あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

皆はこう呼んだ。なんで、こんな映画作ったん…?「奥様は魔女」(2005)の巻

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S原:奥様は魔女のリメイクですよ。

Y木:へえ、こんな映画があったんや。

(あらすじ)

TVドラマ“奥さまは魔女”のサマンサ役に大抜擢された、新人女優のイザベル。しかし彼女は、普通の恋に憧れて人間界に舞い降りてきた,本物の魔女だったのですー。魔女であることを隠したまま、ダーリン役のジャックと恋に落ちるイザベル。好きになればなるほど不安は募り,秘密にしていることに耐えられなくなった彼女は、魔女であることをジャックに打ち明ける…。

 

S原:これは、どうにもイライラする映画やった。

Y木:へえ。演出が変なん?

S原:演出は普通です。演技もまあまあ。ストーリーも理解できます。

Y木:何があかんの?

S原:とにかくキャラクターが変やねん。全然感情移入できない。こんなラブコメも珍しいわ(苦笑)

Y木:そうなんか。だいたい昔のドラマと一緒な感じ?

S原:現代風に変えています。主人公はもちろんニコール・キッドマンです。彼女は魔女です。ある日、人間界にやってきます。

Y木:なんで?

S原:魔法とかを使わない普通の生活と普通の恋愛に憧れて、という理由っぽいですがよくわかりません。一言でいうとワガママです。

Y木:あーそう。

S原:人間界にきてみると不便です。そもそも住む家もお金もありません。でも大丈夫、魔法でニセのクレジットカードを作ったり、詐欺まがいで家を借りたり、テレビの配線をしたり、魔女の力で快適生活です。ワガママです。

Y木:なにそれ。ニセのクレジットカードってあかんやろ。

S原:そんなある日、落ちぶれた映画俳優のウィル・フェレルと出会います。ウィル・フェレルは、「奥様は魔女」という映画の企画を考えていて、ニコール・キッドマンを気に入って、相手役に抜擢します。この男の性格がとにかく悪い。べつに彼女のことを考えたわけじゃなくて、自分の勝手都合で話を進めます。要するに、自分さえ(俳優として)再起できればええわけ。

Y木:まあそういうヤツもおるやん。

S原:でも、これラブコメやで?なんで、こんなクズみたいな奴がヒロインの相手役なん?

Y木:おれに聞くなよ。今回は、「奥様は魔女」というドラマの魔女役を、本物の魔女が演じるんか。一応、そこがドタバタのコメディになるんやろ。

S原:いや、とくにはなりません。

Y木:あかんやん。

S原:ほんまやねんって。ほんまにそういう映画やねんって。で、ニコール・キッドマンは、なぜかこんなに嫌なヤツなのに恋心を抱きます。理由はわかりません。初めて出会った男性(人間)やからかな。

Y木:そんな、ヒヨコちゃうんやから。

S原:さっきも言った通り、ウィル・フェレルは根性が悪いので、映画の現場では自分ばっかり美味しいところをとってしまいます。ニコール・キッドマンも段々と男の性格に気付きます。別に女優になりたいわけじゃないから我慢すればええのに、ニコール・キッドマンはなぜか「自分だって美味しい思いをしたいのに!」というワガママを言いだします。

Y木:おいおい、またワガママかいな。

S原:彼女が、男性に対する愚痴を母親に言うと、今度はなぜか母親が逆ギレします。「娘を不幸せにするのは誰ぞ~!」「悪い男はどこじゃ~!」とナマハゲみたいに怒ります。母親そしてウィル・フェレルに「主人公を好きになる魔法」をかけます。

Y木:なんか変やけどまあええわ。それで?

S原:当然、魔法の効果で男性はニコール・キッドマンに夢中になります。ニコールはニコニコです。ところが、途中で「これは魔法で、わたしのことを好きに会ってるだけだわ!」「本当には愛していないのよ~!」と気付きます。

Y木:当たり前やがな。

S原:で、「こんなウソの恋なんて、いらねーちゅーの!」と、また逆ギレします。気分は、パイレーツです。

Y木:古すぎるやろ。というか、男の性格も悪いかもしれんけど、ニコール・キッドマンの性格も良くないよな。

S原:ニコール・キッドマンは、もう一度男とやり直すために魔法を使って時間を巻き戻します。そして、時間を巻き戻した時点で、いままでのイライラを男にぶつけて怒ります。

Y木:やってること、めちゃくちゃやん。

S原:そうしたら、あら不思議。なぜか男はだんだんとニコール・キッドマンのことを好きになります。

Y木:えー、よくわからんぞ……

S原:観客おいてけぼりのまま、いろいろあってハッピーエンドです。

Y木:いきなり、おしまいかい。端折りすぎやろ。

S原:まあ、要するにキモイ男とワガママ女のラブゲーム❤ってことやな。

Y木:面白くなさそう……肝心の魔法はどうなん?

S原:大した事ないよ。とくにストーリの関係ないし。ホウキがびゅーんって空にあがるだけ。10秒くらい。

Y木:なんやねん、それ。それじゃ、性格の悪い男女がでてくるだけの映画ってこと?

S原:そうです。

Y木:ハリウッド製やし、もうちょっと、なんかあるやろ?

S原:うんまあ、さすがにニコール・キッドマンはスタイル抜群で綺麗やで。でも、相手役のウィル・フェレルは全然ダメ。きもい。便器みたいな顔。絶対合コンでもモテない。休日にはダサいTシャツを着ているはず。隠れてアダルトビデオも観てるはず。

Y木:ボロカスやな。別にアダルトビデオを観てもええがな。ま、今回はダメやったみたいやな。

S原:「昔のドラマをそのままリメイクしてもなあ……」という発想で、ちょっと違った設定にしたんやろうけど、今回はハズレだったでござるよ。

Y木:まあ、少しは新しくチャレンジをしないと映画は面白くならないからな。

S原:だからといって、しょぼい男をメインの役に抜擢してしまうのはチャレンジしすぎやけどな。さあ、みなさん。誰が、誰にために作ったのか、よく分からない映画ですが、まあこういう映画もありですよ。というか、これトム・クルーズも観たんかな?

