あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

便乗映画特集!地球が静止する日じゃなくて、「地球が静止した日」(2008)の巻

地球が静止した日  [レンタル落ち] [DVD]

S原:さあ、今回はタイトルがすごいですよ。地球が静止「する」日じゃなくて、地球が静止「した」日!

Y木:静止したって過去形やったら、もう地球滅亡してるやん。

(あらすじ)

謎の未確認飛行物体がワシントンDCに飛来。現れたのは人間と同じ姿をした異星人・クラトゥと巨大ロボット・ゴートだった。クラトゥは各国の代表者に、大事なメッセージがあると言うのだが…。

 

Y木:これ、訴えられへんの?そのままパクリやん。

S原:うん、ウィキペディアによると『これはあまりにもオリジナルの『地球が静止する日』と酷似していたことから、本作の映画プロデューサーたちの行ないは盗作にあたると考えた20世紀フォックス(『地球が静止する日』の製作会社)から、法的措置も辞さないと警告された』らしい。

Y木:なんで、こんなしょぼい映画がウィキペディアに載ってるねん。そっちが怖いわ。

S原:ウィキペディア曰く『その後、法的な動きは出ていない』

Y木:もう相手にするのも面倒くさかったんやろな(苦笑)映画はどんな感じ?

S原:ある日に無数の宇宙船がやってきます。それを遠くからながめる男2人の会話。男A「宇宙人がやってきたぞ。こんなことになって大変だな」男B「それよりも、おれは小便がしたい」男A「はやくトイレに行けよ」男B「ああ、そうだな」これがオープニング。

Y木:…はじめから、つまづいてるやん。

S原:世界中の大都会に超大型ロボ(メガリス)が出現しますが、すぐに地球に攻撃をしません(立ってるだけ)。一方で、軍(特殊部隊)が、全裸で歩いていた「男」と「女」捕まえます。どうもこの2人は「宇宙人」らしいとわかります。男は眠ったまま、女は黙ったままです。いらだつ軍人は、「おいおい、わざわざ宇宙からきて何も言わないつもりかい?」とアメリカンジョークで諭しますが、「女」は無視します。

Y木:まあ、宇宙人にアメリカンジョークは通用せえへんやろ。

S原:そうこうしているうちに、ロボットが攻撃を開始します。たぶん、この「男」「女」が関係していると思いますが、なかなか会話が通じません。いろいろあって、やっと「女」が会話します。『このままだと、地球は兵器をどんどん開発し進歩していく。それは、いずれ他の惑星の脅威となる』

Y木:ありがちな設定やな。まあええわ。それで?

S原:「女」曰く『人類の真価を見せてくれたら、破壊を止めてもあげてもいいわ』と言います。しかも『今日の日没までに証明して』という期限付きです。

Y木:期限が早いな。ところで、人類の真価って何?

S原:さあな。軍人たちも戸惑います。「真価ってなんなんだよ」「見当もつかないぜ」「しかたない、女に自白剤を打とう」

Y木:おいおい。

S原:「女」に自白剤を打とうとすると、女はビームを出して、まわりの軍人たちをやっつけます。一方、別の場所にいた「男」も目覚めて話をはじめます。男曰く『「女」を地球に送り届けるために来た』『「女」の正体は破壊者だ』

Y木:よくわからんけど…

S原:誰にもわからないまま映画は進みます。アメリカ政府は巨大ロボに攻撃をします。でも逆襲にあって、世界中でロボが大暴れします。そして、なんとロボの発する電磁パルスで、地球の重力がストップすることが判明します。

Y木:重力がストップ?

S原:「地軸が傾く」のが原因らしい。

Y木:中学生の考えた設定みたいやな。

S原:面倒なので省略しますが、いろいろあって主人公(軍人)は「女」と一緒に逃亡します。

Y木:ああ、女の宇宙人と主人公が地球を救うというパターンやな。

S原:いや、「女」は一切助けてくれません。『わたしは見てるだけ』『あなたたち地球人が考えなさい』

Y木:えらい冷たいなあ。

S原:そのくせ、「女」の体調が悪くなると、主人公に助けてもらいます。

Y木:自分勝手な宇宙人やな。

S原:そのころ、軍施設に隔離されている「男」は軍の幹部に向かって言います。「もう時間がないぞ」「この地球は危ないから、さきに攻撃するのだぞ」それを聞いた軍人に「なぜ平和的な接触をしないんだ?いきなり攻撃するのはおかしいだろ?」と突っ込まれると、「……(それもそうだな)」と困った顔をします。

