あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「ビバリーヒルズコップ3」(1994年)の巻

ビバリーヒルズ・コップ3 スペシャル・エディション [DVD]

 

S原:ヘイメン!今回はこちらだYO!

Y木:おーエディ・マーフィー

 

 (あらすじ)

エディ・マーフィ主演で贈る、ビバリーヒルズを舞台にデトロイト出身の敏腕刑事が、彼流の型破りなやり方で事件を解決していく痛快アクション・ムービー第3弾。

 

S原:まあ、はじめにパッケージをみてYO!

Y木:え?

S原:なんか、エディの元気がないねん。心の底からの笑顔でないのが分かるやろ。

Y木:そういえば、そうやな。

S原:この映画はエディ・マーフィーのキャリアが、どん底だった頃の1本やねん。このころは辛かったわ。ああ、ぼくたちの大好きな元気いっぱいのブラザー、あのエディは、どこへ行ったんだYO~!あの『顔面全体で黒人スマイル!』って感じでの表情をもう一度見せてくれYO~!

Y木:YO、YO、しつこいねん。おまえ、そんなにエディ・マーフィーのファンとちゃうやろ。

S原:ばれたか。ところで、いまのヤングたちはエディを知ってるんやろか?

Y木:いやーどうなんやろ。レンタル店には「エディ・マーフィー」というコーナーがあったけど、もう今はないかもなー。

S原:エディは、一時期はスターで超大作にでてたんやけど、だんだんと人気が失速していく。ところが、また復活してスターに返り咲きした珍しいケースやな。

Y木:たしかに、一時期はすごかった。元はスタンダップコメディアンやろ。昔ビデオ見たときは、舞台ですごい勢いで下ネタ・人種差別ネタを喋ってて、なんじゃこれは?と驚いたなー。

S原:これ、監督がジョン・ランディスやねん。

Y木:えージョン・ランディスなんや!おれの大好きな「ブルースブラザーズ」の監督やん!

S原:あとは、あの有名なMV「スリラー」。あれはすごいブームやった。個人的には「サボテン・ブラザーズ」がベストやな。

Y木:あー、おまえが好きそうな映画(笑)

S原:さっき言ったけど、この映画はエディが一番しょぼい時期に出演したのよ。「48時間part2」とかもそう。後にインタビューで本人も『お金のために出演したゴミ映画だった。いまでは後悔してる。みなさん観ないで下さい』と語るくらい。

Y木:ゴミ映画…ってヒドイ言い方やな。

S原:同じように落ちぶれて復活したパターンで、シルベスタ・スタローンがおるねん。ジョン・ランディスは、やっぱりスタローンがどん底の頃に映画「オスカー」を監督している。ちょっと巡り合わせがかわいそうな監督かもな。いまとなっては、もう「ビバリーヒルズコップ3」も「オスカー」も、B級映画ファン以外はだれも話題にしないYO!

Y木:でもスタローンも復活したよなー、たしかに。

S原:うん。エディの場合、駄作続きで、このままほんまに映画界から消滅してもおかしくなかったけど、「ナッティ・プロフェッサー」「ドクタードリトル」のスマッシュヒットで甦った。さすが、おれたちのバディさ!

Y木:バディちゃうちゅーねん。でも干されてたわけやないやろ。その頃にも映画はでてたんやろ?

S原:でてたよ。なぜか、ぼくは低迷期の映画も結構みてる。「ホーリーマン」とか「ビッグムービー」とかは、地味やけど意外な拾い物って感じで悪くないねん。でも、「ホワイトハウス狂騒曲」とか「バンパイア・イン・ブルックリン」とかは、なんか出汁のない味噌汁みたいな映画やったなー。

Y木:洋画を語るのに、なぜ味噌汁で例えるねん。

S原:段々つまらなくなるのがシリーズの宿命やけど、この映画「ビバリーヒルズコップ3」はさすがになー…じつはpart2は結構よかったのよ。トニー・スコットが監督しているねん。もちろんpart1が面白いんやけど、part2も結構頑張ってた。

Y木:シリーズものでpart3は、確かに分が悪いやろ。

S原:それはあると思う。「エイリアン3」とか、みんな怒ってたからなー(笑)

Y木:まーでも、あれちゃう?見る順番も影響するんとちゃう?シリーズものは、はじめにどの映画を観るか、によって印象は変わると思うな。

S原:そうやな、はじめに「ビバリーヒルズコップ3」をみたら、この映画がシリーズ最高傑作と感じる…いやいや、それはないやろー(苦笑)だって、「13日の金曜日part3」とか最初に観ても、やっぱりしょうもないやろ?

Y木:おれにとっては13日の金曜日シリーズなんか、どれも一緒や。

S原:一緒ちゃうでー。宇宙に飛び出す「ジェイソンX」とかもあるねんでー。

Y木:なんやねん、そのしょーもなさそうな映画は。もうええから、この映画の話をしておくれ。

S原:このシリーズではストーリーとかよりも、エディ演じる主役「アクセル・フォーリー」のキャラクターの面白さをみせるのが目玉やろ?でも、その良さがまったく生きていないねん。あのマシンガントークもないし。どこにでもある薄味の刑事アクションやったYO!

