あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「はなればなれに」(2012)の巻

はなればなれに [DVD]

 

S原:今回はこちらです!

Y木:ラブストーリー?

 

(あらすじ)

パン職人を目指していたが、勤め先のパン屋を解雇されたクロ。結婚を意識していた恋人と、喧嘩別れをしたカメラマンの英斗。主演女優のレイが降板し、舞台の上演が危ぶまれる演出家の豪。それぞれ別の人生の目的を持った、接点のない3人が、ひょんなことから出会い、東京を飛び出す。行き場をなくした3人は、海辺の閉鎖された旅館で共同生活を始めることになるのだが…。

 

S原:これは、DVDのジャケットで損してるわー。まるで3角関係のラブストーリーやと思うやろ?

Y木:そう思った。

S原:全然、ちゃうねん。この映画の雰囲気が、まったく伝わってないもん。なんでこんなデザインにしたんやろうか…これだけでかなり損してるわ、かわいそうに。

Y木:こんなシーンはないの?

S原:ないよー、こんな映画とちゃうもん。この監督(下手大輔)は、映画の研究とくに小津安二郎の研究をしてた人らしい。たしかに、随所にああ映画を研究してきた人なんやな、とわかる。

Y木:理屈っぽい?

S原:というか「狙って演出してまっせ!」という感じやな。

Y木:あーでも、あれちゃう?おれらは自主映画サークルにいたし、そういうマニアな視点もある程度わかってしまうから、余計にそう感じるんじゃないの?

S原:うん。「こういうのが好きなのねえ」「こんな風に撮りたかったのねえ」と思いつつ、観てしまう(笑)

Y木:それで、どんな話?

S原:上のあらすじの通りやけど、話らしい話はないねん。起承転結でなくて、起承…で終わる感じの映画やな。

Y木:アートシアター系の静かな映画みたいな感じ?

S原:そうやな。ああいうのが好きな人にはたまらんと思う。主役(女性)が、かなりユニークやねん。貧乏なんやけど、あっさりと(下心のある)男性を騙して財布からお金だけを盗んだり、結構えげつないことをしてるねん。

Y木:犯罪やがな。

S原:主役の女優自体がかなり飄々とした雰囲気で、嫌味には感じないけどな。淡々と大胆なことをしてしまう描写というのか、そういうのは面白い。

Y木:そうなんや。

S原:そのあと、男性2人(舞台の演出家とカメラマン)も訳ありで加わってきて、海辺の廃旅館で一緒に住むことになる。そこでもとくに何をするわけでなく、淡々と日常が流れる。演出家の男性だけは、一緒に住む女性(主役)をモデルにして脚本を書いてるけど、それもそんなにドラマチックに展開するわけでないねん。

Y木:それからどうなるの?

S原:最後はそれぞれの日常に戻る。今回の奇妙な経験が、すこしだけ3人を「大人」にした、という感じで映画はアッサリと終わる。

Y木:あ、おれ、この映画好きかもしれん(笑)

S原:たぶん、あなたは好きよ。セリフもほとんどないし大半はワンシーンワンカットやし、あなたが学生時代に大好きやったテイストがあるで(笑)

Y木:でも最近、映画自体観てないからなあ…いまこういう映画を観て、自分がどう思うのか予想がつかんな。

S原:機会があればいつでもDVDを貸しまっせ(笑)

Y木:たぶん借りないけどな(笑)でも、なんかヌーヴェルバーグっぽくない?タイトルもゴダールの映画そのままやし。

S原:小津やゴダールへのオマージュがあると指摘している評もあるけど、ぼくはそんなに感じんかったな。まあ、小津もゴダールも数本ずつしか観てないから、ぼくには詳しいことはわからん。あなた、結構好きやったやろ、ゴダールとか。

Y木:昔は好きやったなー。さすがに最近は全然観てないけど、そやけどゴダールかあ……

S原:ぼくはヌーヴェルバーグはあまり得意でないから、というか全然理解できんかったから、いまだにコンプレックスがある(笑)

Y木:結構そういう人は多いやろうな。だからこそ、あの時代に前衛的とか評価されたわけやし。

S原:どこまで意識や引用をしているか分からんけど、監督が映画を研究してた人やから、当然そういうことをしているやろうな。ネットのレビューをみると、どうも女性のファッションとか、そういう部分にオマージュがあるらしい。全然わからんかったけど(苦笑)

Y木:オマージュか。最近、そういうの多いよな。なんか、それもどうかなと思ったりするけどな。

S原:タランティーノとかが大胆に元ネタを明かして、換骨奪胎するあたりからオマージュといえば何でも許されるような雰囲気はあるよな(笑)

Y木:あーそうかもな。まあオマージュ云々はともかく、この映画はわりと考えて撮られているんやろ?監督の「感性」でなく「理屈」で映画を作っている、ってこと?

S原:そう思う。こっちの捉え方の問題もあると思うけどな。

Y木:なるほどな。

S原:例えば、風景の構図とか、人物の配置とか、キャストの服の色合いとか、完全に計算して撮られていると思うねん。監督の意図がすごくわかるし、凝ったカットとか編集の仕方とか、なかなか興味深いで。そういうものを堪能する映画は久しぶりやったから、そういう点では楽しめたわ。

Y木:凝ったカットか。技巧的なん?

S原:うーん、特にテクニックを見せたいわけでないと思うけど…このへんは観る人によって評価は割れるやろうな。

Y木:ほー。

S原:編集も上手いしな。だけど、そういう点が「鼻につく」人はおると思う。でも、監督は脚本も書いてるし、こういう映画を撮りたかったんやから、それでOKでしょ。

Y木:なんか今回の20本の知られていない日本映画シリーズの中では、異色とちゃう?

S原:異色やと思う。はじめにも少し話したけど、この映画は、ばっちり設計図を元に映画を作っているという感じがするな。

Y木:どうなんやろ、いまどきは、そういう映画は珍しいんかな。

S原:うーん最近流行っている映画はぼくも観てないからわからんけど、ひょっとしたらそうかもな。ほかに紹介した映画も、もちろん絵コンテとか設計してるんやろうけど、なんというか人物重視で揺れている部分もある思うねん。

Y木:揺れている?

S原:役者たちの演技とか熱量で、現場でアイデアを加えたり、あとで編集を変えたりしてる…ような気がする(笑)でも。この映画だけは、最初から最後までバッチリ設計図通りに役者を配置し動かしている…ような気がする(笑)

Y木:気がするばっかりやないか。

S原:すまんねえ。ほんとうの監督の意図はわからんから、あくまでぼくの想像やけどな。あまりインタビューを読んだりもしないから、真逆のことを言ってたらすいません(笑)

Y木:それで、おまえとしてはどっちが良い?バッチリ設計図通りの映画か、現場のノリを重視した映画か?

S原:どっちでも良いと思う。少しくらいイビツでも、感性のまま役者の勢いのまま走る映画でもええし、この映画みたいに頭で完成させた映画もええと思う。

Y木:要は面白ければ、なんでもええということやな?

S原:その通りでござる。面白さの種類は色々です、ということやな。

Y木:まあ映画ファンとしては、いろんな面白さがあるほうが魅力的やもんな。それが作家性にもつながるやろうしな。

S原:上手くまとめるなあ。

Y木:いや、べつに。普通の話やろ?(苦笑)

S原:さあみなさん。とにかく、この映画はこの3人!これに尽きます。この3人の役者が好きならゲットしてください。あとは、やっぱり映画製作に興味がある人とか、アート系の映画ファン向けだと思います。異色作と言っていいと思いますが、テレビドラマ的な演出や俳優たちに飽き気味の人にもおススメでーす!

