S原:今回は、ドイツのコメディ!
Y木:へえ。
(あらすじ)
アート・ディレクターとしての成功を夢見るビクターは、自分を売り込むために大手広告代理店を訪れる。社員になりすまして潜り込んだ先では、最大顧客オペル社の重要なプレゼンが行われていた。そこでビクターはキャンペーン案を批判してしまったため、社運を賭けたプレゼンはご破算に。ビクターは即刻会社からつまみ出されるが、オペル社は彼を社員だと勘違いしてキャンペーンの担当者に指名してくる・・・。
S原:これは舞台はドイツ。でも、観ているとハリウッド映画みたいに感じます。
Y木:昔、マイケル・J・フォックスでこんな映画なかった?
S原:「摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に」やろ。あれとよく似てます。で、結論から言うとこれは面白いです。イケます。
Y木:へえ、ベタやけどな。軽そうやし。
S原:ベタベタです。軽いです。ペラペラです。でもこういう映画はそれでオッケーなのよ。金のない小汚い若い男が、広告代理店に(無理やりに)潜入して段々と仕事で成功をおさめていく話がメインです。だから、ちゃらんぽらんな男がいかに出世していくのかを楽しめばええと思う。
Y木:主人公は金はないけど、アイデアはあるんとちゃうの?
S原:うーん、そのへんも微妙やった。一応広告マンになりたいという野心はあるみたいやけど、頭が切れる感じではなかった。それよりも、ピンチな場面でも機転をきかしてでどんどん上手く対応していくノリの良さと愛嬌の良さがあるねん。まああれよ、80年代の石田純一をちょっと頭を良くした感じよ。
Y木:石田純一って。一気に観る気が無くなった人もおるんちゃう?
S原:そりゃ悪かった。でも、これは普通に観れるねんって。あとはまあ主人公が幸運すぎるかも。「いくらなんでもラッキーすぎるやろ!」って突っ込む人もおると思う。
Y木:そういうコメディやからな。ハリウッドにはない良さはないの?
S原:あります。主人公(アレクサンダー・シェール)も良いけど、恋人役のチュルパン・ハマートヴァが凄く魅力的やねん。
S原:チュルパン・ハマートヴァのファンは多いみたい。たしかに魅力的やねん。美人という枠では、もっと美人はおると思うねんけど、本当にチャーミングやねん。ぼくは心の中では、「チュルパンちゃん♡」って呼んでるんやけどな。
Y木:キモイわ。
S原:チュルパン・ハマートヴァはロシア人で、ウクライナ侵攻があって亡命したらしい。日本でもニュース記事になるくらいやから、それなりに有名なのかも。もしも、映画ファンにとっては当たり前の情報をペラペラ話してたら恥ずかしんやけどな。
Y木:ま、このブログの読者は優しいから許してくれるやろ。この人は恋人役なんやな。
S原:そうそう。主人公とチュルパンちゃんが一緒にアイデアを考えるねん。『現代社会を象徴するように、スーパーマーケットで商品を弓矢で射る』というイメージでな。主人公は、恋人に黙ってそのアイデアを大手自動車会社(オペル)の広告に使おうとする。一方で、チュルパンちゃんは芸術家志望で自分の個展で使おうとするから、ダブルってしまう。主人公の相手は大手で企画がどんどんすすんでいく。主人公は恋人とも別れたくないし、せっかくのチャンスを無駄にしたくない。出世を選ぶか。恋人を選ぶか。さあ、どうする?
Y木:なるほど。結局どうなるの?
S原:みんなに観てほしいので内緒。ほかにも良い点が多くて、例えば先輩の広告マンの存在が「いかにも」な感じでアクセントになっています。
Y木:今回は普通に面白いんやな。このブログでは珍しいかも(苦笑)
S原:もちろん過度な期待はダメね。ぼくは「うわー、どうせコメディ部分はすべってるんやろうな。つっこみやすそうやから、買っておくか」って気持ちでDVDをゲットしたからな。
Y木:ほんまに不毛な購買方法やなあ。
S原:あとはラストが良いねんなー。はああ……あのラスト……良いなあ……(ため息)
Y木:へえ。でも、どうせネタバレはしないんやろ?
S原:ぜひご自分の目で確かめてください。ラストは本当にあっさりと終わる。でも妙に印象に残ります。特典映像で『もうひとつのラストシーン』が収録されていますが、僕は断然こっち派です! というか、全然意味が変わるじゃんかよ!
Y木:誰につっこんでるねん。
S原:というわけで、この映画は普通にイケます。ドイツの街並みも良いです。のんびりと観るにはピッタリな映画です。お休みの日になんびりとしたいときにぜひぜひ! 久しぶりに言いますよ。ワゴンコーナーでみつけたらマストバイ!