Y木:観たんちゃうの?元奥さんの映画やし。

S原:トム・クルーズも怒ったやろうな。なんで相手役が俺じゃないんだ!せめて、ベッドシーンだけでも出演させてくれ!って。

Y木:………

皆はこう呼んだ。なんで、こんな映画作ったん…?「ゴースト もういちど抱きしめたい」(2010)の巻

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S原:今回は、あの「ゴースト ニューヨークの幻」(1990)を日本でリメイクしました。

Y木:よくOKだしたなあ、こんなリメイク企画に…

(あらすじ)

会社経営者として多忙な日々を送る七海(松嶋菜々子)は、ある晩、陶芸家志望の韓国人青年ジュノ(ソン・スンホン)と出会う。やがて二人は運命的な恋に落ち、新しい生活をスタートさせるが、七海はある事件に巻き込まれて突然命を落とす。彼女の魂は天国へ行くことを拒み、地上でゴーストとなって愛するジュノのそばに寄り添うが……。

 

S原:これはリメイク作品としては、正統派の「失敗作」やと思う。

Y木:いきなりやな。

S原:だって、ほんまに面白くないねんもん……(夕焼けをみる目)

Y木:ま、あの「ゴースト」をいまさらリメイクするってのがなあ。

S原:正気の沙汰とは思えんやろ。でも、もしかしてすごく良い作品やったら、リメイク成功ってことになるからな。結果論かもしれん。

Y木:でも、これすごい製作費かかってるんやろ?

S原:たぶんな。松嶋菜々子の久しぶりの映画復帰作やし、相手は韓流スターのソン・スンホンやし。撮影もちゃんとしています。音声と口の動きもズレてないしな。

Y木:当たり前やろ。自主映画か。

S原:しかしこれはダメやったなー。当時、「ゴースト」ってメチャクチャヒットしたやろ?

Y木:そうやな。

S原:当時、ぼくの友達がチケットを2枚買ってこの映画を観ようと誘ったのよ。「恋人になりたいなー」って下心があったらしいけど、なぜか女性がムスッとしていて全然ロマンチックなムードにならんかったらしい。後で聞くと、その女性曰く「好きな人と観に行きたかったのに!」って(笑)

Y木:ビターなメモリーなんやから放っておいてやれよ。

S原:あ、いま思い出した!当時、ゴーストの真似っ子映画(パクリ映画)が、結構あったのよ。その中の1本で、ビル・コスビー主演で「ゴーストパパ」(1990)ってあったんやけど、この映画よりも面白かったで。ちなみに未DVD化です、たぶん。

Y木:いや、誰も知らん映画を引き合いに出されても。

S原:この映画に話を戻すと、そのままオリジナルの場面を再現しているところと、変えているところがあります。

Y木:それは普通やん。リメイクなんやから。

S原:でも、それがことごとく裏目にでているというね……(微笑)

Y木:あーそういうこと…(苦笑)

S原:だって映画がはじまってすぐに、いきなり知らない男の部屋で、松嶋菜々子が目が覚める場面やで?しかも裸で(笑)。もちろん裸は映らへんけどな。飲みすぎて記憶がなくて、知らない男性の家のベッドで寝ているという設定やねん。いやーまさか2010年の映画でこんなオープニングが観れるとは(笑)

Y木:昔のコントみたいやな。

S原:で、オリジナルと変えている点は、男女の立場が逆転しています。死ぬのは松嶋菜々子のほうね。

Y木:ほう。

S原:そういう変更はええねんけど、どうも不自然やねんなー。例えば、松嶋菜々子は自分が死んでも、あんまり驚いてないねん。

Y木:え?

S原:なんか冷静でな。「死んだもんは、しゃーないがな」みたいな(実際は言わない)。

Y木:でも、恋人を助けるんやろ?

S原:助けます。でも、あんまり助けれてなかったかな(苦笑)松嶋菜々子が死んだあとに、恋人が警察に連れていかれてたし。

Y木:あかんやん。たしかオリジナルでは、会社の同僚が不正をしていて、その口封じで殺されたんじゃなかったっけ?

S原:リメイク版も一緒です。でも、松嶋菜々子じゃなくてソン・スンホン側の問題やねん。要するに、松嶋菜々子は、単純な巻き添えってこと。

Y木:迷惑な話やなー。

S原:で、幽霊になった松嶋菜々子が恋人のために奮闘する、と。このへんは同じやな。でもなんかリズムが悪いと言うか。もうストーリーは分かってるやん?話はサクサクすすめてもらわんと、退屈します。

Y木:上手く変更していることはないの?

S原:上手くはないけど、途中で少女のゴースト(芦田愛菜)がでてきて、松嶋菜々子テレキネシスの使い方を教える。マッチと明菜で話題になった「愛・旅立ち」(1985)でも、ゴースト少女がでてきたやん?

Y木:知るか、そんな映画。

S原:分かりにくかった?「幻魔大戦」でいうと、ベガとレイア姫の立ち位置やな。

Y木:なんで幻魔大戦で例えるねん。

S原:……ううう(泣く)

Y木:は?

S原:……なんで平井和正の晩年は、ああなってしまったんだああ!好きだったのにぃい!

Y木:うるさいわ!「ゴースト」といえば、あれやろ。ろくろを回す場面はあるんか?

S原:あります。完コピです。

Y木:ウーピー・ゴールドバーグの役は?

S原:でます。樹木希林です。

Y木:「アンチェインド・メロディ」は?

S原:流れます。平井堅が歌っています。

Y木:はー……(ため息)なんかもう、松嶋菜々子主演で、相手は韓流、芦田愛菜樹木希林が脇役。おまけに平井堅が主題歌……すごくテレビっぽいな。

S原:フジテレビとか電通とかが考えそうな企画やろ?(笑)と思って「ゴースト」製作委員会って検索したら、実際は、日本テレビパラマウント、松竹がメインやった。

Y木:ま、同じようなもんやけどな。で、ラストは?

S原:これも同じ。少し松嶋菜々子が見えて、消えていっておしまい。

Y木:まーそのラストは変えられへんわな。

S原:さあみなさま。なんとも薄味な映画ですが、普通に観れますよ。ただ面白くないだけです。これからリメイクを作る人は、ぜひこの映画を観てどう作るか考えて下さいませ。というわけで、この映画は、レンタルでもおススメできませ~ん!