 

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「月のあかり」(2004年)の巻

 

S原:今回はこれですよ。

Y木:お。ちょっと変わった映画っぽいな。

 

(あらすじ) 

 舞台は沖縄の山羊料理屋「月子」。静かな海辺に、人目を忍ぶようにひっそりと建つその店の主“おっさん”には、ある事情があった。だが、東京からやってきた若者や、それを追って来た女、謎の男などが店に現れて、「月子」の平穏な日々は終わりを告げる…。

 

S原:うーん、これはなあ……

Y木:あかんかったの?

S原:そうやなあ、これは失敗作といっていいと思う。スタッフやキャストには申し訳ないけど…

Y木:沖縄を舞台にした映画なんやろ。

S原:そうやねんけどな。まず海岸に大きな岩があって、そこに柱とかを建てて簡単な居酒屋にしてるねん。ほとんど電灯もないから、月の明かりの下で呑む…そんな居酒屋やな。このDVDのジャケットにもなってるけどな。

Y木:あー、ええ感じやん。おれ、そこに行ってみたいわ。

S原:ぼくもそう思った。でも残念ながら、この映画の良いところはそこまでやねん。

Y木:そうなんや。

S原:あくまでぼくの想像やけど……たぶん、監督脚本(倉持健一)は、この居酒屋のアイデアを思い付いた段階で「イケる!」と判断してしまったんとちゃうかな。肝心のドラマ部分がものすごく弱い。

Y木:ワンアイデアで勝負ってことか。「巨岩の上の呑み屋」というアイデア。たしかに絵になりそうやん。

S原:でも、そんなん画面では5分も見れば十分やん(笑)やっぱり観客は、映画というかドラマをみようとしてるわけやから。

Y木:そりゃな。

S原:もうすこし想像を続けると……そのあと実際に沖縄に行ってセットを組んだ段階で、監督はじめスタッフはさらに満足してしまったやと思う。たぶんスタッフはこんな会話をしてたと思うねん。「すげえセットじゃん」「いい感じやん」「沖縄の空と海が、キレイだよな」「これ、そのまま撮るだけで充分じゃね?」「それに、声優でファンがたくさんいる椎名へきるが出演してくれるんやろ」「アニメファンも観に来てくれるやろうな」「こりゃヒットするかもよ」おいおい、そんなんでヒットなんかせーへんわ!

Y木:自分の妄想に、自分で突っ込むんはやめてくれ。きもいから。

S原:よく撮影場所の自然がキレイで延々と映す映画があるやろ。

Y木:あーあるな。

S原:たぶん現場では盛り上がっていると思うねんな。でも、スタッフが自分たちで勝手に盛り上がっているのが分かると、観客は一気に冷めると思うねんけどな。

Y木:自己満足ってことか?

S原:それに近いかな。もちろん商業映画やから、制約はあるやろうし、いろんなプロの目を通って完成させている…はずなんやけどな。なんで、こんな変な映画になるんやろ?

Y木:おれに聞かれても知らん(笑)どういうところがダメなん?

S原:まず、大きな岩の上にある居酒屋「月子」にいろんな人物が出入りする。店主はオッサンとよばれる初老の男性(本郷功次郎)。そこでバイトで働いている葛山信吾。ほぼ無一文でふらりと店に住み着く笠原紳司。笠原を追いかけてきた女性、これが椎名へきる。それらが織りなす人間模様……のはずなんやけどな。

Y木:人間模様でないんや?

S原:そこを目指したのかどうなのか、ちょっとわからんけど。簡単に言ってしまうと、どのキャラクターにも感情移入できないねん。というか、彼らが何を考えているのか全く伝わってこない(苦笑)

Y木:それはキツイな。

S原:結局、いくら沖縄の風景でバイクを走らせるショットとか、椎名へきるが海岸で座っているショットを綺麗にとっても、映画としての現実感がないねんな。

Y木:そういう非現実的というか浮遊感を狙ったんやないの?ましてや舞台は沖縄やろ。

S原:そうかもしれん。でも、この映画は112分あるねんで。プロモーションビデオみたいな、よくわからん内容を112分みせられても辛いわー(笑)

Y木:要するに、キャラクターが現実に生きているように感じないってことやな。

S原:あ、そうそう!あなた上手く言うなあ。観てないのに。

Y木:おまえの語彙力がないだけや。

S原:そうやねん。あなたの言う通り、キャラクターが生きてないねん。生身に感じなくて紙芝居みたいに感じるといえばいいんかな…こういうストーリー(上のあらすじ参照)なら、絶対にちゃんと「人物」を描かなあかんねんって。

Y木:おまえの言いたいことや、この映画への不満はわかったけど、具体的にはどういう点があかんの?

S原:まず、「月子」を経営しているオッサン、まずこのオッサンが何を考えているかわからない。どうも、奥さんを失くしたり、ワケありの大金を持っていたり、名物の山羊料理にこだわりがあるみたいやけど、どうにもわからん。ふらりとバイクでやってくる笠原もよくわからん。金はないみたいやけど、都会が嫌で逃げ出してきたのか、単純に旅を続けていきたいだけなのか、それもよくわからん。椎名へきるも、恋人が好きでたまらなくて追いかけてきた風に見えないし、何しに来たのかわからん。

Y木:それこそ、説明的なセリフはないの?

S原:あるで。でも、登場人物がいくら説明しても全然心に入ってこない(苦笑)

Y木:それじゃ、映画が面白くなるわけがないよなー。

S原:おまけに、近くで殺人鬼がおるらしい。

Y木:なにそれ?

S原:女子高生が襲われたりする場面もあるけど、ハッキリ言ってそんなものは要りません!というか、この映画にまったく合っていない(笑)ほかにも拳銃を置いていく男(殺し屋?)とか、「月子」のバイトが釣銭の勘定が出来ないとか、それがあとで伏線になるのかと思ってたらそうでもないし、ただ不自然なだけやった。なんかよく意味が分からんわ。

Y木:今回は手厳しいな。

S原:ただただ戸惑うばかり。映画を見た後、ほんまに疲れたで(笑)

Y木:まあ沖縄の風景を見るだけの映画ってことか。

S原:といっても、そこまで綺麗に撮れてるわけじゃないねんな。

Y木:もうええところ、ないがな。

S原:さあ、みなさん。沖縄の海が大好きな人は良いと思いますが、沖縄の海を紹介する映像とどう違うのか?と言われれば、ぼくには返す言葉はありません。この映画で出てくる「山羊料理」もあまり美味しそうにみえませんが、実際に食べたら本当に美味しくないそうです(笑)そんな映画ですが、椎名へきるファンだけは、ワゴンコーナーで見つけたらちょっとだけ手に取ってくださいませ!

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「HERO? 天使に逢えば」(2004年)の巻

HERO ? 天使に逢えば [DVD]

 

S原:今回はこれですよ。

Y木:これ劇場公開してるんや…

 

(あらすじ)

“世界一ツキのないボクサー”修二と“日本一運の悪いOL”千夏。ボクシングへの情熱を失っていた修二が情熱を取り戻し復帰戦に臨む中、千夏は自分が会場に行けば修二が負けると思い、身を引こうとする…。

 

Y木:この映画は知らんなー。

S原:あなたは最近の映画、ほとんど知らんやん。

Y木:まあな。

S原:なんで、あなた映画のブログしてるの?

