきますが、これは本当です。

Y木:ほのぼのレイク……

S原:それで、宇宙船に戻ったら、何の前触れもなく乗員同士(アジア風男とレゲエ風黒人女性)のキスが始まります。アジア男は、すこし村上春樹に似てます。

Y木:村上春樹…そのエピソード要る?

S原:要りません。そのあと、どこかの惑星が爆発するという話が急にでてきます。なので、船長は「ここにいては爆発に巻き込まるぞ」「超高速で逃げるんだ」と宣言します。宇宙船がビューンと動きます(超高速らしい)。しかしなんということでしょう。衝撃波の影響で、宇宙船の備品が全部落ちまいました。後片付けが大変です。

Y木:後片付けって…

S原:小さな備品が落ちただけなのに、乗員たちはなぜか傷だらけです。そのうちに、アフロ女性とイイ感じになった村上春樹は死にます。

Y木:春樹、死すか…

S原:そのあと、船長は自分の恋人とイチャイチャします。

Y木:仲間が死んだのに、最低な船長やな。

S原:なぜか場面に合っていない音楽が流れたあと、つぎのエピソードになります。宇宙船が故障したので、修理が必要ということになりますが、なかなか直りません。船長もみんなもイライラします。しかしもっと問題がありました。超高速で運行したので、自分たちがどこの宇宙にいるのかわからないのです。困りました。

Y木:いや、宇宙船のコンピューターで把握できるやろ。宇宙の航海図ちゅうのか、それはあるやろ?

S原:宇宙船のコンピューターは『このあたりの星は見たことがないから、わかりません』って答えます。

Y木:見たことないって…そういう問題?

S原:困り果てた乗員たちに、いきなりまた別の宇宙人からのメッセージです。宇宙人「おまえたちは何者だ。立ち去れなければ、船を破壊する!ここは我々の陣地だぞ!」船長「聞いてくれ。知らないままにここにきてしまったんだ」宇宙人「そんなことは知るか。攻撃する!」

Y木:短気な宇宙人やな。それで、どうするの?

S原:乗員が「これは最悪の展開ですよ」と言うと、船長は「さあて、どうするかな」とニヤリ。ここで、この映画は、ジ・エンド。

Y木:え…それでおしまい?

S原:ほんまやんって。ほんまにここでおしまいやねん。

Y木:全然、話が終わってないやん。いままでのストーリーもまったく意味わからんけど。

S原:うん。すべてが中途半端に始まって、なにも進まないまま終わる。途中から、地球に行くという目的もなくなっている。いやー、すごい斬新な演出やで。

Y木:下手なだけやろ。

S原:というわけで、「スター・トレック」ファンならもうこのDVDはゲットしていると思いますが、それ以外のファンも観て損はないとは言い切れないといえなくはないと言っても過言ではないかもしれませんよ。

Y木:変な言い方して、ごまかすな。

S原:さあ、中途半端な映画が観たくなったら、この映画を思い出して下さ~い!あ、そうそうエンドロールの合間のNG集も中途半端な出来で、おススメですよ~!いやー、パート2が楽しみダナ~!

Y木:うそつけ!

便乗映画特集!デイ・アフター・トゥモローじゃなくて「デイ・アナザー・トゥモロー」(2008)の巻

デイ・アナザー・トゥモロー [DVD]

S原:さあ、今回のパクリ映画はこちら!。

Y木:いかにもなジャケット…もう麻痺してきた(苦笑)

(あらすじ)

ある日、突然起こったロッキー山脈の大噴火。犠牲者を食い止めるため、この溶岩の流れを変えることができるのか!?ロッキー山脈の巨大ダムを爆破し、北米の危機に立ち向かう火山学者の姿を描くパニック・ムービー!

 

S原:これはちょっとなあ…あかんなー…

Y木:こんなん、おもろいわけないやん。どうせ自由の女神は出てこないんやろ?

S原:もちろんでません。でもこのパッケージのデザインはええよな。自由の女神がマグマに浸かっていて、マグマの上をのんびりと船がすすんでます。ええなあー、この味わい。

Y木:良くないわ。

S原:この映画はですねえ、ディザスタームービーなのに、なんと登場人物は5人のみ!しかも全員家族です!

Y木:災害映画やのに。パニックの場面とかないの?たくさんの人が逃げ回るとか。

S原:ありません。火山が噴火して家族がちょっともめたり、イライラしたりします。子供が反抗期とか親が離婚するとかしないとかいう話もありましたが、とくにどうということはなくて、ほのぼのムードのまま、ただ家族が火山から逃げる。それだけです。

Y木:うわー、それはキツイな…なんか印象的な場面とかないの?

S原:あったかなー。あーそうそう、途中でおじいちゃんが、火山灰をすいこんんでゴホゴホと咳き込む場面があるで。

Y木:どうでもええわ。

S原:いつのまにか、街は溶岩で消えています。溶岩が街に流れ着いて、大パニックになるという場面はバッサリと省略してる大胆な演出です。

Y木:あかんやろ、そこを省いたら。

S原:いろいろとあって、のんびりと家族で雑談しながらウロウロします。

Y木:でも溶岩は流れてるんやろ?どうやって脱出するの?

S原:えーと、おじいさんと妻と娘は、逃げ道を探して洞窟のなかをすすんでいきます。よくわかりませんが、何の脈絡もなく父親と息子は「街の人々を救おうぜ!」「おれたちが、やるっきゃないだろ!」と急に目覚めます。

Y木:意味がわからん…

S原:とにかくダムを壊して、水流で溶岩をせき止めようという話になります。

Y木:いきなり大胆な発想やな。

S原:そして、ロケットランチャーをもってダムに向かう2人…多くの人々の運命を背負って…

Y木:なんでロケットランチャーを持ってるねん。

S原:ダムに着きました。まず、父親が撃ちます。バギュ~ン!外れます。もう一発。バギュ~ン!外れます。バギュ~ン!外れます。父親は「意外と難しいな…」とつぶやきます。

Y木:なんちゅう演出や。

S原:最後に撃った弾が見事にダムを壊して、溶岩がせき止められた(ような気がする)ので、映画はおしまい。

Y木:うわー、今回はいつにも増してほんまにくだらん映画やな。

S原:そやな。とにかく水道水を薄めたような映画やった…(苦笑)Z級映画に免疫のあるぼくでも、これは眠かったな。

Y木:Z級映画なんか、どれも同じやん。

S原:いや面白くないけど、妙に印象に残る映画もあるんやけどな。この映画は逆。観た後に、すぐにどんどん印象が薄れていく…

Y木:それって、まったく無駄な時間の消費やん。

S原:そう思う。こういう映画が一番始末が悪い(笑)たぶん、テンプレートっていうんかな。なんの工夫もなく、ありがちな設定、どこかで観た場面やセリフですべて製作してしまっている。そりゃ眠くなるで(苦笑)まあ、生まれて初めて、パニック映画を観る人は楽しめるかもな。

Y木:生まれてはじめてで、レンタル店とかでこの映画を選んだら、それはそれですごいけどな。

S原:さー、みなさん。どこをとっても面白くないですが、登場人物が5人ということは確認できますよ。あなたの街に溶岩が流れてきたときのためにも、ぜひゲット…いやこれはゲットしたらあかんかな。

Y木:やっぱり…