

S原:さあ、今回は全然新しくないシン・アルマゲドン!
Y木:思いっきり「アルマゲドンシリーズ、新起動」って書いてるやん。ひどいな。
(あらすじ)
地球を未曽有の危機が襲うSFパニック。20XX年、地球は宇宙空間に突如現れたワームホールに吸い込まれ、別の惑星系に移動してしまう。そこにはふたつの太陽があり、環境は激変。人類を救う鍵は、記憶を失くしたコリンという男が握っていた。

S原:SFが好きな人って、設定とかこだわるタイプがおるやん?
Y木:おるおる。つじつまをきちんと合わせないと気がすまないとか、凝った世界観を作るとか。
S原:うん、この映画はそれに近い。とにかく作り手のこだわりが凝縮されています。ただ残念なことに、それが面白さに結びついていない……
Y木:B級あるあるやん。話が複雑なん?
S原:そうやな。地球が舞台です。でも、この地球はワームホールが原因で、別の太陽系に来ています。
Y木:最初から、よく分からんねんけど。
S原:巨人で投げたと思ったら、いつの間にか阪神で投げてた小林繫みたいな感じやろうな。
Y木:あれはトレード! しかも古いな。
S原:別の太陽系では太陽が二つあります。その一つに地球はだんだん近づいています。そんななか主人公は目覚めます。記憶がありません。どうやら1年間眠っていたようです。ヒゲが延びています。長さで言うと、ロビンソンクルーソーみたいになヒゲです。ヒゲの長さと、眠っている期間のつじつまが合っていません。
Y木:はあ、ヒゲ。
S原:主人公が目覚めたら、生き残った人々はビルみたいなところに避難しています。そこでは食料も医薬品もほとんどないようです。まわりの男女は主人公に言います。「いままで、昏睡状態だったおまえを世話していたんだ!」「その分、働けよ!」
Y木:なんやねん、奴隷かよ。
S原:ときどき主人公は、過去の記憶をフラッシュバックします。映画は、崩壊した世界をウロウロする場面とその異様な世界の説明が交互に説明されます。
Y木:異様な設定?
S原:オゾンが固まって光球になって落ちてくるとか雲には電気があってそれが放電されると頭がおかしくなる(ゾンビになる?)とか、そんな感じです。
Y木:いかにもですなあ。
S原:さらには、主人公の過去の場面の説明がはいります。しかも、主人公が経営している会社の話と先代(父親)が作ったアイデアの話とそれを政府に売ろうとする副社長(?)の話がでてきます。主人公は必死で妻子を探しますが、それが捏造された記憶かもしれないというエピソードもあります。さらに、父親のアイデア(高性能燃料電池)のせいでワームホールができた(?)という謎がでてきます。
Y木:なんかややこしい……というより面倒くさいなあ(苦笑)
S原:そして、理由はよく分かりませんが、「その高性能燃料電池を使えば元の地球に戻るんじゃね?」みたいな話になります。
Y木:あーそれで空気を浄化するとか?
S原:いえ、もう一度ワームホールを作って元に戻るのです。そうすればセーフ!
Y木:いやアウトやって! 地球は崩壊してるんやろ? 2つの太陽の影響は受けなくなるかもしれんけど、世界は崩壊したまんまやん。アウトやん。
S原:いいえ、あなたの見解は間違っています。地球が元の位置に戻ったときに、もとの時間(つまり地球が崩壊する前の過去)に戻ることが出来るのです。
Y木:え? なんで時間も巻き戻るの?
S原:その説明はありません。
Y木:やっぱり……

S原:そのために主人公は過去に戻り、いろいろと準備します。
Y木:うん? 主人公が過去に戻る? どうやって?
S原:白目です。
Y木:し?
S原:もう一度言います。白目です。
Y木:白目がなんやねん。
S原:主人公が白目になれば、過去の自分とシンクロ出来るのです。
Y木:あー……そう………そうなんや……(冬の空をみる眼)
S原:これはあれですよ、あれ。「ガラスの仮面」方式ですよ。
Y木:あれは過去に戻らんやろ。
S原:もう少し説明すると、主人公が白目になるとワームホールを通る前の地球にいた頃の自分にメッセージを送ることが出来るのです(たぶん)。そうすればですね、いまの困った状況を脱出できるような材料(装置)を、自分たちが望むところに運んでおくこともできるのです(おそらく)。
Y木:頭が痛くなってきた。自分たちが望むところってどこ?
S原:更衣室のロッカーです。
Y木:頭が……
S原:そんなわけで、太陽に引き寄せられて「あぶ……あぶねえって!」とみんなが焦っているときにギリギリ間に合って地球はワームホールを通って元の位置(もとの時間)に戻ります。おしまいです。
Y木:メチャクチャやん。
S原:はい、メチャクチャです。でもまあ楽しかったよ。特撮はショボいけど、荒廃した街の場面はちゃんと撮ってたしな。
Y木:ふーん、じゃあこの映画おススメ?
S原:はい?
Y木:おススメかって聞いてるの?
S原:あなたねえ。
Y木:え?
S原:こんな映画、他人におススメできるわけないやろ!
Y木:やかましわ! ここまで読んでくれた読者に謝れ!