Y木、レイ・フォスター、ジョン・ビーチが待っている部屋。
S原:ハロー。
S原、遅刻してくる。
Y木:遅いぞ。オーケー、そろった。(レイ・フォスターに)弁護士のジョン・ビーチだ。
S原:その名前はよせ。
全員、S原をじっと見る。
S原:バカげてる。なによりも退屈な名前だ・・・須磨。
みんな、笑う。
S原:今後、汝を須磨ビーチ(海岸)と呼ぶ。
須磨:いつも陽は、瀬戸海峡大橋の背後に落ちる。
レイ:良い名前も決まったし本題に入ろう。新作は最高の物を作ってくれ。ヒカキンのようなコンテンツがほしい。
Y木:ユーチューバーの二番煎じは作れない。
S原:ああ……あれを越える。
S原、プレーヤーにDVDをセットする。
B級映画が流れる。
全員、画面をみる。
須磨:B級映画だ。
Y木:キャメロンが作った空飛ぶ魚かな?(と笑う)
S原:俺たちは同じ手法を何度も繰り返さない。
Y木:繰り返しは時間の浪費だ。
レイ:手法は確実性がある。使うべきだ。
S原:映画ブログだ。
レイ:ブログ?
S原:タイトルは「あなたの知らないワゴンセールの世界」だ。
レイ:今時、ブログなんて誰も読まない。
須磨:わたしは好きだ。
レイ:きみが?
S原:誤解するな。有名ユーチュバー規模のブログだ。Z級映画の悲哀、低予算映画の機知、文章で読むあふれんばかりの喜び。体験するブログだ。ただのブログでは……読んだ人は誰もが思うんだ。これは、お気に入りに登録しようと。おれたちは小遣いの限界を超え、中古DVDを買いあさり、皆に問いかける……未知なる言葉で。
Y木:おれたちのブログにジャンルはない。
S原:「あなたの知らないワゴンセールの世界」は定義できないんだ。
レイ:(須磨に向かって)きみは……
須磨:須磨だ。
レイ、須磨をじっと見る。
レイ:須磨、どう思う?
須磨:幸運はライディーンに味方する。
S原:君のようなみる目のある人はリスクをおそれないだろ?
レイ:……後悔させるなよ。
S原:(ニヤリとして)愉快だな。
(そして数か月後、ブログが完成。公開後・・・)
(ブログを読んで)
レイ:……ウソだろ……これが約束したブログとはとても思えない。
S原:ああ、約束した以上、どのブロガーが約束した以上、超傑作だ。
須磨:良い作品だ。
Y木:"傑作”と。
レイ:文字ばかりのうえ、あの関西弁……ありゃなんだ?
S原:叙事詩だ。
レイ:毎週末に3本ずつ。毎回同じような会話の展開だ。しかも誰も興味のない映画ばかり。文字数も多い。
S原:奥さんを口説くときに文字数を気にしたか?
レイ:・・・
S原:これをにほんブログ村の「映画ブログ」に登録する。
レイ:バカな。ヤングがこれを読むわけがない。そもそも一体何なんだ。ゼイリブとかあだち充とか電通とかメガフ……?
S原:メガフォースだ。
レイ:・・・(ため息をつく)
S原:ブログは読者のもの。
Y木:説明は興ざめだ。
レイ:読まれないものもな。みんなが観たいと思う映画を取り上げるのが標準だ。金は私がだした。従うんだ!
S原とY木、立ち上がる。
S原:ワゴンコーナーを失った男と呼ばれろ。
S原とY木、部屋をでていく。
レイ:……
須磨:気難しいな。
レイ:態度を改めないと。今年中ににほんブログ村から消えることになる。
ガシャン!と窓ガラスが割れる。
おどろくレイと須磨。
S原:修理代はブログの儲けから引きな。
(そして、ブログ村の結果は・・・)
映画ブログ 214位
いかりや長介:ダメだこりゃ!