Y木:すぐに論破されてるやん。なんちゅう底の浅い宇宙人や。

S原:国連では、ロボに核攻撃を決定します。まわりにたくさんの住民がいますが、「ごめんね」って感じで、そのまま攻撃!もちろんロボは平気。核兵器で住民は死にます…

Y木:それって、モラル的にあかんやん。

S原:「人類の真価」がテーマなのに、モラルや倫理観もないまま映画はすすみます。そのころ、主人公と「女」は、ある教会で出産する場面に遭遇します。「女」は、その生命の神秘に感動します。感動してピカーッて光ります。

Y木:ピカーッて…

S原:やがて、宇宙人たちは主人公に微笑みます。昔の沢口靖子みたいに「あなたちの優しい心…忘れません…」って感じの雰囲気です。(実際は言わない)そして、宇宙船で帰って行って、おしまい。

Y木:え?「人類の真価」をみせないとあかんねんやろ?

S原:いつのまにか、その話はなかったことになります。

Y木:…ヒドイな。

S原:まあ、薄味映画やったよ。だいたい、元ネタの映画もイマイチやからな。制作費はともかく、出来はどんぐりの背比べやったわ(笑)

Y木:似たようなどんぐりに興味を向けるおまえがキモいわ。

S原:さあ、みなさん、レンタル店では絶対に横に並べて置いているでしょう(笑)B級映画のわりにはちゃんとしているほうですが、普通にまじめに生きている人に勧めてはいけませんよ。勝手にやってきて、勝手に帰っていくツンデレの猫みたいな宇宙人ですが、これはこれで世の中の役に立っているはず!そんなわけで、キアヌ・リーブス版に満足できなかった人はゲット、プリーズ!

便乗映画特集!マスクじゃなくて「マスク・オブ・デビル」(2007)の巻

マスク・オブ・デビル [DVD]

S原:さあ、今回の便乗映画はこれ!

Y木:「マスク」(1994)のニセモノ映画か。

(あらすじ)

デジタルプログラムで人間の脳をコントロールする最先端医療装置によって思わぬ人格を形成された男の悲劇を描く。優秀な科学者・ヘンリーは、脳をプログラムする研究に没頭していた。ある日、新開発した装置を自ら試した彼は、全く別の男に変身し…。

 

S原:最初に言っておきますが、ジャケットの青いおじさんは出てきません。

Y木:やっぱりな。もう驚かんで。

S原:これ、要するにジキルとハイドやねん。というか、役名も「ジキル」と「ハイド」(笑)

Y木:そのままやん。訴えられるぞ。

S原:たぶん『ジーキル博士とハイド氏』を原作にしてるんとちゃうかな。ま、どっちにせよ大したことない映画やから、どうでもええけど(笑)

Y木:どんな話?二重人格の話?

S原:そうそう。主人公(ジキル)は、医師で、脳科学を研究しています。生真面目な性格で、もうすぐ金持ちの娘と結婚する予定。前途洋々のはずなんやけど、どうも相手側の家族に不満がある。でもハッキリと不満も言えず悶々としている。そんなある日、脳科学で「人格を変える」という研究に成功する。

Y木:自分で実験台になるんやな。

S原:その通り。あとは、もうわかると思うけど、人格が変わった主人公は、欲望の通りに行動する男(ハイド)になってしまう。いままで理性で抑えていたマジメ男が変身するわけやな。しかも、なんと!人格が変わるときに、なぜかモミアゲが伸びます!

Y木:なんでモミアゲやねん。

S原:漫画『ドカベン』に出てくる江川学院の中(あたる)のモミアゲにそっくりやねん。水島先生もご立腹やろうな。

Y木:水島新司がこんな映画を観てるわけないやろ。

S原:ハイドになった男は、欲望のおもむくまま、女性とチョメチョメしたり、暴力をふるったり…やたらと女性の裸が出てきますが、不思議とエロくないです。もっとエロくして欲しかったなー。

Y木:そういう映画とちゃうやろ。主人公は根はマジメなんやろ?止めたり悩んだりせえへんの?

S原:主人公は「たしかに欲望のまま行動して困るヤツやけど、あいつ(ハイド)はあいつやもんなー」ってよくわからない理屈で納得する。

Y木:それはあかんやろ。自分が周りに迷惑かけてるのに。

S原:さて、ハイドになった時の主人公は大暴れを続けます。それでも、最初はなんとかなったんやけど、ついに人を殺してしまう…

Y木:えー!いくらなんでもあかんやろ。それでそうなるの?

