S原:ついに出会いました。今回は、失敗作として名高いこの映画です!
Y木:おお!
(あらすじ)
時は西暦2265年、地球を結ぶスペース幹線道路・ルート246666を、人は「ギャラクシー街道」と呼んだ。今日も、様々な星から宇宙人たちが「ギャラクシー街道」にやって来る。みんな、それぞれに悩みを抱えた、人間味溢れる異星人だ。街道の中央にひっそりと佇む、小さなハンバーガーショップ、サンドサンドバーガー・コスモ店を舞台に、そこで働く人々と、客たちが織りなす、宇宙人模様。宇宙人だらけの三谷流スペース・ロマンティック・コメディの幕が上がる! ! !
S原:この映画はめちゃくちゃ評価が低いねん。
Y木:へえ、そうなんや。
S原:公開当時は、ダメ映画として少し話題になったけど、いまや誰も口にしない。「デビルマン」(2004)とか「北京原人who are you?」(1997)とか「キャシャーン」(2004)とかは、ダメ映画マニアに、いまだに可愛がってもらってるやろ?
Y木:監督が望んだ可愛がられ方じゃないけどな(苦笑)
S原:そして誰にも可愛がってもらえないまま、このDVDはワゴンコーナーの片隅で最期を待つ、と……
Y木:そして、おまえに見つけられる、と(笑)
S原:それにしても、大々的にロードショーをして有名な俳優を並べてこんなに評価の低い映画も珍しい。
Y木:そうかー?ボロカスに言われる映画って、いつの時代もあるやん。
S原:それでもフォローする人はおるやん。「カットスロートアイランド」(1996)とか「R100」(2013)でも、好きな人はおるから。でも、いまだかつてこの映画を好きという人に会ったことない。
Y木:別にこの映画を好きでもええがな。それで、結局、おまえはどうやったの?
S原:予想通り面白くなかった。
Y木:面白くないのを確認するために、わざわざDVDを買ったんか。なんてもったいない人生の使い方や。
S原:あーそうね。でも、あんまり褒めるところがないから、逆に良いところを探したくなるのよ。
Y木:へえ、じゃあホメてよ。
S原:……そう言われると困るな。
Y木:なんやねん。パッケージをみると、レトロSF調なんやろ。セットとかそのへんは?
S原:なんか小汚かった。
Y木:じゃあ衣装は?
S原:高校の文化祭のコスプレみたいやった。
Y木:演技は?
S原:不自然なコントみたいやった。
Y木:話は?
S原:ただ単にエピソードの羅列やった。
Y木:ギャグは?
S原:どれもスベッてる。
Y木:ええとこないやないか!
S原:ほんまにこんな映画やねんて!とにかく、何がしたいのかわからんねん。
Y木:でも三谷幸喜ってファンも多いし、評価の高い人なんやろ。もちろん、おれは観たことないけどな(笑)
S原:三谷幸喜くらい観てくれよ。ぼくは「ラジオの時間」(1997)と「ザ・マジックアワー」(2008)が好きなんやけどな。とにかくこの映画は変やねん。でも、フォローするわけじゃないけど、映画を作り続けていると巨匠でもたまに場外大ファールを放ったりするやん。大林の「漂流教室」(1987)とか、コッポラの「ワン・フロム・ザ・ハート」(1982)とか。
S原:まあ、そういう位置づけと考えればええんかなあ。かなりムリヤリやけど(笑)
Y木:実際に観てないし、ネットの評判も知らんから、そこまでボロカスに言われる理由がわからん。具体的にはどういうところがあかんの?
S原:もうネットでは散々書かれてるから、そっちを見てほしい。みんな的確に叩いてるから(笑)すこしだけ話すと、例えば宇宙人(梶山善)がベロを出して、香取慎吾の顔を舐める。べローンって。香取慎吾は嫌な顔をする。
Y木:それで?
S原:それだけ。
Y木:えー…
S原:ことあるごとに、大竹しのぶは煙草を吸ってイライラする。禁煙の場所だから注意されるけど、つい煙草を吸ってしまうねん。
Y木:それで?
S原:それだけ。
Y木:あー…そう。
S原:あとは、小栗旬がかっこわるいウルトラマンもどきに変身する。だけど役に立たない。
Y木:それで?
S原:それだけ。
Y木:はあー…
S原:あとは、どんなエピソードがあったかな。あーそうそう、香取の元カノがものすごく汚くハンバーガーを食べる。それだけ。
Y木:なんやねん!ほんまに、おもろないやないか!
S原:ほんまやねんって。とにかく全編こんな感じで、ぬるま湯のようなエピソードが続くだけ。
Y木:オフビートなコメディを狙ったんとちゃうの?
S原:そうなんかなー。どっちにせよ覚悟をして観たぼくの予想をはるか上をいっていた。相手のほうが1枚上手やった(笑)
Y木:最後は?
S原:経営難で店を閉めようかと考えている香取慎吾を、綾瀬はるかが励ます。「がんばりましょ!」って。
Y木:それで?
S原:それだけ。
Y木:あーもー!
S原:さあ、みなさん。とにかく理解不能な映画ですが、一応これで完成はしているようです。おそらく数年のうちに三谷幸喜が封印して2度とDVDが再販されることはないでしょうし、フジテレビの力で我々の記憶を消し去ることも考えられます。そんな日が来る前にワゴンでみつけたらマストバイですよ!いやあ、ほんまに脱力した珍品映画やった!