S原:今回はこれ、キャッチコピーは「母は強し!」。
Y木:子供のためにお母さんが頑張る映画やな。
(あらすじ)
五輪優勝という実力を持つ女性武道家ジェニファーが、賭け試合を仕切る富豪と再婚するが、離婚。最愛の娘とブラジルに移住するが、その娘が誘拐されたことから封印した拳を振り上げる・・・!
S原:これは、センスのない人が作った見本のような映画やった。
Y木:いやな見本やな。
S原:ほんまに下手やねんって……(ため息)B級とかZ級じゃなくて、なんていうか観ていて虚しさしか感じない。
Y木:ひどいな。一応、ストーリーはわかるんやろ?
S原:一応わかる。というかメチャクチャ単純(なはず)やねん。でも、見せ方が下手すぎてわかりにくい(ように感じる)し、キャラクターの性格も理解できないまま映画はすすんでいくから、余計にイライラするねん。というか、あなた!
Y木:え?
S原:このパッケージよ、パッケージ!
Y木:なんやねん。
S原:まず、こういう場面はありません。主人公はこんな感じの女性じゃないです。しかも、この抱いている子供、なんと映画に出てきません!
Y木:え、この子供は出てこないの⁉
S原:この子供、男の子のようにみえるけど、そもそもでてくるのは「娘」。しかもロングヘアーの女児です。
Y木:……全然、違うやん。
S原:いやー、このパッケージはええのになあ。
Y木:どこがや。
S原:だって、太陽をバックに小さな子供を抱いてキックしてる女性って面白いやろ?「無敵鋼人 ダイターン3」みたいやん?
Y木:知りません。
S原:たとえば、「悪役と格闘しているときに、赤ん坊が泣いてしまう。だから必死で母乳をあげながら戦わないといけない」とか、そういう場面を期待するやん?
Y木:しません。
S原:そういうのを期待したんやけどな。全然違うかった。主人公は(ジェニファー)は、オリンピックで金メダルをとった武道家(空手家?)です。バツ1やねんけど、娘(ダイアン)がいる。その娘が1歳の時に大富豪の男(ダニエル)と再婚します。じつはこの男は、闇の仕事というか、格闘技の賭け試合を仕切っていたのよ。で、男はむりやり主人公に試合に参加させる。主人公が勝つと、男も儲かる。あるとき、主人公は対戦相手を試合中に殺してしまう。主人公は、離婚を決意しダイアンを連れてブラジルに移り住む。しかし、娘が何者かに誘拐されてしまって…という話やった。
Y木:話はまあ普通やん。面白そうではないけど。
S原:いや普通じゃない。例えば「カットバック」ってあるやん。
Y木:2つの場面を交互にみせる演出のことやろ。それも普通の手法やん。
S原:この映画は一味違う。意味なくカットバックをします。
Y木:ん?
S原:カットが変わる(別の場面をつなげる)ことで、別々の登場人物を対比させるとか、緊張感を高めるとか、次の展開のステップにするとか、そういう感じで使うやん?この映画では、ただ単に意味のない2つの場面をつなげているだけ。おいおい、ビリー・ミリガンが作った自主映画かよ!
Y木:あーそういうことか(苦笑)
S原:下手なだけかな、と思って観ていると、何回か同じようなカットバックがでてきたから、これが効果的やと思ってるんやと思う。すごいセンスやろ?
Y木:たしかに。
S原:しかも、BGMがすごい。全然、場面に合っていません!(笑)数少ない格闘アクションの場面で、南米の音楽(?)が重なる。まったく緊張感のないアクションになってしまうという、「非効果的」な演出ですよ、あなた!
Y木:ちょっと観てみたいかも(笑)
S原:なんとなく決着がついて(主人公がなんとなく逃げる)、エンドクレジットの曲が、「なにもかもやり直したい~♪」。こっちのセリフだっちゅーの!
Y木:逆なでするなあ…
S原:これ、youtubeで予告編が観れるけど、これだけ観ると普通の映画やと思うはず。でも、実際に観るとフニャフニャな映画やった。
Y木:今回は、正統派にダメな映画みたいやな。
S原:うん。チョメチョメに興味のないAV男優みたいな映画やったわ。レビューも数件しかなくてもちろん全員が酷評。というか、日本でこの映画を一体、何人が観たんやろ?10人くらいとちゃう?
Y木:人数は知らんけど、まあ10年後にはこの世からなかったことになっている映画やろうな。
S原:さあみなさま。もしも、このDVDを見つけても買ってはいけません。「面白くないこと」を期待してもダメですよ。あなたの期待値以上に面白くないですから。あ!でも、「南国の音楽にのせてのんびりと戦うオバサンが好きな人」にはストライクだと思います。というわけで、あとは日本が沈没する日までレンタル店の片隅で朽ち果てるのを待つだけのDVDでした。いやー最後まで観るのがしんどかった~!