S原:結局、良心の呵責に耐えかねて、主人公は死んでしまいます。

Y木:えーなにそれ?これって、楽しいコメディとちゃうの?

S原:僕もそう思って観てたんやけどな。ラストで「あー、これってコメディとちゃうんや」「マジメな映画やったのね」と初めて気づいたわ。

Y木:ひどいなあ。

S原:でも、このジャケットをみてみ?シリアスな映画やと思って、レンタルするヤツおると思う?それこそ「マスク」みたいな、軽く観れるコメディやと思うやん。でも、観てみると中途半端にイヤ~な気持ちになるだけという(苦笑)こういうのが一番困るで。

Y木:おまえ、これからも困り続けるんとちゃう?

S原:さあみなさん。みなさんも毎日葛藤しながら生きていると思います。例えば、「妻への結婚記念プレゼントをやめて、『スラムダンク』全巻セットを買おうかな」とか「子供のクリスマスプレゼントを安く抑えて、綾波レイのフィギュアをゲットしたい」とか葛藤しながら生きているでしょう?そういう人には、ピッタリの映画ですよ。中途半端な映画が好きな人は、ぜひゲット、プリーズ!

便乗映画特集!ザ・ウオーカーじゃなくて「ウォーカー」(2010)の巻

ウォーカー [DVD]

S原:さあ、今回のパクリ映画はこれ!

Y木:そのままやん、これ…

(あらすじ)

資源が枯渇し、荒廃した近未来。ウェスは伝説の地プルトピアを求め、愛車のピックアップトラックに乗り、愛犬のルゴシと荒野を進んでいた。ウェスは食料確保のため立ち寄った街で男たちに乱暴されている若い女性サラを助ける。サラもまた、研究者の夫が徴兵されたプルトピアを目指していたが…。

 

S原:正直に言うと、このブログを始めてからネタ探しのためにDVDを漁るようになってしまってな。

Y木:そうやろうな。でも、おまえは昔からZ級映画は好きやん。

S原:でも、一応ちゃんとした映画も観てたんやで。最近は、もうバカな映画を観るだけで精一杯。それも突っ込みやすそうな映画を選ぶという(苦笑)

Y木:なんて不毛な人生や。

S原:ぼくもそう思う。とくに今回の映画を観てると、「こんな映画を観てる間にも、人生の大事な時間を消費をしてるんやなあ…」と猛烈に空しくなったわ。

Y木:いまさらかい。

S原:この映画だけはほんまに、くだらないねん。というか突っ込みポイントがありそうでないという一番苦痛に感じるパターンやな。

Y木:パクリ映画ってそんなもんやろ。どうせ話も一緒やろ?

S原:うん。基本はまったく一緒。でも、デンゼル・ワシントン主演のほうの「ザ・ウォーカー」(2010)は、ある目的のために荒廃した世界を歩く。ネタバレになるけど、それは「聖書」を運ぶためやねん。だから、世紀末状態の世界の道標にもなるし、隠喩にもなる。当然、人によって解釈や反応が変わるし、それが映画の深みになるわけやな。

Y木:なるほど。この映画はそうなってないと?

S原:全然ちゃいます。ただ単に、荒廃した世界をウロウロするだけ。制作費とアクションのない「マッド・マックス2」(1981)と言えばわかってくれるかなあ。

Y木:うひゃー…

S原:出来が悪いんはええねん。だけど、突っ込みにくい映画はやめてほしいわ。B級映画を紹介するブログの書いてる身になって欲しい。

Y木:なんでおまえのために映画を作ってるねん。もうやめろよ、このブログも。

S原:とにかく、この映画はつまらん&突っ込めないという2重苦やった。あらすじはともかく、とにかく主人公の魅力がない。というかどんな人物か最後までわからんかった…(苦笑)正義感でも悪漢でもないし、生き残るための必死さもない。映画の途中で女性と一緒になるねんけど、主人公がその女性を守るのかどうかもよくわからん。

Y木:えー、なにそれ。

S原:たしか、設定では「人工穀物の影響で女性のほとんどが癌に侵され死亡。女性人口が激減、運よく生き残った女性も「貴重品」としての悲惨な運命しか残っていない」というはずなんやけどな。女性に欲情するわけでもないし、よくわからんまま、話は進んでいく。しかものんびりと田舎のハイウェイを車を走らせてるだけ。

Y木:確かにそれは退屈やな。

S原:マッドマックスと同じで石油が最重要な世界やねん。だから、土地のギャングのボスみたいな男と戦ったりする。でも、そのボスもなんかショボい男でなあ。場末のスナックのマスターみたいやねん(苦笑)

Y木:場末のスナックかー。主人公が向かう先は?目的地はないの?

