![非女子図鑑 [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/51UOq6Wq8iL._AC_SY445_.jpg)
S原:今回は、なかなか良い出来のオムニバス6本入り!
Y木:6本もあるんか。
(あらすじ)
従来の“女子”の定義から外れた“非女子”をテーマにした短編オムニバス。お笑い芸人の鳥居みゆき、片桐はいり、仲里依紗らが各作品の主演を務め、監督を「呪怨」の清水崇や「地獄甲子園」の山口雄大らが務める。エデンの園の非女子“イブ”に始まり、現代の6人の非女子が自らの欲望に忠実に生きる様を描く。
S原:まずはオープニング。外国。ベッドで娘は「どうして私は生まれきたの?」「どうして男の人と女の人は愛し合うの?」と聞く。母親はアダムとイブの話を始める。例によって禁断の果実を食べるねんけど、アダムが気付くとイブの方はガツガツと食べまくっているというオチです。ここから第一話になります。
「占いタマエ」 (占い依存の女)
S原:これは飄々とした雰囲気で面白かった。主人公は女子高生のタマエ(足立梨花)。彼女は、毎日お寺の境内にあるガシャポンをする。そのガシャポンの中身は、占いが書いてある紙です。その紙は、おそらく神主(スネオヘアー)が書いている。
Y木:例えば?
S原:「後ろ向きな人生もイイね」
Y木:はあ。
S原:それで主人公は、学校の通学で後ろ歩きしたり授業を後ろ向きで受けたりする。
Y木:なんやねん、それ。占いのことを信じてるってこと?
S原:じゃなくて、じつは神主が好きやねん。なので、そのまま実行しようとするわけ。
Y木:なるほど。
S原:で、外国人の転校生とやりとりをしているうちに、なんとなく仲良くなる。ある日、思い切って主人公は神主に「付き合ってほしい」と告白する。すると、なんと神主はOKしてしまう。
Y木:えー相手は高校生やろ。やめてくれ。
S原:そのあとの展開も結構面白い。もちろん変な関係にはならず、爽やかに終わります。これ、良いよ。
Y木:ふーん。話は大したことないように思うけど。
S原:スネオヘアーと足立梨花が良いねんなあ。上手いとか下手とか超えてるのよ。たぶん、演技指導とかあまりせずにぶっつけ本番で演技させたんちゃうかなあ。もしも、演技指導してこの雰囲気を出したんなら、監督はたいしたもんやと思う。
「魁!!みっちゃん」 (ただ闘う女)


S原:これはもう山崎真実の魅力。これに尽きます。
Y木:へえ。
S原:話は大したことないねん。というか面白くない。 キッチンカー(フードカー)があって、坂口拓が経営している。そこでは、無料で焼きそばを試食できる。山崎真実は、何度もそれに並ぶ。
Y木:貧乏ネタ?
S原:いや、坂口拓と戦いたいから(笑)
Y木:なんやねん、それ。
S原:それがオチねんやけどな。ハンモックでじっと坂口拓を観察したり、熱砂で手刀を鍛えたりする。やがて彼女が「妖怪タダ飯ばばあ」だと分かる。
Y木:わかった、シュールな面白さを狙った映画やな。
S原:そうそう。クライマックスは2人のカンフー風の格闘になる。最後はバカバカしい演歌調のエンディングテーマで山崎真実のことを説明して、おしまい。
Y木:監督がやりたいことをしたって感じやな。
S原:それで良いと思うで。まじめな人は怒りだすかもしれんけど、こういうのもアリやな。あと、ちょっと一言いいかな?
Y木:なに?
S原:山崎真実なんやけどな。
Y木:うん。
S原:むちゃ好みやねん!
Y木:知らんがな。
「B」(ノーブラの女)
S原:これは悪くないねんけどなあ……
Y木:ブラージャーネタか?
S原:そうです。主人公は、遺跡発掘調査チームの主任の月船さらら。作業中に痛かったりするという理由でノーブラで化粧もしないような女性やねん。ある日、彼女は同僚の男性(田中幸太朗)がブラをつけていることに気付いて……という話です。
Y木:ジェンダーがテーマなんやろ。
S原:それもありそう。やけど、どうもスカッとしないのよ。結局、男性のくせにブラジャーを付けたという理由で、田中幸太朗は調査チームを去ることになる。最後は月船さららが走って、軽トラで去る田中を追いかける場面になるんやけど、うーん、このへんも好みやろうなあ。
Y木:これもシュールなコメディを狙ったんちゃうの?
S原:たぶん……もう少しカラッと乾いた笑いを期待したんやけど。途中で、主人公が「女性」と意識する(着飾る)場面があるねんけど、あんまり効果的でないような……
「男の証明」(男を演じたい女)

