みなさん、ブログを読んでいただき感謝感激です。S原です。
さて、コッポラ監督が私財をなげうち執念で完成させた「メガロポリス」。前回の記事の通り、Y木と一緒に観に行きました。
映画の感想はすでに書いた通りなんですが、ご存じの通り、かなり企画段階から紆余曲折があったようで、その製作過程ではかなり苦労があったと思われます。
今回は、勝手にそのあたりを想像(というか妄想)してみました。
本当にこういう感じだったかは分かりませんが、結構大変だったのはまちがいないでしょう。 というわけで、妄想スタート!
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![日本上陸済み! アメリカの人気レストランで本場の味を堪能しよう! | Dig-it [ディグ・イット]](https://dig-it.media/wp-content/uploads/2020/06/1025dc96138665a346cf77f9ede87a74.jpg)
(製作前)
ハリウッドのレストランにて
大手映画会社の社員、レストランに入ってきて遅れてきて座る。
社員:コッポラさん、どうも。
コッポラ:フランシスと呼んでくれ。(握手する) いや呼び出してすまないね。
社員:いえ若い頃、あなたの「ゴッドファーザー」を観て感激したんですよ。
コッポラ:ああそうかね。パート3はすごく良かっただろう?
社員:いや……まあ……はい。ところで、今日はどんなご用でしょうか?
コッポラ:いいか、君にだけ伝える。
社員:はい。
コッポラ:約束してくれ。まだ誰にも言わないってな。
社員:はい。
コッポラ:(身を乗り出して)耳を近づけてくれ。
社員:(身を乗り出して)はい。
コッポラ:……新作の企画がある。
社員:え!?
コッポラ:(ニヤリとして)驚いただろ?
社員:そりゃまあ。あなたが監督されるんですか? 製作じゃなくて?
コッポラ:モチのロンさ。
社員:それは話題性抜群ですよ! 小川直也がプロレスラーになったとき以来のビッグニュースですよ。
コッポラ:ふふふ。
社員:いやーたまんないな~。
コッポラ:おいおい、どんな映画なのか聞きたくないのかい?
社員:モチのロンですよ! いったいどんな映画なんです?
コッポラ:そうだな。簡単に言うと未来都市の話なんだ。
社員:タイトルは?
コッポラ:「メガロポリス」だ。
社員:「メガロポリス」! へえ、かっこいいですね。手塚治虫とか松本零士みたいで。
コッポラ:ふふふ。時代の最先端って感じだろ?
社員:どういうストーリーっすか?
コッポラ:そうだな、一言ではいいにくいが、ある男が未来都市をつくろうとする話なんだ。
社員:建築家ですか?
コッポラ:そんなもんだな。ちょっとイメージボードをみてくれ。
社員:はあー、なかなかかっこいいですね。
コッポラ:だろ? だろ? 今回は気合が入ってるからな。で、お願いなんだが……
社員:はい。
コッポラ:製作費をだしてくれないかな?
社員:いやまあ、いまの段階ではなんとも。
コッポラ:うむ。
社員:ぶっちゃけSFだし、かなり製作費がかかりそうですし。
コッポラ:たしかにそうだな。
社員:いや出さないってわけじゃないんですよ。上には話をしますが……
コッポラ:頼むよ。
社員:うーんまあ、とにかく脚本が出来ないとなんとも判断がしにくいですね。
コッポラ:そりゃそうだ。脚本が出来たらまずは読んでもらうよ。
社員:わかりました。よろしくお願いします。
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(後日)
ハリウッドのレストランにて
社員:あーはい。シナリオを読みました。
コッポラ:(ニヤリとして)ハッキリ言ったらどうだ? 「最高です」とな。
社員:いやー……どうなんですかねえ……
コッポラ:おやおや、不満かい?
社員:不満というか。あのう……わかりにくくないですかね?
コッポラ:それこそが「未来への希望」であり「寓話」なんだよ! いいかい、悪い色の服を着た奴をマシンガンで撃っぱなす映画にはもう観客は飽きている。なぜ、いい大人が派手な全身タイツを着てアクションをしているんだ? おかしいと思わないかい?
社員:それはそういう映画なので。それにヒットしてますし。
コッポラ:いいかい、こういう作品こそが、混迷している現代を象徴しているんだよ。
社員:それはそうかもしれませんが……お客さんはこういうのを望んでいないんじゃないんでしょうか?