Y木:おまえが勝手に巻き込んだんやろ!

S原:そっかー、ナハハ♡

Y木:ナハハ♡じゃねえ。「すくらっぷぶっく」かよ。

S原:この映画DVDのパッケージには、「日本一ツイてないOL」「世界一ツイてないボクサー」「ツイてないと思うすべての人へ」と書いてます。

Y木:ついてない男女のラブコメってことね。

S原:その通り。でもこの映画はなー、ちょっとなー。

Y木:なんやねん、はっきりせえへん感想やな。

S原:いやはっきりしてるで。この映画は失敗作。要するに面白くないねん。

Y木:ハッキリ言う(笑)

S原:この映画は霞(かすみ)が、かかったような映画やねん。

Y木:霞?わけがわからんってこと?

S原:どう言えばええんかな。キャラ設定はわかりやすいねん。主要人物は4人。主人公は、日本一ツイてないOLと世界一ツイてないボクサーの2人。反対に、めちゃくちゃ運のいい男女2人組。これだけやねん。

Y木:ふーん。どんな話なん?

S原:さっきも言ったけど、主人公は、日本一ツイてないOLの千夏(桜井裕美)。彼氏の実家を訪ねたら、鍋を彼氏の父親にぶっかけてしまうし、仕事上のミスで1億円相当のヴァイオリン(ストラディバリウス)が行方不明になってしまって弁償を責められたするところから始まります。

Y木:仕事上やのに、なんで個人が弁償するの?

S原:わからん(笑)一方の世界一ツイてないボクサーは、修二(萩野崇)は、今日の試合でもアンラッキーパンチをもらってTKOされる。修二は実力があるみたいなんやけど、いつもこうなるらしい。

Y木:もうやめろよ、ボクシング。

S原:あるとき、偶然に2人が出会う。2人とも運がない日々を送っていると共感してなんとなく一緒にいるようになる。

Y木:恋に落ちるんじゃないの?

S原:ここが一番わからんねん。普通、こういう出だしなら、2人が恋に落ちるとか、片方が好きになっていくとか、2人で逆転を狙う(運をつかみ取りに行く)とか、どう考えてもそういう展開やろ?

Y木:そうやろな。

S原:ところが、この映画では一緒におるだけやねん。

Y木:どういうこと?

S原:一緒に遊びに行ってるから、デートなんかな?と思ってたら、ちゃうみたいやしな。千夏は「自分より運のない男」と出会って喜ぶ…そこまではええねんけど、そのあとに一緒にいる意味が分からん。

Y木:「自分より運のない男」と一緒にいると、自分に幸運が舞い込んでくるって思ってるとちゃうの?

S原:そうなんかな。一応「私たちは運命共同体だね」とか言うんやけどな。

Y木:それやったら、カップルやないか。

S原:でも、そんな感じでもないねん(苦笑)べつにキスシーンがなくてもええやん。手をつないで歩くショットをいれるだけで、二人の関係は分かるやん。そんなんも皆無やから、観ている間ずっと「あんたら、どういうつもりで一緒におるの?」と突っ込みまくりやねん。

Y木:だんだん、好きになっていく…ってことじゃないの?王道でしょ。

S原:いやー……こればっかりは観てもらわんと、分かってもらえんと思う。でも、世の中のほとんどの人はこの映画の存在自体を知らんから、確認をする術もない(笑)

Y木:それで、どうなるの?

S原:とにかく、お互いに好意を抱いているのか、友達のままなのか、観客が一番知りたい根幹部分を放置して映画はすすんでいきます。やがて、修二は、ヤクザから持ち掛けられた八百長試合をすることになるねん。

Y木:なんで?

S原:修二は「どうせ運がなくて負けるなら、八百長のほうがマシ」と考えるねん。

Y木:金目的か。

S原:ところが、ちゃうねん。そのお金を借金で困っている千夏に渡すのが目的やねん。それが好意なのか善意なのかわからん。話を聞いた千夏も戸惑うばかりやしな。

Y木:なんやねん、それ。

S原:意味が分からんまま、ストーリーはすすみます。結局、修二の試合中に千夏が「これは八百長なの!」と叫んでしまって、2人ともヤクザに追われます。逃げているときに、こんどは不思議な2人組に出会います。かれらは、修二と千夏とは反対の「運のいい男女」やねん。変にノリの軽いアキラ(虎牙光揮)と、ちょっとバブル風味のエミリ(橋本麗香)に巻き込まれて、長野県松本の山中にいくことになる。アキラは運がいいので、たまたま鍵の掛かっていない別荘をみつけて、入ってしまう。すぐに別荘の持ち主人(藤村俊二)が帰宅するねんけど、じつはこの老人、かつてエミリに命を助けられたがある人物で、しばらく住んでも良いことになるねん。

Y木:運がいい…というか行き当たりばったりやがな。

S原:ほかにもいろいろあるんやけど、何もしなくても次々と幸運に恵まれるアキラとエミリと一緒に住みはじめて、ちょっとずつ幸運が舞い込んでくるねん。

Y木:おお、やるやん。どんな幸運?

S原:アイスを食べたら、当たりがでるねん。

Y木:……それが幸運?

S原:面倒やから話を飛ばすと、修二はもう一度ボクシングに賭けてみようと思うねん。それで東京に戻る。そのときに、千夏ではなくエミリと一緒に東京に戻るねん。千夏(とアキラ)は長野に放置したままです。

Y木:えーなにそれ?4人で一緒に東京に帰ったらええやん。修二は、運の悪い女から運のいい女へと乗り換えたってこと?浮気?

S原:ここがまたわからん。

Y木:じゃあ、反対にエミリが修二を気に入ってるじゃないの?誘惑したとか?

S原:それもわからん。

Y木:なんやねん!登場人物の気持ちが全然わからんやないか。

S原:信じられないかもしれんけど、ほんまにこんな映画やねんて!

Y木:いくらなんでも、もうちょっとわかるやろ。

S原:いや、分からんねんって。話の続きをすると、いろいろあって東京でもう一度ボクシングをはじめる修二。なぜか修二のとなりにいるエミリ。そして、アキラと千夏も遅れて東京に戻ってくる。

S原:なんか、ほんまにしょうもないストーリーやな。もうラストを教えて。

S原:ラストは、修二の復帰戦です。エミリは「運のない自分が試合会場に入ったら、修二が負けるかも」と不安に思います。ここが最大の見せ場です!

Y木:どうでもええわ!

S原:いっぽう、アキラとエミリは八百長の集金をしているヤクザを襲って大金を奪います。いろいろあって、結局修二と千夏が大金を手にします。

Y木:あー、そのお金で人生をやり直すと?

S原:いーえ、「このお金は、ちゃんとヤクザに返そうよ♡」と2人で話し合って、おしまい。

Y木:そんなんで、おしまい…?

S原:ほんまに、こんなに登場人物がなにを考えてるんかわからん映画は珍しい(笑)まあ、ストーリー構成も変やし、キャラクターもおかしいねんけど、もっと可哀そうなんは俳優たちやねん。これ、全員ミスキャストやと思う。まず千夏役の桜井裕美が合っていない。キツめの顔立ちで、どうみても「日本一ツイてないOL」に見えへんねん。この女性なら自分でなんあとかできるやろ、と思うくらいしっかりしてる(笑)

Y木:それはあかんな。

S原:相手の修二役は、萩野崇。ボクシングのシーンはかなり良いし、雰囲気のある役者やと思うけど、どっちかというと個性的な脇役で光るタイプやと思う。おなじボクシングで言うと「あしたのジョー」の力石徹みたいな顔立ちやしな。

Y木:運のいい男女は?