皆はこう呼んだ。なんで、こんな映画作ったん…?「オペレッタ 狸御殿」(2005)の巻

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S原:今回は鈴木清順

Y木:え、これ、鈴木清順なんか!

(あらすじ)

狸と人は恋に落ちてはならないといわれている中、唐の国から狸御殿に招かれた狸姫(チャン・ツィイー)とがらさ城城主の世継ぎ・雨千代(オダギリジョー)はひと目で恋に落ちてしまうが……。

 

S原:世の中には2種類の人間がいる。鈴木清順の映画が好きと言う人と、わけがわからんという人。

Y木:たいていは後者やろ。この映画はミュージカルか。

S原:そうそう。なんというか、いつもの破壊力で映画の流れとか完全無視した作りやな。独特の美術やセットをバックに、俳優がシュール気味な演技をするという、あの感じです。

Y木:あー観るのがしんどそう……

S原:うん。ただ、今回は途中で歌の場面があるから、まだマシかな……。普通のラブソングのときはまだええねんけど、変な曲のときは頭がクラクラする。

Y木:前衛としてはどうなん?シュールやアヴァンギャルドを楽しむというか。

S原:結局、それが楽しめるかどうかなんやろうな。ぼくはしんどかった。もう年なんかな。

Y木:いや年齢の問題ちゃうやろ。だって、これを作った時の鈴木清順なんか老人やろ?

S原:80歳のときに撮ったらしい。

Y木:80歳!それはすごいな。

S原:すごいというか、ヤケクソというか(苦笑)ところどころは面白いと思うねんけどな。舞台美術に興味がある人とか、斬新な演出を求めている人とか、そういう人は大好物ちゃうやろか。ただなー。いくら、辛子明太子が好きでも、それだけ食べ続けるってしんどいやん?白米も欲しいし、他のおかずも食べたいやん?この映画というか鈴木清順の映画って、すべて辛子明太子を使った料理をだすから食べるのに飽きてしまう。

Y木:なるほど。明太子マニア(だけ)は喜ぶやろうけど、ってことか。

S原:そうそう。明太子自体は、独特の珍味やから「定食」にすればええのになあ。そうすれば、明太子も美味しい!って言われるはずやのに。あと、111分もあるねん。せめて90分にしてほしかった。削っても大丈夫な場面が多いから、もっと短縮できたはずやのに(笑)

Y木:だいたい話はわかった。ストーリーはどうなん?

S原:ストーリーか。いやーなんとも説明しにくいわ。オダギリジョーチャン・ツィイー恋物語がメインなんやけど、枝葉だらけで起承転結でないから、わけがわからん。

Y木:これ、評判はどうなん?

S原:ネットのレビューでは結構良いねん。

Y木:へえ。

S原:というか、わざわざこの映画のレビューを書こうとする人は、やっぱりマニアックな人ちゃうかな。「ターミネーター2」を観て、「すごい迫力でした」「シュワちゃん、最高!」と書く人と、あきらかに階層が違うやろ(笑)

Y木:まあそうやろうな。

S原:オダギリジョーチャン・ツィイーを褒めている人が多いけど、それは僕も同感です。でもまあ、普通の人は観なくてもええんちゃうかな…?

Y木:やっぱり。

S原:恐ろしいのは、この映画を結構な製作費をかけて作ってしまう日本映画の体質やな。本気で、この映画を劇場で観る人がおると思う?中高生がデートでこれを観るかい?会社帰りのOLが、これを選ぶかい?一家団欒の休日の夜にこれをレンタルするかい?

Y木:さあな。知らんけど、そうなんちゃうの?

S原:クレジットをみたら製作のなかには、あの電通も入ってた。途中で美空ひばりがCGで登場するねんけど、すっごく雑で浮いてます。こういう素晴らしいセンスが、さすが電通様でございます!

Y木:また、電通の悪口を言う。

S原:さあ、みなさん。シュールな映画と覚悟して観る分にはOKですが、ミュージカルで楽しそうという人は期待外れになると思います。超個性的な映画ですが、映画ファンにもおススメしにくいです。中古店でみつけても、スルーを推奨しまーす!

皆はこう呼んだ。なんで、こんな映画作ったん…?「秘密のアッコちゃん」(2012)の巻

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S原:今回は赤塚不二夫原作!

Y木:秘密のアッコちゃん!えー、えらい垢抜けた感じになったなあ。

(あらすじ)

鏡の精(香川照之)から魔法のコンパクトをもらい、10歳の小学生から22歳の大学生に変身をとげた加賀美あつ子(綾瀬はるか)。 大好きなメイクやおしゃれを楽しみ浮かれる中、遊園地で出会った化粧品会社に勤める早瀬尚人(岡田将生)にひとめぼれする。その翌日、再会を機に、アイデアを次々と披露するあつ子を気に入った尚人は、自分の会社に彼女をアルバイトとして招き入れることを決める。個性的なメンバーの中で、失敗しつつも楽しみながら毎日を過ごしていたあつ子だったが……。

 

S原:結論から言うと、これはまあまあやねん。わりとちゃんと出来ています。

Y木:ほんまいかいな。

S原:普通に観れます。でもなあ……

Y木:なに?

S原:観た後に、猛烈に空しくなるねん。

Y木:なんで?

S原:ああ、これじゃ、日本の映画は韓国に負けるわって……

Y木:それは、こういう映画を引き合いに出すからやろ。ちゃんとした日本の映画もあるがな。

S原:ちょっと聞きたいんやけどな。そもそも、この映画は誰向けに作ったんやと思う?

Y木:ターゲット層のことか?さあ知らんけど。やっぱり小学生(女子)向けちゃうの?

S原:普通はそう思うやろ?でも、なんか作りがちょっと大人向けやねん。

Y木:ちょいエロってこと?

S原:エロではないかな。一応、いろんな「変身」をするねんけど、フィギュアスケートの衣装やったり、ミニスカートやったり、黒いパンストの足(それも、わざわざ伝線したパンスト…)をローアングルで写したりとか、ちょっとセクシーなところはあります。もちろん健康的なセクシーさなんやけど、よく考えてみてよ。そんなん、小学生女児が喜ぶと思う?娘を持つ立場として言いたいんやけど、こういうのを見せないとあかんのやろか?

Y木:え、おまえ、これを娘と一緒に観たの?

