あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

スポーツ映画祭り!第7試合「ラフ・ショット」(2004)の巻

ラフ・ショット [DVD]

Y木:女性スポーツものか。男性が女性に変わっただけで、中身は一緒やろ?

S原:いーえ、今回のは一味違います。

(あらすじ)

女子アイス・ホッケーのオリンピック選手という華々しい経歴を持つポーラ(ジェサリン・ギルシグ)。しかし、現在はシングル・マザーで電気工として働きながらギリギリの生活で子供を養っていた。ある日、ローカル・ホッケーチームの試合に助っ人で参加したポーラは相手チームの男性たちからバカにされる。一念発起した彼女はメンバーを募集し、女子チーム結成へと動き出すが…

 

Y木:一味違うって?おいおい一緒やろ。フットボールやサッカーがアイス・ホッケーに変わっただけで。

S原:実は、この映画はちょっと違う。この映画はですねえ……

Y木:なんやねん。

S原:………(遠い空をみあげる)

Y木:……はよ、しゃべれ。

S原:なんと。全然スカッとしませんのです。スポーツ映画なのに……

Y木:あーそういうことな。

S原:ストーリーは単純やん?女性チームが奮闘して男性チームをやっつける!それだけやろ。なのに、全体的にもやがかかったようにボンヤリした映画やった。

Y木:要するに面白くないと?

S原:全く面白くないのです……

Y木:そうなんや。

S原:主人公のポーラは、女子アイスホッケーの元オリンピック選手。いまは、シングルマザーで郊外で息子と暮らしている。カナダではアイスホッケーが盛んで男子チームが人気です。ある日、ひょんなことから、男子チームの選手に主人公は「所詮女は男には勝てないだろ」とバカにされる。主人公は女子のホッケーチームを立ち上げて、男子チームと試合をする事になる、というお話やねん。

Y木:べつに普通やん。

S原:ここから、友達を集めて鍛えるとか、訳ありの曲者が集まっていく、と話が進んでいくと思うやん?前に紹介した「綱ひいちゃった」(2012)もそうやったやろ。ところが、この映画は違います。なんとなく、わりと上手い選手を集めて、なんとなく練習します。

Y木:なんとなく、って。

S原:そうとしか表現がない。まったく切羽詰まっていないし、男子に勝ってやる!という気概もない。あー思い出した。よくわからんけど、資金集めもするねん。寄付を募ったりして。

Y木:何の資金?

S原:よくわからんかった…(苦笑)たぶん、チーム運営(ユニフォームを作るにもお金がかかる)のためなんやろうけど、そのお金を投資にまわすとか、女子ホッケーのプロリーグを作るというエピソードがでてくる。

Y木:プロリーグ?実は、そういう目的でチームを作ったってこと?

S原:よくわからんかった…(苦笑)画面も寒々としているし、登場人物たちも顔色が悪くて暗くて元気がないし、とにかく迷走したまま話が進んでいきます。

Y木:クライマックスは、男子チームとの試合やろ?

S原:うん。期待してたけど、試合会場にお客さんはほとんど来ない。それでも、女子チームが懸命に戦う……はずなんやけど、これもなんだかなあ。男子チームはやっぱり強くて、最初は苦戦するけど、後半は巻き返します。地元の名物(?)DJが盛り上げたり、女子チームが作戦を変えてどんどん巻き返していく。撮り方が下手で試合もよくわからんけど、このへんはまだ良いと思う。変なのは男子チームやねん。

Y木:変って?

S原:女子チームのロッカールームにカメラを仕込んで、盗撮をしています。それも、女子チームの作戦をチェックするためか、着替えを覗くのか目的がよくわからない(苦笑)さらにわからないのは、後半になると突然、試合にお客さんが続々とやって来るのよ。たぶん、地方局の実況が盛り上げて、それを聞いた人たちが試合会場にやってきた、ということやと思うねんけどな。これもよくわからん。極めつけは、なぜか観客(女性)はブラジャーをグルグルまわして応援するねん。ラフィンノーズのライブかよ!

Y木:古いな、おい。

S原:まあ、変な映画やった。主役(ジェサリン・ギルシグ)は良いよ。でも、どの登場人物にも感情移入できないし、エピソードが独立していて噛み合っていないから、観ていて混乱します。チームが一丸になっていくカタルシスもなし。女性が男性の勝つ爽快さもなし。人生に苦労している女性像もなし。ホッケーの面白さも伝わらない。完全に失敗作やと思う。例えば、「なんとかエイリアン」とか「〇〇オブ・ザ・デッド」とかで酷い出来の映画があるやろ。ああいう映画でも、一応作り手がやりたいことはあると思うねん。製作費がなくても、センスや個性をだそうとするやん?観ているほうも「ああ、これがやりたかったんやろうなあ」「この監督は、こういうのが好きなのねえ」と感じるやん。

Y木:まあな。

S原:この映画は、そもそも何がしたいかわからないのよ。「ひとりの女性がスポーツを通して成長する姿を描いたドラマ」なんて、とても言えない。とにかく消化不良やねん。監督(カリ・スコグランド)のセンスなのか、シナリオ自体がメチャクチャなのかわからんけど……

Y木:今回はおススメできない感じやな。

S原:まったくおススメできません。というわけで、みなさん。突っ込みポイントも少なくて、Z級映画ファンにも耐えがたいでしょう。レンタル店でスポーツ映画コーナーに行っても、この映画だけはチョイスしちゃダメ~!