S原:アキラ役の虎牙光揮は個性的で面白いと思うけど、完全に浮いてしまっている。エミリ役の橋本麗香もミスキャストで合っていない。4人のファンの人には申し訳ないけど…いっそのこと、千夏とエミリを入れ替えてほうが面白かったかも…いや一緒かな(笑)

Y木:つまるところ、役柄と俳優のタイプが合っていないってことやな。

S原:キャスティングした人の神経を疑います。

Y木:そこまで言うか。

S原:でも、合ってない役をやらさる俳優たちも可哀そうやで。

Y木:まあーあれちゃうの?映画自体がちゃんと面白く作られてたら、俳優たちも魅力的に映るんじゃないの?

S原:そうかもな。何度も言うけど一番ダメなのは主人公の男女が「どんな気持ちなのか?」が分からないことやねん。日本一ツイてないという設定なら、そこをもっと膨らませないとな。漫画チックにいくのか?ラブストーリーで行くのか?ちょっと不思議な話をみせるのか?

Y木:ハリウッドなら、ジェットコースターみたいなラブコメにするやろうな。

S原:そうそう。しかもこの映画では少し演出も凝ってるねん。時系列をところどころ入れ替えてるけど、あまり効果が出ていない。ストップモーションアニメになって驚く主人公たちの顔の演出も、滑っている。セリフにいちいち「ピンポーン」とか「ブー!」とかの効果音をいれるのは、うっとおしいだけ。セリフも独特で珍妙。なんかすべての点で演出も微妙に外れていて、そのくせ薄味やから印象にも残らん。こんな映画なら、ほとんどレビューもないよな、と納得したわ。だって、この映画について話したいと思わへんもん。

Y木:おまえは喋り倒しているがな。 

S原:あーそうやな(苦笑)ま、そういう映画やったわ。さーみなさま。ぼんやりとした映画を観たいときはありませんか?主人公たちが何を考えてどう行動しているかわからない、そんな不思議な映画を観たいときは、これです!あと10年したら、視聴することも難しいと思えるようなレベルの映画ですが、ぜひワゴンコーナーで見つけてください!でもゲットしなくてもよいと思います!

 

 

 

 

 

 

ほぼ誰にも知られていない邦画特集!「 7s セブンス」(2015年)の巻

7s セブンス [DVD]

 

S原:ほぼ誰にも知られていない日本映画!今回はこちらです! 

Y木:知らんなー。

 

(あらすじ)

売れない自主映画監督のサワダは、大学の同級生サナガワと一緒に作った映画でインディーズ映画祭のグランプリを獲得し、その賞金100万円をもとに更に大きな映画を作ろうと意気込む。アルバイト先の居酒屋で出会った小劇団のメンバーたちと意気投合し、自分の映画に出演してもらうことに。劇団のメンバーには、売れっ子お笑い芸人や人気モデルなど、サワダにとってもまたとないチャンスで、書き上げた脚本は『7s』という7人の天才詐欺集団の映画だった。いよいよ映画がクランクイン。
序盤の撮影は順調そのものだったが、徐々にその空気に暗雲が立ち込め映画『7s』は未完のまま撮影がストップしてしまう…。

 

 

S原:これは映画製作をする映画やねん。ぼくらの大学時代みたいやろ?(笑)

Y木:まあ、おれらはバカなことばっかりして遊んでたけどな。

S原:ぼくは、大学に入るまでは映画製作に燃えるつもりやったんやけどな。それが自主映画サークルに入ってたら、濃い連中とアホな話で盛り上がっているうちに、アッという間に学生時代は終わってしまった(笑)

Y木:水は低いほうに流れるからな(笑)まあ、それはええとしてこの映画はどんな感じ?

S原:群像劇というんかな。たくさんの人々が交わるドラマという感じやった。

Y木:どうやったの?

S原:うーん、これはなあ…

Y木:失敗作?

S原:いや、むしろよく出来てるほうとちゃうかな。ただ、イマイチ乗り切れないポイントがあるねん。

Y木:どこ?

S原:この映画はかなり好き嫌いが分かれるような気がするねん。

Y木:へえ。

S原:これは映画製作が題材やけど、『みんなで何かを作る』ということがいかに大変かを、身に染みて分かっているかどうかで、感じ方が変わると思う。とくに、本気で何かをしようとしたことがある人は面白いと思うんとちゃうかな。バンドでも、演劇でも、山登りでも、草野球チームでもええねんけどな。

Y木:なるほどな。そういう映画なんや。ちょっと青臭さがあるの?

S原:青臭さというか青春のような雰囲気は意外とないと思う。結構、大人が自主映画の製作をしてるしな。その分、10代にはないような焦りみたいなものもあって、映画としては複雑は色合いになってると思う。

Y木:焦りって?

S原:このまま役者として芽が出ないかも、とか、この映画に失敗したらどうしようとか。

Y木:あーそれは現実問題としてあるやろうな。

S原:そのへんの焦燥感はあるねんけど、なんか観ていてイマイチ乗り切れないんねん。

Y木:そうなんや。どのへんが?

S原:そうやな…乗り切れないポイントを言うと、まず、登場人物が多くて有名な人がいないから、一度に覚えきれないねん。

Y木:まあ群像劇やからな。

S原:あと、何人か雰囲気や容姿が似ている人が何人かいるねん。なので、とくに初めはキャラクターの区別がつかずに混乱してしまう。眼鏡でも髪の毛の色でももっとわかりやすいとええんやけど…

Y木:なるほど。

S原:群像劇やから、それぞれの人が何を考えているか?どんな気持ちなのか?こういうところが分からないと、人間関係も呑み込めない。このへんは、やっぱり観ていて辛いかな。

Y木:人物をさばき切れていないってことか。

S原:そうやなあ。それぞれの役者はええ味やねん。だから余計に惜しい。

Y木:役者は、ええの?

S原:知らん人ばっかりやったけど、男女ともにみんな良かったで。この監督は「役者を撮る」ことに長けてるんとちゃうかな。

Y木:へえ。

S原:ただ役者は良いけど、物語のダイナミズムというのか、観ていて「おお!」とか「これって、このあとどうなるの?」とかいうドキドキはなかったかな。

Y木:いやあ、前もそんな話になったけど、そういう監督なら、物語性というかそっちを目指していないんやと思う。人間模様とかドラマとか心情を描きたいんとちゃう?

S原:そうかもしれんけど、それにしてはストーリーは起承転結やからな。やっぱり、もうちょっとストーリーに緊張感みたいなものがあれば「隠れた傑作」になったかも…と思うわ。

Y木:えー、そんな可能性を秘めた映画やったの?

S原:あくまで、ぼくの見立てやけどな。なんか、ほんまにあと一歩って感じやねん。

Y木:そうなんや。

S原:結局、そういう映画って逆に短所が目立つことがあるやろ?

Y木:あー、そういうもんかもな。

S原:ほかに、この映画の良くないところは、出だしかな。居酒屋でしりあった演劇の連中と映画を作り出すまでが、単調で長く感じる。意外とドラマがないというか。人が集まって映画を 作りだしたら、はじめは上手くいく感じで人間関係も雰囲気も良いんやけど、俳優の1人が芸能事務所に引き抜かれたことがキッカケで、次々と小さなトラブルが起きる。やがて、ちょっとしたズレがやがて大きな軋轢になってしまう。このあたりから、結構面白くなるねん。

Y木:監督がイライラしたり?