S原:一応、「核都市プルトピア」を目指すことになる。そこには、資源が無尽蔵にあるらしい。

Y木:一応、ロードムービーやん。

S原:主人公と、相棒の犬と女性が3人で、理想郷を目指す…というストーリーになるはずなんやけど、実際はウロウロしているだけ。ひたすら退屈な時間が過ぎていく。

Y木:今回は、いつもよりも酷そうやな。どんでん返しとかないの?

S原:ないなあ…あーそうそう。車の燃料はガソリンでなくても、人間や動物の血液でもええみたい。だから、主人公は大事にしていた犬を殺します。理想郷にたどり着くためには、燃料が足りないのです。

Y木:……犬を殺す……最低やん。

S原:気分が悪くなるで、ほんま(苦笑)かわいい犬やったのに。

Y木:それで、最後は理想郷に辿り着くの?

S原:辿り着かへん。

Y木:なんやねん。

S原:この映画のテーマは「骨折り損のくたびれ儲け」やな。

Y木:なんて意味のない映画や。

S原:ほんまにこんな映画ねんて!『前から苦労している男が、今まで通り苦労しているところを見せられる映画』やで。カタルシスなんか皆無。SFとしても荒廃したディストピアな風景も楽しめない。おまけに主人公は感情移入できないむさくるしい男。これで、どうやって面白くなる?

Y木:知るか。好きで観てるんはおまえやろ。

S原:いやー今回ばかりは、しんどかった。というわけで、ネタのためにも不十分な映画です。今回ばかりはスルーしてくださいませ~!

 

便乗映画特集!サインじゃなくて「サイン・オブ・ザ・フィアー」(2002)の巻

サイン・オブ・フィアー (ユニバーサル・セレクション2008年第12弾)【初回生産限定】 [DVD]

S原:今回は、「サイン」(2002)のバッタもんです!

Y木:うわー…

(あらすじ)
不審な死を遂げた従兄の家を売却するため、仲間たちと彼の農場を訪れた大学生・レイン。そこで彼が見たものは、鉄条網で囲まれた荒れ放題の家と、トウモロコシ畑に出現した<ミステリーサークル>だった。翌日レインは屋根裏で奇妙なビデオを発見する。「あいつらがやってきた…」と謎のメッセージを残し、消えるビデオ。仲間も監視されているような感覚を覚えていた。そしてその夜、遂に惨劇が幕を開けた―!

 

S原:いやー、「サイン」自体が微妙な映画と言われてるのに、それに便乗するというたくましい商魂やで。

Y木:あの「シックスセンス」(1999)のシャマラン監督やろ。さすがに知ってるで。

S原:シャマランは「シックスセンス」だけの人やな。あとの作品は、『みんな期待して観てみるけど、ガッカリして、その後で腹が立つ』タイプの映画ばっかり作ってる人。いまや、何をやってもダメ出しを喰らってしまうという可哀そうな立場やな。

Y木:かわいそうに。

S原:まあ変な映画ばっかり撮るから、仕方ないわ。でも本人は、いまだに超一流監督のつもりらしいで。パーティでも「今度、ぼくの映画に出る?」とか言って女優を口説いてるらしい。

Y木:モテへんやろうな、あの監督は(笑)で、この映画のストーリーは?

S原:上の通りなんやけど、主人公がいとこの家を掃除して売却するために、友達から5~6人と一緒にやってくる。いとこは怪死してるねん。家に着いたら、なんか気味の悪い雰囲気を感じたりします。

Y木:定番やな。

S原:なんというか、前半はそれだけの話ですごいスローペース(笑)しかも、どうでもいい場面まで律義に描かれます。例えば、はじめて家に入ったときに、主人公や友達は「すげえ匂いだぜ」と顔をしかめます。

Y木:普通やん。

S原:ところが、そのあとも友人たちが、「くさいわ」「なんて匂いだ」「よくこんなところに住んでたな」という匂いの話題を延々と続けます。いかにこの家が臭いかを延々と説明します。

Y木:なんやねん、匂いフェチか。それはええとして、これはSF?

