あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「アタック・ザ・マミー」(2000年)の巻

[アタック・ザ・マミー [レンタル落ち]

 

S原:今回はこちらです。

Y木:また、おまえはこんな映画をワゴンからみつけて…

 

(あらすじ)

奇想天外なコンセプトで描くミイラパニック映画。地下深くに幻の墓場が存在するエジプトで、魔術師シークは巨大なアミューズメントパークを作る計画を立てた。しかし墓を掘り起こした人間たちに次々とミイラが襲いかかる。ミイラの正体とは!? (アマゾンより引用)

 

S原:この映画はですねえ、Z級映画マニアの間では有名やねん。

Y木:へー「面白なさ過ぎて面白い」ってやつね。

S原:それもあるけど、この映画は吹き替え版がすごいことになってるねん。というわけで、今回は吹き替え版で観てみました。

Y木:おまえも好きやなあ、ええ年して…

S原:最初の舞台はエジプト。大地震のあとに砂漠に亀裂ができるねんけど、その地下にはなんと、墓場がありました。そこで、封印があるミステリアスな場所を開けてしまうねんな。ちなみに封印は、ビックリマンチョコのシールみたいやで。なんやかんやで銃撃戦になるんやけど、撃たれたやつが「撃たれた!」と言う(笑)

Y木:それって「スペースウォーズ」と一緒やがな。

S原:あれはたぶん本気の演出ですが、こっちは吹替版の声優がアドリブで完全に遊んでるっぽいな。

Y木:はーそういうことね。

S原:6か月後。アメリカのカメラマン男性(主人公)に撮影依頼があって、男性は女性と一緒にエジプトに行くねん。依頼主は大金持ちらしく、宮殿に招待されます。主人が「どうだ?すごい宮殿だろう?」と自慢しますが、建物の半分は書割。観ているこちらもどう反応していいかまいっちんぐです。あと同行したアメリカ女がわがままで、せっかく招待してくれたのに失礼な態度のオンパレードやねん。宮殿で初対面の人に向かって「ねーねーエジプトって水はあるのー」「アメリカではたっぷりの水があるのよー」とか。

Y木:どんな自慢やねん。

S原:あ。言い忘れてたけど、このアメリカ女は、横顔があの人に似てるねん。ちょっとあごのラインが似てると思うねん。

Y木:だれ?

S原:田原俊彦が浮気したところをフライデーされたときの素人女性。

Y木:素人かい。こんなところで引き合いに出すなって。

S原:宮殿を男女が歩いているシーンで、さまざまなセリフが聞こえるねん。たくさんの召使が、べつに出目金でない人にむかって「おまえもわかってんのか?出目金!」と罵倒したり、とくにセクシーでもない女性に向かって「おーそそられるー!」とか。声優たちもノリノリですな。そうこうしているうちに、宮殿では「どえらい目に合うでよー」「呪いはあるでよー」と話しかけられたり不吉な雰囲気が漂ってきて、…

Y木:全然、不吉な雰囲気が伝わってこないぞ。

S原:アメリカ女はエジプトがいまいち好きになれず、大きな部屋に案内されてもブツブツ文句を言うねん。そして、お風呂がすごくせまい。ところが「やったーお風呂だー、気持ちいいーっ」て窮屈そうにお風呂に入るねん。

Y木:全然話がみえへん…

S原:ここまで25分くらい。翌日、宮殿の主人がやっと写真撮影の依頼をします。自分が建設中のテーマパークを撮ってくれ、とのことです。

Y木:やっと本題か。

S原:そして、列車で砂漠の地下(テーマパーク)に潜っていく。要するに大地震で、地面に割れ目ができて、昔の遺跡(墓場)ができたってことね。それをそのままテーマパークに改造した、と。そのときにミイラもたくさん発掘されました、そのミイラもそのままテーマパークに再利用しようと計画というわけやな。

Y木:え?どうやって?

