
S原:今回はゾンビが海からやってきますよ~!
Y木:「知能指数ゼロ」というのは、こういうのを言うんやろうな。
(あらすじ)
穏やかな海に囲まれた平和な孤島。漁師のハンターと仲間たちの船が、突如としてゾンビに襲われた。どうにか反撃して逃げ切ったものの、ゾンビは続々と姿を現し、島は恐怖に包まれる。ハンターは愛する島を守るため戦うことを決意するが、そんな矢先、巨大津波に乗って大量のゾンビが島に上陸しようとする。
S原:これは面白かったで。
Y木:ほんまかいな。
S原:いや、面白くないで。面白くはないんやで? でも面白いねん!
Y木:あたま、おかしいんか。
S原:よく考えてみてよ。みんな、綺麗な海とか好きやん?
Y木:それはまあ、そうやな。
S原:ゾンビとかも好きやん?
Y木:まあ一部の人はな。
S原:綺麗な海とのゾンビのタッグマッチ! 意外に作られていないジャンルやと思うねんけどな。 イチゴと大福を組み合わせたら意外にイケるじゃん、みたいな?
Y木:いや知らんけど。そうなんか?
S原:実はな、すでに海とゾンビの組み合わせがあるねん。
Y木:あーそう。ま、あるやろうな。
S原:しかもマニアの間ではロメロのゾンビものと並んで名作と言われてるんやけどな。
Y木:へえ。
S原:それなりに有名やから、わざわざ紹介するまでもないんやけどな。
Y木:はあ。
S原:「ゲシュタポナチ死霊軍団 カリブゾンビ」って知ってるやろ?
Y木:知るか、そんなバカみたいな映画!


S原:この映画は、たぶんあの名作へのオマージュやと思うんやけどな。
Y木:どうでもええわ! はよ内容の話をせえよ。
S原:こういう映画は最初が肝心やねん。テンポよく物語をすすめないと飽きてしまうからな。この映画の出だしは良いよ。まず地震が起きて海底に地割れが発生します。その中でピカー!となにかが光る……。このオープニングはなかなかキャッチーやろ?
Y木:いや、ありきたりすぎてコメントできへん。
S原:舞台は、海岸沿いのリゾート地です。主人公たち(男女グループや家族)が船の上で釣りをしています。おや、なにかが釣れたようです。はい、Y木さん。釣れたのは一体なんでしょーか?
Y木:なんでしょうか、と言われても……ゾンビ?
S原:ピンポーン! 大正解!
Y木:そんなもん「ゾンビが釣れる」しかあらへんがな。魚が釣れるんなら、釣り映画やろ。
S原:あなた、よく考えてみてごらん。
Y木:はあ。
S原:いままで生きてきて、『釣りをしていて魚じゃなくてゾンビが釣れる場面』って観たことありますかね?
Y木:(ちょっと考えて)……ないな。
S原:やろ? 意外に灯台下暗しなのよ。釣りとゾンビの組み合わせって。
Y木:わかったわかった。それで、釣ったゾンビが船上で大暴れという展開か?
S原:うん。ゾンビがうっとおしいから、また海に落とします。ところが、このゾンビが泳いで追いかけてきますねん。
Y木:よかったなあ、泳ぐことが出来て。

S原:あわてて陸上まで船を戻します。事情を聴いた保安官たちが、その海付近に向かいます。ドローンを使って調査すると沈没船があって、そこから謎の光が漏れていることがわかります。そして、いよいよお待ちかねの~!
Y木:待ってないで、べつに。
S原:なんと! 海面にたくさんのゾンビが現れま~す! ゾンビは全員水泳部出身らしくて、保安官のいる船にめがけて泳いできます! ここは、もう最高やった~! ちょっと、このゾンビのネーミングを考えたんやけどな。
Y木:はあ。
S原:名付けて、スイミングゾンビ! どう!?
Y木:スイミングゾンビ……
S原:そこに津波がやってくる警報が鳴ります。船には、たくさんのスイミングゾンビたちがスイミングで寄ってきます。さらに大きな波もやってきます。しかも、あなた! よく見て下さい! なんと、巨大な波の中には無数のゾンビがいるじゃあーりませんか! 津波の中でゾンビたちがスイミングしてるじゃあーりませんか!
Y木:その場面が撮りたかったんやろうなあ。

S原:なんとか難を逃れて、保安官たちは海岸にたどり着きます。そこでもすでに、たくさんのゾンビがいました。さあ陸上でもゾンビが襲ってくる! 海からはスイミングゾンビが迫ってくる! 大きな波も(ゾンビ付きで)近づいてくる! 3つの味を楽しめるトリプルハーモニーですよ、あなた!
Y木:どこが3つの味やねん! 全部ゾンビやろ!
S原:お約束通りゾンビを殺しまくって、バズーカ砲で吹っ飛ばしたりする素敵な場面のあと、いよいよ大きな波がやってくるので、車で逃げます。
Y木:あのーちょっといい?
S原:はい、なんでしょう?
Y木:お決まりの展開ばっかりやから、もうクライマックスまで飛ばしてくれる?
S原:オーケー、Y木さんのリクエストに応えるぜ。その前に一曲聞いてくれ! 「ギザギザハートの子守歌」! カモン!
Y木:80年代の深夜ラジオか! しかも誰がチェッカーズなんかリクエストしてるねん。はよ、ラストを話せよ。
S原:そのあと、病院とか高台の金持ちの屋敷とか、そういうところに行っているあいだに2回目の津波がやってきて、てんやわんやです。脈絡も伏線もないまま登場人物のひとりが言います。「電気で倒せるんじゃね?」(注:実際は言いません)
Y木:適当やなあ。
S原:おそらく「バタリアン2」のオマージュやろうな。
Y木:絶対ちゃうわ。

S原:最後は海の中で爆弾ドカン! スイミングゾンビは、スイミングできなくなってジ・エンド。
Y木:お決まりやなあ。
S原:でも、これは楽しかった。特に新しい要素のないおバカなゾンビものを観たいときは、これをおススメします。もう頭空っぽでひたすら青い海とゾンビを観てたらオーケー! 仕事で疲れ気味のみなさんにピッタリですよ~!
Y木:余計に疲れるんちゃう……?