Y木:ふーん。

S原:不思議やねんけど、ハリウッドってすごく脚本とか練るやろ?何回も製作会議したりして。ましてやヒットシリーズのドル箱キャラやで。それがなんで、こんなフニャフニャになるんやろ?どこかで見切り発車したんやろか。これは裏があると、ぼくはにらんでるんやけど。

Y木:やっぱりあれちゃう?時間とか予算をかけたくなかったんでしょ。予算をかければ、それだけ映画会社の利益が減るわけやし。ビッグネームの名前だけである程度は(観客動員を)見込めるってことちゃうの?

S原:そうかもな。この映画では、とにかくエディの元気がないねんなー。笑顔も50%減みたいな。マクドのポテトを注文したら、ドムドムバーガーのポテトがでてきた、みたいな。

Y木:あー、あのしなびたポテト。あれがでてきたら、たしかにガッカリする(笑)

S原:そして今回の舞台は、遊園地なんだぜ、ブラザー!

Y木:ほー。

S原:この遊園地がなんかひなびた感じで、ええねんなー。その名もワンダーワールド。ちょっと派手な「浅草はなやしき」みたいな感じでな。

Y木:舞台は、ビバリーヒルズとちゃうんかい。

S原:あとジョージ・ルーカスカメオ出演も、映画の魅力のひとつだYO!

Y木:そんなもん、誰がうれしいねん。

S原:その遊園地の裏で、悪い奴が偽札を作ってたというのがあらすじやけど、どうにもなあ…この撮影のために、遊園地を作ったわけじゃないと思うけど、遊園地の裏側のセットとかは作ってるから、それなりの製作費はかけてると思う。でもなんか、普通のプリンターで偽札を刷ってたり、簡単に秘密通路に出入り出来たりして、どうにもチグハグやねん(苦笑)

Y木:たしか予告編では、エディ・マーフィーが観覧車にぶらさがってなかった?

S原:うん。生身部分はスタントマン、エディの部分は合成でな(笑)しかも、あれは本筋と関係ないねん。ただ困った子供を助けるだけやねん。

Y木:本筋と関係ないのが、見どころかー。

S原:無人の遊園地で追跡劇・銃撃戦なんか、アイデア次第でいくらでも面白く作れそうやのに、もったいない。どうも映画全体にそこはかとなく漂う「脱力感」「慢性的な疲れ」があるねん…キャストもスタッフもしんどかったやろうな…それでも本番の時には、「さすがエディさん!」とか気分を盛り上げてたんやろうな。「いつ聞いても、ほんと、エディさんのトークはマジ最高っす!」「いよ、全米一!」とか「人種を超えた黒人!」とかおだてて、撮影してたんやで(笑)

Y木:具体的すぎてわからん。それに、おまえ微妙に変な表現してるで…

S原:ちょっとラッパー風に言うぜ。YO!この映画の欠点を言うぜ。まずマシンガントークがナッシング。そういう場面はあるのにノートーク。エディの体のキレがナッシング。雑な合成とスタントマン似てなーい。銃は撃てども人にあたらなーい。エディの笑顔も輝きがなーい。パート3だから新鮮味がなーい。エディよ、初心忘れるべからずだぜ、YO!

Y木:なんか、中学生レベルのラップやなあ。

S原:まあ、それにしても、なんか隣の家の倦怠期の夫婦の会話を聞いてるみたいな、そんな映画やったな。

Y木:もう観るのをやめろよ、そんな映画。

S原:やっぱりどこか面白いんとちゃうか?と期待しちゃうのよな。だって、あのエディやから(笑)あと、すごく気になったんは、アクションシーン以外でも合成があってな。なぜか『遊園地のお客さんのシーン』が、ところどころ合成やねん。

Y木:ん?どういうこと?

S原:例えば、エディが会話している場面の後ろとかが、なぜかお客さんが合成されてるねん。とくに合成が必要なシーンとも思えんけど、あれはなんなんやろか…?ほかの場面では、エキストラはちゃんと足りてるから合成にする意味はないし。しかも、ものすごく珍妙やねん…あの合成が映画の一番の見どころかもな…ぼくの目の錯覚やったんやろうか(苦笑)

Y木:今度会ったら、おまえは絶対にエディ・マーフィーにビンタされるわ。

S原:さあみなさん!エディのフィルモグラフィーのなかでも、最低ランクの1本ですYO!エディがでていると思うから、期待値があがるのですYO!いいですか?ここに出ているのはエディのそっくりさんだと思うと、腹が立ちませんYO!ウーピー・ゴールドバーグがアクションしていると思ってくださいYO!それならきっと楽しめるはずYO!ぼくたちの映画ブラザー、エディの映画をワゴンで見つけたら、チェキラ!アンドマストバイですYO!

Y木:あのな、さっきから気になってたんやけどな。

S原:なんだYO!

Y木:エディ・マーフィーって、べつにラップせえへんのんとちゃう?

S原:…え?