S原:そうそう。八つ当たりして、現場の空気が悪くなったりな。

Y木:製作現場あるあるやな(笑)

S原:そのうちに映画製作自体が途中で止まってしまうねん。

Y木:人間関係が悪くなって中断?

S原:いや、いままで撮影したデータが全部消えるねん。

Y木:うわー…それはキツイ…

S原: 結局、助監督が犯人やねん。撮影中にみつからないようにデータを消したのよ。あとで、この動機も説明されるけど、それぞれのキャラが理解できてないから、やっぱりわかりにくいな。

Y木:結局、映画は完成しないの?

S原:いや、最後は完成するで。完成する前のドラマが後半のメインストーリになってるねん。前に言ったけどデータも消えたし、制作費もなくなったから中断してしまう。もちろんこの映画の監督は、製作中断で辛い思いをするねん。けど、他の奴らも一緒やねん。売れたいという気持ちとか、自分の才能を信じたい気持ちとか、実生活のために夢をあきらめるとか、ある種この映画に賭けてたところもあるから。

Y木:そうなんや。

S原:そういう小さなエピソードが、いまいち薄味やねん。

Y木:薄味?

S原:こういう夢を追いかけてる奴らって、たくさんおるやん。ほとんどは夢破れるし、そういう哀しみが伝われば、ぐっと映画の深みが増したと思う。

Y木:えー、おまえの言ってる点って、昔からの日本映画的やん。おれは嫌やなー。

S原:うーん。この映画のテーマなら、そういう部分を描くほうが、やっぱりええと思うんやけどな。べつにセンチメンタルに描かんでもええんやけど…

Y木:そうかなあ。まあ観てないから、これ以上は言ってはあかんかなあ。

S原:結局、映画製作が中断して、そのあと監督もスタッフもキャストの大半はくすぶった日々を過ごす。何人かは、すこし成功した俳優、モデルやスタッフもいるような描写があるねんけど、ここもわかりにくかったかな。3年後。あるとき監督は、撮影に参加していた俳優の一人と偶然出会う。それを機に、一念発起して、映画撮影の再びはじめる。やがて映画は完成する、というのが後半のストーリーやな。

Y木:ラストは?

S原:映像を消した助監督が、河原で撮影再開している監督とかキャスト、スタッフの姿をみつけるねん。自分のせいで映画は中断したから、当然今回の再撮影には参加していないやろうな。でも、おもわず「シーン〇〇、テイク1!」と彼らの後ろ姿に助監督として思わず声をかけるねん。監督やキャストたちはびっくりしてふりむく。目に涙を浮かべた助監督は、河原へ走っていく。でも、実はその河原には誰もいない…その遠景ショットで映画は終わる。

Y木:ほー、ラストは良い感じやん。

S原:映画全体として、何度も言うけど悪くないし、ラストも良いよ。でも映画の中に出てくる人物たちが、リアルに感じなかったといえばええのかな。ちょっと今回は感想が言いにくいわ。

Y木:うーん、結局おまえの好み、今回はとくに「キャラクター」に対する好みのような気がする。

S原:そう思うで。今回の映画は、かなり観る人によって評価が変わると思う。そういう映画があってもOKやし。

Y木:それはいえるな。

S原:でも、何年後かにふと思い出すような映画のような気もする。今回は、なんか変な体験やった(笑)

Y木:まあ印象にのこったんなら良かったんでしょ。

S原:そうやろうな。さあ、みなさん。一口に「面白かった」「つまらなかった」「出来が悪い」「感動した」と簡単にコメントのしにくい作品ですが、鑑賞後になんともいえない気持ちが残るのも事実です。商業映画に飽きて、ちょっと変わった映画を 観てみたい人は、ぜひゲットしてくださいませ!

 

 

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「THE ROBO TRIBE ロボ一族」(2004年)「ペットおやじ」(2005年)の巻

THE ROBO TRIBE ロボ一族 [DVD]

ペットおやじ [DVD]

 

S原:今回はこの2本立て!

Y木:うわ、超マイナーな匂いがプンプンするぞ…

 

(ロボ一族のあらすじ)

最新CGを用いてロボと人間のピュアな愛を描いた痛快アクションラブコメディ。時の権力者たちに化学兵器として利用されながら生き残ってきたロボ一族のミコは、自分の正体を恋人に明かせず別れを告げる。そんな中、何者かの魔の手がミコに忍び寄る。 

 

(ペットおやじのあらすじ)

人がペットとして飼われる一風変わった世界に生きる中年男の悲喜こもごもを描いた哀愁ドラマ。ある日、ひとりの中年男が家庭を捨てて家を飛び出し、拾われた家庭でペットとして飼われることに。やがて、彼を取り巻く一家の環境に変化が現われ始める。

 

Y木:これは、なんかすごそうやな…

S原:ぼくも中古屋さんでみつけたときに、買おうかどうかかなり悩んだんやけど、このブログのネタ集めと自分に言い聞かせて結局買ってしまった…そして家に帰ったら、うちの奥さんに見つかって「なんでこんなしょーもないDVDを買うんよ!」「鶏肉も安いムネ肉ばっかり買ってるのに!」って怒られた(ため息)

Y木:そりゃ、奥さんが正解や。

S原:まあな。それにしても、この2本はなあ…自主映画というのか…監督もスタッフ、キャストもほとんど同じなんやけど、かなり違う作風やったな。

Y木:監督はだれ?

S原:マキノトクシローという人。

Y木:知らん。

S原:ぼくも知らんかった。というか、この監督を知ってる人は相当なマニアちゃうやろか。

Y木:やろうな。でも映画が面白ければマイナーでもメジャーでも別にええやん。まず「ロボ一族」からいこか。どうやった?

S原:よくいえばシンプル、悪く言うと稚拙…かな。

Y木:やっぱりかー。

S原:もとは舞台とか自作の小説なんかなあ。ネットで調べてもほとんど情報がでてこないからわからん(苦笑)全体的にセリフもすごく硬いし、演出も無骨といえばいいのか…

Y木:不自然ってこと?

S原:そうやな。演出がぎこちないというか。設定はシンプルで面白いし、主人公の女子高生(深谷愛)も結構ええ味やねん。ロボット役と言っても、パフォーマンスで、ロボットの動きをするだけ。そこが面白いともいえるし、全体的にチープ感が漂っているともいえる。

Y木:そりゃ低予算やから。

S原:いや予算の関係じゃなくて、演出とか作風やと思うわ。だって、もう一本の「ペットおやじ」も低予算やけどチープな感じはしないから。それはええとして、ちょっとずつ、コメディとしてのお笑いポイントも外れてるのが残念やねん。

Y木:例えば?

S原:男性型ロボ(兄弟)の乳首からビームがでるとか、仕事中にバッテリーがきれてカクカクな動きになるとか、眼から光線が出るとか…

Y木:それは…とくに笑えないかも…

S原:ええシーンもあるねんで。主人公は恋をしてるねんけど、ロボットやから彼氏との今後の付き合いが上手くいかないってことが分かっている。でも恋愛感情は止められない。彼氏の前で「わたしは普通とは違うんです」と、ポロリと泣くシーンなんか、なかなか良い味やねん。でも、この場面はもっとよくなるはずやから、ちょっともったいない。

Y木:でもロボットってことを、周りに人にバレるんとちゃうの?

S原:いや、普段は生身の人間のふりをしているからバレない。でもたまにロボット風の動きになるから、バレそうになる。でもとくにハラハラドキドキせんかったな。

Y木:なんやねん。じゃあロボットである意味はないやん。ロボットならでは、の場面はないの?