S原:いや観てない。

Y木:なんやねん。

S原:一緒に観ようと誘ったら、「面白くなさそうやから、ええわ」と言われた。

Y木:正直な娘やな。

S原:めっちゃ可愛いんやけどな。

Y木:親バカか。

S原:まあ、なんにせよ「ちょいセクシー」(黒パンストの伝線含む)は要らんかったってことです。

Y木:それで客を呼ぼうとしたんちゃうの?

S原:では反対にお聞きします。「綾瀬はるかの生足がたまんねえええ!」っていう気持ちで、劇場に行くやつが何人いるのですか?それは誰ですか?

Y木:おれに聞くなよ。知らんがな。

S原:恐ろしいのは、この映画で劇場にほんまに客が来ると思っているセンスやな。これは2012年の映画やけど、こういう安易な企画といい、綾瀬はるかのコスプレといい、何十年前から変わってないやろ。

Y木:テレビ的な発想なんやろ。

S原:そう思ってクレジットをみたら日本テレビが製作してたわ。あとは、電通様。電通様なら、こういうセンスも納得できるよな(笑)

Y木:また電通かい(笑)でも、おれに言わせれば、これこそが「日本映画」やけどな。要するにテレビの企画と一緒なんやろ。『綾瀬はるかありきの企画』でしょうよ。

S原:たぶんそうやろうな。たしかに、綾瀬はるかはそれなりに魅力的やし、岡田将生も良い演技をしている。でも、どうしようもなく感じるこの空虚な気持ち……

Y木:おまえの気持ちはええから、あらすじを話して。

S原:これは会社の内紛と言うかゴタゴタを、綾瀬はるかが別人に変身して解決していく、という話やねん。映画の始まりは、お約束通り、主人公(子役)がコンパクトの鏡で変身できるようになる場面です。で、大人になって(もちろんこれが綾瀬はるか)、化粧品に興味を持って化粧をしてもらう。そこへ岡田将生が通りかかって、感想を聞く。小学生やから大人の感想とは違って斬新な感想を言います。岡田は、赤塚化粧品の企画開発部のエリートやねんけどな。そのまま気に入られて、冬休みだけ働くことになります。

Y木:ほう。

S原:でも、会社の上層部がゴタゴタしていて、会社は他の悪徳企業(?)に乗っ取られようとしている。岡田将生のために、綾瀬はるかが奮闘して(変身して)数々のトラブルや障害を解決していく、という話です。

Y木:べつに普通やん。

S原:さっきも言ったけど、こんな話で小学生が喜ぶか?いや「理解」できると思う?株主総会で評決してドキドキ……とか、そんな小学生にとってはどうでもええやん。

Y木:そうやけど。じゃあ、どうすればええの?

S原:そんな会社組織やサラリーマンの話じゃなくてよかったと思う。

Y木:えー小学生の女の子が、大人の世界に興味を持つから面白いんやろ。

S原:だったら、もっと「大人の世界」に戸惑う(ついていけない)場面が要るって。元が小学生なんやったら、居酒屋も言ったことないしお酒も初めてやん。そういう場面を作らなあかんって。もしも綾瀬はるかみたいな美人がいたら、男性は食事に誘うやろ?男性には下心があるやん。でも綾瀬はるかは小学生やから、そういうのが分からない、とかいくらでも面白く作れるやん。

Y木:それもどうやろ。あんまり面白くないけど(苦笑)

S原:いや、まあ例えばね、例えばの話ね。どっちにせよ、小学生が観るのは興味が持てない題材やし、大人が観るのには子供っぽい。綾瀬はるかのコスプレだけで本気でヒットさせるつもりやったんかな。中学生や高校生がデートで観るわけでもないやろうし。

Y木:中途半端と言いたいんやな。

S原:その通り。それにストーリーは起承転結なんやけど、どうにもスカッとしない。というのは、せっかく綾瀬はるかの「変身」が上手く生かされていないのよ。変身 →→ 話がまとまる(トラブルが片付く)という展開が多い。ここは反対に、変身 →→ 逆にメチャクチャになってしまう(岡田将生がピンチになる)という展開も欲しかったな。

Y木:なるほどな。でも、ストーリーがどうこうじゃなくて、おまえの話を聞くと、そもそもこういう企画では映画館に誰も来ないって言いたいんやろ。

S原:うん。だって、ええ年した大人がこれを劇場に観に行くと思う?白髪交じりのおじさんが「秘密のアッコちゃん、大人一枚」ってチケットを買えると思うかい?

Y木:買えるよ。チケット下さい、と言えば。

S原:でも、受付の女性に「え、マジで観るんですか?きもー……」と言われるねんで。

Y木:何も言われへんわ。どんな受付やねん。

S原:はあー(ため息)これ、綾瀬はるかファンとか岡田将生ファンは観に行ったんかなあ。

Y木:映画の出来としては普通なんやろ。それでええやん。

S原:そうなんやけど、これってかなりの製作費をかけてるねんで。たくさんのマンパワーや大金を使って出来たのが「秘密のアッコちゃん」。劇場にはほとんどの人は行かず、いまでは誰に記憶にも残っていないという不憫な映画……いまや、レンタル店の片隅でホコリをかぶっているだけ……あとは地球が破滅するまで、そこで鎮座するのみ……喜ぶのは電通のみ……

Y木:今回は悪意があるなー。

S原:さあ、みなさん。これは普通です。最後まで観れます。でも、鑑賞後にどうしようもなく徒労感が残ります。テレビの2時間スペシャルとどう違うのか?と言われれば、同じです、としか言いようがないこの気持ち……そんな気持ちになるのは、ぼくだけで十分です。みなさんには、こんな気持ちになってほしくない。少なくともこの記事を読んでいる人には幸せになってほしい……というわけで、よほど興味がある人のみ観てくださいませ~。

皆はこう呼んだ。なんで、こんな映画作ったん…?「未来予想図 アイシテルのサイン」(2007)の巻

 

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S原:さあ、思わず「おいおい、なんでこんな映画を作っちゃったんだよ」とつぶやいてしまう映画を紹介しまーす。

Y木:そっとしておいてやれよ…

(あらすじ)

さやかと慶太が出会ったのは二十歳の時。卒業旅行でスペインを訪れたふたりは、サグラダ・ファミリアで約束をする。10年後、手をつないで、またここに来よう。それがふたりの未来予想図だった。だが就職後、その未来予想図に大きな転機が…。恋人、仕事、夫婦、親子、それぞれの“愛”を伝えるハートウォーミング・ストーリー。ヘルメットを5回ぶつける、テールランプを5回点滅させる―あなたの「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」は、大切な人に届いていますか。

 

S原:大切な人に届いていますか・・・って、届かへんわ!