S原:うーん、というよりも一応ホラーかな。でも怖くないよ。さっき言ったけど、前半はややスローで、思わせぶりな雰囲気を楽しむ感じかな。たぶん、「溜め」みたいな流れを狙ったんやろうけど、ちょっと真面目過ぎて退屈やな。

Y木:どうせ、ヤングな男女がイチャイチャしたりするんやろ?

S原:ところが、この映画はチョメチョメしません。真面目に家を掃除します。

Y木:へえ。

S原:ボロボロの屋根を修理したり、やキッチンや玄関を掃除するシーンが続きます。ヤングなのに感心しますが、なんというか……地味です。

Y木:そりゃな。

S原:そんな地味な場面やどうでもいい雑談が続いた後に、ついに!一大事が起きます!

Y木:なに?

S原:黒人が、友人女性の着替えシーンを覗いてしまします!

Y木:どうでもええわ!

S原:ところが、このヤングたちは真面目なので、大騒ぎです。緊急に集まって、黒人を吊るし上げします。覗かれた女性は「もうお嫁にいけないわ!」と泣きわめき、友人が「おれが代わりに切腹して詫びる!」と叫びます。黒人は「悪かったよ、謝るよ!」と土下座します。「心からの謝罪じゃないだろ!」と大モメです。またこの場面が長い!

Y木:…変な映画やな。

S原:そうこうしているうちに、やっと映画は後半になります。いとこが残したビデオテープを見つけます。そこには、恐怖におびえる男(主人公のいとこ)が映っています。「ここはヤバいぞ」「あいつらが襲ってくるぞ」と震えています。困惑する主人公たち。

Y木:おお、ここから面白くなるんやな。

S原:あ!いま窓の外をサッと横切るシルエットが!

Y木:ベタやなあ。

S原:そして、家の近くにあるトウモロコシ畑で突然できるミステリーサークル!

Y木:それもベタやなあ。

S原:さらに、仲間の一人(女性)がミステリーサークルで行方不明に!

Y木:何回ベタが続くんや。

S原:さあ、謎が謎を呼び、話が拡がっていきます。ミステリーサークルの謎は?演出もムードも引っ張ります。さあ、どうなる?果たして奴らの正体は?

Y木:宇宙人なんやろ?

S原:当たりでーす!ジャーン!宇宙人でしたー!

Y木:驚かへんわ。そのままやがな。

S原:最後は、地面に光の輪が次々にできてその中から、宇宙人がよっこらしょって感じで出てきます。ところがこの宇宙人は、「鉄」と「電気」(電磁波)が苦手やねん。

Y木:ほー。じゃあ、鉄や電気で宇宙人をやっつけるんやな。工夫して撃退するパターンやな。

S原:いや、とくに工夫はせずに、ひたすら銃を撃ってたで。

Y木:頭を使えよ。

S原:最後は、家ごと宇宙人を爆弾でドカーンと一網打尽で、おしまい。

Y木:B級映画って感じやなー。それで、結局宇宙人はなんで襲ってくるの?

S原:分かりません。

Y木:え?

S原:謎は解決されません。

Y木:さんざんひっぱいておいて、最後はそれ?

S原:はい。宇宙人が来るぞ来るぞと思わせる → 本当に宇宙人がやってくる → 普通にやっつける。こういう映画やったわ。

Y木:いやあ。それはつまらんなあ。

S原:でも、宇宙人(黒い大きな目に、銀色タイツ)が次々とテンポよく登場するラストは、おもしろいよ。

Y木:観る気がせえへんなー。

S原:さあ、みなさん。この映画はラストだけみれば十分です。「サイン」と「サイン・オブ・ザ・フィアー」のどちらが面白いか?なんて愚問です。だって、どっちも面白くないのですから。シャマラン監督も負けずに、バカな映画を作り続けて下さいませ。ワゴンコーナーで待ってまーす!

便乗映画特集!トゥーム・レイダーじゃなくて「トゥーム・ソルジャー」(2008)の巻

トゥーム・ソルジャー [DVD]

S原:今回は、『トゥームレイダー』(2001)のバッタもん映画!

