S原:今回はアイデア賞のこちら!半径15メートル以内に近づいた者を即死させてしまう男の話ですよ。
Y木:へえ、なんか面白そう。
(あらすじ)
交通事故に遭い記憶を失ったまま目覚めたリアムは、助けを求めるため近くの町に向かう。しかし目に入るのは住民の死体ばかりで、ようやく見つけた生存者も、彼が近寄った途端に死んでしまう。やがてリアムは、自分の半径15メートル以内に立ち入った者が即死してしまうことに気づく。戸惑うリアムだったが、近づいても死なない女性ジェーンと出会い、同じく記憶喪失の彼女とともに、この現象について解き明かそうとする。
S原:これはもしかすると有名かもしれない。ワゴンセール映画扱いして申し訳ありません。
Y木:誰に謝ってるねん。
S原:でも、これは面白かった!
Y木:久しぶりに当たりなんやな。
S原:イエスです。全く予備知識なしで観たからかもしれんけど最後までドキドキしたわ。なので、観る予定がある人はここで読むのを止めて下さい。
Y木:あー予備知識の有無で、面白さが変わる感じ?
S原:そうやな。これを観てつくづく思ったんやけど、ミステリーはやっぱり予備知識がないほうが楽しめます。
Y木:そうやな。ついつい調べてしまうけどな。で、これは良かったんや。
S原:良かったで。
Y木:今回は珍しく普通の映画やったみたいやな。というか、毎回紹介するのが変な映画ばっかりやから、なんか違和感があるぞ(苦笑) ま、それはええとしてどんな感じの映画?
S原:出だしは静かなムードですすむねん。主人公は車の事故を起こした直後に目覚めて歩き出すけど、全然記憶がない。自分の周りに死体がたくさんあるので、はじめはウイルスだと思って焦る。ところが主人公が近づくと、まわりの鳥たちがバタバタを死んでいく……このオープニングが上手い。無駄なセリフもなく最低限の描写で観客に説明する演出です。
Y木:へえ。
S原:あとはロケ地が素晴らしい。これはカナダの映画で、ちょっと寒々しい空気と言うか風景が映画の内容に雰囲気にぴったり。少し田舎が舞台で、広々とした農地や大きな無人の橋やきれいな川がでてくる。それらが少しずつ謎解きに絡んでくるのよ。ここがまた良いねんなー。
S原:自分の周りの半径15mが黒く焦げている(?)場所にたたずむショットなんか、最高やで。「ご飯、おかわり!」みたいな。
Y木:今回は誉めるなあ。
S原:半径15mというアイデア一本勝負で、よくここまで作ったと思う。主人公の15m以内に入っても死なない女性がおるねん。どうもその女性と主人公が近くにいると、周りに人がいても大丈夫(他の人が死なない)ということが分かる。つまり主人公一人にしなければ、周りに影響がでないのよ。
Y木:ほう。
S原:で、主人公がその女性と協力して周りの人が死なないように工夫するねん。
Y木:具体的には?
S原:例えば、主人公が警察に捕まってエレベーターに乗せられる。女性は引き離される。ということは、主人公の近くにいる人たち(警官も)死んでしまうやろ。なので15m以内になるようにエレベーターを追いかけて必死で階段で走って降りる。
Y木:面白そうやな。
S原:ほかにもいろいろあるけどこれ以上は説明できません。これは観て欲しいので。
Y木:ということはラストも内緒やな。
S原:もちろん内緒です。ネットで調べたらすぐに分かるけど、グッと我慢して欲しい。「おやび~ん!」みたいに我慢してほしい。
Y木:さりげなく下ネタを言うな。
S原:これ、アイデア一本勝負の設定やから最後はどう終わらせるか難しかったと思う。ラストは賛否があるみたいやけど、ここまで最後まで雰囲気重視で引っ張ってくれたら十分です。ただ、このラストは……いやーコメントなしでお願いします。というわけで、みなさん。これは割とイケます。少しスローですが、その雰囲気も合わせて楽しんでください~!
(本国のDVDパッケージでしょうか? ぼくは日本版のほうが好きです)