Y木:いきなりツッコミからスタートかい。

S原:いやーこれはなあ。レンタルでみつけたときに「こんな映画、誰が観るんやろ?」と不思議で仕方なかったのよ。ヤング向きでもないし…

Y木:ドリカムを聴いてた世代向けやろ?

S原:そうなんかなー。いわゆる「B級/Z級映画」は、残念ながら出来は悪いからそう呼ばれるわけやろ。でも、作り手側にやりたいことがあるやん。例えば、「ゾンビにパンチしたら頭がふっとぶ映画を作りたい」とか「迷彩服のヒロインが、生足を出してマシンガンを撃つ場面が撮りたい」とか。

Y木:なんか知能指数の低い設定やな。

S原:例えばですよ、例えば!

Y木:で、この映画はどうやったの?

S原:本気で思うねんけどな。この「未来予想図 アイシテルのサイン」を観るために映画館にお金を払って行く人が何人おると思う?

Y木:それは好き好きやがな。ドリカムかー懐かしいな、って映画を観る人もおるやろ。

S原:いーや、そんな人はいません。

Y木:断言するな。怒られるぞ。

S原:でも、この映画には参ったで、ほんまに。さっきみたいなゾンビ映画とかを優位にみているわけじゃないねん。でも『なんで今さら?』というハテナマークが頭の中を埋め尽くすという。

Y木:わかったわかった。そのへんにして、映画の内容を話してくれ。

S原:内容か……(遠い目)省略してもええかな?

Y木:少しは話せよ。どんなストーリーか分からんがな。

S原:主人公はさやか(松下奈緒)です。大学時代から話はスタートします。大学の友達に頼まれて自主映画で「花嫁役」をします。「花婿役」もピンチヒッターです。名前は慶太(竹財輝之介)という男で、突然の「結婚式」に2人はドギマギ…‥

Y木:昔の少女漫画みたいな出だしやな。

S原:で、2人は友人になります。慶太は建築家を目指していて、スペインの建築家の巨匠、ガウディに憧れています。そんな夢を語るきらきらした瞳の慶太に、さやかは胸キュン♡

Y木:おいおい、ほんまに2007年の映画か。

S原:で、2人はデートをします。アベックになります。男と女のラブゲームです。

Y木:おまえの表現も古いなあ。

S原:そして、観客が待ち望んでいた場面がやっていきます。バイクでかえるときに、ブレーキサインを5回点滅……♪「ア・イ・シ・テ・ル」のサイン……♪

Y木:うわーほんまにそういう場面があるんや。

S原:あります。人形ホラーで人形が人間を襲う場面がマストなのと同じです。

Y木:なんか違うような気がするけど、まあええわ。

S原:あーもしも滝川クリステルやったら、ブレーキサインを5回点滅……♪「お・も・て・な・し」のサイン……♪

Y木:しょーもないこと言うなっ。

S原:あーまた思い出した。学生時代にこの歌が好きなヤツがバイト先におったのよ。で、付き合ってた彼女に、帰り際にブレーキサインを6回点滅してたらしい。

Y木:6回?なんで?

S原:「お・ま・え・だ・け・さ」

Y木:……ごめん、鳥肌がたったわ。

S原:観客の鳥肌は放置して映画はすすみます。で、2人は卒業旅行に、スペインのサクラダファミリア教会を訪れます。旅番組そっくりの場面が続きます。「10年後も二人でこの教会を見にいくっちゃ」と二人は約束します。

Y木:なんで博多弁やねん。それで?

S原:それから5年がたちました。2人はそれぞれ就職しています。慶太は設計事務所に勤めています。さやかは印刷会社の事務に勤めています。慶太の方が忙しく、二人は次第にすれ違います。

Y木:あー大学時代から社会人になったカップルあるあるやな。

S原:慶太は自分のやりたい好きな仕事に就けましたが、さやかには出版社に勤める夢を諦めていたため、仕事のモチベーションも違っていました。そんなさやかに夢を諦めないように慶太は言います。あなたの夢を~あきらめないで~♪

Y木:それは岡村孝子やろ。主題歌が変わってるがな。

S原:で、さやかは一念発起し、出版社に再就職することが出来ます。今度は好きな仕事のため、さやかはやりがいを感じます。どんな仕事でも大切なのに、すごく自己中心的な考え方です。

Y木:ほっておいてやれ。自分の好きなことをしてるんやから、ええやろ。

S原:そのころ、慶太には建築の才能を見込まれ、スペインの設計事務所へ転勤する話が出ます。スペインで建築の仕事をすることは慶太の夢でした。しかし、いつ帰ってくるか分からず、行ってしまえばさやかと離れ離れになります。慶太はせっかくの話を断り、さやかにプロポーズしようとします。

Y木:あー仕事よりも「愛」をとったんか。

S原:ところが、さやかは「あなたは結婚の対象ではないっちゃ」と慶太のプロポーズを断ります。「あなたとのチョメチョメは最高だったけど、それだけっちゃ」と言います。

Y木:後半はウソやろ。怒られるぞ。要するに『彼氏の夢を応援するために、自分から身を引く』というわけやな?

S原:はい。ビルの陰に隠れてババ泣きする場面は、80年代にタイムスリップした既視感があります。演出もまあアレなんやけど、しかしなあ……いまどきそんな考え方あるかな。別に既婚者でも働けるやん?一緒にスペインに行ってもええし、単身赴任でもええやん。

Y木:まあな。

S原:なんというか平成を通り越して昭和っぽいのよなあ。

Y木:もちろん、それから再会するんやろ?

S原:もちろんです。結局、慶太はスペインへ行ってしまいます。数年後(?)、スペインで慶太は建築家として活躍しています。さやかも出版社でバリバリと働いています。ある日、さやかは、『恋が叶う花火』を作れる花火師を取材したいと思います。

Y木:おいおい、『恋が叶う花火』って。まだ彼氏のことを引きずっているんかい。新しい彼氏はおらんの?

