S原:さあ、今回はあのファンタズムの続編!
Y木:そういえば続編があったなあ。
(あらすじ)
不気味な葬儀屋トールマンの悪夢から数年後。少年マイクはあの体験のショックから立ち直れずに精神病院にいた。そんなある日、遠くの町で暮らすエリザベスは、テレパシー能力を通じてマイクと出会う。彼女が言うにはマイクやトールマンのことを知っており、8年前から悪夢に悩まされているというのだ。兄の親友のレジーの助けもあって立ち直りかけていたマイクは、正気に戻った演技をして病院を脱出。退院したマイクは、再びトールマンが復活したことを知り、レジーと共にトールマンに戦いを挑む。
S原:これは前作から9年後に作られてます。やっぱり変なカルト的な人気があったんやろうな。ぼくも続編がでたときは「まじかよ?」って思ったもんな。
Y木:大多数の人にとってはどうでもええ続編やろうけどな。
S原:今回、じつは初めて観たんやけどな。実はこれは……
Y木:なに?
S原:………
Y木:はよ言え。
S原:………ちゃんと理解できるねん。
Y木:それが普通の映画なの! なんやねん。
S原:いやー、前作はなんとも微妙な夢みたいな映画やったからな。今回はわかりやすかった。
Y木:ほんまかいな。
S原:ネット情報によると、1作目が予想外にスマッシュヒットしたので、ユニバーサルがドン・コスカレリ監督に大きな予算を与えて制作させたということらしい。
Y木:へえ、監督としては嬉しかったやろうな。
S原:でも出資者から条件があったのよ。「いいか、主役は変えてくれ。前の奴はダサいからな」。
Y木:前の主役が怒るぞ。
S原:結局、主役を変更して続編を作ったんやけど、さらに「前作はよくわかないから、もっと分かりやすくしてくれよ。アクションとか派手なシーンもたっぷりと頼むぞ、HAHAHAHA!」みたいな依頼もあったと想像してるんやけどな。
Y木:要するに、お金を出す奴の意向で路線が変わったんやな。
S原:たぶんそうです。結局、そこが観る人の評価の分かれ目みたい。
Y木:おまえはどうなん?
S原:確かに、1作目の夢の中にいるような変な感じはなくなったけど、別物と考えれば十分楽しめます。簡単に言うと、B級アクションホラーって感じね。
Y木:やっぱりB級なんやな。
S原:そりゃそうよ。だって、銀の球がブーンブーンって飛び回るねんで。その球からシャキン!って刃物がでるねんで? ヴィスコンティがそんな映画撮るか?
Y木:撮らんやろな。
S原:しかも、シャキン!って刃物がでたああと、グイーンって変なドリルがでておでこを掘るねんで? 血がぴゅーって出るねんで? しかも目玉がついてるねんで? テオ・アンゲロプロスがそんな映画撮るか?
Y木:撮らんやろな。
S原:神様がそういうことだと決めたのだよ、君ぃ!
Y木:神様はそんなこと決めへんと思うで。
S原:あー言い忘れてたけど、この銀の球は敵とか味方とか関係なく襲いまくるねん。主人公が危ないときに敵をやっつけます。おいおい、サスペンスの場面やのに主人公を助けたらあかんやろって(笑)
Y木:銀の球は、あんまり頭が良くないみたいやな。
S原:いいよな、この銀の球。ドン・キホーテで売ればええのに。
Y木:誰が買うねん。
Y木:結局、映画としてはどうなん?
S原:本当に単純です。精神病院を退院した主人公(マイク)が、レジー(米国の大地康雄)と一緒にトールマンをやっつける旅に出ます。今回も大地康雄はええ味をだしていて、無人の銃器店にはいって散弾銃とか選ぶシーンとかカッコいいです。一方で、ヤングな女性にエッチ中に頭をガンガンぶつけられる迷場面もあります。しかもエッチ中なのになぜか男女ともにパンツをはいたまま。おいおい、なにかのプレイかよ!
Y木:やめろ、女性読者も(少しだけ)いるんやから。
S原:マイクは、夢の中(テレパシー? 精神世界?)でカワイ娘ちゃんを見つけます。夢の中では何度も会っていて、彼女も探します。彼女も夢の中で出会ったマイクが来るのを待ってます。夢の中遠距離恋愛珍道中です。
Y木:なんか変やけどまあええわ。で、結局出会えるの?
S原:はい。意外とすんなりと出会います。そして会った途端、会話も交わさずにブチュー!
Y木:えーなにそれ。
S原:ええのですよ、すでに夢の中で会っているのですから。いろいろあって、主人公と大地康雄とヒロインと旅の途中で拾ったヤングな女子と4人で行動します。そしてついにトールマンに会います。
Y木:それで?
S原:やっつけます。
Y木:ほう。
S原:おしまい。
Y木:もうちょっと話せ。シンプルすぎるやろ。
S原:さっき話したように、銀の球が飛んできたり、体が縮んだドアーフがでてきたり、大地康雄が別世界に吸い込まれそうになって「あぶ、危ないって!」と焦ったりします。バリバリ80年代のメーキャップ(顔が崩れるとか)も、懐かしい駄菓子屋の味やった。
S原:あとは爆発やろうな。
Y木:爆発?
S原:たぶん、ドン・コスカレリは前作よりも多く予算をもらってはりきったんやろうな。派手な爆発が複数回でてきます。キメキメの顔のトールマンの後ろで、ドガーーンの場面をみると、「あーこれがやりたかったんだね、良かったね、ドン♡」と優しく話しかけたくなります。
Y木:ほっといたれ。
S原:というわけで本編は大味ですがテンポも良くて、SFXも80年代風で楽します。つじつまは全然あっていませんし設定はブレブレですが、それも含めてファンタズム・ワールドですよ! というわけで、このDVDは、なかなかレアなはず。B級ホラーファンなら、マスト・バイですよ!
(劇場版パンフレットでしょうか? これも味があります)