コッポラ:そうかね、ヒットすると思うよ。アカデミーだって狙えると思うね。
社員:いやー……どうなんですかねえ……
コッポラ:オーケー、じゃあ聞こう。きみはどういうところに不満なんだい?
社員:まず、すごくぼんやりしています。イメージボードをみると確かに映像はすごいですが……そもそも主人公はどういう奴なんです? なぜ時間を止めれるんです?
コッポラ:脚本を読んですべては理解できない、映画が完成したら理解できる。そういう映画なんだ。
社員:それでは製作費はだしにくいですよ。あのう、もっとコンセプトをハッキリできないですかね?
コッポラ:コンセプト?
社員:「かっちょいいヤングな男が戦闘機にのる」とか、「売り出し中のアイドルがツンデレ男子に振り回される」とか、そういう一言で言えるような映画がいいんですよ。そういうのにヤングが惹かれるわけです。
コッポラ:ヤングが食いつくようなポイントだな?
社員:はい。
コッポラ:動く歩道があっただろ?
社員:いやー梅田でもありますし。
コッポラ:動く歩道はいいぞ。立っていてもスーッと動いて便利だぞ。
社員:便利かどうかを言ってるんじゃなくて。
コッポラ:きみの言うことは分かる。コンセプトが分かりやすい方がウケるってことだろ。でも、わたしはそういう単純な作りにしたくなかったんだよ。たとえば、現代社会にある「分断」とか、そういうテーマをだね……
社員:ちょっと待ってください。
コッポラ:うん?
社員:分断ですか……あー分断はいいかも、ですね!
コッポラ:だろ? だろ? いまの社会にピッタリだよ。
社員:たしかにそのテーマはバッチグーですよ。
コッポラ:だったら話は早いぞ。この映画のテーマのひとつは分断なんだ。
社員:分断ですか。すこし深く掘り下げて「現代人がみえない分断」に悩まされるとか。
コッポラ:「みえない分断」か。それはいいぞ。この映画のテーマにも合っている。
社員:こういうのはどうです? ひとつアイデアがあるんですけど。
コッポラ:うむ、言ってみろ。
社員:実はある特別はサングラスをかけると分断がみえるんですよ。
コッポラ:……サングラス?
社員:はい。それをかけるとですねえ、なんと! 人間のふりをした異星人がみえちゃうんですよ~!
コッポラ:……(無表情)
社員:あ、「ゼイリブ」のことなんですけどね。 知りません?
コッポラ:知ってるわ! どうやったら「メガロポリス」が「ゼイリブ」になるんだ!?
社員:あ、「ゼイリブ」はいまリメイク権はうちの会社がもってるんですよ。どうですかね、「ゼイリブ2」とかは?
コッポラ:なぜ、わたしが「ゼイリブ」の続編を撮らなければならないんだ! 「ゼイリブ」の話をしてるんじゃない。とにかく、これは崇高で深遠なテーマなんだよ、きみい!
社員:はあ。
コッポラ:なあ、製作費を何とかだしてくれないか。頼むよ。
社員:うーん、一応上には言ってみますが……どのくらいの予算になりそうですか?
コッポラ:1億2000万ドルだ。
社員:そんな……勘弁してくださいよ。ゼイリブなら200万ドルくらいで作れるじゃないですか。
コッポラ:「ゴッドファーザー」で儲けさせてやっただろ! その恩を忘れたのか?
社員:そのあとの「ワン・フロム・ザ・ハート」と「地獄の黙示録」の赤字で帳消しになったじゃないですか。
コッポラ:ふ~……(ため息) それは言わない約束だぞ……
社員:とにかく、いまは製作会社も配給会社も厳しんですよ、わかってください。
コッポラ:(指を1本たてて)これくらいの予算もでないのか?
社員:(指を2本たてて)2つで充分ですよ~!
コッポラ:ブレードランナーのモノマネをしている場合か! 本気で頼んでるんだ!
社員:しかしこの脚本ではねえ。
コッポラ:最高じゃないか。
社員:主演はだれを考えているんですか?
コッポラ:まだオーディションの段階だが、サザエさんにでてくる「アナゴさん」みたいな風貌がイメージだな。
社員:はあ、アナゴさん。
コッポラ:……わかった。
社員:え?
コッポラ:わかったよ。もういい。
社員:もういいって。
コッポラ:自分でなんとかするよ。
社員:ご自分で? どうやって?