Y木:顔を微妙に隠しているところがなんともまた…

(あらすじ)

伝説上の霊廟にまつわる謎をヒロインが解き明かすアクションアドベンチャー。ある森の遺跡発掘調査で、天地創造以前に存在したデーモンを封じ込めたといわれる「冥王ハデスの霊廟」が発見された。だが調査を担う会社のスタッフとの連絡が突然途絶え…。

 

S原:あなた、近場の山登りとかピクニックとか興味ある?

Y木:いや、とくにはないなー。

S原:じゃあ、この映画はあかんと思う。

Y木:なんやねん、それ。

S原:これはですねえ、ピクニックする映画やねん。

Y木:アクションアドベンチャーって紹介されてるがな。

S原:いーえ、違います。宝探しの要素や、怪物も出てきますが、基本は主人公(女性)たちがのんびりとピクニックをするだけやねん。

Y木:えー。

S原:ほんまやねんって。

Y木:一応、怪物が出るんやろ。どういう設定なん?

S原:「太古からの怪物」らしい。それ以上の説明はなかったな。

Y木:ざっくりとした設定やな。

S原:遺跡調査チームが、発掘しているときに誤って、デーモンを起こしてしまうのよ。調査チームは行方不明になってしまう。そのチームの一員の姉が主人公。いろいろあって、傭兵部隊(州兵?)と一緒に弟を助けに行くわけ。それで山中をすすんでいくんやけど、緊張感が皆無でピクニックをしてるようにしか見えない。途中で、フォークダンスやジェンカを踊ったりするねんで。

Y木:ウソつけ。

S原:いや、ほんまにのんびりムードやねんって。怪物は、主人公たちがピクニックを楽しんでいるときに、途中で襲ってきます。なんか変なデザインの怪物やった。その名も「デーモン」(笑)

Y木:うわー…

S原:デーモンは拳銃やマシンガンで撃たれても平気やねん。でも、登場人物たちはひたすら拳銃を撃ち続けます。延々と銃を撃った後に、やっと「こいつ、銃が効かないのか?」すぐにわかるっちゅーねん!

Y木:誰に突っ込んでるねん。

S原:しかも、「冥王ハデス」というかっちょいい本名があるのに、みんなは「あのデーモンが」「デーモンのクソ野郎のせいで」とか、すごい扱いが雑やねん。でもデーモンは頑張ってたよ。人間を殺す時も丁寧に内蔵(肝臓?)だけを取り出して、みんなに見せびらかしたりするねんで。

Y木:よくわからん。

S原:たしか、変な骨の欠片を持っていたら御守りになるみたいで、デーモンには見つからないという話も途中ででてくるけど、まあ緊張感無くすすむからこのへんは眠くなります。

Y木:睡眠時間に充てたほうが充実するんとちゃう?

S原:眠い目をこすりながら、見続ける、これが我々の使命ですよ!

Y木:使命ちゃうわ。好きで観てるんやろ。それで、ラストは?ちゃんと終わってるの?

S原:一応終わる。デーモンをやっつけるために、主人公達は古文書と柩?などで封印をしようとする。ところが、メンバーの1人(男)は、デーモンのことや謎のことをすべて知ってたのよ。しかも、御守りも持っててデーモンには襲われない。主人公の弟も、こいつのせいで死ぬ。結局は、メンバーに悪者がいたというどんでん返しやな。最後は、主人公が監禁されて、悪者が『これからも、もっと悪いことをしちゃうぜ!』ってニヤリとしておしまい。

Y木:なんだかなあ…

S原:まあそういう映画やったよ。

Y木:どういう映画か全然わからん。でも、DVDを買うほどの映画じゃないということは理解できた。

S原:でも、この映画は絶対にテレビ放映されへんやん。やっぱりワゴンコーナーで出会うしかないと思うねんけどなあ。

Y木:いやー、普通の人はワゴンコーナーなんか行かへんねんって。

S原:さーみなさん。『トゥームレイダー』では、アクションがちゃんとしていて物足りないあなた、アンジェリーナ・ジョリーは美人すぎて遠慮してしまう内気なあなた、そんなあなたのための映画です。犬顔で美人かどうか微妙なレベルの女優にも注目ですよ!マスト・バイ!

