S原:今回は、酷評だらけのこの映画!
Y木:うわー、しょーもなさそうやな。
(あらすじ)
彼女たちの名前はミツコ、ケイコ、いづみ。全員、女子。
3人は同じ学校のクラスメート?それとも、まったく見知らぬ女子高生なのか?
平和な日常は突如崩れ去り、“クライマックス”が一気に押し寄せる。木々の風、森の風、押し寄せる風。女子しかいない風景。女たちの通り。誰かがいつでも見つめている。いくつもの視線。それが風になり、凶暴な疾走となり、凶器となる。いったい、何のために追われるのか?
Y木:これ、上のあらすじ読んでも全然わからんぞ。
S原:うん。映画観てもわからんかった。
Y木:なんやねん、それ。鬼ごっこの話なんやろ?
S原:これはなー、じつは鬼ごっこの映画とちゃうねん。なにかの隠喩とは言えなくもないけど…とにかく、この映画は評価がメチャクチャ低い。もう可哀そうなくらいな低評価。こんなにダメ出しばっかりのレビューやと、逆にフォローしようかと思ったくらい(笑)
Y木:おまえにフォローされても、監督は嬉しくないやろうな。
S原:監督は園子温。批評家からの評価は高いし、たくさんの賞を獲ってる。ぼくはこれが初体験。いままで観たかったけど、園子温監督の作品はなかなか縁がなかったのよ。いやあ、選択を間違えたなあ。これを観た後では、ほかの映画を観る気がなくなってしまった…(苦笑)
Y木:そんなにヒドイの?
S原:ヒドイと言うかなんと言うか…
Y木:メチャクチャさを楽しむ映画やろ?
S原:そうなんやけどな。もう「ツッコミどころ」が満載過ぎて、重量オーバーやで(笑)
Y木:あー、穴だらけなんや。
S原:そうそう。ちょっとネットでのレビューをまとめると、①そもそも鬼ごっこじゃない。②ストーリーがわけがわからない。③ブラックコメディなのかシリアスなのか捻ったホラーなのか意味不明。④シュールな世界観をだすのに失敗している。⑤やたらとパンチラが多い。⑥女の子たちがかわいく撮れていない。⑦トリンドル玲奈の足が細すぎて気持ち悪い。⑧斎藤工のビキニパンツが気色わるい。⑨主人公が変わる(トリンドル玲奈→篠田麻里子→真野恵里菜)演出が失敗している。⑩ラストのオチが理解できない。
Y木:ボロクソやがな。
S原:まあ、ネットで書かれている通りなんやけどな(笑)ぼくは、ほんまに予備知識がなく観たから、すごい破壊力というか「破綻力」で驚いたわ。
Y木:破綻してるんや。
S原:それもわざとなのか、マジなのかちょっとわからんところが不気味やな。ここまでぶっとんだ映画も珍しい。ただ楽しめたか?と言われると、ちょっとな。
Y木:一部マニアからの支持とかないの?
S原:どうなんかな。すべてのレビューをみてないからわからんけど…園子温監督のファンか、しいていうなら切株マニアは喜ぶんとちゃうやろか?あなた、「切り株」ってわかる?
Y木:わからん。
S原:一瞬でスパッと切断される人体の描写のことやねんけどな。こういう「切株マニア」がおるらしい。確か映画秘宝でも特集されてたと思う。
Y木:スプラッターってことやな。
S原:うん。好きな人にはたまらんらしい。ぼくは全然興味ないからな。とくに怖くないし、作りものにみえるだけやった。
Y木:切り株の描写があるんや?
S原:いきなりでてくる。バスに乗っている女性高校生(40人くらい)が、バスごとスパっと横一直線に切り取られる。あとは、切断後の下半身だけが残っている。そこから血がぴゅーぴゅー飛び出す。主人公だけは、しゃがんでて助かる。それがファーストシーン。
Y木:ああ、好きな人にはたまらんやろな。でも、なんで切断されるの?ピアノ線が張ってた、とか?
S原:「風」が原因みたい。かまいたちみたいな風という設定やろうな。そこから、主人公(トリンドル玲奈)は血だらけになって逃げ回るねんけど、いつのまにか、どこかの女子高の通学路になってて、自分自身が知らないうちにその高校の生徒になっている。知らない友人たちが話しかけてきて……と展開していく。
Y木:ほう。パラレルワールド風やな。
S原:学校をサボって逃げ出した湖で、友人がいきなり「シュールな世界を受け入るのよ」とか「自分でも予想できないことを、いきなり行動するのよ」とか意味深なことを喋る。もちろん、この場面はこのパラレルワールドの設定を暗示・説明しているけど、あんまり上手くないからよく呑み込めない。そうこうしているうちに学校の先生たちがいきなりマシンガンで生徒を襲ってくる。また女子高生たちがキャーキャー叫びながら逃げたり、血だらけになって死んでいく。
Y木:なんで先生が生徒を襲うの?
S原:理由も意味もない……はず。とにかく主人公たちは逃げ回る。その最中に、主人公の容姿が篠田麻里子に入れ替わる。いまは結婚式の直前で、教会で式を挙げることになっている設定に変わる。結婚式に行くと、新郎は豚やねん。
Y木:ははあ、悪夢みたいに話が続いていくわけね。
S原:その通り。ここでもシュールな残虐シーンがあって、また主人公は逃げる。そのうちに、今度は真野恵里菜にかわる。今度は陸上選手という設定。
Y木:なんかだかなあ。それって、オチと言うか説明はあるの?
S原:一応あるけど、よくわからんかった。大きな洞窟みたいなところを脱出すると、斎藤工がいる。おまえは、ゲームの世界のキャラクターだと言われる。なぜか白いビキニパンツ姿になって、ベッドにおいでと言われる(笑)
Y木:おいおい。
S原:シュールな悪夢のような世界とか複雑な入れ子構造とか現実とバーチャルな世界との融合を狙ったんかな。どっちにせよ、ぼくにはピンとこなかった。
Y木:結論としてはどう?
S原:うーん。変な確かに映画やけど、酷評するほどでもないような気がする……いやー、やっぱり酷評されても仕方ないかな。単純に面白くないし(笑)
Y木:そうなんや。
S原:さっきも言ったけど、いろんな場面で「肩透かし」をくらうから、観ている人は戸惑うわけよ。確信犯なんやろうけど、観客の戸惑いが悪いほうに転んでしまったような気がする。でも考えようによっては、なかなかチャレンジ精神のある映画なんやけどな。
Y木:おれはまったく観る気がしないけどな。
S原:さあ、みなさん。この映画を観た人は、賛否真っ二つだと思います。普通の映画に飽きた人はぜひチャレンジを!パンチラ好きならゲットして損はないと思いますが、意外とエロくないです。それも含めて、なかなか規格外の仕上がりになっています。意外とレンタル店にも置いていないので、観る機会があれば逃さずにどうぞ。でも、買うほどではないと思いまーす!