S原:いません。一途なのです。

Y木:だっから、はじめからスペインに一緒に行けよ!

S原:面倒なので、このあとは省略しますが、2人は再会して、また「未来予想図Ⅱ」が流れます。「ア・イ・シ・テ・ル」のサイン……♪

Y木:わかったわかった。

S原:あーそういえば、ラストにもドリカムの新曲がかかるねん。ファンは嬉しいんちゃうかな。映画のための書下ろしやからな。

Y木:へえ。どんな曲?

S原:「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」っていう曲。

Y木:……ごめん、また鳥肌がたったわ。

S原:まあ、そういう映画やったのさ……(遠い空をみる)。ほかにも花火のシーンとか再会するラストシーンとか、ものすごく不自然やねんけどな。あーいま思い出した!エンドクレジットが終わった後に、2人の結婚式のシーンがあるねん。

Y木:別にええやん。

S原:でも、とくに結婚式を映してただけやった。おいおい、友達の二次会映像かよ!

Y木:まあ撮りたかったんやろ、そういう場面が。

S原:まあ、こういう場面の連続でな。この映画を観ているうちに、いろんな五感が麻痺してきて、どうでもよくなってくるから、まあええねんけどな(苦笑)

Y木:麻痺かあ。

S原:たとえば、いくらスケベでも「まぼろしパンティ」では、意外と興奮せえへんやん?そういうことよ。

Y木:わからん例えはやめろ。なんで永井豪やねん。

S原:まあ、再会してからは本当に不自然な場面の連続で、これはこれで別世界と考えればええんやろうな。だって、宇宙戦艦ヤマトを観て「なんで矢印の書いたユニフォームを着てるねん!」って突っ込まへんやろ。そういう世界なんやって。

Y木:よくわからんわ。今回はおススメ出来ないってことやな。

S原:さあみなさん。テレビでやっている毒にも薬にもならないドラマってあるでしょう?要するにあれですよ、あれ。別に普通に観れます。ちゃんとストーリーもわかります。カメラのピンボケもありません(当たり前だ)。でも後には何も残りません。こういう映画の「突っ込みポイント」を楽しめる人だけゲットしてください!いやーなんでこんな映画を作ったのでしょうなあ……

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(2015)の巻

Everyone Calls This, Steel Zeeg, Blu-ray, Japanese Edition

S原:今回は、意外と観ていない人が多いこの映画!

Y木:鋼鉄ジーグか。

(あらすじ)

舞台は、テロの脅威に晒される現代のローマ郊外。裏街道を歩く孤独なチンピラ エンツォはふとしたきっかけで超人的なパワーを得てしまう。始めは私利私欲のためにその力を使っていたエンツォだったが、世話になっていた“オヤジ"を闇取引の最中に殺され、遺された娘アレッシアの面倒を見る羽目になったことから、彼女を守るために正義に目覚めていくことになる。アレッシアはアニメ「鋼鉄ジーグ」のDVDを片時も離さない熱狂的なファン。怪力を得たエンツォを、アニメの主人公 司馬宙(シバヒロシ)と同一視して慕う。そんな二人の前に、悪の組織のリーダー ジンガロが立ち塞がる…

S原:さあ、みなさんご一緒に!チェンジ・サイボーーーーグ!!

Y木:かましいわ。

S原:いやー21世紀になって鋼鉄ジーグの映画が観れるとは感慨深いで。で、結論から言うと、これは面白いよ。

Y木:えーほんまかいな。

S原:期待せずに観たかもしれんけど、すっごい楽しめた。これアメリカでなくイタリア映画やねん。なので、男優陣がみんな濃い人ばっかり(笑)あと、タイトルが超かっこいいよなー。あなた、鋼鉄ジーグって覚えてる?

Y木:おぼえてない。

S原:はあー(ため息)ガンダムも観ない、イデオンには興味がない、ザンボット3のラストも知らない、おまけに鋼鉄ジーグも覚えてないって……なんて空しい人生なんや。

Y木:ほっとけ。べつにアニメ好きでなくもええやろ。というか、鋼鉄ジーグなんかマイナーやがな。

S原:まあヤングたちは知らんやろうな。関節が磁石の超合金が欲しかったなあ……(遠い目)鋼鉄ジーグのデザイン自体は、なんかゲッターロボの悪役メカみたいで、とても正義の味方にみえないところがバッチグーやな。しかも、主人公は社会人なのに、勝手にお父さんにサイボーグに改造されるという(笑)

Y木:なんやねん、その変な設定は。

S原:まあ、当時のアニメとしては異色というかユニークやと思う。

Y木:で、イタリアでリメイクしたと?

S原:ちゃうねん。リメイクじゃないねん。それに、なんというか全編に湿気が充満していてカラッとしていません。別に「変身」せえへんしな。

Y木:え?変身せえへんの?

S原:しません。主人公はチンピラで小汚いオッサンなんやけどな。警察に追われているときに、偶然すごいパワー(おもに怪力)を手に入れます。チンピラ仲間が殺されて、一人娘が残されるねんけど、その娘が鋼鉄ジーグの大ファンやねん。で、「あなたは鋼鉄ジーグになったのよ!」って喜ぶ。この娘が、純真無垢というかちょっとオツムがたりない感じでな。主人公ははじめは放置してたけど、だんだんと情が移って娘のために、マフィア(というかチンピラ)たちと戦うことになる…話はこれだけやねん。

Y木:へえ、そんな話なんや。ウィル・スミスがそんな映画でてなかった?何でもできるスーパーマンみたいな男の話。

S原:「ハンコック」(2008)やな。ぼくは、あれよりも断然こっちのほうが好きです。まあウィル・スミスは、アカデミー賞授賞式で鋼鉄ジーグに変身して、司会者にパンチしてたけどな。

Y木:こらこら。

S原:最近のアメコミ映画もいろいろあるけど、スケールも大きいしアクションもVFXもやたら派手やろ?テーマとか主人公の心意気も「全世界の期待を背負って!」とか「人類の未来のために!」とかジャンプみたいな感じやん。

Y木:まあな。でもそういうもんやろ。

S原:同じヒーローものでも、この映画では一味違います。ほとんどは汚らしい部屋とか汚れた街角が舞台でな。ドラッグの取り引きで金儲けを企んでいる私利私欲にまみれたチンピラばっかりがでてくるのよ。主人公もそういう類やったけど、怪力パワーを得てすこしずつ人間っぽくなっていく。そして愛する人を守るために立ち上がる。ベタと言えばベタなんやけどな。話のスケールが小さいのが、逆に面白く感じたわ。

Y木:観てないからわからんけど、そうなんか。あんまりスカッとしない感じか?

