Y木:でーたー!「レモ 第一の挑戦」!
S原:意外とナイスなこの映画を紹介しますよ。
(あらすじ)
アメリカの冒険小説『デストロイヤー』シリーズを、007シリーズで知られるガイ・ハミルトン監督のメガホンで映画化。殉職したと見せかけ、ある秘密組織の手で顔と指紋を変えられた警察官レモ(フレッド・ウォード)は、韓国人老師チュン(ジョエル・グレイ)から東洋の古武術を習い、軍需産業を牛耳る巨悪に立ち向かっていく。
Y木:これ観たなあー。高校生の時やったかな。
S原:ぼくも高校生のとき観た。以来、何十年ぶりに再見したけど、結構面白かったわ。
Y木:たしかあれやろ、自由の女神の工事現場で戦うやつやろ?
S原:そうそう。高所恐怖症には身もだえする場面やな。でも、今観ると自由の女神の工事現場(改修中)に行く必然性が全然ない(笑)いきなりてっぺんに立ってるしな。でもそれも含めて、80年代のアクションのムードが楽しいで。
Y木:でも予告編観たときは、高い場所でのアクションは「うわ、すっげえ」と思ったで。あの高所でビヨ―ンって鉄棒にぶらさがる場面とか。
S原:うん。当時はCGとかほとんどないし、生身でスタントをするしかないから、そこは凄いねんけど、今観ると……意外とドキドキしなかった(笑)
Y木:そうなんや、唯一の売りやのに。
S原:この映画のレビューをみると、みんな同じことを書いていて笑えるで。「主人公が、むさくるしいオジサン」やけど、「韓国の秘術(?)シナンジュが、すごく適当」、そして「映画としては、嫌いじゃない」。こんな感じやな。あ、あとはほぼ100%みんなが「いつ第二の挑戦があるんだろう?」とつっこんでます(笑)
Y木:というか、俺ら世代の人がレビューを書いてるのが丸わかりやがな(笑)むさくるしい主人公か。主役は誰やっけ?
S原:フレッド・ウォード。
Y木:……誰やねん。
S原:ぼくも知らん(笑)でも我々世代の青春の1本やで。ぼくらの世代のアクション映画ビッグ3といえば、「エクスターミネーター」(1980)「ザ・ソルジャー」(1984)そして「レモ 第一の挑戦」やもんな。
Y木:どれもショボいなあ。これ、どんなストーリーやったっけ?
S原:偽装殉職して全くの別人になってしまったレモ・ウィリアムズが主人公。国家の秘密組織に雇用されて、特殊任務につくことになる。その組織は、大統領直属で、法律の手の届かない強大な悪い奴らを秘かに抹殺する秘密組織。「ワイルドセブン」そっくりですが、まあそこは目をつぶってください。レモは、グレートなスパイになるために韓国の秘術シナンジュを習得する修行をする。
Y木:シナンジュなー。たしか水面を渡ってなかった?
S原:うん、レモの師匠が水面を歩く。それがクライマックス(笑)『右足が沈むまえに左足をだしたら、水の上でも沈まない』ねんで!
Y木:それって小学1年生の休み時間の会話やがな。
S原:レモは、シナンジュを習得して弾丸も避けれるようになります。悪玉は、軍需産業の大物で、陸軍の幹部(将軍)と組んで衛星防衛システムを開発し、防衛システムの開発を独占しようとしている。それを我らがレモがやっつける!
Y木:要するにマンガやな。
S原:そうそう、あのノリやな。その分楽しいで。強制的に別人にリボーンされた哀しさとか、これからも「影の人間」として生きていく苦悩なんて、一切なし!いっそ清々しいで。
Y木:監督は?
S原:ガイ・ハミルトンやな。
Y木:……誰やねん。
S原:ネットで調べると「007/黄金銃を持つ男」(1974)とか「地中海殺人事件」(1982)とかが代表作かな。
Y木:あかん奴やん。
S原:いや、レモはええねんって!とにかくテンポが良い。もうテンポが良すぎて、なんだかよくわからないままに終わってしまいます(笑)
Y木:ま、ダルイよりはええけどさ。
S原:たぶん、テンポが良いからいまだに愛される佳作として生き残ってるんやろうな。さあみなさま。毒にも薬にもならない映画やがな、と言ってしまえばその通り。もっと激しいアクション映画があるがな、と言われればその通り。でも一度観てほしいのです。一体アクション映画で、こんなに華のない主人公がいたでしょうか?答えはノーです。とにかく、むさくるしいオッサンがなんとなくアクションをする映画の金字塔です。さあ、みんなで資金を出し合ってすぐに第二の挑戦を作りましょう!