あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

1960年代の邦画を観てみる!「風と樹と空と」(1964)の巻

風と樹と空と [レンタル落ち]

S原:今回は、吉永小百合

Y木:こんなブログで吉永小百合を取り上げる日が来るとは…

(あらすじ)

沢田多喜子(吉永小百合)が故郷から集団就職の一員として上京し、高校時代のクラスメイトである手塚新二郎(浜田光夫)、高柳武雄(和田浩治)、小石信子(平山こはる)、会田かね子(安田道代)らと上京し、安川家のお手伝いさんとなる。その夜、多喜子を迎えた安川家の晩餐は、多喜子の無邪気な明るさで、これまでになく和気あいあいとして、明るい光源を投げ込んだような雰囲気だった。ある日、多喜子たちの上京仲間は公園に集まり、それぞれの仕事や私生活の話に花をさかせる。その日多喜子は車でドライブを楽しんだが、途中、信子と武雄が将来を誓い合った仲だったことを知って驚く。多喜子は武雄に密かな想いを寄せていたのだ・・・。

 

Y木:この映画、知らんわ。

S原:僕も知らんかった。昔の吉永小百合の映画を観たのはもしかして初めてかも。

Y木:まあ、おれらよりもかなり上の世代の清純派女優(アイドル)やもんな。

S原:いまのヤングにとっては、品の良いおばさんやろうけど、昔々はそれはすごい人気やったらしい。

Y木:あー吉永小百合の熱烈ファンを「サユリスト」とか呼んでたんやろ。

S原:そうそう。聖飢魔IIのファンは「信者」って呼ばれてるんと一緒やな。

Y木:聖飢魔Ⅱなんか引き合いに出すな(笑)で、この映画はどうやったの?

S原:もう徹頭徹尾、サユリストのための映画。いかに吉永小百合の魅力を上手く見せるか?それだけを考えて作られた映画です。

Y木:ほう。今で言うアイドル映画?

S原:そうやろうな。吉永小百合って、いまみてもすっごく清潔感があるねん。そういう若い娘が東北の故郷から上京します。ある家でお手伝いさんとして働く。周りもみんな良い人ばかりで、(すこしだけ)悩みながら、のびのびと成長していく。ほんまにこれだけの映画やねん。

Y木:吉永小百合の演技はどうなん?

S原:良かったで。すごくセリフが聞きやすいねん。ほかの俳優もみんな自然やった。ただ、さっきも言ったけど、朴訥と言うか素朴と言うか、なんにも起こらない映画ってあるやん?あれやねん。

Y木:この映画の、面白さってどういうところにあるの?

S原:まず吉永小百合の「東北弁」やろうな。地方から出てきた若い娘が方言を堂々と使うのって、グッとくるやん?

Y木:そうかな。

S原:学生時代の映画サークル(S原とY木が所属していた)にも、博多弁とか名古屋弁を話す女子がおったやん。「Y木くん、あの映画は観たっちゃ?」とか「S原さん、私、かっこいいギターが好きなんだわ~」とか。あれはええわ~。

Y木:おまえの好みやがな。ほかには?

S原:あとは吉永小百合が演じる主人公のキャラクターやと思う。なんというか、素直というか都会擦れしていないというか。お手伝いさんとして就職した家で、空気を読まずにご飯を4杯食べたり(笑)なんでも本音で喋ってしまうねんけど、明朗でついつい周りも許してしまうという。

Y木:なるほど。恋愛要素は?

S原:ちょっとあるけど、たいしたことない。映画の演出もストレートそのもの。途中で素朴な絵が挿入されたりして、もうのんびりムード満載です。でも、この時代の映画を観ると「へえー」と思うことが多いのよ。

Y木:古い時代の風景がみれるから?

S原:それもある。道路とか空いてるしな。ほかにも高校卒業して集団就職で上京するとか、それも「お手伝いさん」で就職とか、女性は卒業したらすぐもう結婚を意識するとか。

Y木:あー今とは違うかもなあ。

S原:年頃の娘たちにとっては「もしも嫁げなかったらどうしよう」という焦りもあるねん。いまみたに女性が会社組織で重要なポジションに就くなんか夢のまた夢の時代やからな。そういう当時の世俗がわかるのも興味深いで。

Y木:当時の文化はともかくとして、映画としてはどうなん?たいしたことない?

S原:そうやなー。まあ1回観ればええかな。観ている間は楽しいけど、本当にささいな話やから。でも、こういう「なにも起こらない映画」を作れる時代やったんやな。いまでもアイドル映画ならアリやろうけど、さすがにもう少し大きいエピソードか出来事を挿入すると思うわ。

Y木:まあ、それも含めて昔の邦画って感じやな。

S原:さあーみなさま。昔の日本映画に興味がない人はちょっと厳しいでしょう。ただしサユリストは必見ですよ。最後の場面は、三球三振してテヘペロする吉永小百合!その可愛さに悶絶してくださいませ~!