あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ヤクザ映画10本ノック!「炎と氷」(2004年)「炎と氷2」(2005年)の巻

 

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S原:今回のヤクザ映画10本ノック、最後はこちらですよ!

Y木:うわー竹内力

S原:ラストにふさわしく、誰もが知っている竹内力の映画を選びました。

 

(炎と氷 のあらすじ)

闇金融業界の実態を描いた新堂冬樹の原作を、竹内力宇梶剛士主演で映像化したアクションドラマ。世羅と若瀬は、その強さを青嵐会幹部の金沢に見込まれ組織の取立て屋となる。炎と氷のように対照的なふたりは次第に頭角を現し、東京へと進出する。

(炎と氷2 のあらすじ)

闇金融業界の凄惨な実態を描いた新堂冬樹の原作を、竹内力宇梶剛士主演で映像化した社会派アクションドラマ第2弾。闇金融の世界で頂点を目指す世羅と若瀬。炎と氷のように相反するふたりは、ある銀行の融資課長の退職金を同時に狙うこととなる。

 

 

S原:竹内力って、「ミナミの帝王」のヒット以来、毎回あんな役ばかりさせられてるけど、昔は大林信彦作品とか出てたんやで。

Y木:なんの映画?

S原:「彼のオートバイ、彼女の島」(1986)

Y木:ダメ映画やないか(笑)

S原:たしかにあれは、変な映画やった…(苦笑)「漂流教室」(1987)と「彼のオートバイ、彼女の島」は大林ファンも触れないようにしてるらしいで。まあ、それはええとして今回の映画は2本でひとつやねん。前編後編みたいな感じかな。

Y木:で、どうやったの?

S原:結構、ちゃんと観れた。このヤクザ映画特集のなかで、一番面白かったかもしれん。

Y木:へー、こんなんが?

S原:こんなんって、あなた(笑)まあ、ジャケットをみるといかにもって感じで、好事家以外は食指が動かんやろうけどな(笑)意外としっかりとドラマが作られてるねん。漫画家で本宮ひろしっておるやん?

Y木:あー、昔ジャンプでよく読んでたで。

S原:本宮ひろしのマンガの良いところを上手に、Vシネマ風に生かしたって感じかな。ちゃんとキャラクターが、わかりやすく分かれていて、それがストーリーに絡んでいく…みたいな。

Y木:なるほど、マンガの良さを盗んでいるってこと?

S原:そうそう。監督なのか製作者なのか原作者なのか誰が功労者かわからんけど、とにかくちゃんと作っていると感じたわ。

Y木:はじめから期待してないから、意外に楽しめただけとちゃうの?

S原:そう言われれば、そうかもしれん…(笑)内容を話すと、主人公は2人(竹内力宇梶剛士)で、田舎(大分)の高校の同級生やねん。その高校時代から話は始まるねんけど、竹内力の高校生役を演じた役者がすごく似ていて良いねん。宇梶剛士の高校生時代はあんまり似ていないけど、こっちもなかなか雰囲気が良い。竹内力は喧嘩が強くて、他校の不良相手にも正面から向かっていく直情型、一方の宇梶は裏で頭脳的に立ち回って金儲けをするタイプ。全く正反対の2人がタッグを組んで、田舎からのし上がっていく…というストーリーやねん。

Y木:たしかに、本宮ひろしやな。のし上がっていく手段は?やっぱり金?

S原:そう、金儲け。今回、ヤクザ映画をたくさん観てよくわかったけど、ヤクザ世界もいかに金を儲けるかという時代なんやな。金を儲ける奴が出世する。よく考えれば、中小企業の部長とか課長と変わらんで。

Y木:そりゃ、組幹部(会社幹部)に上納金(営業成績)を差し出さないとあかんから(笑)

S原:東京に出てきて、竹内力宇梶剛士闇金(違法ローン)で力をつけていくねん。昔、よくティッシュで配ったり、公衆電話で無担保ローンの宣伝が貼ってあったやろ?あれやな。

