あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

スポーツ映画祭り!第4試合「プロミス ~氷上の女神たち~ 」(2016)の巻

S原:今回は韓国のスポーツ映画!

Y木:ほう。

(あらすじ)

脱北者出身となるアイスホッケーの元エース選手ジウォンは、北朝鮮に残した離れ離れとなっている妹のことがずっと気になっていた。そんな中、アジア冬季競技大会への出場を懸けて急きょ、国家代表チームが結成されることになる。国体出身の監督デウンから熱烈なアプローチを受け、再び代表選手に復帰するジウォンだったが、そこに集まったメンバーはショートトラック界から追放されたチェギョンや暇をもて遊ぶ主婦、時間外手当が目的のアイスホッケー協会経理出身ミランと性格も実力もバラバラで集まればケンカの日々。それでもぶつかり合いながら絆を深めチームとして成長していく中、大会で最大のライバル・北朝鮮代表チームと戦うことになり…。

 

S原:これは、良く出来ていると思う。

Y木:一癖あるメンバーが集まって、やがてひとつの「チーム」になるというのは万国共通のストーリーやな。

S原:スポーツものの定番やけど、俳優たちが良いねん。とくに脱北者でアイスホッケーが上手いジウォン(スエ)と、ショートトラックで自国チームの選手をわざと転倒させたと疑われているチェギョン(オ・ヨンソ)がすごく良い。何気ない表情が印象に残る。

Y木:へえ。実話をもとにしてるの?

S原:うん。実際に試合では負け続けたらしい。ただ、選手個人のエピソードは演出ちゃうかな。

Y木:それぞれに訳ありってことやな。

S原:監督からしてだらしなくてダメダメな生活を送っている元・選手やねん。さっき言った2人がメインやけど、そこへお金目的だったり、モテるためだったり、純粋にアイスホッケーが好きというわけでない人たちが集まってくる。アジア大会まで残り少ないなか練習が始まるけど、最初はスティックの持ち方も分からない状態で…という感じやな。

Y木:だけど、チームが一体化してどんどん良くなっていくんやろ。

S原:そうそう。このへんは観ていて面白いねんけど、やる気があまりなかった彼女たちが、なぜ心変わりしたのか、今となっては思い出せない。映画ではちゃんと描かれてたはずなんやけどな(苦笑)

Y木:やっぱりテンプレート過ぎるんやろ。だから印象に残らないんちゃうの。

S原:かもなあ。はじめに言ったけど、映画としては結構面白いねん。最後まで飽きずに観れる。でも、あまりにお決まりの展開で観ていてサプライズがないから、心に残らないんやろうな。

Y木:最初に褒めてた2人はどうなん?

S原:そこやねん。主人公は脱北者でな。主人公は、北朝鮮から脱出するときに妹と生き別れてしまう。チームは最後に北朝鮮と試合することになるけど、なんと生き別れた妹が選手で試合にでていることに気付く。この再会のエピソードが後半の中心やけど、ここはわりと良かった。ただ不満もあるねん。試合中はほとんど話が出来なかったけど、帰路につく空港で妹とこっそりと再会する場面があるねん。

Y木:へえ。感動の再会やな。

S原:でも「感動的」すぎる、かな。感傷的な音楽が流れてお涙頂戴の演出になってしまう。ここは抑制のある演出のほうが良かったと思うけどなあ。なんだかんだあっても、姉妹やからお互いに「和解」をする。でも『空港で北朝鮮関係者の監視があるため、表面的であっさりとした交流しかできない。でも、長年のわだかまりが溶けてお互いの心は通じた……』こんな風にしたほうが逆に感動したように思う。

Y木:なるほどな。

S原:あとは、国民の嫌われ者の元フィギュアスケーター(チェギョン)の存在やろうな。彼女はストーリーの軸になるはずで、もっと色々と出来たはず。四面楚歌でありながら強い心も持っているし、ワガママさとチームメイト思いなのと両面を持つユニークなキャラやと思って観ていたんやけど、後半は全然活躍しなかった。ここも残念。

Y木:なるほどな。でもまあ全体としては面白いんやろ?

S原:うん。無難な演出で安心して観れる。日本戦では、完全に日本に憎しの演出でステレオタイプすぎるとは思うけど、この映画では脇役やからこんなもんやろうな。さあ、みなさん。家族でも気軽に観れます。選手たちにはもう少し複雑な事情がありそうで、それがわからない歯がゆさはありますが、アイスホッケーの試合は迫力があります。マスt・バイとまでは言いにくいですが、気になる人は、レンタル・プリーズ!