S原:人によるやろうな。単純に「ヒーロー映画」を観たい人にはおススメできません。チョメチョメの場面もあるし。あーそうそう。映画の中盤に印象的な場面があるねん。主人公とオツムのたりない娘が、2人で遊園地にいくねん。そこは定休日なのか無人でな。娘は誰もいない観覧車に乗るねん。それをみた主人公が、怪力パワーで観覧車をゆっくりとまわす。娘は高い場所まで運ばれて、嬉しそうに風景をながめる……この場面はすごいいいのよなあ。

Y木:へえ。

S原:アメリカンな部分もあるけど、やっぱりどこか変化球やねん。レビューをみたら、前半がダルいと書いてる人が多かったけど、そうかなあ。わりと前半からイケたけどな。

Y木:それは好みもあるでしょ。

S原:たしかにな。小汚い小太りのおっさんのヒーロー映画やからな。それに、ぼくは感動した観覧車の場面も貶している人もおるから。

Y木:ラストは?

S原:ちゃんとバトルがあります。でもさっきも言ったけど、派手さで言うとハリウッドとは比べもんにならない。ラストのショットは賛否あるやろうけど、ぼくは感心したわ。続編を意識しているかもしれんけど。よく出来ていると思うで。この映画は、ぜひ観てほしいので詳しくは言いません。

Y木:今回はおススメってことやな。

S原:イエース。さあみなさん。おそらく製作費も少なかったと思いますが、作り手の熱いハートは感じます。誰でも偶然に怪力パワーを持つかもしれませんからね。そういう日のために、ぜひこの映画を観てください。さあ、みなさんご一緒に!鋼鉄ゥゥゥゥ!ジィィィィィィィグ!!

(閑話休題)ナイツ風に語る 「懐かしのアクション映画・ホラー映画」の巻

S原:はいどうも~。

Y木:ワゴンナイツです。よろしくお願いいたします。

S原:はい、わたしの名前はS原です。そして、こちらはY木です。

Y木:Y木です。

S原:Y木さんは、このブログに登場するのは、えーと今回で4回目になります。

Y木:毎回、相手してるだろ!もう何百回もでてるわ!

むかシネ】地獄の黙示録|keita|note

ジェイソン? 始末数 映画「新・13日の金曜日」(5作目) - 男の映画館(漢)

ターミネーター』シリーズ全6作の最高傑作は? ジェームズ・キャメロン真のデビュー作にしていまだ愛され続ける金字塔 | 映画 | BANGER!!!

S原:で、このまえ映画にハマってるという話をね、したと思うんですけど。

Y木:言ってましたね。最近、映画が好きだって。

S原:いまの流行りの映画も好きなんですけどね。1970年代とか1980年代の映画をね、よく観るんですよ。

Y木:へえ、懐かしい。

S原:なんというか、あの頃の映画っていまの映画にない「味」があるんですよ。

Y木:あー「味」ね。それはそうかもしんない。どういう映画が好きなの?

S原:アクションとかホラーとか好きなんですよね。

Y木:まあ男性は、そういうジャンルが好きな人が多いですから。

S原:あのー、「地獄の黙示録」(1979)って知ってる?

Y木:知ってますよ、有名な映画じゃないですか。

S原:フランシス・フォード・ピッカラ監督の映画なんですけどね。

Y木:コッポラだよ。なんで、ブルボンのお菓子になってるんだよ。

S原:その、ポポロン監督がですね。

Y木:コッポラだよ。ポポロン明治製菓のお菓子じゃねえか。もう販売終了してるから、このネタはヤングはわからないよ。

S原:これ、あのカンヌ映画祭で受賞したんですよ!

Y木:そうそう。

S原:なんと、モンドセレクション受賞ですよ!

Y木:お菓子から離れろ!というか、ピッカラもポポロンモンドセレクションは受賞してねえんだよ。

S原:で、この映画は知ってます?途中でヘリコプターがでてくるシーンがあるんですけどね。すごいんですよ。ヘリコプターが。もうバババババッてね。

Y木:あのシーンねえ。あそこは、印象に残りますよね。

S原:勇ましい音楽をかけてね。

Y木:そうそう。

S原:あれ、じつはCGなんですよ。知ってました?

Y木:え、違う違う。あれは本物でしょ。

S原:いや、みんな勘違いしてますけど、実はCGなんです。

Y木:本当に?そうなの?知らなかった。てっきり実物で撮影してるのかと思った。

S原:でね、ヘリコプターが、ある男性を追いかけるんですよ。

Y木:男性……うん。

S原:でね、その追いかけれている男はですね、クールで、ものすごい運動神経なんですよ。

Y木:クール?

S原:で、その男はアーマライトM16というライフルを持っていて、なんとたった一人でヘリコプターと戦うんですよ、すごくないですか?

Y木:いやいや、ちょっと。

S原:え?

Y木:違うんですよ。

S原:何が?

Y木:それは、「劇場版 ゴルゴ13」(1983)のことでしょ。アニメのゴルゴ。

S原:ゴルゴ?

Y木:日本初!と宣伝されて、CGのヘリコプターがでてきて、ゴルゴを狙うのが目玉なんですよ。そこだけ、急に別の映画みたいになって、お客さんは戸惑ったんだよ。というか、そういうのはいいから!それは「地獄の黙示録」じゃないです。ゴルゴ13

S原:あーそうか。

Y木:なにが?

S原:わかった!だから、ゴルゴは角刈りなんだ。

Y木:関係ねえだろ、角刈りはよ!もういいんだよ、ゴルゴのことは。

S原:あと好きなのはホラーでしてね。ホッケーマスクの殺人鬼が襲ってくる映画、知ってます?

