あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

あなたはどっち?賛否両論映画特集!「ラストナイツ」(2015)「47RONIN」(2013)の巻

S原:今回は、この2本!赤穂浪士が主役です!

Y木:おお、両方とも忠臣蔵なんや。

(ラストナイツのあらすじ)

ある封建的な帝国。権力欲に取り憑かれた非道な大臣が要求する賄賂を堂々と断り、刀を向けたバルトーク卿(モーガン・フリーマン)は、残忍な処刑による死罪を勧告される。それは、愛弟子であり、自身の後継者として信頼するライデン(クライヴ・オーウェン)による斬首。絶対に出来ないと断るライデンに対しバルトーク卿は、騎士の掟を全うし、自身亡き後の一族を守れと諭す。ライデンは震える手で主君の首を落とした。一年後。気高い騎士達は、その日が来るまで刀を捨て身分を隠していた。すべては忠誠を誓った主君バルトーク卿の仇を討ち、不正がはびこる権力への報復のために。死を覚悟し挑む“最後の騎士達"の戦いが今、はじまる―。

 

(47RONINのあらすじ)

大石(真田広之)率いるサムライたちは、吉良(浅野忠信)とミステリアスな女ミヅキ(菊地凛子)のたくらみによって主君を殺され、自然が豊かな赤穂の領地を追われてしまう。さらなる謀略を企てる吉良の野望を阻止し、主君の敵を討つべく集まった47人の浪士たちは、はぐれ者の混血青年カイ(キアヌ・リーヴス)と手を組むことに。わずかな人数の彼らは、明らかに戦力差のある敵の軍勢の戦いに命を賭して身を投じる。

 

S原:これは2本とも評価が割れてるなあ。どっちかというと否定派が多い気がするけど、ぼくは両方とも楽しめたで。

Y木:両方とも、モチーフは「忠臣蔵」なんやろ?同じような話?

S原:ほとんど同じ。でも、「ラストナイツ」のほうが、映像美と重厚感が良かった。「47RONIN」は、外国人監督がイメージ重視(アジア風サムライストーリー)で作った映画と割り切れば、こっちも悪くないと思うけどな。

Y木:どっちも評判が悪いんやろ。賛否両論というよりもダメ映画という評価とちゃう?

S原:どっちもワクワクするような出来ではないけど、そんなにヒドイかな…これはこれでアリやと思うで。

Y木:「ラストナイツ」の紀里谷監督って、あの「キャシャーン」(2004)の人?

S原:そうそう。紀里谷監督は「キャシャーン」、「GOEMON」(2009)とぶっ飛んだ映画を作って、ボロクソに言われることが多い。たしかに「キャシャーン」を観たときは、ぼくも唖然としたけどな。当時の映画秘宝とかもうお祭りのように叩いてたもん。あれは盛り上がったよなあ(笑)

Y木:「キャシャーン」、観てないねん。結局は、そういうところがあかんの?

S原:ところどころの映像やVFXは面白い。でも、ドラマ部分がメチャクチャやから、訳が分からなくてイライラするねん。場面場面がつながっていないから、カタルシスもない。暗めの画面でイライラするし、莫大な製作費をかけてるから、余計に「お金をかけて、自分勝手な映画を撮りやがって!」という怒りを買うんやろうな。でも、実はそのころから、この監督は絶対にハリウッド向きやとぼくは思ってたのよ。

Y木:なんで?

S原:さっきも言ったけど、映像感覚は日本人離れしてるから、ドラマとかほかの部分をきちんとコントロールするプロデューサーが必要やと思ってた。とくにハリウッドでは、事前にストーリーボードもばっちり作るし、シナリオも複数でチェックするやろ。予算管理や撮影スケジュールも厳重やから、良い意味で「暴走」が抑制されるようと予想してたんやけどな。

Y木:その予想が当たったってこと?