S原:これはアイデア一発勝負。女優(片桐はいり)が主人公。女性でありながら、ヤクザ映画の主役のオーディションを受けることにする。みんなが驚く中、監督が気に入ったのはなんと片桐はいりで、プロデューサーは困惑する……という話です。
Y木:それで?
S原:それだけ(笑) 片桐はいりの演技は良かった。というか、それだけをみる作品やからなあ。ハマると楽しんやけど、ハマらないとキツイかも、です。
Y木:最後はどうなるの?
S原:オーディション会場をでたあと、片桐はいりが男性が立ションしているのをみる。男性が去った後、片桐はいりも立ションのものまねをする。そこでおしまい。
Y木:面白そうやん。
S原:こういうアイデアと勢いで作ってしまう短編が途中で入るのは良いと思う。ペースチェンジの役割もありそうやしな。
「混浴heaven」 (混浴好きの女)
監督:オースミユーカ 主演:江口のりこ


S原:これは良かった。
Y木:混浴か。ちょいエロな感じ?
S原:全然エロくない。一応、そういう場面(男性が一瞬ムラッとする)はあるけど、そこはあえて淡白に描いています。
Y木:どんな話?
S原:江口のりこが温泉にくる。仲居さんがいろいろと世話をしてくれる。カバンの中に練炭があるのをみつけてしまう。
Y木:あー自殺をするために来たと?
S原:たぶんそうです。ここは海が見える混浴が売りらしくて、江口のり子が温泉に行くと、おじいさんが風呂で酒を吞んでいる。一緒に呑んだり話しているうちに、若い男性も入ってくる。今風のカップルも入ってくる。そういう感じです。
Y木:へえ。面白そう。
S原:意外に温泉以外の場面もしっかりと撮られていて、作るのは大変やったはず。気になってネットで記事を読んだら、ほぼ2日間(36時間!)ぶっ続けで撮影したらしい。キャスト/スタッフともに本当によくやったと思う。
Y木:最後はどうなるの?
S原:みんなで温泉に浸かりながら、朝日をみる。それで主人公は、おそらく自殺するのをやめることを決意する。
Y木:ええラストやん。
S原:そのあと、江口は駅で温泉で会った若い男と再会する。その男も実は自ら命を絶とうと考えていたことが示唆される。単純なんやけど、ここがええのよ。
Y木:へえ。
S原:これはおススメです、はい。
「死ねない女」(自殺に走る女)

S原:作品としてはこれが一番出来が良いと思う。実際、面白いです。
Y木:へえ。
S原:主人公(仲里依紗)は失恋から自殺しようと決心するが、踏ん切りがつかない。なぜなら気になることがあるから。
Y木:気になることって?
S原:ふと散らかった自分の部屋を見ると「きたねー……」「死んだ後、警察がきて好き勝手言われるわ」「よく見たらカーテンもダサくね?」(笑)
Y木:あははは。おもしろい。
S原:ほんまに汚い部屋やったからな(笑) いろいろ気になりだして、なかなか死ねない。主人公の想像の中で、警官(佐藤二朗)がメチャクチャ言うねん。なので主人公はますます気になっていく。自殺するのはやめて、カーテンを買いに行ったり、部屋を掃除したり、キッチンをきれいにしたり、あげく美容院までいって髪をキレイにして、服まで新しく買ってしまう(笑)
Y木:あーそういうドタバタの面白さやな。
S原:これは、もう仲里依紗と佐藤二朗(刑事)の2人がほんまに良かった。しかし仲里依紗って、こんなコメディまで出来る人なんやな。さすが女優と感心したで。
Y木:えらい褒めるなあ。
S原:だって、「時をかける少女」くらいしか知らんかったからな(苦笑) しかし考えたんやけど、ぼくも急に死んだら、友達や家族に言われるんやろなあ。「こんなDVDばっかり買って観ないまま死んでアホちゃうん?」「こんなんゴミにだすにしても有料ちゃうん?」「うっとおしいなー、もう!」とか。
Y木:弔問に来た人にあげるわけにもいかんしな(苦笑)
Y木:今回のオムニバス映画は良かったみたいやな。
S原:うん。いままで紹介した中で一番良いかも。
Y木:そこまで言うか。
S原:これはほんまにひろいものです。こういう映画を評価して、ちゃんと残していかんとマジで思うで。短編映画が好きな人はもちろん、役者志望や映画製作に興味のある人にもぜひ観てほしい。低予算で限られた撮影日数や条件でもここまでのものが出来るという見本みたいな作品集でした。久しぶりに言いますよ、マストバイです~!