Y木:闇金か。

S原:原作は新堂冬樹という人で、昔、闇金で働いたことがあるらしい。なので、闇金のやりとりはたしかにリアルに感じる。喫茶店で金を借りた奴らを集めて競馬中継を聞きながら、的中したらその場で金を回収するとか、たぶん実際にあるんとちゃうかな。

Y木:ふーん。きったはったのいかにもVシネマっていう世界とちゃうんや。

S原:もちろん、そういう場面もあるけど、もっと主人公2人の人生ドラマって感じでグイグイ押していくねん。2人は闇金をはじめて、ホストとかキャバ嬢の人脈をつかったり、ヤクザ組織の傘下に入りつつ、組の裏を突こうと画策したりするところがなかなか面白いねん。

Y木:頭脳派のやつ(宇梶)が計画していくのね?

S原:そうそう。竹内力は暴れたりすごんだりするだけ(笑)でも、たぶん竹内力1人が主演やったら、たぶん暑苦しいだけで面白なかったと思う。逆に宇梶だけではただの頭脳ゲームになったはず。ベタやけど武闘派と頭脳派の組み合わせが、物語を転がすというか、お互いの魅力を生かすというか。

Y木:ほんまに漫画やな。

S原:タイトル通り「炎と氷」ってことやな。あ、ちなみに「炎(ひ)と氷(こおり)」と読むねんけどな。

Y木:どうでもええわ。ええやないか「ほのおとこおり」で(笑)

S原:ちょっと残念な点もあるねんけど、竹内力のセリフ、たぶん大分弁を話してるんやけど、たまになにを言ってるかわからへんねん(笑)いっぽうの宇梶は標準語やし…まあ、そういうのも愛嬌なんやろうけどな。あと脇役も個性的でな。途中で、頭がプッツンしたヤツを従業員で雇うねんけど、「咳止め薬」(?)でトリップしたりしてる危ないヤツやねん(笑)

Y木:そんなヤツ、雇って大丈夫か?

S原:大丈夫じゃなかった(笑)途中でプッツンして大事な相手を半殺しにして問題を起こしてしまう。じつは、こいつは妹の復讐をするためにこの世界に飛び込んできたんやけど、エピソードとしてはイマイチやったかな。あと、売れない頃(?)の上地雄輔が脇役で出演したりしてたけど、人妻とベッドインしてるときにヤクザに踏み込まれて脅されるという情けない役やった(笑)まあ、こういう変な奴らのエピソードがありつつ、ストーリーは進んでいくわけやな。

Y木:メインストーリーは竹内力と宇梶の2人が、硬い友情で結ばれたまま最後まで突っ走るってこと?

S原:いや、途中でケンカ別れするねん。それで最後は、たまたまお互いに同じ「標的」を見つける。

Y木:標的って?

S原:要するに、金になりそうな男」ってことやな。スネに傷がある銀行員(寺島進)で、そいつの退職金を狙うねん。

Y木:なるほどな。

S原:まあいろいろあって銀行員の退職金の取り分で揉めるねんけど、最後は船着き場で2人で対決するねん。

Y木:対決?

S原:ケンカです。

Y木:結局はケンカかい(笑)

S原:まあ、お互いに言いたいことを言って殴りあって和解する。スッキリするわけやな。

Y木:まさに努力・友情・勝利(笑)

S原:最後は、2人を手玉に取ろうとしたヤクザ幹部(菅田俊)に逆襲することを示唆して終わる…やけど、まだまだ話はちゃんと終わってないから、もっとシリーズを続けるつもりやったんかもな。結局続編は作られへんかったみたいやけど。

Y木:ふーん。今回はわりとマシやったってことね?

S原:マシというとヤクザ映画ファンに怒られそうやけど、結構楽しめたというのが正直な感想かな。さあ、みなさん、今回のヤクザ映画10本ノックは、いかがだったでしょうか?僕は今回初めて、ちゃんとヤクザ映画(Vシネマ系のDVD)を観ましたが、なかなか貴重で興味深い体験やったですね。もちろん出来不出来はありますが、製作者たちの「俺たちは、これが好きなんだぜ!」という心意気は分かったような気がします。次回は、ヤクザ映画を総括します!

Y木:総括?そんなもん、せんでもええのに…