S原:今回はこちら!
Y木:いかにも80年代のコメディやな。
(あらすじ)
『がんばれ!ベアーズ』のマイケル・リッチー監督が、チェヴィー・チェイス主演で描くミステリーコメディ。新聞記者のフレッチは、金持ちの実業家・アランに「自分を殺してほしい」と頼まれるが…。
S原:これは楽しい映画やったわ。なんというか、ぬるめの温泉みたいで本当にのんびりムードやねん。
Y木:それって褒めてるんか?
S原:こう言うとバカにしているのかと思う人もいると思うねんけど、ちゃうねんって。本当に心身ともに弛緩するような娯楽映画なのです。何も考えずに観るのにピッタリ(笑)
Y木:まあ、こういう映画はそれでええんやろな。
S原:主演は、チェビー・チェイス。おぼえてる?
Y木:あんまり知らんけど、「サタデーナイトライブ」出身の人やろ。
S原:そうそう…といいつつぼくもあんまり知らない(笑)当時、ものすごい人気だったみたい。ぼくは「サボテンブラザーズ」(1986)しか知りません。彼が主役のアーウィン・フレッチャー(通称フレッチ)を演じます。
Y木:コメディやけどミステリー仕立てなんやな。
S原:イエース。映画は探偵小説風に始まります。フレッチの本業は新聞記者です。ある日、アラン・スタンウィックという男から「1週間後に自分を殺してくれたら5万ドルを払う」と依頼されます。「自分は癌で余命いくばくもない」「自殺では妻に保険金が払われない。だから殺してくれ」「殺したあとの逃亡先(外国)も用意している」
Y木:なるほど。
S原:わざと依頼を承諾して、アランの周囲を調べてみたフレッチは案の定、癌になっていなかった事を突き止める。次に妻のゲイルに接近して、彼女がアランの両親と一度も会っていないことを聞き出し、さらにアランが広大な土地を300万ドルで購入したことも突き止めます。さらにアランの身辺を洗ったフレッチはとんでもない陰謀を知る…こんな感じの話です。ちなみに、ほとんどWikipediaの引用ね。
Y木:あらすじくらい自分で喋れよ。
S原:だって、これ以上でも以下でもないねんもん(笑)
Y木:それはええけど、どういうところが映画としての面白さになるの?
S原:チェビー・チェイスのキャラ。これに尽きます。ネットでも少し書いている人がいるけど、エディ・マーフィーの「ビバリーヒルズコップ」(1984)に似てるねん。
Y木:へえ。マシンガントーク?
S原:じゃなくて変な変装と飄々とした雰囲気やな。軽口をたたいたり、真剣な顔で嘘八百を言って、相手を煙に巻くという感じやな。
Y木:あーなるほど。
S原:「ビバリーヒルズコップ」では印象的なテーマソングみたいなのがあったやろ?この映画でも、シンセでテーマソングっぽく流れます。でも、どうもそれがダサい……これ、ジョン・カーペンター作曲?みたいな(笑)
Y木:80年代のシンセのテーマソングか。おれの最も苦手な音楽やな…
S原:たぶんチェビー・チェイスのセリフには風刺や皮肉もありそうで、英語が分かる人はもっと楽しめると思う。それでも強引な、というかコントみたいなことをシリアスに演じる雰囲気は面白いと思ったな。変装も微妙なものから馬鹿馬鹿しいものまであるし、なんというかちゃんとツボを押さえている感じと言えば分かってくれるかな。ステージではだれも観てないけど、ソロでは一応ちゃんと弾くロニー・ウッドみたいな。
Y木:ああ、ロニーな。一応ストーンズの正式メンバーなのに、ライブのギャラが一人だけ少なかったという噂がある奴な(笑)しかし80年代コメディかー。いまの若い映画ファンとかは観ないやろな。
S原:そうやなあ。やっぱり、やや泥臭いからな。でも洗練されてて無駄のない映画ばっかり観るのもどうかと思うで。例えば、あなた、クレープとか食べたことあるやろ?
Y木:あるで。
S原:でも、世の中からクレープがなくなっても困らへんやん。
Y木:まあな。
S原:そういうことやねん。
Y木:全然分からんわ。
S原:要するに、この映画は主食にはならないけど、たまに食べておいしく感じるクレープみたいなもんやねんって。
Y木:始めからそう言えよ。まあ、駄菓子的な映画ってことね。
S原:さーみなさま。この映画は観ても観なくても同じと言ってしまえば、ぼくには返答できません。80年代に映画をよく観ていた人(要するに同世代)なら、楽しめるはずです。いまの映画とはあきらかにテンポが違うところも、楽しんでくださいませ!