S原:あるで。ロボットは力が強いから、女子高生でもケンカが強い(笑)パチンコも勝つし、麻雀も強いねん。

Y木:麻雀…つっこむポイントなんやろか。

S原:わからん(笑)一応、映画としては女子高校生と彼氏のラブストーリーが軸になってるねんけど、さっきも言ったけどあんまり上手くない。というか、女子高生の彼氏って、もう大人やねん(苦笑)あかんやろ、モラルとして…

Y木:さすがにエッチなシーンはないんやろ?

S原:ない。でも彼氏がおっぱいを触ったら、銀色の乳房カップが取れるとか、太ももに見とれているとコンセントがでてるという場面はあるで。

Y木:うーん、なんだかなあ…

S原:低予算と言う意味では、これよりも低予算な映画はあると思うねん。でも、これだけ演出が安っぽい映画は珍しいかもしれない。

Y木:学生映画のノリ?

S原:そうやな。学生の自主映画って、勢いとかぶっとんだ部分があるやん。そういう部分を抜いて、水で薄めたような不思議な映画やった…

Y木:ラストは?

S原:結局、変なグループ(ゲリラ?)に追いかけられた主人公が、なにもかもが嫌になって、やけくそで赤いロケットに変身します。

Y木:え?

S原:ロケットの胴体に丸くくりぬいた部分があって、顔だけでてます。

Y木:ここは笑うところなんやろうな…

S原:そのまま空にロケットが飛んでいく。彼氏もロケットになって追いかけます。2台のロケットは、やがて宇宙に飛び出す。そして、おしまい。

Y木:よくわからん…

S原:なんというか全く知らない俳優たちが、変な言い回しでセリフを言って、たまにロボット演技をする。それ以上のものがないから、余計に物足りなくなる…そんな映画やった。DVDにはメイキング特典もあって、、和気あいあいと撮影してるんやけどな。

Y木:やっぱり学生映画のノリやないか。

S原:どうも出演者たちは、プロ俳優じゃない人もおるみたい。あと途中で、すごく立派な屋敷でロケしてて、「すげえ屋敷やなあ」と感心してたら、「ナイスリフォーム」という雑誌をだしている会社が出資してた。ロケ地を提供してもらったのね(笑)

Y木:わかりやすいなー。もう1本の「ペットおやじ」は?

S原:ぼくは、こっちのほうが良かった。ストーリーのリズムも良いしな。

Y木:オッサンをペットとして「飼う」ってこと?

S原:そうやねん。この映画では、オジサンが室内犬みたいに「ペット」として飼われたり、売買されたりする設定やねん。

Y木:これは…コメディ?

S原:うーんコメディなんやけど、大笑いする感じではないかな。ちなみにDVDのジャケットには『ちょっぴりふざけたタイトルですが、真面目で哀愁たっぷりの作品になりました』と書いてある。

Y木:「真面目で哀愁たっぷりの作品」になってたの?

S原:いや、なってなかった…(笑)でも、そんなに悪くないと思ったで。

Y木:ペットショップでオッサンが売られてるんやな?

S原:その通り。ペットショップの端でオジサンが並んでるねん。そこで、4~5人のオジサンが「ワン!」「アウ!」とか鳴いて、お客さんに買ってもらおうとするねん。値札の横に「本当はシャイです」「当店では渋さナンバー1」とかPOPがはってある(笑)

Y木:いくらするの?

S原:12万から70万円くらい。

Y木:高いなあ。いや安いんかな…というか人身売買やがな!(笑)

S原:そうやな。

Y木:設定は、なかなかシュールやなあ。筒井康隆の小説みたい。

S原:主人公は、ある家族(夫婦と小学生の娘)に買われていく。ジョンと名付けられて一緒に暮らしていく、という話やな。

Y木:ちょっとフランス映画みたいやん。

S原:フランス映画のコメディみたいになってると、「大化け」してたかもれん。でも、なんかあと一歩でいろんなものを逃してる感じがして惜しいねん。

Y木:それこそ、予算の関係もあるんじゃないの?

S原:うーん、2本とももちろん低予算やけど、完成度と予算が多いか少ないかは比例しないと思うけどな。だって、フジテレビとかジャニーズの映画って、予算はかけてるけど、完成度の低い映画ばっかりやん。

Y木:比較対象が違うような気がするけどな。ペットとして住む家でも、「ワン」とか返事して犬みたいな生活するの?

S原:いや、ふつうに人間として生活する。口を利けないわけでじゃないねん。ふつうのオジサンが、ただ大人しくしているという感じかな。家では、「ペット」やから黙ってるってことやな。

Y木:じゃあ、ただのオッサンと一緒に住むだけ?

S原:そうやねん。だから、一緒にご飯を食べたり、公園で遊んだりする。あーそうそう、「野良おやじ」もおってな。

Y木:野良おやじ?

S原:サラリーマンとか嫌になったオジサンが公園とかにたむろしてる。

Y木:ホームレスやないか。

S原:この世界では「野良おやじ」やねん(笑)主人公のペットおやじは、家では食器洗いとかするから家政婦みたいな部分もあるし、旦那から(妻を女性としてみていると)嫉妬を受けて、怒られたりする。

Y木:なんか昔の奴隷みたい。やっぱり人身売買や。

S原:それも暗喩としてあると思うで。

Y木:おお、じゃあ「ロボ一族」よりも意味深な映画やん。

S原:「無理して深読みしたらそうみえなくもない」というレベルやけどな(笑)いろいろあって、ペットおやじが主人の前で路上でギター1本で歌う。タイトルは「青春のゆくえ」。渋い歌声ですが、急にミュージックビデオみたいになって違和感ありまくりです。

Y木:どこかに、この曲を挿入したかったんやろうな(笑)

S原:最後のほうで、主人がサラ金からお金を借りてることがわかってな。それがきっかけで家計が苦しくなって、結局主人公(ペットおやじ)は捨てられてしまうねん。

Y木:捨てる?

S原:山の中に置いてけぼりにされる。それでおしまい。

Y木:かわいそうに。

S原:姥捨て山のイメージもあるけど、あまり陰湿にならないように撮ってた。そこはよかったけどな。

Y木:かなり変わった映画みたいやな。

S原:そうやな。さあみなさん、2本とも変な映画です。でもメジャー作品にはないような、ちょっと一風変わった映画を観たい人、監督の個性がにじみ出ている映画を観たい人にはおススメです。チープな感じの映画が嫌な人は、通り過ぎてください。変な刺激のある映画なのは間違いありませんので、同じ毎日で疲れたあなたにピッタリですよ!でも、観たからと言ってリフレッシュとかはならないと思いますので気をつけてくださーい!

Y木:うーん、今回はかなり微妙やなあ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「ユニットバス・シンドローム」(2005年)の巻

ユニットバス・シンドローム [DVD]

 

S原:今回はこれです。

Y木:ちょっと変わった感じの映画っぽいな。

 

(あらすじ)

 別れた彼女のことが忘れられず、ユニットバスの天井裏に彼女との思い出を大切に隠し持っている男フジモト。友人のダイスケの家で行なわれた失恋パーティでも、ついユニットバスの天井裏をのぞき込んでしまう。するとそこには、別れた彼女にそっくりなシノハラという少女が座っていた。彼女はなんと、数年前にその部屋で自殺した幽霊だった。過去に未練があるという彼女の痛切な思いを聞きながら、フジモトは別れた彼女への思いを重ねていく。やがて2人は、そんな自分たちの気持ちを確認するかのようにある行動に出るのだった…。

 

Y木:いつも言うけど、こんな誰も知らんような映画をよく見つけるよなあ…

S原:これもレンタル落ちワゴンコーナーで見つけたんやけどな。行くたびに、次から次へと未知のDVDが発掘されるねん。まだまだこの世界は、まだまだ奥深いで。行き止まりない洞窟みたい(笑)

Y木:いや、突き詰めたって、そこには何にもないと思うけどな(苦笑)それで、この映画はどうやったの?