S原:頭にマイクロチップをいれて動かすねん。すごい科学技術やで。人体実験をしている場所では「ホネホネホネ~!」って骨格が踊っているくらいやから。

Y木:貸本時代のギャグマンガか。

S原:列車が地下にすすんでいきます。テーマパークは大規模やけど、どことなくチープ感が漂っているねん。特撮、セットともにやる気・センス・予算が足りないんやろな。そしてオーナーが自信満々にアメリカ人男女に言うねん。「いいか、こういうものを作るときはな、中途半端よりも最高を目指すべきなんだ!」(笑)このテーマパークは広いくて鉄道に乗ったまま、ミイラの展示などを楽しめるようになっているねん。それ以外にも、いろいろな場所を案内してくれるねんで、なんとテーマパークで売るピザとか、お土産を作っている作業の裏場まで、見せてくれるねんで。

Y木:なんで観光客に裏方の作業をみせるねん。普通に売店で売れよ。

S原:売店はないねん。

Y木:…それやったら、しゃーないか…

S原:列車は進んでいき、ついに神殿につきました。金の仮面をかぶった男がおります。

Y木:いよいよスペクタクルシーンやな。

S原:いいえ。今回はこれでおしまい。撮影前の下見やから。

Y木:ほんまにテーマパークを案内されただけか…そんなシーンが要る…?

S原:一方、大奥みたいに、オーナーに気に入られようと女性たちの諍いがおこったりするねん。エジプト風味のキャットファイトやな。そしてストーリーに関係なく、オーナーのまえでダンスをするシーンが続く。

Y木:迷走してるなあ。

S原:あ。言い忘れてたけど、アメリカ女がやたらと黒い下着になるねん。しかもいろんな種類の黒い下着でな。着替えるシーンも多いねん。狭い風呂に入るシーンも、ちゃんと2回目があるねんでー(笑)あるときアメリカ男は、女の黒い下着姿をみてドキッとするねんけど、女性は怒って「変な気持ちを起こさないで」とビンタ!

Y木:あだち充か。

S原:90分の映画で75分を過ぎたところで、男は言います。「なんだか…おかしいと思わないか…?」

Y木:え…いまさら?

S原:翌日、やっとテーマパークを本格的に撮影をするねんけどな、ミイラをフラッシュで撮影していると、「まぶしいってば!」とミイラが怒りだすねん。アメリカ女はミイラが襲ってこないか心配するねんけど、男は「ミイラは鎖でつながっているから安心だよ」といいます。そのあと、すぐにミイラは鎖をちぎって追いかけてきます。ここは、きっと笑うところなんやろうけど、残念ながら笑えませぬ。あとミイラが突然でてくるときに、ミイラは毎回「突然出てきた~!」と叫ぶねん。男がミイラを攻撃すると、ミイラが「痛いよ~!でも気持ちいいかもしれない~!もっとやって~!」

Y木:鴨川つばめか。

S原:なんとなく、アメリカの男女はのんびりとテーマパークを逃げるねんけど、ミイラをやっつけるたびに、ミイラは「犬死に、無駄死に、なのねーん!」といいながら死んでく。そして、ミイラが追いかけてきます。「まだ生きているぞおー」「追いかけるぞおー」というわかりやすいセリフ満載です。そして、ミイラがボタンをおすときは…

Y木:まさか…

S原:「ポチっとな」

Y木:うそー!

S原:列車が意味なく壁をぶち破って登場したりしたあと、いよいよ最後の対決。ついに大ボスのミイラとアメリカ男の勝負。

Y木:やっとか。ここまで長く感じたわ…

S原:そして、男とボス・ミイラが対峙します。横には女が見守っています。ボス・ミイラは女をみました。 → ミイラ「あ、この女、意外と胸が大きいぞおー」 → 男「ごぶさたなんだ!」 → 女「え?」 → 男「ちゃんと胸をみせるんだ!」 → 女はシャツのボタンをはずします。 → ジャーン! そうです、黒い下着です!

Y木:やっぱりー!(笑)

S原:そして、ボス・ミイラが胸をみて「ボイーン!」といって興奮するねん。ボス・ミイラの最後のセリフは「なんでこーなるのー?」

Y木:いや、こっちのセリフや!

S原:さあ、あなたはワゴンセールコーナーでこの映画を見つけた時、きっと迷うことでしょう!

Y木:いや、買わへんよ、こんな映画。

S原:さあどうする?声優ファンの間でも無視なのか?それとも一部のマニアには宝物なのか?さあ、あなたの人生の90分を、この映画に捧げることができるのか?禁断の果実に手を伸ばすのか?90分を奇妙な映画体験にささげたい人は、マストバイです!