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S原:今回はこちらです。
Y木:また、おまえはこんな映画をワゴンからみつけて…
(あらすじ)
奇想天外なコンセプトで描くミイラパニック映画。地下深くに幻の墓場が存在するエジプトで、魔術師シークは巨大なアミューズメントパークを作る計画を立てた。しかし墓を掘り起こした人間たちに次々とミイラが襲いかかる。ミイラの正体とは!? (アマゾンより引用)
S原:この映画はですねえ、Z級映画マニアの間では有名やねん。
Y木:へー「面白なさ過ぎて面白い」ってやつね。
S原:それもあるけど、この映画は吹き替え版がすごいことになってるねん。というわけで、今回は吹き替え版で観てみました。
Y木:おまえも好きやなあ、ええ年して…
S原:最初の舞台はエジプト。大地震のあとに砂漠に亀裂ができるねんけど、その地下にはなんと、墓場がありました。そこで、封印があるミステリアスな場所を開けてしまうねんな。ちなみに封印は、ビックリマンチョコのシールみたいやで。なんやかんやで銃撃戦になるんやけど、撃たれたやつが「撃たれた!」と言う(笑)
Y木:それって「スペースウォーズ」と一緒やがな。
S原:あれはたぶん本気の演出ですが、こっちは吹替版の声優がアドリブで完全に遊んでるっぽいな。
Y木:はーそういうことね。
S原:6か月後。アメリカのカメラマン男性(主人公)に撮影依頼があって、男性は女性と一緒にエジプトに行くねん。依頼主は大金持ちらしく、宮殿に招待されます。主人が「どうだ?すごい宮殿だろう?」と自慢しますが、建物の半分は書割。観ているこちらもどう反応していいかまいっちんぐです。あと同行したアメリカ女がわがままで、せっかく招待してくれたのに失礼な態度のオンパレードやねん。宮殿で初対面の人に向かって「ねーねーエジプトって水はあるのー」「アメリカではたっぷりの水があるのよー」とか。
Y木:どんな自慢やねん。
S原:あ。言い忘れてたけど、このアメリカ女は、横顔があの人に似てるねん。ちょっとあごのラインが似てると思うねん。
Y木:だれ?
S原:田原俊彦が浮気したところをフライデーされたときの素人女性。
Y木:素人かい。こんなところで引き合いに出すなって。
S原:宮殿を男女が歩いているシーンで、さまざまなセリフが聞こえるねん。たくさんの召使が、べつに出目金でない人にむかって「おまえもわかってんのか?出目金!」と罵倒したり、とくにセクシーでもない女性に向かって「おーそそられるー!」とか。声優たちもノリノリですな。そうこうしているうちに、宮殿では「どえらい目に合うでよー」「呪いはあるでよー」と話しかけられたり不吉な雰囲気が漂ってきて、…
Y木:全然、不吉な雰囲気が伝わってこないぞ。
S原:アメリカ女はエジプトがいまいち好きになれず、大きな部屋に案内されてもブツブツ文句を言うねん。そして、お風呂がすごくせまい。ところが「やったーお風呂だー、気持ちいいーっ」て窮屈そうにお風呂に入るねん。
Y木:全然話がみえへん…
S原:ここまで25分くらい。翌日、宮殿の主人がやっと写真撮影の依頼をします。自分が建設中のテーマパークを撮ってくれ、とのことです。
Y木:やっと本題か。
S原:そして、列車で砂漠の地下(テーマパーク)に潜っていく。要するに大地震で、地面に割れ目ができて、昔の遺跡(墓場)ができたってことね。それをそのままテーマパークに改造した、と。そのときにミイラもたくさん発掘されました、そのミイラもそのままテーマパークに再利用しようと計画というわけやな。
Y木:え?どうやって?
