S原:さあ、だれも褒めない映画シリーズ。まだまだ続きますよ。今回はこちら!
Y木:おお、エディ・マーフィー!しかもSF!
(あらすじ)
時代は2087年の月の世界。天然資源が掘り尽くされた月は荒れ果て、金とコネさえあればなんでも手に入る無法地帯になっていた。そんな世界でプルート・ナッシュ(エディー・マーフィ)は、月の街随一のホットなクラブのオーナーだ。ある日、正体不明のギャングからのクラブ売却の申し出を拒否したことで、ナッシュはトラブルに巻き込まれ、月の支配をもくろむレックス・クレイターから狙われるハメに。ナッシュは時代遅れのボディガード・ロボット(ランディ・クエイド)と、歌手を夢見る地球の住民ダイナ(ロザリオ・ドーソン)とともにレックスに立ち向かってゆくのだが……。
S原:さあ、珍作映画ファン、失敗作マニアが垂涎のこの映画も登場です!主演は、黒き笑顔がバッチグー!われらがブラザー、エディ・マーフィー!
Y木:ブラザーちゃうわ。
S原:いやあ、この映画はずっと探してたのよ。ほんまに珍作で有名やねん。マニアの間では伝説やからな。
Y木:世の中には、いやな連中が存在するねんな。
S原:この映画はかなり製作費がかかってるねん。でも、映画会社の幹部向けの試写での「おいおい、マジかよ?」「これが、俺たちのエディかよ」「こんなヒドイ映画を公開できねーよ」「こんなクズみたいな映画を作りやがって。とにかく、倉庫に眠らせておけよ」「監督に会ったら、浣腸してやる!」という会話があったらしいで。
Y木:また、勝手に妄想するな。なんやねん、浣腸って。
S原:実際、あまりの出来の悪さにしばらく公開延期。2年後に、映画会社の幹部が「いや、倉庫に眠らせておいても仕方ないんじゃね?」「そうかもな。意外といまのヤングには受けるかもよ?」「ワインも何年か熟成させたら、良い味になるやろ?」「それもアリやな。よっしゃ、公開決定!」って感じで劇場公開したらしいわ。
Y木:そろそろ妄想をとめろ、きもいから。で、結局はどうやったの?
S原:お客さんがだれも観に行かず、大赤字やった。
Y木:やっぱりな。どういうところがあかんの?
S原:うーん。例えば、すごくお金をかけて「バナナですべって転ぶ場面」を撮ったとして、それはおもろいと思う?
Y木:思わん。
S原:そういうことやねん。
Y木:どういうことやねん!
S原:あーわかりにくかった?そうやな、例えば、すごくお金をかけて「くしゃみをした勢いで、ズボンがずり落ちた場面」を撮ったとして、それはおもろいと思う?
Y木:思わん。
S原:そういうことやねん。
Y木:だから、どういうことやねん!ちゃんとわかるように言ってくれ。
S原:要するに、ひたすらぬるいねん。
Y木:ぬるい?
S原:あらすじは上の通り。これを読んでも、とくに興味はもてないやろ?ほんまに、このままのストーリーをなぞるだけやねん。とくに、伏線の張ったドラマがあるわけでなく、アクションがあるわけでもなく、キャラが魅力的でもなく、エディのトークがあるわけでなく、SF的風景がすごいわけでもなく、ラブロマンスでもなく、皮肉や風刺があるわけでもなく…
Y木:わかった、わかった。おもしろないのはわかった。
S原:一番、つまらんのはエディの、あの『顔面スマイル』がないこと。唯一無二のあの笑顔がないと、つまらんわー。
Y木:とくに、(エディが)大笑いする場面がなかっただけとちゃうの?
S原:そんなん、いくらでも作れるやん。それこそ、「通行人がバナナで滑って、それを見たエディが大笑いする」でもアリやろ?
Y木:アリちゃうわ。
S原:ともかくエディも元気がないし、なんかすべての点で中途半端やねんなー。
Y木:どんでん返しとかもないの?
S原:一応、ラストにエディ・マーフィーが2人でるねん。エディ本人が演じている悪役。これが一応、どんでん返しかな。
Y木:えー、古くさー。
S原:古くさいよ、SFやのに(笑)えーと、クローンという設定やったかな。でも、どうでもええよ。エディが2人でてきて映像に黒い部分が増えただけやったわ。
Y木:こらこら。おまえ、ファンちゃうんか。
S原:いや好きなんやけどな。このブログで「ビバリーヒルズコップ3」(1994)も紹介したくらいやし。
Y木:あの映画もボロクソにつっこんでたがな。
S原:なんにせよ、この映画はちょっとな……うーん、この映画自体は訳が分からんとかじゃないねんで。ちゃんとセットにお金もかけてるしな。でもなー、これを「超大作」と宣伝してしまうと、さすがにガクッとくるよな。同じように超大作で宣伝された「バトルランナー」(1987)の感じによく似てるかもしれん。せっかく正月に劇場に行ったのに、シュワちゃんのレオタード姿をみて、新年早々気分が萎えるみたいな(笑)あ。「バトルランナー」もこのブログで紹介しているから、みなさん読んでください♡
Y木:なんやねん。まあ「バトルランナー」みたいに、エディがレオタードになってないだけ、こっちがマシかもな。
S原:いや、むしろ足りなかったのは、そういうぶっ飛んだ設定やったかも(笑)この映画は、普通と言えば普通やねんで。コーヒーを注文したらちゃんとコーヒーは出てきてるねん。でも、場末の喫茶店で、300円の薄いコーヒーを飲んでも文句はでないけど、スターバックスで600円の不味いコーヒーがでたら、SNSでみんな文句を書き込みまくるやろ?あれと一緒やな。
Y木:なにが一緒なんかわからんけどな。映画はだるいのね。
S原:だるいというか、なんか、明治時代の正月みたいなムードの映画やねん。ひたすら、スローでのんびり(笑)日本酒とか呑みながら観るとちょうどええかもしれん。
Y木:はあー(ため息)
S原:さー、みなさま。「過去の人」になりかかっていた時期の映画ですが、とにかくエディが大好きな人だけにおススメします。珍作、失敗作ファンの人はもうチェック済だと思います。みなさん、この映画をワゴンで見つけたら、今後30年はだれも買わないはずなので、ゲットしてあげて下さーい!