コッポラ:ワイナリーを売るよ。それで金を作る。
社員:そんな。そこまでして?
コッポラ:ああ、それくらいこの映画に賭けているんだ。とにかく映画を作る。
社員:わかりましたけど。
コッポラ:だから配給を頼む。
社員:え?
コッポラ:映画が完成したら大ヒット間違いなしだ。「E.T.」や「子猫物語」みたいに、子供たちが映画館に並ぶぞ~。ワクワクするだろ?
社員:いや、そういうタイプの映画では……
コッポラ:とにかく、わしは完成させる。こうなりゃ意地だ。とにかく試写をするから見に来てくれ。
社員:わかりました。とにかく試写をみてから配給するかどうか考えます。
コッポラ:それで十分だ。まあ、まかせろ!(ウインクをする)

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(ついに映画は完成。そして試写のあと)
試写室にて
コッポラ:どうだ、観たか?
社員:はい、観ました。
コッポラ:素直に言えよ、「最高だった」とな。ふふふ。
社員:あのう……言いにくいんですが。
コッポラ:なんだい?
社員:途中で寝ました。
コッポラ:ははは、ハリウッドジョークだな! そりゃ君が徹夜で脱衣麻雀ゲームをしているからだろ。ユニークな奴だな、きみは。で、どうなんだ? 配給はしてくれるのか?
社員:いやーこの出来では……
コッポラ:最高傑作だぞ。なにを躊躇している。大金持ちになれるチャンスをみすみす見逃すのか?
社員:この映画では儲からないような気が……
コッポラ:なあ頼むよ。昔のよしみじゃないか。
社員:でも上のOKが出ないんですよ。
コッポラ:グッズも飛ぶように売れる。バットマンTシャツみたいに、この映画のTシャツをみんな着るぞ。
社員:ちょっと何を言っているかわからない。
コッポラ:サンドイッチマンのボケを挟まないでくれ! グッズの儲けも全部譲ってもいい。
社員:グッズは作らないって決まったんです。どうせ売れないからって。
コッポラ:え……そうなのか。まあとにかく頼むよ。
社員:しかし……
コッポラ:わかった。こうしよう。配給にかかるコストもわたしがある程度負担する。なあ頼むよ。
社員:わかりました。なんとか、上を説得してみます。でも本当にヒットするんですか?
コッポラ:いままで何年この業界で映画を作ってると思ってるんだ? 大丈夫、ヒットするよ。
社員:それだったら、いいんですが。
コッポラ:少なくとも実写版「白雪姫」よりはヒットするよ!
社員:えー……
コッポラ:ヘイ!(肩を叩いて)
社員:痛っ!
コッポラ:ハリウッドジョークだよ!
社員:………

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(そして公開後・・・)
ハリウッドのオープン会議室にて
社員:興行収入のニュースをみましたか?
コッポラ:みたよ。
社員:やっぱりダメじゃないですか~(涙)
コッポラ:大丈夫だ。いまから盛り返すさ。
社員:本当ですか。
コッポラ:ああ、「あきらめたらそこでゲームセット」だぞ。
社員:はあ~(ためいき) で、このブログを読んだんですけどね。これ、ボロクソに書かれてますよ。
talksessionyands.hatenablog.com
コッポラ:あーこれかい? こんなくだらないブログを信じるな。
社員:でも、このブログは蓮實重彥先生や小室圭さんも読者になってくるくらい影響力のあるブログですよ。
コッポラ:おいおい待ってくれ。これは「オマター」をレビューしているようなブログだぞ。
社員:オマターを紹介って……なぜ知ってるんです?
コッポラ:実は読者だ。
社員:え、読者なんですか?
コッポラ:ああ、意外に下ネタは嫌いじゃないんだ。
社員:はあ。
talksessionyands.hatenablog.com
コッポラ:まあ「オマター」はどうでもいい。とにかくまだ観客数は伸びる。勝負はこれからだ。
社員:本当ですか。
コッポラ:安心しろ。とにかく、このブログを読んでいるみんなが映画館に行ってくれれば大ヒット間違いなしだ。 ということで、みんな、応援してくれよな!
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以上、想像(妄想)は終ります。
おそらくこんな感じのやりとりだったのではないか、と。。。
(気分を害された関係者がいれば申し訳ないです)
というわけで、みなさん!
コッポラのためにも映画館にゴー!
観た人はぜひ感想をおしえてくださいませ~(^^♪