S原:結論から言うと、結構良いねん。

Y木:えー、こんなんが?

S原:これは、ジャケット(と裏面の写真)でかなり損してると思う。

Y木:どんな映画なん?

S原:あらすじは、上の通りやけど、ほんまに何も起こらない映画やねん。ハートウォーミング、ファンタジー、青春、恋愛、自己の快復…どれにもあてはまりそうで、あてはまらない感じの映画かな。

Y木:ユニットバスの天井裏に、若い女性の幽霊がおるという設定はおもろいな。やけど、そんなところに人が入れるねんなあ。

S原:ぼくも初めて知った。ユニットバスのタイプによるやろうけど、人が入れるくらいのスペースがあって、主人公(山中崇)は、そこにフラれた彼女の写真とか保管してるねん。たまに出してきて、トイレで写真を眺めているねん。

Y木:女々しいな。

S原:まあな(笑)ひょんことから、他人の家に行くねんけど、なんとなく他人のユニットバスの天井裏に入ってみるねん。

Y木:あかんやろ、そんなことしたら。

S原:確かにあかんねんけどな。まあ、そこで若い女性(幽霊)(勝俣幸子)と出会って交流していく、という流れやねん。

Y木:若い女性が幽霊かー。なんか食指が動かんなー。

S原:たしかにありがちなんやけどな(笑)若い女性の幽霊は、主人公の昔の彼女そっくりやねん。それが、偶然なのか主人公の眼にそう映っているのかはわからんねんけどな。

Y木:なんで幽霊になったん?事故?

S原:自殺らしい。数年前にその部屋で自殺して成仏できずに住み着いている。幽霊曰く「忘れられたくない」「だからここに居るの」主人公は言い返されへんねん。自分も昔の彼女のことを引きずってるからな。

Y木:なるほどな。

S原:この映画の魅力は主演の2人!これに尽きる。幽霊役の勝俣幸子と主人公の山中崇がなかなか良いねん。この2人がだまって座っているだけで「映画」になるっていう感じでな。だから、この2人に魅力を感じなかったら、ただの退屈な映画とちゃうかな。

Y木:えー、えらい褒めるやん。

S原:あーちょっと褒めすぎたかな(苦笑)もちろん傑作というわけじゃなくて「意外な拾いもの」「愛すべき小品」という感じの映画なんやけどな。

Y木:それで、ユニットバスで幽霊と主人公が交流する、という話?

S原:いや、主人公は、若い女性をユニットバスから外の世界へ連れ出す。ここからロードムービー風になるねんけど、このあたりから断然面白くなるねん。

Y木:ロードムービー?どこへ行くの?

S原:主人公は、若い女性を実家(千葉)まで連れていくことになるねん。

Y木:死んでるのに?

S原:死んでるから、やな。若い女性は、自分が死んで家族がどうしているか知りたいから、主人公と友人に車で連れて行ってもらう。実家についた日がちょうど女性の命日でな、親友とかが線香をあげに実家を訪ねてくる。でも、もちろん誰も幽霊となった女性には気がつかない…

Y木:なるほどな。

S原:女性は、ひとまず家族が普通に暮らしてるのをみて、ほっとする。と同時に誰にも気づかれずに寂しく思う。とくに親友にはもう娘がいて、その娘はどんどん大きくなっていくのを知る。母親となった親友とその娘が手をつないで帰る後姿を、黙ってみる女性の表情がええねん。悲しいような、仕方ないような、自殺をして後悔してるような、でも悔いはないような…なんともいえない表情で、親友の後をゆっくりとついて歩く。この場面はすごく好きやな。

Y木:へー。いかにも日本映画…って感じじゃなさそうやな。

S原:日本映画にしては異色とちゃうかな。主人公2人も友人たちの描き方も、どちらかというと、乾いたタッチでな。淡々と物語がすすんでいくなかに、ときどき情緒的な瞬間がでてくるって感じやねん。アメリカでも田舎を舞台にしたインディーズ系映画の雰囲気に近いかな。脇役(主人公の友人)もアクセントになっていて、奇妙な設定の映画なのに、どこか静かで自然な雰囲気になっているのに役立っていると思う。あと、個人的にはパッと切り取った感じの風景のショットも好きやな。鳥の声や田舎道、海、風なんかも上手に撮影してる。このへんは結構苦労したんとちゃうかな。

Y木:結局、幽霊の女性は実家に行った後はどうするの?そのまま、実家の天井裏に住むの?

S原:いや、最後は主人公のユニットバスに住むことになる。天井裏にいつまでも置いていた昔の彼女の写真も、これをきっかけに主人公は捨てる。このあとのラストは、主人公と幽霊の関係も含めて、きちんと結末をみせずにバッサリ斬り落とす感じで、おわる。ちょっとフランス映画みたいで、ここも余韻が残ったわ。

Y木:やっぱりうーんラストは確かにいい感じやけど、やっぱり話は地味やな。

S原:めちゃくちゃ地味。というかほとんど何も起こらない(笑)でも、たまにはこういう映画もありやと思う。

Y木:B級映画ばっかり見てるから、癒し系の映画にハマっただけとちゃうの?

S原:かもな(笑)でも、まあ楽しかった。ぼくはこの映画、好きやな。

Y木:久しぶりに、まともな映画の話を聞いた気がするぞ。

S原:すまんなー、いつも変な映画の話ばかりして(笑)さあさあ、みなさん。何もない映画、雰囲気を味わう映画ですが、このまま消えていくのには惜しい作品です。大感動する映画ではないですが、なんとなくジワッとくる映画です。ワゴンコーナーでみつけたら、ぜひゲットしてくださいませ。おすすめです!

 

ほぼ誰も知らない邦画 20連発!「RUN3」(2009年)の巻

RUN3 [DVD]

 

S原:今回はこちらですよ。

Y木:また、だれも知らんような映画をみつけてきて…

 

(あらすじ)

普通のサラリーマン風間(渡辺大)は、バッティングセンターで出会った尾形(風間トオル)に勝負を持ちかけられる。帰り際、尾形の忘れ物に気づき後を追いかけると、暗闇に浮かび上がる二人組の男と倒れた尾形の姿が。慌てて逃げ出し交番に駆け込むが、追っ手に阻まれ夜の街へ逃げ惑うはめに。元彼女の小夜(山本博子)まで拉致され、あての無い暗闇を彷徨う風間。なぜ追われているのか?理由を知るため尾形が待ち合わせをしていた京子(青田典子)と連絡を取るが…風間と小夜を待ち受ける運命とは?!

 

S原:この映画はですねえ……全然面白くないです。

Y木:そうやろうな。

S原:以上。おしまいです。

Y木:おいおい、もうちょっと話してくれよ。

S原:いやー参ったなあ……(ため息)

Y木:下手な映画ってこと?

S原:いや、下手ではない…かな。

Y木:物語や設定が破綻している?

S原:いや、破綻はしていない…と思う。

Y木:じゃあストーリーはわかるのね?

