S原:さあ今回は、猿じゃなくてシロアリに支配された世界!
Y木:シロアリ……?
(あらすじ)
40年ぶりに帰還した宇宙飛行士達が目の当たりにしたのは人間や家畜を奴隷として扱うエイリアンが支配する世界だった、彼らはエイリアンに対抗すべく行動を開始する・・・。
S原:これは微妙やったわ。
Y木:毎回、微妙な出来やろ。
S原:いやいや出来が微妙なわけじゃなくて、なんというか全体の雰囲気がな。これ、すごいのんびりムードやねん。
Y木:のんびり。はあ。
S原:自然の多い山奥でロケしてるねん。撮影が終わったら、スタッフと俳優たちがバーベキューをしているのが目に浮かぶわ。
Y木:おまえ、撮影の後も想像してるんか。キモい奴やな。
S原:「ヘイ、ブルース! 今回の撮影は大変だったよな」「あーそうさ、ジョシュ。でも最高の映画が出来ると確認してるよ、HAHAHAHA!」みたいな。あ、ブルースというのは、あのブルース・キャンベルね。ジョシュというのは、監督のジョシュ・ベッカーのことね。
Y木:しかしブルース・キャンベルって、こういう映画ばっかりでてるんやな。ジョシュ・ベッカーは知らんけど。
S原:ジョシュ・ベッカー? ああ、「地獄部隊サム・ライミ/虐殺ヒーロー」の監督やん。
Y木:知るか、そんな奴!
S原:で、この映画やけど出来は良くないです。さっきも言ったけど、とにかく緊張感がなくてのんびりとピクニックしてる感じね。漫画でいうと「750ライダー」の後期みたいな感じ。
Y木:あーそれは、かなりのんびりムードやな(笑) というかエイリアン映画としてはそこでアウトやろ。
S原:ただ嫌いになれない部分もある。まずエイリアンやねんけど、ほんまにシロアリやねん。
Y木:はあ。
S原:シロアリ型のエイリアンやねん。
Y木:それは、さっき聞いた。
S原:名前もシロアリやねん。
Y木:おちょくってるんか。
S原:ほんまやねんって! 木材が好きで地球人を集めて奴隷にして材木を運ばせています。シロアリの星では、ダイアモンドみたいなもんらしい。
Y木:ふーん。
S原:それはええねんけど、とにかくこのエイリアンが弱い。木製のスプーンをグサッと刺さっただけで、「うげー」って死んでいきます。
Y木:じゃあすぐに反抗できるやん。奴隷なんかならんでもええやろ。
S原:なんかよくわからんけど、何十年も人間を支配していたらしいで(笑) だれも反抗せんかったんやろうな。
Y木:なんてアホな設定や。
S原:で、主人公たちが弓矢で撃ったり、刀を振り回すと次々と死んでいきます。緑の血をプシュー!ってだしながら死ぬねん。首が切れて緑の血がプシュー! 足が切れて緑の血がプシュー! 手が切れて緑の血がプシュー! いろんな所から緑の血がプシュー!
Y木:わかったわかった。
S原:一応、このシロアリは映画を話せるねんけど、声が「昔の宇宙人の声」そっくりで、吹き替えで観ていて吹き出してしまった。まさか21世紀の映画で、ワレワレハ~が聞けるとは。
Y木:結局、おまえ楽しんでるやないか。
S原:シロアリの攻撃は、人間の頭をガブっと挟んで首チョンパね。この場面も良かったで。
S原:最後は、ビビッて逃げてた大統領も合流して、また地球を取り返すぞ!ってところでおしまい。ジャンプの打ち切り状態ね。「俺たちの戦いはこれからだぜ!」
Y木:しかしなあ。いくらB級映画好きでもシロアリではなあ……正直に言ってこんな映画、観なくてもええやろ?
S原:そのクエスチョンに対して、アンサーしよう。
Y木:ああ。
S原:ミーの答えは。
Y木:……
S原:イエスさ!
Y木:やかましいわ!
S原:というわけで、のんびりムードの薄味エイリアンでしたが、シロアリ駆除に興味がある人は観て損はないと思います。あ、そういえば、あなた!
Y木:なんやねん、もう。
S原:よく似たタイトルの「エイリアン・プラネット」という映画もあるねん。
Y木:あ、そう。
S原:これ、意外におもろいかもよ?
Y木:………(無表情)