S原:さあ、今回の「女性」「性」の映画はこちら。ネットでは、ほぼレビューのないレア作品ですよ!
Y木:ほー、韓国映画。
(あらすじ)
オ・ハンスは出張売春を管理する室長。謎めいた美女キム・ミジョンとトラブルメーカーのジョン・ヘミは、オ室長の指示の元、客の様々な要望に応え仕事をこなしていく。そんな中、淡々と仕事をこなすがどこか影のあるキム・ミジョンに魅かれていくオ室長。仕事も順調になってきたオ室長だが、キムに対する愛情から汚れた世界から足を洗わせる決意をする…
S原:これ、パッケージはキレイやろ。
Y木:そやな。
S原:でも、映画の本編は全然キレイな描写じゃなくて、すっごい「即物的」やった(笑)
Y木:へえ。エロさを前面に押し出してるんやな。
S原:ところがエロくない。たしかに、体位を変えながらチョメチョメする場面が延々と続く。女優達もがんばって喘ぎ声をだしてる。でもエロくない。ちょっと不思議やったな。
Y木:これ韓国のAVとちゃうの?
S原:いやー、たぶんAVではない……はず。一応、ストーリーもあるし。
Y木:「性」を中心にしたドラマを描く感じ?
S原:たぶん、それも描きたかったんやろうな。うえのあらすじの通り、主人公は、商売道具であるはずの娼婦に惚れてしまって…というのがメインストーリーやねん。でもなー、全体的にすごく中途半端でな。80分くらいの作品やのに、余計なエピソードが多いねん。
Y木:余計なエピソードって?
S原:例えば、レストランの女性店長は色魔で、男性従業員に対してチョメチョメを強要するとか、「娼男」として張り切って出張したら、客である女性のストレス発散のためにSMプレイで体を痛めつけられるとか。コメディリリーフといえばそうなんやけど、エピソード自体もありがちやし、面白くないわりに場面が長いねん。もったいないと思うわ。
Y木:もったいないって…こんなん、面白くなる要素はないやろ。
S原:いや、主人公の2人(チョ・チョンカン、ヨ・イジュ)はええ感じやねんで。もっと主人公の「純愛」を軸にした変形ラブストーリーにすれば、大化けしたかも。
Y木:ほんまかいな。
S原:いや、言い過ぎた(笑)でもまあ、ちょっと惜しい。ベッドシーンをたくさん撮らないと(見せないと)いけない作品やけど、性風俗の世界に生きる男女のラブストーリーをシンプルに描けば面白くなったはず。
Y木:そんな、マジメな映画とちゃうやろ。
S原:そうなんやけど、シリアスじゃなくて軽いコメディでもテレビドラマ風でもええやん。ベッドシーンが多いという制約と、肝心のドラマの両立を目指して欲しかった。
Y木:おまえの言う「ドラマ」というのは、主人公が売春婦に惚れてしまう…という話やな。
S原:そうそう。主人公は、淡々としてて感情を表に出さないタイプやねん。この俳優自体は、ええ味やとは思うけど、惚れた女性にだけは「純愛」になるという展開が、いまいちピンとこないねんなあ。
Y木:女性の方はどうなん?主人公に恋愛感情はないの?
S原:女性の方もあまりしゃべらないから、よくわからん。不器用な2人のキャラクター造形ともいえるし、単に演出が下手ともいえる(笑)
Y木:なんやねん、それ。でもストーリーとしてはちょっとベタすぎるんとちゃう?
S原:いや、ベタでもええねんけどな。単純なラブストーリーで、それはそれでよかったと思うけど、なんとなく全体がぼやけてしまってる。
Y木:お前の言いたいことはわかるけど…この映画を観る目的って、やっぱりエロさでしょ。
S原:そう思う。でも、初めに言ったけどエロとしては激しいのに、どこか物足りない。もちろん。AVを見たことのない女性は驚くかもしれんけど…なんにせよ、観客に主人公の気持ちが伝われば、興味深い映画になったと思うんやけどな。やっぱり惜しい。
Y木:ラストは?
S原:主人公は、自分がクビにした女性を追いかける。海辺で待っている女性。女性にプロポーズ。抱き合っておしまい。
Y木:えらいシンプルなラストやな。
S原:うん。もっと焦らしてくれよ、と思った(笑)まあ、そういう映画やったわ。さあ、みなさん、エロさという点では微妙な部分もありますが、これは観る人によって評価が180度変わるでしょう。正直に言って、とくに観る価値はない作品です。ワゴンコーナーで見つけても、気付かないふりをしておくんなまし!