 

便乗映画特集!ゴーストライダーじゃなくて「スケルトンライダー」(2007)の巻

スケルトンライダー [DVD]

S原:レンタル店とか中古店でDVDに背表紙をみてると、「え?なにこれ?」という紛らわしいタイトルの映画あるやろ。プラモでいうと「機動戦士ガンダム」じゃなくて、「機動戦隊ガンガル」みたいな。

Y木:そんなパチもん知らんわ。まーでも映画は、たしかに昔からあるよな。絶対面白くないのに、表紙とかタイトルを真似してるやつやろ。間違ってレンタルしてくれることを願う下心満載(笑)

S原:パクリというか便乗というか、そういうDVDを集めてみましたので紹介します!

 

(S原注:実はこの時点では、底なし沼にハマってしまうことに気づかなかった。便乗映画の世界がここまで深いとは…たぶんこのブログ最長のシリーズ企画になると思います)

 

(あらすじ)

地獄の馬を駆り、獲物の骨だけを喰う伝説の魔物“ボーン・イーター”に一人の保安官が戦いを挑んでいくアクション・アドベンチャー!アリゾナの砂漠地帯。リゾート開発の現場で続発する、謎の失踪事件。捜査を開始したエバンス保安官は、アメリカ先住民から獲物の骨だけを喰うという魔物“ボーン・イーター”の話を耳にするが…。

 

S原:これはもう、店でジャケットを見ただけで即購入を決めたで!(笑)いやー、このジャケットは最高やろ?

Y木:これ、どう考えてもショボい映画やん。どうせこんなのは出てこないんやろ?

S原:一応、でるで。もっとダサいけど(笑)原題はbone eater やねん。その名の通り、骨を食べる幽霊(?)がでてくるねんけどな。それがガイコツ男で、水蒸気の馬に乗って追いかけてくるねん。しかも、なんかデザインがいびつでな、ガイコツやのにどことなくメタボにみえる(笑)

Y木:ださいなー…

S原:車で逃げる人たちを、のんびりと水蒸気に乗ってメタボの骸骨が迫ってくる…この場面は、最高やで。ま、この場面以外は、かなり観るのが辛いけどな(苦笑)

Y木:やっぱりな。

S原:でもこの場面はおもろいねんって。しかも、この場面のBGMは、なぜかほのぼのとしたマカロニウエスタン調(笑)なんともシュールで、一瞬これは傑作かも?と勘違いしそうになったで。

Y木:うそつけ。骸骨は、なんで襲ってくるの?

S原:ちゃんと観てないから、というよりもダルすぎて集中力が切れたから、かなり忘れたけどな…えーと、確か工事現場で遺跡というか昔の人骨が発見される。この現場では、現地の民族が工事に反対しているねん。

Y木:それで?

S原:うーん、どうやったかな。なんだかんだあって、メタボの骸骨が襲ってくる。

Y木:それはさっき聞いた。襲ってくるって、骨を食べられるの?

S原:いや、触っただけで人間は砂になって消えるねん。

Y木:じゃあ、骨を食べられへんやん。bone eater とちゃうやん。

S原:なんか、砂になったあとに、骨を拾ってポリポリと食べてた…ような気がする。

Y木:貧乏くさい骸骨やな。

S原:まあ、そういう映画やったよ。あとは何があったかな…あーそうそう思い出した。なんか皆既日食の日がボーンイーターが合体する日でヤバいぜ!という話になるねん。

Y木:それで?

S原:最後は、小太りのおじさんが「聖なる斧」を投げて、メタボ骸骨をやっつけておしまい。

Y木:最初から投げろよ。

S原:そんなん言ったら、「シャイニング」(1980)だって、『はじめからあのホテルに行くなよ。危ないねんから』って話になるやん?

Y木:なるか!

S原:というか、もともとニコラス・ケイジの「ゴーストライダー」(2007)もイマイチなのに、それに便乗してもなあ…

Y木:はじめから負け戦やん。

Y木:さあみなさん。率直に言うとこの映画を観てもあなたの人生には、絶対にプラスにはなりません。でも本当にそれでいのですか?「ソドムの市」(1976)とか「ジョニーは戦場に行った」(1971)とか、そんな陰鬱な映画ばかりみていいのですか?気分が落ち込むでしょ?気分転換したくなるでしょ?そんなときは、ぜひこれをゲット!スケルトンなライダーとともに、ライド・オ~ン!

「デッド/エンド」(2003)の巻

デッドエンド [DVD]

S原:今回はこれ。ドイツ映画ですよ!