Y木:有名ですよ。あれでしょ、「13日の金曜日」シリーズ。

S原:あれ?そんなタイトルだっけな。

Y木:そうですよ、ホッケーマスクといえば定番でしょうよ

S原:そうだっけ?えーと、若者たちがキャンプにいったら、次々と殺人鬼に襲われちゃって…

Y木:そうそう。

S原:たしか、1作目がヒットして続編も結構あったでしょ。

Y木:合ってるよ、それですよ。「13日の金曜日」。

S原:たしか、強いんだよね、ホッケーマスクの男が。

Y木:そうそう。

S原:かなりがっしりとした大きな体でね。

Y木:うん。

S原:あの武田鉄矢さんもすごい苦戦してましたからね。

Y木:え、武田鉄矢さん?ちょっと待って。武田さん、でてたの?

S原:うん。意外に知られてないんだけどね。

Y木:あーそう。

S原:で、武田鉄矢さんは刑事なんだけどね。長崎県五島列島で犯人を追うわけ。ところが、そこで知り合った沢口靖子さん扮する松村海子と知り合いましてね。その実家が旅館なんですけど、そこへ住み込んでしまうんですよ。あ、お母さん役は星由里子さんね。そこへ、ホッケーマスクの男が襲ってきて……

Y木:いやいや、ちょっと。

S原:え?

Y木:違うんですよ。

S原:何が?

Y木:違う違う。それは「13日の金曜日」じゃなくて、「刑事物語3 潮騒の詩」(1984)。たしかに、最後ホッケーマスクの男が武田鉄矢さんと戦っていたけど、あれはジェイソンじゃないから。

S原:あー、ジェイソンじゃない?

Y木:うん。というか刑事物語は、そもそもホラーじゃねえから。どうやったら、刑事物語13日の金曜日を間違うんだよ!全然違うだろ。怒られるぞ、武田鉄矢さんに。

S原:でも、結構人が死んでましたけど。

Y木:いいんだよ、刑事ものだから。悪い奴は死んじゃうんだよ。そんなことを言ったら、西部警察なんか、殺人鬼集団だよ。

S原:あーそうか。

Y木:なにが?

S原:だから、武田鉄矢さんって背が低いんだ。

Y木:関係ないだろ!昔、一般人に「背が低いのねえ」って言われて「わたしが、背が低いことであなたに迷惑をかけましたか!」ってマジギレしたんだからな。放っておいてやれよ。

S原:あと好きな映画がね。「ターミネーター」(1984)。知ってます?

Y木:知ってるよ、超有名じゃん。

S原:監督は、ジェームス・キャメロン・ディアスでね。

Y木:なんか2人の名前がくっついちゃってるよ。ディアスは要らないから。

S原:で、このジェームス・キャメローンがですね。

Y木:なんか銀行のカードローンみたいだな。キャメロンね。延ばさなくていいから、ローンって。

S原:このジェームス・亀ろんがすごいんですよ。

Y木:なんか亀になっちゃった?かわいくなったけど。サンリオでいそうだけどね、「亀ロン」って。

S原:あのーみなさん、主演の男の人って知ってます?

Y木:シュワちゃんでしょ。

S原:あーあの人、そういう名前なんだ。

Y木:いや有名でしょ。アーノルド・シュワルツェネッガー。なんで知らねえんだよ。

S原:ものすごく強くてね。もう銃なんかバンバン撃っちゃって。

Y木:そうですよね。アクションがね。すごいですよ、あれは。

S原:実際、よくみると少しほっぺたがたるんでるんだよね。

Y木:そう?それは気付かなかったけど。

S原:それに、たれ目気味なんですよ。

Y木:たれ目?そうかな?まあいいけど。

S原:うん。それにあれはベトナム帰りっていう設定なんですよ。

Y木:いや違う違う。あれは未来からきたんでしょ。

S原:そう思うでしょ。みんな、勘違いしてるのよ。あれはベトナムなの。

Y木:はあ、なんかの隠喩というか隠れたメッセージってことかな。

S原:うん。それに、結構えぐいシーンがあるんですよね。

Y木:あーそう?まあ、アクション映画ですから。

S原:人間がひき肉機でミンチにされたり、銃弾にわざわざ塩酸をいれたり、かなり主人公の性格がねちっこいんだよね。ちょっと、ああいう描写は、さすがにね。子供もみるんでね。どうかなと…

Y木:いやいや、ちょっと。

S原:え?

Y木:違うんですよ。

S原:何が?

Y木:それは「ターミネーター」じゃなくて、「エクスタミネーター」(1980)でしょ!タイトルがよく似てるけど、全然違いますから。「ターミネーター」は、みんなが観る映画。「エクスタミネーター」は中学生男子(だけ)が観る映画。主役のロバート・ギンティは、たれ目で頬がダブダブで、しょぼい奴なんだよ。

S原:あれ、ちょっと待って。ロバート・ギンティっていう人が主演?

Y木:そうだよ。

S原:たしか渋谷陽一が主演でしょ?

Y木:似てるけど違うわ!なんであんなキンキン声で早口の男が、アクション映画の主演やるんだよ。迫力ねえだろ。というか、このネタやめろ。ロッキンオンに訴えられるぞ。理屈っぽいんだから、あの会社は!

S原:でも、どっちもパート2があったでしょ。

Y木:あるよ。

S原:同じアクション映画だから、内容も同じようなものでしょ。

Y木:全然違うの!いい?「ターミネーター2」(1991)では、子供(エドワード・ファーロング)に『人を殺しちゃダメ』って言われるから、シュワちゃんは基本人を殺さないんだよ。いい奴になるんだよ。

S原:いい奴に。

Y木:そうだよ。ロバート・ギンティは、一人ずつ銃で撃つのが面倒だからって、もう火炎放射器でまとめて焼き殺すんだよ。

S原:炎?それはちょっと熱いかもかも。

Y木:熱いよ、そりゃ。当たり前だろ。

S原:あーそうか。

Y木:なにが?

S原:それが暑くて、キャメロンは「アビス」(1989)を撮ったんだ。水がたくさんあるから。

Y木:関係ねえよ。おまえ、キャメロンにキックされるぞ。

S原:そういうことでね。いままで懐かし映画について話してきましたけども。

Y木:はい。

S原:いまから、ぼくらのブログを読んでくださ~い。

Y木:まだ始まってなかったのかよ!いいかげんにしろ。

S原&Y木:どうもありがとうございました~。

 

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