S原&Y木:はいどうも~。ワゴンボーイズで~す。
Y木:ありがとうございます。
S原:あーいま、ドクターペッパー6本セットをいただきました~。
Y木:ありがとうございます。
S原:こんなんいくらあっても困らへんからね。コカ・コーラの社長も喜んでるやろうね。
Y木:言うてますけども。
S原:はい。
Y木:ちょっと分からへんことがあるねんけどな。
S原:なんやねん。
Y木:おれのマミーがな。
S原:御母堂様が。
Y木:映画監督の名前を思い出されへんって言うてんるねん。
S原:映画監督の名前かー。じゃ、一緒に考えるから、分かっていることを言ってや。
Y木:イタリア人監督でな。それなりに映画を撮ってるし、DVDにもなってるねんけどな。でもビスコンティやフェリーニみたいに、正当な映画ファンからは、評価されてないらしいねん。ホラーとかが得意なんやけど、ダリオ・アルジェントみたいに、リメイクとかされへんらしいわ。
S原:ほうー…それは……ルチオ・フルチやな。
Y木:ルチオ・フルチか。
S原:ルチオ・フルチは、ひとつもまともな映画を作ったことない監督やからな。とにかく、安っぽいホラーとかSFを作り続けたのよ。簡単に言うと、中学生とその精神年齢の大人(だけ)が喜ぶ映画を作り続けたおじさんやねん。だいたいヴィスコンティと会ったときにも「あんたの映画なんか、しょぼいわ」と、ハッタリかましたら、ヴィスコンティが「こいつ、すげえ奴だ!」って(勝手に)勘違いしたという、不良マンガ「カメレオン」みたいなエピソードの持ち主やからね。
Y木:はーそうなんか。でもよく分からんねんなー。
S原:なにがわからんねん。
Y木:マザーが言うにはな。どことなく作品に品位がある、って言うねん。
S原:じゃあ…ルチオ・フルチとちゃうなあ……
Y木:やっぱりちゃうんかな。
S原:誰もフルチの映画に品位なんか求めてないからな。フルチがみせたいのは、スプラッターとかグロとか女体とかゲロとかチョメチョメとか、そういうもんなのよ。けばけばしい直接的な描写で勝負やねん。雑誌で言うと、ananの「SEXで綺麗になる!特集」ではなくて、エロトピアの「若奥様の夢下着!夏だ!不倫だ!SEXだ!特集」に近いのよ。
Y木:若奥様の夢下着…なんやよくわからんけど。
S原:要するに、小説家で言うと、隆慶一郎と峰隆一郎とくらい違うねんって。
Y木:それもよくわからん…
S原:ま、どちにしろ、品位があるならルチオ・フルチとはちゃうってことよ。他に何か言ってなかった?
Y木:マザーが言うにはな。ダリオ・アルジェントとともに「マスター・オブ・ホラー」とか褒められてるねんけどな。それはマニアが喜んでるだけで、普通の人から見たら、どっちもどっちらしいねん。
S原:ルチオ・フルチやないか!
Y木:そうなんか。
S原:フルチもアルジェントもホラーマニアでは、偉人扱いやけどな。普通の映画ファンからしたら、ただ下手なだけの映画なのよ!というか、実際にぼくの学生時代に、彼女寸前までいった女友達が一人暮らしの部屋に遊びにきたときに、ルチオ・フルチのレーザーディスクがあってな。「これ、いくらで買ったの?」と聞かれたたら正直に「7000円」って答えたら、そのままフラれたんやで。それくらい罪作りな奴やねんって、フルチは!
Y木:はあ。でも、わからへんねんな。
S原:なにがわからへんねん。
Y木:マザーが言うにはな。どの映画もよく似ていて、ストーリーがよくわからんらしいねん。
S原:ルチオ・フルチやないか!「サンゲリア」(1979)「ザ・ビヨンド」(1981)「墓地裏の家」(1981)「地獄の門」(1980)を続けても観てみ?どれも区別がつかへん上に、ストーリーも何もあったもんじゃないから。たぶん編集が入れ替わっててもほとんどの観客は気が付かへんで。エロトピアで多少ページが入れ替わってても気にせえへんやろ?若奥様の夢下着がみれればええやろ?そういうことなのよ。
Y木:ほう。でもわからへんねんな。
S原:なにがわからへんの?
Y木:マザーが言うにはな。西部劇を撮っても、何故か延々とSMショーを見せられるらしいねん。
S原:ルチオ・フルチやないか!「真昼の用心棒」(1960)とか「荒野の処刑」(1975)のことやがな。普通のマカロニ西部劇かと思って観てたら、主人公が延々とムチでたたかれる場面が延々と挿入されるという珍品のことやろって。
Y木:でも、わからへんねんな。
S原:なんでやねん。それはルチオ・フルチで間違いないよ。
Y木:マザーが言うにはな。
S原:うん。
Y木:ルチオ・フルチとは違うっていうねん。
S原:じゃあ、ルチオ・フルチと違うやないか!いままで、昔のエロ本まで引き合いにだして懸命に説明したこっちの姿をみてどう思ってたんや?
Y木:で、マザーが言うにはな。
S原:ほう。
Y木:宮崎駿ちゃうかって。
S原:絶対ちゃうやろ!
S原&Y木:どうもありがとうございました~!