S原:今回はこちら。「夕暮れにベルが鳴る」(1979)のリメイクですよ。
Y木:カルトホラーやったかな。タイトルしか知らんけど。
(あらすじ)
ロサンゼルス郊外の閑静な丘の上に建つ邸宅で女子高生のジル(カミーラ・ベル)はそこに住む2人の子どものベビーシッターをしていた。子どもたちも寝静まり、ひっそりとした夜の静寂に包まれた豪邸で、ひとり留守をあずかるジルに、不審な男から不気味な電話がかかってくる。何度も鳴る電話の音に、ジルの不安は次第に恐怖へと変わっていき……。
S原:これはなあ……普通やったなあ。
Y木:それでええがな、べつに。
S原:いやー、普通の通りの演出でまったくひっかかりがない。真面目と言うか直球というのか、いくらなんでももうちょっと見せ方があるやろって思うねんけどな。ドラえもんでいうと、勉強のできない出木杉君みたいな。
Y木:相変わらずおまえの例えは面白くない上に、よくわからん。
S原:この映画の「普通」は、演出が型通りすぎるのよ。安心して観れるといえばそうやし、サプライズがないとも言える。だって、襲われる場面で車のキーを落として危ない!という場面があるねんで?80年代のサスペンスの演出やん。
Y木:予定調和すぎるってことか。
S原:前半は結構良いねんで。主人公がある豪邸にベビーシッターのバイトをする。静かで広い空間でぽつんと一人でいる。そこへ電話が鳴って……という定番のストーリーです。映画が始まってからは、今から何かが起こるような不穏な空気や雰囲気が上手く出ています。
Y木:じゃあ、それで良いやん。
S原:でも、この「何かが起こるぞ~⁉」「怖いことが起きちゃうぞ~!?」という場面が、やたらと長い(苦笑)。警察に電話して、不審電話があったことを説明して「じゃあ逆探知しましょう」と言われるのが1時間くらい。雰囲気を味わう映画やと思うけど、映画全体は90分くらいやから、ちょっと長すぎるで。
Y木:で、電話がかかってきてどうなるの?
S原:結局、殺人鬼(?)がどんどん迫ってきます。子供たちを逃がすために孤軍奮闘するけど、友達(豪邸を訪ねてきた)とかお手伝いさんが殺されてしまう。だんだん、主人公は追いつめられて……
Y木:たしかに定番というか普通やな。
S原:犯人と戦うときには、やっぱり工夫が要るやん? 主人公が機転をきかせて犯人の裏をかくとか、ピタゴラスイッチみたいな装置で犯人の頭にゴツンと何かをぶつけるとか。
Y木:そりゃ「ホームアローン」(1990)やがな。最後はどうなるの?
S原:子供も無事に逃がします。犯人も逮捕されます。
Y木:よかったやん。
S原:でも、主人公は心の病気になって、病院に入院してしまいました。
Y木:最悪やん。なに、そのラスト……
S原:それもサラッと描いてるのが怖いよな(笑)
Y木:それ、「普通の映画」じゃないやろ。
S原:あと気になるポイントがあるねん。
Y木:どこ?
S原:主人公の眉毛が太いねん。
Y木:あーそう。
S原:いや、もともと太い上に化粧でさらに太くしてるねん。アメリカでは、あれが流行ってるんかな?
Y木:知らんがな。
S原:まあ、普通に観れるけど印象に残らない映画でございましたよ。普通過ぎるのもちょっとなあ。
Y木:おまえの言うことも分かるけど、なんかズルいと思うで。出来が悪かったらダメ出しして、まともに作ったら「普通やん」って突っ込んで、意地悪やろ。不毛やで。
S原:素直な感想を言ってるだけなんやけどな(苦笑)。それに、この映画に関しては、サスペンス映画の教科書通り作ってる感じなのよ。このへんは、観てもらうしかないわ。観た人は、ぜひコメントをくださーい!
Y木:いやー、おまえの紹介の仕方では誰も観る気がしないって……