S原:当たったかどうかはわからんけど、結果としてちゃんと起承転結がありつつ、監督独自の世界観が出来ていたと思う。とくに黒と灰色を基調にした画面構成や衣装は感心したで。舞台となる城の描写も良い感じやしな。

Y木:話を聞いてると悪くないような気がするけど。なんで評価が低いんやろ。

S原:たしかに人間模様の描写は弱い。仇討ちをするまでの恨みつらみが感じられないのは短所やと思う。これは「47RONIN」にも言えるけどな。あとは好みなんやけど、たぶん絵的に暗すぎるかも……髭面のもっさい男ばっかりででてくるから(笑)このへんも監督のセンスについていけなくて、「自己満足」みたいに感じる人もおるんかもしれん。これは「キャシャーン」とかと一緒やな。ただ、これも上手くいくかどうかは紙一重やと思うけど…

Y木:もう1本の「47RONIN」のほうは?

S原:こっちも楽しめたで。とにかくセットや衣装にお金をかけているから、映像がすごい。でも、「ラストナイツ」とはまた別の映像美やねん。ここは面白い。

Y木:ほー。

S原:まあ、でも違和感アリアリやねんけどな。外国人が日本を描くと珍妙になることが多いやろ?まさにあれなんやけどな(苦笑)

Y木:あー、そんな場所は日本にないわ!と突っ込んでしまうヤツやな。

S原:そうそう。でも、逆に言うと、この映画は徹底的に「自分たちの考えた日本」を映像化しているから、それを理解出来たら楽しめると思うで。

Y木:うーん。現代が舞台ならわかるけど、時代劇というのがなあ。日本人としては、外国人が変な忠臣蔵を作りやがって!という気持ちになるんとちゃうの?

S原:割り切れるかどうかやろな。いきなり、「もののけ姫」(1997)みたいなシーンから始まるし。そのあとの、お城の場面は中国、ところどころ韓流テイストもあって、ここまでいけば別物として楽しんだらええと思う。タイの修行僧みたいなのや、変な仏像や拳法もでるしな。お金のかかった「里見八犬伝」(1983)といでもいえばいいのか(笑)

Y木:全然ちゃう話やがな。SFというか、パラレルワールドみたいなもん?

S原:完全にそう。でも日本人が作っても「赤穂城断絶」(1978)とか「忠臣蔵外伝 四谷怪談」(1994)もぶっ飛んでたからな。ま、両方とも、深作欣二やけど(笑)

Y木:あんなヤツ、はじめからまともな忠臣蔵を作るつもりないやろ。それはええねんけど、この映画では、討ち入りに、外人(キアヌ・リーブス)がいるってこと?

S原:そうやねん。子供の頃に倒れていたところを、浅野内匠頭田中泯)に助けてもらって、恩義を感じている、という設定やな。でも、外人やから虐められる。忠誠心は日本人に負けてないんやけど、認められない。

Y木:なるほど。

S原:まあ、あとはお約束通り。吉良上野介浅野忠信)を討つために、お約束の浅野の娘(柴咲コウ)に恋心を抱きつつ、大石内蔵助真田広之)達の討ち入りに加わる…という流れです。

Y木:ほう。豪華キャストやな。

S原:上から目線やけど、みんな、よく頑張ってたと思うで。ただ、この映画では、お金はかけまくってるねんけど、不思議と重厚感みたいなのがあまりない。このへんも、物足りなく思う人もおると思う。あとは、仇討への場面がなー、アクションとか殺陣とかすごいねんけど、意外と燃えないかな。

Y木:えー、それはちょっとあかんやん。

S原:豪華絢爛な映像美に負けているといえばいいのか。主君のために命を仇討をするという武士の矜持みたいなものは、あまりなかったかな。このへんも外国人目線なんかもしれん。

Y木:まあでも、今回はどっちも面白かったみたいやな。

S原:うん。両方とも全く期待してなくて、予備知識もないまま観たから。単純に楽しかった。

Y木:よかったやん…って、なんか今回は普通のレビューやぞ、あかんやろ(笑)

S原:さあ、みなさん。数ある忠臣蔵ネタのなかでも、異色作の2本ですが、そんなに低評価な映画でもないと思います。話はもうわかりきっているので、役者や映像を存分に楽しんでくださいませ!