Y木:ドイツのホラーか。

(あらすじ)

遊びのつもりで48時間後の運命を占った4人の女性に、占い盤は“死”を告げる。所詮はゲームと、その場では誰も信じなかったが…。4人を襲う“予告された死”の恐怖を描く戦慄のオカルト・スリラー。

 

S原:これ、ええ感じのパッケージやろ?いかにもホラーって感じで。

Y木:そりゃ、顔半分が骸骨やから(苦笑)

S原:はじめは不安感を煽る雰囲気ですすんでいくねん。友達4人であつまっているときに、未来(いまから48時間後)を占う遊びをする。まあドイツ版コックリさんやな。このへんはなかなか良いよ。

Y木:ほう。

S原:それで、「死」「黒い男」の2つのキーワードがでてくるねん。これは、誰かが死ぬのか?黒い男に殺されるのか?とみんな不安になるねん。

Y木:なるほどな。

S原:それで、48時間後に(無事を確認するために)再会しようと約束して別れる。あとは、それぞれの友人たちの恐怖のエピソードがオムニバス風に展開していく。ええ感じやろ?

Y木:いかにもB級ホラーやけど、まあまあやん。

S原:1人目のエピソード。大学時代の先生と偶然再会します。この先生は、黒ずくめの格好をしています。「黒い男」なので、不安を感じますが、なんだかんだあって先生のアトリエ(研究場所?)に行きます。変な前衛芸術みたいなものをみているうちに、やばい雰囲気になります。なぜか女性がトイレに入っている無駄なショットがあります。そして「この先生って、もしかして殺人鬼??」と恐怖を感じます。

Y木:おお、それで殺されると。

S原:いや、殺されません。先生は殺人鬼ではありませんでした。
Y木:なにそれ?

S原:要するに早とちり。これで1つめのエピソードはおしまい。

Y木:え、それだけ?

S原:2つめのエピソード。2人目は、職業が医者(女医)です。病院に急患が運ばれてきます。患者は、ブラジルの原住民で黒人。「黒い男だわ!」と怖さを感じますが、治療はちゃんとします。でも、この黒い患者は死にます。おしまい。

Y木:えー…またそんなんで終わるの?

S原:3人目のエピソード。3人目の女性が夜、家に帰ります。すると、同居人(女性)が部屋に男を連れ込んで、チョメチョメの真っ最中です。男は黒い服を着ています。翌朝、起きてみると、同居人はいません。しかもベッドは血だらけです。きっと「黒い男」が殺したんだわ!と疑います。しかも、この男は白人のくせに胸毛がボーボーで本当に黒い体、これぞ黒い男ですなー。

Y木:強引やな。

S原:結局は、友人が帰ってきます。これまた勘違いでした。

Y木:また勘違い…3つとも同じエピソードかよ。

S原:さあ、4人目です。

Y木:もうええわ。

S原:48時間後になっても、4人目だけ集合場所に来ません。3人は、4人目の友人(ピア)の家を訪ねます。すると、なんということでしょう!ジャーン!ピアが死んでいるではありませんか!

Y木:わかった。黒い男に殺されたんやな。

S原:いえ違います。自殺です。

Y木:なんやねん、それ。
S原:ピアは、別れ話のもつれで恋人を殺してしまったのでした。そして自分も自殺してしまったのです。

Y木:じゃあ友達3人は関係ないやん。

S原:いやいや、ここからがスゴイです。主人公の手紙があります。3人は読みます。「こうするしかなかったのよ」「ごめんね」「あなたたち3人に、はじめに(私を)発見してほしかった」といった内容です。

Y木:…すごい自分勝手とちゃう?

S原:ところが、3人はババ泣きです。すごくしんみりとしたムードになります。木下恵介の映画みたいです。

Y木:うそつけ。

S原:そして、4人の友情を確かめ合っって映画は終わります。「よかったね…」「わたしたちの友情は永遠よ…」「これでいいのよ…」

Y木:よくないわ!恋人を殺してしまってるがな!

S原:いやー、ドイツではこれがハッピーエンドみたいね。

Y木:絶対ちゃうやろ。

S原:あと、ふと思ったんやけどな。

Y木:なに?

S原:これ、主演がエディ・マーフィーやったら、どうなってたんやろ?だってはじめから黒い男やん。

Y木:……おまえ、ほんまに今度エディ・マーフィーに会ったら土下座したほうがええぞ…

S原:さあ、みなさん。ホラーだと思ったらお涙頂戴の松竹映画みたいでしたが、面白いか?と聞かれれば、返答できませぬ。珍品映画がすきなあなたは、マストバイですよ!いやー変な映画やったー!