S原:一応…わかる。

Y木:登場人物たちの行動もわかるのね?

S原:だいたい…わかる。

Y木:ラストもちゃんと終わるのね?

S原:とりあえずは…終わる。

Y木:でも、おもろないのね?(笑)

S原:イエース、ザッツライト!!なんかもう、ほんまにおもろないとしか言いようがねんって!

Y木:サスペンス、ミステリー系なんやろ?

S原:一応、そうなんやけどな。主人公(渡辺大)は、普通のサラリーマンなんやけど、バッティングセンターで出会った男(風間トオル)に賭けを持ちかけられるねん。どっちがホームランを打てるか勝負しようとか、そんな賭けやったかな。

Y木:なんかミステリーゾーンの出だしみたいやん。

S原:でも、その賭け自体には意味がないねん。

Y木:なんやねん、それ。

S原:勝負がつき、帰ろうとした主人公は、男が置き忘れた紙袋に気づく。あわてて主人公は男を追いかけるけど、男は怪しげな2人組の男にいきなり銃で撃たれてしまうのを目撃してしまうねん。主人公は、紙袋をもったまま怖くなって逃げるねん。2人組の男たちはもちろん主人公(というか紙袋)を追いかける、というのが出だしです。

Y木:ベタやけど、普通の展開やん。

S原:ここからが変やねん。主人公はすぐに警察(交番)に行く。でも、そこにも追跡してきた男がやってきて、あっという間に警察官を殺してしまうねん。

Y木:えー。

S原:それがいつのまにか、主人公が警官を殺した容疑になって、大ニュースになるねん。それも、すぐに実名報道で指名手配やねん(苦笑)主人公は夜の街を逃げつづける…果たして真相は…?そんな展開で、それはええねんけども、なんで警察がすぐに『主人公が警官殺しの犯人だ!』と決めつけるのか、よくわからんねん。

Y木:うん?

S原:映画では「主人公が追いかけられる事態」に対して、観客が納得する説明というか必然性がないから、主人公がいくら必死の形相で逃げても「いやいや、あんた、悪いことしてないんやから、落ち着いて警察に事情を話せばええやん?そうやろ、な?」と不思議に思うだけねん。

Y木:えーそれって致命的じゃない?

S原:そう思う。ハリウッドでも邦画でもこんなストーリーはいっぱいあるやん。でも大抵、「無実の罪ではめられて」「逃げながら真相を探る」という感じやろ?それに「説明をしようとしても聞いてくれない」「どんどん主人公に不利な状況になっていく」というのが、ハラハラドキドキの要素やん。要するに、この映画の主人公は、ほんまに偶然にまきこまれるだけやから、逃げる必要なんてないねん。

Y木:主人公は、事件とは別に警官に聞かれたら困るような隠し事があるんとちゃうの?

S原:いや、べつにない。

Y木:発作的に警察を撃ってしまうとか?

S原:いや、そんなことせえへん。

Y木:昔に犯罪歴があって、警察に偏見があるとか?

S原:いや、いたってマジメな青年。

Y木:なんやねん、それ。

S原:だから、珍作なんやって!いやー、ほんまに警察の対応も疑問だらけでな。捜査する刑事たちも『主人公が逃走するのにはひょっとしたら理由(事情)があるんじゃないか?』とか一切疑わないねん。大体、交番の中って防犯カメラがあるやろ?それを観れば、主人公が犯人じゃないってわかるやん(苦笑)

Y木:まあな。

S原:刑事はなかなか主人公を捕まえられないから、上司に向かって「だいたい、犯人の考えてることなんてわかるわけないでしょ!」と逆切れしたり、パトカーに乗りながら「くそー!おれがあいつを捕まえてやるー!」って感じで捜し続ける。

Y木:キャッツアイか。

S原:なんか頭がよくないというか、単純というか、ただひたすらパトカーを何台も出動させて、夜の街を大騒ぎして主人公を走って追いかけるだけ。こんなんで作品が面白くなるわけがない…

Y木:主人公を追いかけるやつらは、どんな感じ?

S原:警察同様、どんくさい奴らばっかり(笑)やたらと銃を出すし、顔もかくさずに登場するし…だいたい、主人公が乗っているタクシーに向かって発砲するんねんで。タクシー運転手は関係ないから、こんなことしたら余計に警察に追われるし、(重要で秘密らしい)紙袋を主人公から取り戻されへんやん。やることにまったく説得力がない(笑)

Y木:ひたすら追いかけられるだけ?追いかけている奴らとの接点もなし?

S原:紙袋に携帯電話がはいっていてな。そこに犯人からの連絡が入るねん。『おとなしく紙袋を渡せ』とか『こっちの言うことを聞かないと、恋人を殺す』とか『〇〇へむかえ』とか指示される。それはええねんけど、その声が、音声を変える機械(ボイスチェンジャー)で聞こえてくるねん。これが、誘拐コントとか、昔の刑事ドラマで使われてた音声変換とまったく同じ(苦笑)

Y木:学生の自主映画みたいな、わかりやすさやな。ところで、主人公が持っている紙袋は?ミステリーの要素は?謎解きとかあるんやろ?

S原:さっきも言ったけど、紙袋に携帯電話とか入っていてこれが犯人たちとの通話手段なんやけど、どうもこの携帯の中に「データ」が入ってるみたい。でも、なんかそれもよくわからん…(苦笑)殺された男の恋人だったらしい女性(青田典子)と(殺された男が持っていた)携帯で話すけど、いまいちかみ合わへんねん。主人公は「なぜ追われてるのか?」「追ってきている組織は何なのか?」としつこく聞くねんけど、そんなもん昔の恋人に聞いてもわかるわけないやろ?(笑)案の定「知りません。警察に相談したらどうですか?」と言われてしまう。

Y木:あたりまえやがな。

S原:まあそのときに、1つだけわかったことがあるねん。要するに、殺された男はジャーナリストで「やばいネタ」をもってたらしい。それが原因で殺されたんじゃないか?、ということやな。携帯の中の「データ」は、そのネタってことらしい。

Y木:あーやばいネタ、というと政治家のスキャンダルとか、そういうネタね?

S原:いや、とくに最後まで説明はなかった。

Y木:なんやねん、それ。

S原:ここは説明的でもええから、どんどん謎解きをしてもらわないとな。

Y木:なんか良いところがないなあ。

S原:たぶん、それなりに金はかけてるねん。ちゃんと夜の東京のいろんな場所でロケしてるし、警官もパトカーもたくさん使っている。これを観たら、もっと低予算で苦労している映画監督たちが怒るで。この映画は60分強しかないねん。でも長く感じた…(ため息)しかも、ネット上でも感想やレビューは見つけられなかったけど、ひょっとしてこの映画の感想を書いているのは、この広い世の中で僕ら2人だけやろか?

Y木:かもな(失笑)

S原:最後はなんか早朝のどこか(お台場?)で犯人たちと対峙するけど、結局撃たれて死んでしまう。でも、大丈夫です。その前に恋人に秘密(今回の事件の真相がはいったデータ)を転送しておいたから、ね♡

Y木:なんやねん、そのラスト。

S原:こんなん、どんでん返しとも言えない……いやー参ったなあ。ほんまに褒めることろがなくて申し訳ないですが、みなさん、レンタル落ちワゴンセールコーナーでみつけても、スルーしてくださいませ…

Y木:世の中にはいろんな映画があるねんなあ…(遠い目)

S原:ほんまになあ…(遠い目)