S原:頭にマイクロチップをいれて動かすねん。すごい科学技術やで。人体実験をしている場所では「ホネホネホネ~!」って骨格が踊っているくらいやから。
Y木:貸本時代のギャグマンガか。
S原:列車が地下にすすんでいきます。テーマパークは大規模やけど、どことなくチープ感が漂っているねん。特撮、セットともにやる気・センス・予算が足りないんやろな。そしてオーナーが自信満々にアメリカ人男女に言うねん。「いいか、こういうものを作るときはな、中途半端よりも最高を目指すべきなんだ!」(笑)このテーマパークは広いくて鉄道に乗ったまま、ミイラの展示などを楽しめるようになっているねん。それ以外にも、いろいろな場所を案内してくれるねんで、なんとテーマパークで売るピザとか、お土産を作っている作業の裏場まで、見せてくれるねんで。
Y木:なんで観光客に裏方の作業をみせるねん。普通に売店で売れよ。
S原:売店はないねん。
Y木:…それやったら、しゃーないか…
S原:列車は進んでいき、ついに神殿につきました。金の仮面をかぶった男がおります。
Y木:いよいよスペクタクルシーンやな。
S原:いいえ。今回はこれでおしまい。撮影前の下見やから。
Y木:ほんまにテーマパークを案内されただけか…そんなシーンが要る…?
S原:一方、大奥みたいに、オーナーに気に入られようと女性たちの諍いがおこったりするねん。エジプト風味のキャットファイトやな。そしてストーリーに関係なく、オーナーのまえでダンスをするシーンが続く。
Y木:迷走してるなあ。
S原:あ。言い忘れてたけど、アメリカ女がやたらと黒い下着になるねん。しかもいろんな種類の黒い下着でな。着替えるシーンも多いねん。狭い風呂に入るシーンも、ちゃんと2回目があるねんでー(笑)あるときアメリカ男は、女の黒い下着姿をみてドキッとするねんけど、女性は怒って「変な気持ちを起こさないで」とビンタ!
Y木:あだち充か。
S原:90分の映画で75分を過ぎたところで、男は言います。「なんだか…おかしいと思わないか…?」
Y木:え…いまさら?
S原:翌日、やっとテーマパークを本格的に撮影をするねんけどな、ミイラをフラッシュで撮影していると、「まぶしいってば!」とミイラが怒りだすねん。アメリカ女はミイラが襲ってこないか心配するねんけど、男は「ミイラは鎖でつながっているから安心だよ」といいます。そのあと、すぐにミイラは鎖をちぎって追いかけてきます。ここは、きっと笑うところなんやろうけど、残念ながら笑えませぬ。あとミイラが突然でてくるときに、ミイラは毎回「突然出てきた~!」と叫ぶねん。男がミイラを攻撃すると、ミイラが「痛いよ~!でも気持ちいいかもしれない~!もっとやって~!」
Y木:鴨川つばめか。
S原:なんとなく、アメリカの男女はのんびりとテーマパークを逃げるねんけど、ミイラをやっつけるたびに、ミイラは「犬死に、無駄死に、なのねーん!」といいながら死んでく。そして、ミイラが追いかけてきます。「まだ生きているぞおー」「追いかけるぞおー」というわかりやすいセリフ満載です。そして、ミイラがボタンをおすときは…
Y木:まさか…
S原:「ポチっとな」
Y木:うそー!
S原:列車が意味なく壁をぶち破って登場したりしたあと、いよいよ最後の対決。ついに大ボスのミイラとアメリカ男の勝負。
Y木:やっとか。ここまで長く感じたわ…
S原:そして、男とボス・ミイラが対峙します。横には女が見守っています。ボス・ミイラは女をみました。 → ミイラ「あ、この女、意外と胸が大きいぞおー」 → 男「ごぶさたなんだ!」 → 女「え?」 → 男「ちゃんと胸をみせるんだ!」 → 女はシャツのボタンをはずします。 → ジャーン! そうです、黒い下着です!
Y木:やっぱりー!(笑)
S原:そして、ボス・ミイラが胸をみて「ボイーン!」といって興奮するねん。ボス・ミイラの最後のセリフは「なんでこーなるのー?」
Y木:いや、こっちのセリフや!
S原:さあ、あなたはワゴンセールコーナーでこの映画を見つけた時、きっと迷うことでしょう!
Y木:いや、買わへんよ、こんな映画。
S原:さあどうする?声優ファンの間でも無視なのか?それとも一部のマニアには宝物なのか?さあ、あなたの人生の90分を、この映画に捧げることができるのか?禁断の果実に手を伸ばすのか?90分を奇妙な映画体験にささげたい人は、マストバイです!